2021.05.13
習い事Q&A 高橋知寿

スイミングは何歳からはじめるべき?幼児スイミングのメリットとスクール選びを解説

子どもの習い事として高い人気を誇っているのがスイミングです。東京五輪代表に内定した競泳の入江陵介選手や池江璃花子選手らに憧れる子もいるのではないでしょうか。日本スイミングクラブ協会の指導力向上委員会副委員長を務め、「トップスイミングクラブ」(三重県四日市市)で子どもたちを指導している目黒伸良さんに、幼児からスイミングをはじめる効果などについて聞いてみました。

<今日のポイント>

  1. 幼児スイミングの目的は、泳ぎ方と水難事故から身を守る術を身につけること
  2. レッスンでは、年齢別の発達段階にあわせて四泳法をマスター
  3. 恐怖心が芽生える前の3歳までがはじめどき
  4. 幼児スイミングの魅力は、体が丈夫になる、就学前に25メートルが泳げること
  5. スクール選びは、通いやすさとそのスクールの子どもへの接し方などを確認
  6. 習得には個人差があるので親は焦らず「見守る」ことが大切

幼児スイミングの目的は、泳ぎ方と水難事故から身を守る術を身につけること

幼児スイミングが誕生したきっかけや目的を紹介します。また、レッスン内容もお伝えします。

幼児スイミングとは?

A. 3~6歳を対象にしたスイミングで、泳ぎ方と水難事故を防ぐためのスキルを身につけ、社会性を学ぶことが主な目的です。

誤って川や池に落ちてしまった際、命を守るために「元の場所に戻る(Uターン)」というスキルを学ぶことが大切です。また、「ビート板がプールサイドに散乱していると、つまずいてプールに落ちる危険があります=整理整頓の大切さ」など、社会性を育む目的も兼ねています。

幼児スイミングが誕生したきっかけは?

A.  1964年の東京五輪の競泳で日本が惨敗したことがきっかけでした。

当時、たくさんのメダルを獲得したのがアメリカでした。アメリカの競泳が強くなった理由の一つに、幼少期からスイミングをはじめさせて強い選手を育てたことがありました。そこで、日本も幼少期から未来の五輪選手を育てることを目的に、東京五輪後に幼児向けのスイミングスクールが増えたといわれています。 

レッスンでは、年齢別の発達段階にあわせて四泳法をマスター

3歳から幼児スイミングをはじめた場合の年齢別カリキュラムを解説します。

3歳向けスイミングのカリキュラム

3歳になると、コーチのキックなどを見て真似たり、水中で呼吸しながら自分の思い通りに移動ができたりすることを目標に指導します。足がつかない恐怖心を減らすために、腰につける浮き具「ヘルパー」や、ビート板などを用いて、段階的に水に慣れていきます。 

4~5歳向けスイミングのカリキュラム

クロールや背泳ぎなどができるように目指します。幼児にとって顔を水につけることは、とても勇気がいることです。そのため、私が教えるスクールでは、顔を水につける必要のない背泳ぎから教えるようにしています。

5~6歳向けスイミングのカリキュラム

クロールや背泳ぎのキックや腕の動かし方などを楽しく練習し、より正しいフォームで泳げることを目指します。クロール、背泳ぎが習得できたら、平泳ぎ、バタフライの泳ぎ方を学びます。理想は、就学前までに四泳法(クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライ)が一通り泳げるようになることです。

スイミングの進級のシステムはどうなっているの?

A.  スクールによって進級のシステムは異なります。通うスクールが決まったら、進級テストの内容がわかる一覧表を入手しておくといいでしょう。

私のスクールでは、日本スイミングクラブ協会が定める全国統一の「ジュニア泳力認定基準」にのっとった形で進級テストをしています。ジュニア6級からスタートし、ジュニア1級まであります。1級を取得した後は、水泳初段から水泳十段まで挑戦できます。自分のレベルが全国的にどのくらいかを把握できるほか、級が細かく分かれているので、「上の級を目指したい」と、子どもたちのやる気を育む狙いもあります。

恐怖心が芽生える前の3歳までがスイミングのはじめどき

心身ともに子どもの成長が著しい幼児期。スイミングをはじめる年齢について解説します。

幼児スイミングは何歳からはじめたらいいの?

A.  水への恐怖心が少ない、3歳までにはじめるのが望ましいでしょう。

3歳になるとまわりのことが理解でき、1人でできることが増えます。最初は親と離れて泣いてしまう子もだんだんと慣れてくるでしょう。しかし、ちょっと前まで羊水の中にいた赤ちゃんに比べ、陸での生活が長い幼児の方が水への恐怖心は大きいです。年齢が上がるほど恐怖心は強くなるので、できるだけ早くはじめるのが良いです。 

ベビースイミングを習ってなくてもいいの?水を怖がる子もできるの?

A.  ベビースイミングを習っていなくても幼児スイミングはできます。ただ、水への恐怖心が少ない乳児期に習いはじめた方が水慣れするのは早いです。

スイミングに向き、不向きはありません。無理にプールに入れさせるのは逆効果。水に慣れるまでじっくり待つことが大切です。水に入る前に泣いてしまった場合、いつもと違う場所に来たことで泣いている可能性があります。スクールの方針にもよりますが、親が近くにいた方が落ち着くなら顔が見えるところにいてあげてください。回を重ねると自然と慣れてきます。

子どもたちのスイミングの憧れの選手は?

A.  今は白血病からの回復を果たし、東京五輪の切符を掴んだ池江璃花子選手が圧倒的な人気を集めています。

2021年4月の日本選手権水泳競技大会(東京オリンピック最終選考会)で4冠を達成し、五輪代表に内定したスター選手としての活躍ぶりはもちろん、病と戦いながらひたむきに頑張る姿が子どもたちの励みになっているようです。五輪2大会連続金メダルの北島康介さんや、競泳男子100メートル、200メートル背泳ぎの東京五輪代表・入江陵介選手も人気が高いです。

幼児スイミングの魅力は、体が丈夫になる、就学前に25メートルが泳げること

幼児スイミングを習うことで身につく力や効果などの魅力を紹介します。

①泳ぎ方や水難事故を守るスキルが身につく

幼児には、人のマネが得意という特徴があります。その特徴を活かして、就学前までに四泳法を一通り学びます。クロール、背泳ぎで25mぐらい泳げるようになる子がいます。また、水に落とした物を拾おうと体を伸ばしたときなど、どんなときにうっかり水に落ちやすいか、そして万一、落ちたときにどう対応すればいいかをレッスンの中で伝えています。

②全身運動の経験がスイミング以外のスポーツにも役立つ

幼児スイミングを経験することで、全身の筋肉の動かし方を習得することができます。水の抵抗や水圧、浮力があるため、陸上の運動では動かしづらい筋肉や関節を動かし、発達させることができます。将来、水泳以外のスポーツをはじめるときに、水泳で培った筋肉の動かし方を活かせられるのも大きな特長です。

③呼吸器系が鍛えられる

水中では水圧を受けるため、陸上に比べて呼吸筋を鍛えることができます。呼吸筋が発達すると水を吐く力が強くなり、クロールでの息継ぎが上手にできるようになります。息継ぎがうまくなると、長距離を泳げるように。喘息や気管支が弱く、呼吸器官を鍛えるために習う子もいます。

④スイミングはケガをしにくい

陸上のスポーツなどに比べて擦り傷や打撲などの怪我をする可能性が低いです。そのため怪我でお休みすることも少なく継続して続けることができます。

⑤自分のことは自分でやる習慣が身につく

私が勤めているスイミングスクールでは、スイミングを通して自主性を育んでもらうために、ひとりで着替え、脱いだものの整頓、髪の毛を乾かすことまで本人にさせています。もちろん最初はひとりですべてやるのは難しいので、コーチがサポートをしますが、年上の子がやっているのを真似たりすることで自分のことは自分でやろうという意識が備わり、少しずつできるようになります。

子どもをスイミングスクールに通わせる際の「親の負担」は?

A.  送迎を負担に感じる親もいます。

スクールによっては、家の近くまでバス送迎してくれるところもあります。子どもが小さい場合、親が着替えを手伝うスクールもあり、そこに負担を感じる親もいるので、確認してください。

スイミングスクール選びは、通いやすさと子どもへの接し方などを確認

納得して我が子を任せられるスクールを見つけるための上手な探し方を教えてもらいました。 

スイミングスクールを選ぶポイントは?

A.  無理なく通えるスクールをピックアップし、2~3カ所無料体験会に参加して指導方法や施設環境を確認してください。

幼児への接し方が慣れているコーチがいるか。泳ぐよりも、コーチの話を聞く時間が長くないかなど、指導方針を確認すると良いでしょう。脱衣所が清潔か、濡れた髪を乾かすためのドライヤーの有無などの施設環境もチェックしてください。コーチが飛沫防止用の「フェイスシールド」をつけているかなど、コロナ対策ができているかも大事です。

スイミングの初期費用や月謝はどれくらいなの?

A.  週1回60分で7700円~1万1000円 程度が多いです。入会金がかかることもあります。

私のスクールは、1時間10分の授業で月謝が週1回で7445円、週2回で9870円となります。入会金2600円、年会費4100円もかかります。週2回通った方が、体に覚えさせたテクニックを忘れないうちにくり返し練習できるので、断然習熟スピードは早くなります。※全て税込み

親がスイミングスクールのレッスンに用意するものは?

A.  水着、帽子、バスタオル、ゴーグルを準備してください。

「幼児にゴーグル、必要かな?」と思う親もいるかもしれませんが、水には消毒のための塩素が入っています。そのせいで目が充血しやすくなるので、できるだけ着用した方がいいです。皮膚の弱い子ども用に、目に当たる部分にシリコンを使ったゴーグルも販売されています。

習得には個人差があるので親は焦らず「見守る」ことが大切

親が子どものためにできることは?

A.  泳ぎの習得や進級のスピードは個人差があります。子どもに無理をさせない。本人がやる気や決心がつくまで「見守る」ことが何よりも大切です。

スイミングで仲間ができると、お互い切磋琢磨するのはいいことですが、上達スピードを他の子と比較してしまって悩む親もいます。まわりの子どもと比べたり焦ったりせず、我が子の「伸び」に注目し、ほめてあげることが大事です。やる気が入るタイミングも子どもによって違うので焦らず見守ってください。

日本スイミングクラブ協会・目黒伸良さんからのメッセージ

幼児スイミングを通して子どもたちに知ってほしいことは、楽しむこと。最初は水中で思うように動けないのに、練習をするうちに、泳いで好きな場所へ移動できることになったときのうれしさをぜひ体験してほしいです。また、泳ぐ順番を守る、使ったものは片づける、レッスン前後にコーチに挨拶するなど、礼儀やマナーを身につけ、それを大人になっても忘れないで欲しいですね。

【プロフィール:目黒伸良さん(めぐろ・しんりょう)】

1952年生まれ、山形県出身。中央大学商学部会計学科卒業。トップスイミングクラブ(三重県四日市市)で子どもを教える傍ら、一般社団法人・日本スイミングクラブ協会指導力向上委員会の副委員長としてスイミング指導者の育成に取り組んでいます。著書に「ベビースイミング指導理論」(環境工学社)、「幼児と学童のための水泳指導理論」(松柏社)、共著に「水泳教師教本」(大修館書店)など。

関連記事:マタニティスイミングとは?4つの効果と教室選びを解説

関連記事:ベビースイミングを始めるなら何歳から?レッスン内容やメリット、教室を選ぶ基準も

関連記事:小学生からスイミングをはじめるのは遅いの?レッスン内容や効果、費用を専門家が解説

関連記事:水泳が上手くなる筋トレ方法とは?自宅でできる3つのトレーニング法を紹介

関連記事:「私はなぜ、スイミングを続けられたのか」 女子高生から小学生へのメッセージ

高橋知寿
高橋知寿

子育て情報誌、不妊治療情報誌などをメインにライティング、ページ制作を行っている。そのほか、旅行情報誌、ライフスタイル情報誌などの編集、原稿制作も手がけている。自身も夫もひとりっこなので、戸惑いながらきょうだいの育児に奮闘中。子どものころに熱中していたのは、自分の新しい名前を考えること。最後に「子」が付く名前に憧れ、四六時中、考えていた。小学校低学年当時、自分で考えて気に入っていた名前は「ごだいごはなこ」。