2021.05.19
学びをはぐくむ 石田勝紀

第8回「自己肯定感の高い子に育てる10の魔法の言葉」 教育専門家・石田勝紀さん

自己肯定感という言葉があります。実は日本の子どもたちの自己肯定感の低さは国際比較調査でも明らかになっています。しかし、自己肯定感の低さの原因は明らかになっておらず、自己肯定感を上げる方法も明確に示されていません。そこで、今回は、子どもの自己肯定感を「言葉の力=マジックワード」で引き上げる方法をご紹介します。日常の何気ない場面で、ぜひ使ってみてください。その効果に驚かれることでしょう。

自己肯定感の低い日本の子どもたち

近年、「自己肯定感」という言葉が多くのところで使われるようになりました。というのも、日本の若者の自己肯定感の低さが、国際比較で顕著になったからです。例えば、2020年に発表されたユニセフの子どもの幸福度に関するレポートでは、「精神的幸福度」が38カ国中37位と衝撃を与えました。また、2013年度の内閣府が発表した7カ国の国際比較で、「自分に対して満足している」という項目と「自分には長所がある」という項目は最下位となりました。2015年の国立青少年教育振興機構が発表した日本、韓国、中国、アメリカの4カ国の高校生の調査結果では、日本は「自分はだめな人間だと思うことがある」という数値は 72.5%でダントツとなっています。

これらからの調査データの結果もそうですが、私がこれまで4000人以上の小中高生を指導してきた経験から、年齢が上がるにしたがって子どもたちの自己肯定感の低さが目立ちました。原因は様々考えられることでしょうが、私の仮説としては「勉強がその要因の一つとなっている」可能性があるというものでした。

つまり、小1から高3までの12年間、子どもたちはほとんどを「勉強」とともに過ごします。学校でも勉強、塾でも勉強、家でも勉強。そしてテストが定期的に繰り返され、入試があります。これほど、勉強とともにいると、勉強ができれば自信をもつことができます。一方で勉強ができないと周囲から色々と言われ、「勉強できない=ダメ人間」という認識をもつ場合もあることでしょう。

例えば、音楽ができる、絵がうまい、スポーツができるなど、何かしらの得意分野を持てることができれば、それが自己肯定感の支えになることはあるでしょうが、通常はそれほど尖った能力を持つことは少ないため、テストの点数や学校の成績、合格不合格がその子の自己評価にインパクを与えてしまうことでしょう。このような背景から、私は「勉強で凹んだ自己肯定感であれば、勉強をできるようにさせてしまえばいい」という考えのもと、短期間で一気に学力を引き上げることをやってきました。勉強の場合は、特に短期が重要になります。なぜなら、嫌なことは継続することが難しいからです。ですから可能な限り短期間で引き上げることをします。

子どもの自己肯定感を高める10の魔法の言葉とは

しかし、家庭で、子どもの自己肯定感を高めるために勉強能力を短期で引き上げることは容易ではないことでしょう。そこで、家庭においては、別のアプローチを取ることをお勧めしています。

それは、「言葉の力」を使います。これを私は「魔法の言葉=マジックワード」と読んでいます。言葉であれば、今すぐ、誰でも、お金をかけずにできます。その容易さと相まって、実は言葉がけというのは絶大なる効果を持つ手段なのです。

それが、「子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば」です。詳しい使い方については書籍「子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば(集英社)」をご覧頂きたいのですが、このコラムでは言葉の種類とポイントについてお伝えしておきます。

子どもの自己肯定感を引き下げる「3つの呪いの言葉」とは?

まず、言葉の種類は10種類ありますが、その前に、子どもの自己肯定感を引き下げる「3つの呪いの言葉」があります。これを言えば、親の言うことを一切聞かない子を除き、子どもの自己肯定感を“引き下げることができます”。

その3つの呪いの言葉とは次の3つです。

「ちゃんとしなさい」「早くしなさい」「勉強しなさい」

この3つで終わっていきます。いずれも強制する指示命令用語です。このような言葉を使って、相手が快く動くはずがないのですが、つい使ってしまいます。しかし、この「呪いの言葉」は使わないようにしようと思ってもなかなかできないものです。そこで、こう考えてください。「使ってもいいです。ただ、今までよりも少なっていけば」

しかし、どうすれば少なくすることができるのかと思われることでしょう。そこでこう考えます。これらのマイナスの言葉に意識を置くのではなく、プラスの言葉を使うことに意識をおくといいでしょう。つまり、この呪いの言葉を使わないようにしょうと思うのではなく、次に紹介する10の自己肯定感を高める言葉を使うことに意識をおいてみましょうということなのです。では、その言葉を紹介しましょう。

10の言葉は、「承認のマジックワード」「関心のマジックワード」「感謝のマジックワード」「安心のマジックワード」「指摘のマジックワード」に分類されます。

  • 3つの承認のマジックワード 「いいね〜」「さすがだね」「すごいね」
  • 2つの関心のマジックワード 「なるほどね〜」「知らなかった〜」
  • 3つの感謝のマジックワード 「ありがとう〜」「嬉しい〜」「助かった〜」
  • 1つの安心のマジックワード 「大丈夫、大丈夫〜」
  • 1つの指摘のマジックワード 「(◯◯ちゃん)らしくないね 〜」

勉強に関すること以外で使う

これらの言葉を折りに触れて使います。勉強に関すること以外で特に使ってみてください。その方が効果的です。なぜなら、勉強に関して親はあまり口を出さないほうが適切だからです。自分が子どもの頃、親に勉強に関してあれこれ言われ、嫌な思いをしたことはありませんか。もしそのようなことを経験していたら、それは今の自分の代で止めるということをされるといいでしょう。そうしなければ、代々同じことを繰り返すことになります。

ですから、コツとしては、親は勉強に関してこれらのマジックワードを使うのではなく、日常生活の何気ない場面で使うようにしてみてください。(もちろん、子どもが勉強を頑張って点数取ったとか、合格したときは両手を上げて喜ぶということは当然します。)しかし、日常の些細な勉強のことで使ってしまうと、どうしても親は子どもの勉強のことで欠点や至らない部分に目がいき、それを指摘するようになってしまう可能性があるのです。そうすると日ごろ使っていたマジックワードの効果は薄くなってしまうのです。

また、それぞれに言葉の後ろについた「〜」の部分が大切になります。つまり、軽い感じで使っていくということです。そして言葉は短く使います。長くダラダラとその後、言葉を続けてしまうとマジックワードの効果は薄くなります。

このようにいくつかの使用上の注意がありますが、上記の点について注意されるといいでしょう。(詳しくは書籍をご覧ください)

このような言葉をかけられる機会が増えてくると、子どもは自分に対して肯定的な気持ちを持つようになります。その結果、自分の心が満たされると、もともと自覚をしていた勉強に対して、前向きな行動を取り出すという例は、枚挙に暇ありません。これまでの実例では1週間程度で行動変容が起こったと報告をいくつも頂いています。しかし、自ら勉強する子にさせるために、これら言葉を使うことはやめたほうがいいでしょう。あくまでも、子どもの心の状態を高めていき、自分に対して自信が持てる子にするために使うというように考えてみてください。

魔法の言葉を使っている親の自己肯定感も上がる

この自己肯定感を高めるマジックワードを使うと、もう1つの効果があります。それは使っている本人自身の自己肯定感が上がるということです。つまり、親の自己肯定感も上がるということです。何しろ、自分で発した言葉が、自分の耳にすべて入っているのですから。こう考えると、逆に、呪いの言葉を使うと、その言葉は自分の耳にも入っているということです。

言葉の力は計り知れません。言葉一つで人を活かすこともできれば、潰すこともできてしまうのです。ですから、この強烈な力を持った言葉を上手に使ってみてください。そして、素敵な家庭を築いていってください。

「ぐんぐん伸びる子の育て方 教育専門家・石田勝紀」の記事一覧

石田勝紀
石田勝紀

(一社)教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。20歳で起業し塾を創業。現在はMama Café、講演、連載記事を通じて全国の保護者への教育活動を行っている。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』他多数。子どもの頃の習い事は「書道」。今でも筆で書いたり、活字への関心に繋がっています。

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