2021.05.31
習い事Q&A 華井由利奈

リトミックは0歳から始められるの?教室の選び方や通うメリット、魅力を解説

どんなレッスン内容なの?オンラインでも学べるの?スイスの音楽教育家、エミール=ジャック・ダルクローズが考案した音楽教育法「リトミック」。その始め方や身につく力などについて、ロンドン・ダルクローズ音楽研究所でダルクローズ・リトミック国際免許を取得し、40年以上にわたりリトミックを実践してきた「ユリ・リトミック教室」主宰者、石丸由理さんにお話を聞きました。

今日のポイント

  1. リトミックは心から音楽を楽しむためのレッスン
  2. まずはリズム遊びから自分の身体で学ぶ
  3. 音楽性、発想の多様性、第六感を育てる
  4. 最初から用意が必須なものはない
  5. 教室選びのポイントは「講師との相性」
  6. 「温かく見守る」が子どもの成長の支えになる

リトミックとは心から音楽を楽しむためのレッスン

リトミックという言葉は、もともと「リズミカルに」という意味の言葉です。現在使われているリトミックという言葉は、「目に見えない音楽を、全身で受け止めて表現することを大切にした、リズムを活かした音楽教育」と言えるでしょう。

そもそもリトミックとは?

A.諸説ありますが、私は「自分の身体を使って音楽を表現すること」だと考えています。

教室によってさまざまな考え方があるので、一言で表すのは難しいのですが、私のレッスンでは「リトミック=手で掴んだり、目で見たりすることができない音楽を、自分の身体で表現する手段」と考えています。音楽は、心や気持ちによって表現されるものです。レッスンを通して体験したことを、知識として身につけるだけではなく、自分で考えたり、工夫したりする多様性と共に体得してほしいと思っています。

楽器を習う前にリトミックを習っておいたほうが良いの?

A.リトミックで身につく音や曲の意味を理解する力、瞬時に反応する力、想像する力、記憶する力、身体表現する力などは、人と上手にかかわる力、人の気持ちを思いやる力にも繋がります。それらを幼児期に身につけたり、楽器を習う前に体験することは、とても意義のあることだと思っています。

音楽の素晴らしい点は、言葉が通じなくても、五線譜を通して世界中の人と同じ曲を共有できることです。演奏するときに大切なことは、正しく演奏するだけでなく、楽譜の中に書かれている色々なことを理解し、表現できることです。リトミックは、そんな音楽の中にある色々な要素やニュアンスを、身体で体験して、蓄えて、演奏に活かしていこうというものです。

0歳から始められるって本当?

A.教室によって対象年齢が異なりますが、0歳から習えます。

0歳児の場合は、保護者と一緒に音に合わせて動いたり、止まったりすることで、音楽に慣れ親しんでいきます。私が主宰する教室では、0~4歳まで同時に教えたこともありました。年齢で分けるのではなく、子どもたち一人ひとりの発達段階や興味関心に合わせてレッスンを進めていくので、同じ年齢でもクラスの様子によってレッスン内容も変わります。

子どもが集中できないときは?

A.体幹を鍛えて、集中できる姿勢を覚えます。

子どもは、姿勢が悪いとレッスンに集中できなくなってしまいます。そのため、レッスンの中で、音楽に合わせて身体を上手に使うこと、そして、ひざを曲げたり、片足で立ってみたりと、さまざまなバリエーションで身体を動かし、まず体幹を育てることを大切にしています。体幹が育つと、真っ直ぐ立てるようになると同時に、集中力も伸びていきます。

リズム遊びから自分の身体で学ぶ

(提供:ユリ・リトミック教室)

0歳児の場合は、保護者の膝の上に子どもが乗った状態で、音楽に合わせて保護者と一緒に身体を動かすことから始めます。徐々に、楽器や道具、リズムカードなど、さまざまなアイテムを使って感覚と知識を身につけながら、レッスンを進めます。

最初はどんなことから始めるの?

A.最初は音に合わせて身体を動かし、慣れてきたらリズムカードなどを使って音楽の基礎リズムを覚えていきます。

ピアノの音に合わせて歩いたり、走ったり、止まったり、ジャンプしたりと、音楽に合わせて自由に動きます。またリズムカードを使ってリズムを読んだり、ピアノの音を聴いてカードを並べたりすることも。私の教室の場合、5歳までのレッスンでは、このような内容をその時の季節や天気、子どもの様子に合わせて講師のピアノの即興演奏で行います。

初級者用として教室で使用している教材(提供:ユリ・リトミック教室)

どんなレッスンをするの?

A.ソルフェージュ・身体表現・即興演奏が3本柱です。

リトミックの創始者であるスイスの作曲家ダルクローズは、ソルフェージュ(楽譜の読み書き)・身体表現(体重移動を伴う動き)・即興演奏の3つを合わせてリトミックと呼んでいました。私の教室では、その3つを学ぶことによって、より豊かに音楽を演奏できるような感性を磨き育てて、ピアノやバイオリンなどの楽器のレッスンにつなげていきます。

(編集メモ)
シールやパズルなどを使って、言葉や数字について学ぶリトミック教室もあります。また、ダンスや体操などを中心に、身体を動かすことを主体とした教室もあるようです。講師の考え方によってレッスン内容が大きく異なるため、本格的に入会する前に体験教室などに参加して、大まかに内容を把握しておくのがおすすめです。

レッスンを通して、どんなことを教わるの?

A.音の広がりを意識して演奏する力を養います。

4分音符を2分音符に変えると「長さが2倍になる」と思われがちですが、リトミックの創始者であるダルクローズは空間を意識していたため、私は、「立方体の1辺が2倍になれば、縦・横・高さの各辺は2倍になり、立方体の容積は8倍になる」と考えています。音を、空間の中での広がりを大切に表現できるよう、リトミックのレッスンでは、空間いっぱいに感情をのせた音楽を広げて表現できるように考えています。

A.音楽に合わせて自分の身体を動かしながらリズム感覚を身につけ、色々なニュアンスを経験しながら、身体を動かす楽しさを学びます。

音楽のリズムを教えるときは、「長さ」ではなく「スペース」で捉えるよう指導していますので、まずは音の高低・長短・大小で身体の動きがどう変わるのかなどを経験しながら、音楽に合わせて身体を動かす楽しさを体感していきます。そのために、身近な道具、手作りの道具、ボールや楽器などを使って、レッスンをすることもあります。

(編集メモ)
音楽に合わせてスカーフをひらひらと動かしたり、タンバリンやマラカスなどの楽器を使ったりする教室もあるようです。入会後に購入が必要になるケースもあるため、レッスン中にどんな道具を使うのか、事前に聞いておくのがおすすめです。

最終的なゴールは?

A.教室によって異なりますが、私の教室では小学6年生で作曲できるようになることです。

リトミックの目的は、教室や講師によってそれぞれ違います。私の教室のレッスンのゴールは、「小学校6年生になったときに、自分でメロディーを創り、その曲に伴奏をつけて楽譜に書く、演奏する」ということができるようになることです。私自身、幼い頃から楽譜を読むより、耳で覚えてピアノを弾いていたため、子どものときに、楽譜を読める楽しさ、面白さを知らずに過ごしていました。なので、子どもたちが読譜で困らなくて済むように、オリジナルの教材を使って、楽譜の読み書きだけでなく、中に描かれている音の流れを読み取り、理解できる面白さを教えていきたいと思っています。

幼児や小学校低学年くらいの子の目標は?

A.幼児のレッスンでは、音楽に合わせて動ける身体、基本的なリズムの理解が身につきます。

音楽の流れに乗って、自然に身体を動かし、歩く、走る、揺れる、飛ぶ、ひねる…など、基本的な身体の動きが、無駄なく音楽に合わせて動けることが目標です。そして、音楽のニュアンス、例えばなめらかな感じとか、飛び跳ねる感じとか、重い感じ、軽い感じなどを聴き分けて楽しく表現できることを大切にしています。

A.小学生は、音楽を身体で理解するだけでなく、音楽の基礎知識も身につきます。

小学生になったら、自分の動いているリズムを理解して、音の高低、強弱、基本的なリズムやフレーズ感、拍子感などの音楽の基礎を身に付けるとともに、その音楽がどんな感じなのか、何を意味しているのかなどを理解して、身体で表現できることを大切にしています。

音楽性や発想の多様性が身につき、第六感を育てる

(提供:ユリ・リトミック教室)

講師のピアノ演奏を聴きながら「どんな感じがするかな?」と子ども自身が自分で考え動くことで、将来演奏するとき身体に蓄えた音楽表現をスムーズに表せるようになると思っています。リトミックの魅力を3つ紹介します。

①五感に続く「第六感」が身につきます。

一般的にピアノのレッスンは、楽譜に書かれている記号を読み取り、練習を積み重ねることで表現力を磨いていきます。一方リトミックは、まず表現力を磨き、それを身体に蓄えることで、心やイメージの感性に合わせて、必要なときに使える力とします。ダルクローズはこの筋肉の力を、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚に次ぐ「6番目の感覚」と呼んでいました。

②音楽性のほか、集中力や多様性も身につきます。

音楽の構成を読み解く力や、特徴を理解する力、記憶力、集中力、考えたり工夫したりする発想力の多様性などを体得できるよう心がけてレッスンを進めています。その多様性を普段の生活でもいかすことができれば、周りを見る力や、他人を思いやる力も身につくでしょう。

③演奏するときに、幅広い音楽表現ができるようになります。

音楽は、メロディーやリズム、強弱、テンポなど、さまざまな要素が組み合わさってできています。リトミックのレッスンを通して身体のなかに蓄えた音楽のイメージが、将来自分で音を奏でるとき、音楽を通して自分の気持ちを表現する力の源になると考えています。

最初から用意が必須なものはない

最初から楽器を用意する必要はありませんが、レッスンの進捗に合わせて楽譜や楽器、衣装などの購入が必要になるケースもあります。

最初は何を準備すればいいの?

A.特に必要ありませんが、教室によっては、レオタードなどの衣装や、楽器、楽譜などの購入を勧められる場合があります。

基本的には、音に合わせて身体を動かすレッスンが中心になるため、スタート時に必要な道具は特にありません。ただし、教室によってはレッスンが進むにつれて楽譜や楽器が必要になったり、発表会で衣装をそろえたり、子どもの姿勢を見るためにレオタードの着用を勧めたりするケースがあります。

オンラインでも学べるの?

A.オンラインで開講している教室は多数あります。

Zoomなどのツールを使って参加できる教室は多数あり、実際に私の教室にも遠方からオンラインで参加している方がいます。リトミックは子どもたちの様子に合わせて即興演奏でレッスンを進めます。直接顔を合わせたほうが子どもの様子をより深く見ることができますが、各家庭で保護者がお子さんの様子を見られることや、ピアノのレッスンでご自宅のピアノに向かうときの姿勢を講師がチェックできるのは利点です。

教室選びのポイントは「講師との相性」

リトミック教室のレッスン内容や費用は、教室によって異なります。一度見学をして「自分の子どもには合わなかった」と感じたとしても、諦めずに複数の教室を見学して比較するのがおすすめです。

リトミック教室の選び方は?

A.子どもと保護者、どちらとも相性の良い先生がおすすめです。

リトミック教室は、講師によって進め方やレッスン内容が大きく異なります。音楽に合わせてダンスや体操を中心に行う教室もあれば、私の教室のように、ピアノなどの楽器で演奏できるようになることを目的とした教室もあります。どちらにしても大切なのは、講師との相性です。

費用はどれくらいかかるの?

A.教室によりますが、1回あたり2,000円〜3,500円程度で始められます。

私の教室では、リトミックとソルフェージュを合わせて1回60分のレッスンを毎週行い、幼児のクラスは、教材費ほか諸費用全て込みで、月額1万2100円です。オンラインの親子のリトミックのレッスン(30分)の場合は、1回2100円です。(ともに税込み)

(編集メモ)
リトミック教室の費用は開催する場所や内容によって変わりますが、1回あたり2000〜3500円の教室が比較的多く見られます。オンラインレッスンと対面レッスンで料金が異なる教室もあります。公民館などの公共施設で開催されている教室は比較的安価で利用できます。月謝のほかに、入会金が別途かかる場合もあるため事前に確認することをおすすめします。

「温かく見守ること」が子どもの成長の支えになる

リズムカードを使っているところ(提供:ユリ・リトミック教室)

レッスンは、その日の子どもの様子や雰囲気などに合わせて進めます。無理に先生の動きに合わせる必要はありません。

保護者はどんなサポートをすればいいの?

A.子どもが自由に動けるよう、あたたかい目で見守ってあげてください。

リトミックは、ダンスのように講師の指示に従ってみんなで動きを揃えて踊るのではなく、「音楽が聴こえてきたら思わず動き出しちゃった!」というように、自由に反応して動くことが大切です。保護者は、動くことを子どもに強要するのではなく、子どもが自分から身体を動かしたら褒めてあげたり、一緒に動いてあげたりと、見守る姿勢でいていただければと思います。

【プロフィール・石丸由理さん】

国立音楽大学卒。ロンドン・ダルクローズ研究所にて、ダルクローズ・リトミック国際免許取得。ニューヨーク大学大学院修士課程修了。ユリ・リトミック教室主宰。NHK教育テレビ小学校低学年音楽番組〈ワンツーどん〉〈まちかどドレミ〉〈ドレミノテレビ〉の番組スタッフ、〈BSななみでどーも!〉〈すたあと〉等の番組制作協力。NHK学園講師、日本音楽著作権協会正会員。著書に『ともだちピアノ・のーと』シリーズ(ドレミ楽譜出版者)など、ほか多数。

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華井由利奈
華井由利奈

1989年生まれ。愛知県出身。印刷会社でコピーライターを経験した後、2016年に独立。小学生のころはミュージカルに夢中でした。趣味は、音楽、ダンス、旅行、サブカルチャーなどです。

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