2021.06.22
習い事Q&A 高橋知寿

子ども向け茶道教室ではどんなことをするの?習いはじめる時期や初期費用も紹介

子ども向けの茶道と聞いてまずどんなことを思い浮かべますか。行儀作法が学べると思う一方で幼い子どもには少し難しそう・・・と感じる親もいるかもしれません。そこで茶道の稽古では具体的にどんなことをするのか、習いはじめるのに適した年齢などについて、茶道裏千家東京茶道会館(東京・新宿区)で開催している子ども茶道教室の布留川肇子さんに話を聞きました。

<今日のポイント>

  1. 茶道とは、相手を敬う心やおもてなしの精神を育む日本伝統の習い事
  2. 興味を持ったときがはじめどき、所作を理解できるのは小学校入学以降
  3. 茶道の魅力は、礼儀作法、おもてなしの気持ち、感性が豊かになること
  4. 教室選びのポイントは、対象年齢、子どもの反応と通いやすさ
  5. お家で子どもと一緒に茶道を楽しむことが、何よりのサポートに

 

茶道とは、相手を敬う心やおもてなしの精神を育む日本伝統の習い事

茶道の習い事ではどんなことをするのでしょうか。茶道の歴史についても教えてもらいました。

茶道とは?

A. お茶を通して和敬清寂の精神を身に付けられる日本伝統の習い事です。 

お茶は唐から入ってきて平安時代に広まったとされ、当時は薬の一種として飲まれていました。そのお茶を茶道というスタイルに大成したのが、戦国時代に活躍した千利休です。千利休は茶道を通して和敬清寂の精神、簡単にいうと相手を敬い、常に心清らかに落ち着いた状態でいることを培えるようにしました。

いろいろな流派があるけど、その違いは?

A. さまざまな流派があり、お点前する(お茶を点てる)際の所作や持ち物が流派により少し異なります。流派の種類は大きく分けて3つあり、「三千家」と呼ばれます。

三千家のひとつである「表千家」は、千利休の孫で宗旦の三男宗左が、宗旦の不審菴(茶室)を継いだことではじめられました。不審菴の裏手に建てられた今日庵(茶室)を宗旦の四男宗室が継いだことによってはじめられたのが「裏千家」です。のちに、宗旦の次男宗守が京都武者小路に茶室をつくってはじめたのが「武者小路千家」。この三千家は点前作法などが少し異なります。

初心者のお稽古ってどんなことをやるの?

A. 1回のお稽古の中で「亭主役(おもてなしする側)」と「お客役(おもてなしされる側)」の基本動作を習い、茶を点てます。


茶道のお稽古は基本的に2人1組でします。亭主役は、お点前をするにあたって帛紗のさばき方、棗と茶杓の清め方、茶筅の扱い方などを学びます。茶室に入るときの手順やお辞儀の仕方、立ち方、座り方の練習もします。お客役はお菓子、お茶のいただき方、亭主への挨拶の仕方を習います。1回のお稽古で亭主役、お客役のどちらもやり、それぞれの所作を学びます。

<茶道で使う道具>

  • 扇子(せんす)…挨拶に使う道具
  • 帛紗(ふくさ)…道具をきれいにするために使うふきんのようなもの
  • 棗(なつめ)…抹茶を入れておく容器
  • 茶杓(ちゃしゃく)…お茶をすくうときに使う道具
  • 茶筅(ちゃせん)…抹茶を点てるときに使う道具

興味を持ったときがはじめどき、所作を理解できるのは小学校入学以降

今は、幼稚園や保育園で茶道体験をすることもあるようですが、何歳から習うのがいいのでしょうか。 

茶道って何歳からはじめたらいいの?

A. 茶道に興味を持ったときが絶好のはじめどき。親や祖父母がお茶を点てているのを見て、マネしたいという理由で3歳からはじめる子も。ただ、所作の理由や意味を理解できるのは、恐らく小学校入学以降になります。

茶道では、茶室に入ってまず扇子を前に置いて床の間の掛け軸にお辞儀します。これは掛け軸を描いた人に敬意を表するためです。また、お茶を飲むときはお茶碗を少し回してからいただきます。これは、一番見栄えのする、絵付けされているお茶碗の正面が客側に向けて出されるので、客は謙虚な心で正面からいただくことを避けるためです。このような所作の意味が理解できるのは小学校入学以降になります。

どんな理由で習いはじめるの?

A. おまつりや学校で茶道体験をして興味を持った子や、家族の誰かが茶道を習っていた影響ではじめる子も多いです。「和の学校」を卒業してから入会する子もいます。

和の学校(東京都新宿区)とは、裏千家の鵬雲斎大宗匠(ほううんさいだいそうしょう )が手がける小学生のための学校です。半年間にわたり、茶道を中心に、和菓子づくりや茶室のお庭の楽しみ方など、日本の文化の魅力を学びます。

お点前の間、おとなしくしていられるかが不安…

A. 大丈夫。最初はできなくても、稽古を続けていく中でできるようになります。

確かに最初は、正座をしてのお稽古は大変ですが、次第に座れるようになる子が多いです。また、ほかのお友達や先輩がやっている姿をみるのもいい刺激になって、できるようになります。

茶道の魅力は、礼儀作法、おもてなしの気持ち、感性が豊かになること

布留川さんに茶道の魅力を5つまとめてもらいました。

①礼儀作法が身につく

畳の部屋に出入りする際は座って襖を開け閉めします。最初にどちらの手を襖にそえるか、立ち上がるときはどちらの足から立つかなど、立ち振る舞い方を教わります。床の間の前で正座をして掛け軸に礼をするなど、挨拶の仕方も習います。また、お茶を点てるだけではなく、お茶碗や道具などを大切に扱うことも学びます。

②思いやり、おもてなしの気持ちを育める

千利休はおいしいお茶を点てるだけではなく、相手のことを思い、心をこめてお茶を点てることが大切だといっています。この教えをもとに、稽古では、お菓子をいただく際、お客様に「お先に頂戴いたします」という意味を込めて礼をします。相手にお茶の時間を楽しんでもらえるよう、床の花は季節の花を野にあるごとく生けたり、お菓子を用意したりすることもおもてなしの心に通じます。

③日本文化を学べる

机と椅子でお茶を立てる「立礼式のお点前」を披露してくれた高校3年年の渡邊大修さんは小学3年生のときに茶道をはじめたといいます。「お茶を点てるとき、心が落ち着くんです」。

お茶のお稽古を通じて歴史、お習字、着物など、日本の文化に親しめます。例えば、茶室から冬のお庭をみて、葉が落ち枝だけになった木を見て寂しいと感じるのではなく、1つの美しい変化だととらえる感覚を「さび」といいます。「さび」のように日本独特の感覚を養うことができるのも、茶道の大きな魅力です。

④季節のものを知ることができ、感性を磨ける

季節を感じられる花やお菓子に関する知識をつけ、道具についている銘から季語も学ぶことができます。茶道では夏は風炉といって持ち運び可能な釜でお点前をしますが、冬は畳を切ってつくった炉でお点前をします。このようなところからも季節を感じられます。また、お茶碗の柄や床の間にかける掛け軸など、お稽古にいくたびに変わるので、芸術的センスや感性を磨くチャンスにも恵まれます。

⑤ゆっくり時間を楽しむ習慣がつく

現代社会では時間に追われて行動することが多いですよね。茶道では、ひとつ一つの所作を丁寧にするため、精神的に落ち着き、気持ちにゆとりが生まれます。そのため、日常生活に良い変化が見られることがあるようです。お茶では「刻限は早めに」といい、約束の時間に間に合うよう、早めに出かけて心と時間にゆとりを持ちましょうという意味があります。余裕を持って登校するようになった子もいます。

親の負担は?

子どもが通える茶道教室が少ないため、探すことが負担となる場合も。見つかったとしても必ずしも自宅の近くとは限らないため、送迎に時間がかかる場合があります。

教室選びのポイントは、対象年齢、子どもの反応と通いやすさ

実際に通うにあたり、教室の選び方や必要な持ち物、月謝などの費用についてまとめました。

教室を選ぶときのポイントは?

A. まず重要なのは子どもを受け入れているかを確認しましょう。

子どもを受け入れている茶道教室には、お点前の流れを教えるのではなく、お菓子やお茶のいただき方など、子どもが喜びそうな茶道の一部分だけを教える教室もあるようです。なので、親や本人が望んでいる内容と合致しているか、実際に体験してチェックを。お点前を習得するには教室に継続して通う必要があるので、子どもが楽しんで取り組んでいるかを見極めてあげてください。

初期費用や月謝はどれくらいなの?

A. 教室によってお月謝はかなりばらつきがあるので、通う前に確認してください。

私たちの教室は月2回お稽古があり、1回のお稽古代(お菓子、お茶代込)は2000円です。半期(10回分)ごとに納めてもらうシステムになっています。1、8月はお休みです。 ※全て税込み

初心者はどんなものを準備すべきでしょうか?

A. 帛紗、帛紗ばさみ、扇子、懐紙、菓子きり(楊枝)などが必要になります。最初はそれらの基本セットと、茶室に入るための履き替え用の白い靴下が必要になります。

基本セットは、茶道具を扱っているお店やインターネットなどで入手可能で、3000円前後します。白い靴下は清潔な物であれば市販されているものでよく、白足袋でなくても大丈夫です。

お家で子どもと一緒に茶道を楽しむことが、何よりのサポートに

親が子どものためにできることは?

A. お家で子どもにお茶を点ててもらい、親がいただくことが子どもにとって励みになります。 

お家で稽古のようなお点前をやるのは難しいですよね。ただ、お点前の一部分を抜粋し、一緒に楽しむことはできます。例えば子どもにお茶碗でお茶を点ててもらって、味わってください。そのときお礼と感想を伝えてみましょう。子どもは親と一緒に体験することで喜びを感じ、もっと茶道を知りたいという意欲につながります。また、所作がなかなか覚えられないときは長い目で見守ってあげてください。

体験談を聞いてみました!「人への心配りできるように」「茶道で親子喧嘩も収束」

子どもの茶道教室に通う3組の親子に話を聞いてみました。

歴史好きの中川貴一朗さん(小5)。戦国武将の多くが茶の湯を嗜(たしな)んでいたことを知ったことをきっかけに千利休、茶道に興味を持ち、小学3年生から習いはじめました。「正座は大変だけど、お茶を点て終わった後の爽快感の方が勝っちゃいますね。自分が好き、やりたいと思うことが大切。そうじゃないと続けられない」。母・里佳さんと衝突することもあるといいますが、言い合った後は親子でお茶を点てあい、リセットするのが習慣だそうです。
夏は暑さを避けるため風炉を客から遠い場所におき、冬は暖かくなるよう炉を客の近くにおきます。石田翔子さん(中1)は「茶道を通して人への心配りができるようになった」といいます。母・千彩さんは、お花、和菓子、行儀などあらゆるものを学ぶので、世界を広げて欲しいと考えているそうです。
村上杏さん(中1)は幼稚園の茶道体験をきっかけに茶道に興味を持ちました。母・香さんによると、茶道を習いはじめてから、「家でお茶碗を出す所作がきれいになり、物を出したら元にあった場所に戻す習慣がついた」と話しています。

子ども茶道教室・布留川肇子さんからのメッセージ

お点前方法にも、お盆の上でできるお点前や、机と椅子でお茶を立てる立礼式のお点前など様々あります。和室のない海外でも、外国人のお客様にホームパーティーのようにお茶を振る舞うことができます。茶道を通じて人を思いやる優しい子どもに育ち、海外で茶道の魅力や日本文化の素晴らしさを伝えてくれば嬉しいと思います。

【プロフィール:布留川肇子さん(ふるかわ・はつこ)】

1959年生まれ、静岡県出身。高校生のころから茶道に興味を持ちはじめ、18歳のときに裏千家茶道に入門。茶道の時間は、自分を心穏やかにしてくれる時間。茶道の魅力を子どもたちに伝えたいと、2006年から子ども茶道教室を開講。現在、裏千家の講師以上の資格を持つ9人で、子ども30人の指導にあたっている。

写真撮影:篠田英美

動画撮影:北川サイラ

高橋知寿
高橋知寿

子育て情報誌、不妊治療情報誌などをメインにライティング、ページ制作を行っている。そのほか、旅行情報誌、ライフスタイル情報誌などの編集、原稿制作も手がけている。自身も夫もひとりっこなので、戸惑いながらきょうだいの育児に奮闘中。子どものころに熱中していたのは、自分の新しい名前を考えること。最後に「子」が付く名前に憧れ、四六時中、考えていた。小学校低学年当時、自分で考えて気に入っていた名前は「ごだいごはなこ」。

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