2021.07.05
習い事Q&A 平野淳

サッカーノートの書き方を小学生~中学生向けに解説!目標の立て方や上達方法も

トップアスリートが実践する、書くことで技術を高めるための「サッカーノート」。書き続けるための5つのコツ、書くおすすめの内容3つのポイント、有名選手のノート例などをご紹介。一歩先へ行くためのサッカーノート術を、FC東京や横浜F・マリノスなどのJクラブでの指導経験が豊富で、イングランドやオランダなど海外でのサッカー指導資格もある「ファンルーツアカデミー」の平野淳(ひらの・じゅん)代表が解説します。

サッカーノートとは?

中村俊輔選手や本田圭佑選手など、プロサッカー選手に限らず、フィギュアスケートの羽生結弦選手、メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手、卓球の伊藤美誠選手、体操の内村航平選手、将棋の藤井聡太棋士など、トップアスリートをはじめ分野に関係なくその道を究めている多くの人たちがノートを書き続けています。

アスリートが書いているノートとは日記と似ています。三日坊主で終わった経験のある人も多いでしょう。「面倒くさい」「どうせ長続きしない」「意味がない」「時間がない」と思ってしまうのかもしれません。もったいないと感じます。

日記を書き続けるという日々の小さな積み重ねは、あるとき飛躍的な成長をもたらす魔法のような存在に生まれ変わります。最初は、ちょっとしたメモ程度で良いでしょう。書き続けていくうちに、徐々に自分が無理なく続けられる量や質が分かり、自分にとって何を書くことが必要なのかが分かってきます。

では、なぜアスリートの多くがノートを書き続けるのでしょうか?サッカーノートの作り方を解説する前に、その必要性について考えてみましょう。

記憶を残して整理できるメリットがある

スポーツに限らず、人の記憶はどうしても時間の経過とともに薄れます。それを立証したのは、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスによって提唱された忘却曲線です。これは、「時間の経過」と「記憶の定着率」をグラフ化したもので、無意味な音節を記憶させ、時間とともにどのくらい忘れたかを数値化した実験としてよく知られています。

結果は下記のとおりでした。 

  • 20分後には、58%を覚えているが42%を忘れている。
  • 1時間後には、44%を覚えているが56%を忘れている。
  • 1日後には、34%を覚えているが66%を忘れている。
  • 6日後には、25%を覚えているが75%を忘れている。
  • 1ヶ月後には、21%を覚えているが、79%を忘れている。

人の記憶は、1日で66%も忘れてしまうようです。

スポーツ選手にとって、日々の練習の積み重ねが大切なことは誰もが知るところです。積み重ねた努力の成果を発揮するのが試合です。良いパフォーマンスを披露するためには、日々のトレーニングから吸収した多くのことを自分自身のものにしなくてはなりません。

しかし、コーチから教わったことやふとした瞬間に自分で気づいたことなど、新たに入ってくる情報は何もしなければすぐに記憶から消え去ってしまいます。だからこそ、記憶が新鮮なうちにノートに書き残すことが重要なのです。

「書くことは考えることだ」とよく言われます。その日のプレイの様子をノートに書くことは、自然と身につけた記憶を反復し、復習することと同じです。自然と思考も整理されていき、忘れることを防いでもくれます。

自分のために書く習慣をつけよう

一番大切なことは、「人に見せるためのものではなく、自分のためのものだ」と意識することです。そして、いかに毎日書き続けることができるか。つまり、歯を磨くことと同じ感覚で書くことを習慣化することが大切です。

多くのアスリートの書く内容には厳しいルールはありません。それぞれが必要だと思うことを無理のない範囲で書いています。

【小学生向け】サッカーノートの習慣化

ノートの書き方を解説しましょう。まずはじめに必要なのは、書く形式ではなく習慣化です。書いているうちに自然と自分が必要なことが分かってくるため、一人ひとり個性が出ます。ここでは、日記の習慣がつくまでに必要なポイントを5つ紹介しましょう。 

日記を書き続けるために必要な「5つのポイント」

①まずは短い文章から始めよう

ノートは誰かに読ませるために書くものではありません。メモ程度の短い文でも良いでしょう。その日に起こった出来事を簡単に書いてみましょう。

②上手に書こうと頑張りすぎないように気をつけよう

ノートは学校のテストでもなんでもありません。上手である必要はありません。気楽に書きましょう。

③日記を必ず読みなおそう

自分が書いた日記を見返すことで、自分の成長を感じられます。同じような悩みを持っていた時に、どうやって乗り越えたか?を振り返ることもできます。過去を振り返ることで、前向きな気持ちになれることもあります。

④絵や図で表現してみよう

ノートを書く習慣がついたら、イラストを描いてみましょう。絵の上手下手は関係ありません。自分の考えているイメージがより鮮明になるでしょう。

⑤ポジティブな気持ちで書こう

否定的なことに執着せず、どんなことも前向きに考えましょう。皆が憧れるプロスポーツ選手は、前向きな思考の持ち主が多いです。常に明るく、楽しい気持ちで取り組みましょう。

サッカーノートに書くおすすめの内容は?

平野さんの教え子のサッカーノート(提供:平野淳)

形式は簡単で大丈夫です。基本的には、その日にやったこと、感じたことなどを書くようにしましょう。まずはじめに、3つのポイントをしっかりと抑えるとあとで読み返した時に役立ちます。

①1日のまとめを書こう

「今日上手にできたこと」「頑張ったこと」「印象に残ったこと」を書きましょう。

②できなかったことをまとめよう

「今日上手にできなかったこと」を正直に書きましょう。

③改善のアイデアを書こう

「上手にできたこと」「上手にできなかったこと」を思い浮かべ、「今後の課題は何か?」「何を変えていけば良いのか?」をポジティブに書きましょう。

一歩先を行くサッカーノート術

継続は力なりです。ノートを書くことが習慣化してきたら、次の段階として少し論理的に書くと良いでしょう。

1日1日の練習量はチームメイト皆が同じですが、小さな差も、365日積み重ねると大きな差となります。書くときに注意してほしいことは、他人と自分を感情的に比較するのではなく、意識を自分に向けて、感情的ではなく論理的にノートを書くように心がけることです。

よくサッカーノートの書き方として紹介されるSMARCについて解説しましょう。SMARCは、5つの単語の頭文字をまとめたものです。

S=Specific(具体的)

M=Measurable(測定可能に)

A=Affirmative(肯定文で)

R=Realistic(現実的に)

C=Control(コントロールできる)

SMARCは、ノートを書くときに、具体的に、現実的に、肯定的に書くために使います。

例えば、これまで「A君はキックが上手にできるのに僕はできなくて悔しい」と書いていたものを、「キックが上手にできない理由は軸足が安定していなかったから」や「キックをする時にうまくミートできていない」など、具体的に書きましょう。

そのように考えることで「ミートのポイントはどうしたら改善するか?」、「家の中で風船でミートの感覚を身につけよう」など、自分の欠点を客観的に見ることができ、どのように改善をしていけば良いかもイメージできるようになります。

プレーのポイントなどはコーチからアドバイスをもらうとより良いでしょう。良いイメージが頭の中に広がると共に、論理思考で考えられるようになってきます。このようなことを繰り返していくことは成長していく上で大切な要素となります。

有名プロサッカー選手のノート例は?

サッカーノートは、中村俊輔選手の著書『夢をかなえるサッカーノート』の影響で注目されるようになりました。中村選手は、高校時代のコーチから「試合に勝つための強い気持ちをコントロールする方法」のひとつとして、ノートを書くことをすすめられたことがきっかけで、長年書き続けているようです。

中村選手は、中学時代に所属していた横浜マリノスジュニアユースで、抜きん出た存在だったものの周りの選手に比べて思うように身長が伸びず、レギュラーに定着することができませんでした。その結果、マリノス・ユースには上がれず、桐光学園サッカー部に入団。そこで初めて大きな挫折を味わうことになり、出会ったのがサッカーノートでした。

「一生人に見せるつもりはなかった。だからこそ、誰にも言えないこと、悔しさや不安、自分の弱点を書き綴ってきた」(引用:『夢をかなえるサッカーノート』)

書籍の紹介文に書かれているとおり、ノートにはその時の目標、課題、反省、記録だけではなく、他人には見せたくない自分の感情も入り混じっていました。

そして、中村選手は常に自分の目標を書いていました。短期、中期、長期といった目標を書いていました。高校卒業直後の横浜マリノス入団時には、「マリノスの軸、ゲームメーカーになる」「日本代表で定着する。存在感を示す」とも書いていました。その結果、クラブだけでなく日本代表でも中心選手として活躍したのは皆さんもご存じでしょう。

目標がまだ実現していないうちに、すでに実現したものとしてイメージしているのです。ここで大切なことは、漠然と書くのではなく、決意表明のつもりで書くことだと中村俊輔選手の著書は伝えています。

サッカー以外のプロ選手のノート例は?

フィギュアスケートの羽生結弦選手も同様にノートを書いています。羽生選手は、小学生のころから、「練習で気になったこと」、「思いついたこと」、「試してみて良かったことと悪かったこと」、「疑問点」などの気づいたことをノートに書き残していたようです。「眠い、と思いながら机に向かって、ガーッと書いて、パタッと寝る。見せられるほど奇麗な字では書いてないです(2014年2月16日:朝日新聞朝刊)」と発言していることからも、ノートを書くことが習慣になっていることが分かります。

これらはあくまでも一例ですが、トップアスリートもノートを書くことによって、練習の振り返りを行っています。また、振り返ったときに、目標を達成できたことを確認し、自信へとつなげ、モチベーションを高めています。やればできるという小さな自信の積み重ねを感じることが一番大切なのです。

まとめ

チームによっては、サッカーノートをコーチとの交換日記がわりに使っているケースもあります。自分の悩みを正直に書くことで、コーチから適切なアドバイスがもらえることでしょう。ぜひ自分の言葉で、感じたこと、起こったことをありのままに書き、楽しみながら続けてみてください。

平野淳
平野淳

1974年生まれ。ファンルーツアカデミー代表。大学卒業後、欧米に渡り、UEFA公認指導者資格をはじめ、イングランド、オランダ、ドイツ、米国などでサッカーの指導資格を取得。同時にベトナム、カンボジア、アメリカ、ドイツ、イングランドなどで子どもたちの指導に携わりました。帰国後、FC東京や横浜F・マリノスなどのJクラブで指導するなど、国内外での指導経験を持っています。

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