2021.07.05
習い事Q&A 華井由利奈

吹奏楽を始めるには?自分に合う楽器の見つけ方や、音楽を習うメリットを紹介

トランペットやフルートなどの楽器で合奏を楽しむ吹奏楽。自分に合う楽器の見つけ方は?楽器を習うなら早いほうがいいの?個人レッスンの講師はどうやって探す?吹奏楽の指導者として全日本吹奏楽コンクールに9回出場し、現在は教頭として小学校に勤務する傍ら、愛知県吹奏楽連盟セミナー委員長を務めている清野雅子さんに、吹奏楽によって身につくスキルや練習方法などについて聞きました。

今日のポイント

  1. 吹奏楽で使う楽器は小学生から習い始められる
  2. 吹奏楽では、表現力、協調性、責任感などが身につく
  3. 強豪校のなかには「礼儀正しさ」や「心配り」が身につく学校もある
  4. 個人、地域の吹奏楽団、学校の吹奏楽部の練習内容
  5. 自分に合う楽器の見つけ方や注意点
  6. 楽器への興味を刺激するなら「生演奏」がおすすめ

吹奏楽で使う楽器は小学生から習い始められる

吹奏楽で使われている楽器は弦楽器より始めやすく、短期間でもしっかりと練習を重ねれば上達すると言われています。まずは、吹奏楽とオーケストラの違いや、楽器を習い始めるのに適した年齢について紹介します。

吹奏楽ではどんな楽器を使うの?

A.吹奏楽は、金管楽器や木管楽器、打楽器が中心です。

吹奏楽は、トランペットなどの金管楽器、クラリネットなどの木管楽器、ティンパニなどの打楽器を使って演奏する音楽の総称です。ときには、コントラバスやベースギター、ハープ、ピアノ、和太鼓などを使うこともあります。

オーケストラとの違いは?

A.オーケストラから、バイオリン・ヴィオラ・チェロを抜いたのが吹奏楽です。

吹奏楽には、オーケストラのようにバイオリンやヴィオラ、チェロが入ることはありません。吹奏楽は、野球の応援などで演奏されることもあり、オーケストラよりも身近な音楽として、広く親しまれています。

吹奏楽で使う楽器は何歳頃から始められる?

A.弦楽器は幼少期から始めたほうが良いと言われています。

音程を合わせるのが難しい弦楽器は、良質な音を奏でられるようになるまでに時間がかかります。プロを目指す場合は1日2時間以上、趣味でも1日30分は練習が必要だと言われています。また、1日でも弾かない日があると感覚が鈍ってしまうため、毎日練習をするのが基本です。個人差はありますが、簡単な曲でも通して弾けるようになるまで1〜2カ月ほど、人に聴かせる演奏ができるようになるまでには1年ほどかかると考えておいたほうがよいでしょう。

A.管楽器や打楽器は小学生から始められます。

管楽器は、たとえ練習の期間が短かったとしても、集中して練習すれば人前での演奏が可能なレベルに達することができます。弦楽器のように物心ついた頃から熱心に習い始めるのではなく、小学校入学後、子どもが「やりたい!」と思った時が始めどきでしょう。

(編集メモ)
管楽器や打楽器を行進しながら演奏する「マーチング」も吹奏楽です。協調性や仲間意識を育てるため、保育に取り入れている幼稚園や保育園もあります。様々な楽器を使いながら、音楽に動きを組み合わせる複雑な動作に挑戦し、忍耐強く努力する大切さを学びます。

吹奏楽の代表的な曲や、作曲家は?

A.19世紀の作曲家、アルフレッド・リードの曲が有名です。

吹奏楽を始めた人が、必ずと言っていいほどよく演奏するのが、アメリカの作曲家アルフレッド・リードの「アルメニアン・ダンス」「オセロ」「春の猟犬」です。学校の吹奏楽部や地域の一般バンドの演奏会では、アニメやJ-POPなど誰でも楽しめる曲も多く演奏されています。ご存知の通り、甲子園の入場や応援でもよく演奏されます。 

吹奏楽によって身につくスキルは、表現力、協調性、責任感など多数

習い事として「吹奏楽」を選ぶことにより、どんなメリットがあるのか。吹奏楽の魅力を4つ紹介します。

①自己表現の種類が増える

「普段はおとなしくても道具を使うと緊張がとけて自分の気持ちを上手に表現できる子」は一定数います。歌やダンスのように体を使うのではなく、楽器を使うことでのびのびと表現できるようになるようです。「やればできる」という成功体験によって自信を身につけ、オーラが変わった子を、今まで何人も見てきました。

②協調性と責任感が身につく

吹奏楽は大人数で演奏するため協調性が身につきますが、それ以上に培われるのが「責任感」です。合奏中に演奏を間違えてしまうと、周りに迷惑がかかってしまいます。「自分にはできないことがある」と自覚し、できない自分と向き合い、ひたすら練習を繰り返す。そのプロセスのなかで身につけた責任感は、社会や学校生活で大いに役に立つでしょう。

③「継続は力なり」を実感できる

楽器は、コツコツ練習すれば必ず上達します。そのため、吹奏楽部の部員を指導する際、「『ウサギとカメ』の物語のウサギさんになる必要はないよ。カメさんになろう」とよく話しています。なかには瞬時に上達していく子もいますが、たとえ不器用な子でも、練習を続けていけばいつか花開きます。「努力は必ず報われる」という経験ができるのも、吹奏楽のメリットの一つです。

④人前で演奏する度胸が身につく

吹奏楽は、コンクールや演奏会など、人前で披露するために練習を重ねます。緊張でうまく演奏できなくなってしまう子もいますが、たとえ失敗しても、その経験は糧になります。「練習をさぼってしまったのがいけなかった」と反省したり、「どんなに練習しても、本番でうまくいかないことがある」と学んだりしながら、人前に立つ度胸を身につけていきます。

吹奏楽強豪校のなかには「礼儀正しさ」や「心配り」が身につく学校もある


他の部活動と同じように、吹奏楽にも強豪校があります。吹奏楽強豪校に進学した場合のメリットや、デメリットをまとめました。

中学以降、吹奏楽の強豪校に進むメリットは?

強豪校では、練習を重ねるうちに、「人間力」「マルチタスク」「聴力」の3つが身につくと言えるでしょう。それぞれポイントを紹介します。

①礼儀正しく、心配りができる人になる

吹奏楽部に限った話ではありませんが、強豪校では「礼儀正しさ」や「心配り」が伝統的に受け継がれている学校もあります。遠征先で礼儀正しく振舞う先輩の姿を見て、マナーや礼儀作法が身についたり、自分のやるべきことを率先して見つけて対応できるようになったりと、部活を通して人間力を磨くこともできます。

②複数のことを同時にできるようになる

強豪校の練習で行われる合奏では、「周りの人の呼吸を感じる」「音程を合わせる」「指揮者を見る」「楽譜に書き込んだ注意点を守る」など、複数のことを同時にこなすことが求められます。数秒の演奏に10個以上の注意点をあげていることも少なくありません。合奏を繰り返すうちに、複数の工程を同時に行えるスキル、いわゆる「マルチタスク」が身につきます。

③聴力が発達し「音を明確に聴き分ける力」が身につく

吹奏楽の合奏では、自分と周りの音をよく聴き分け、合わせることで、美しいハーモニーを生み出しています。そのため、コンクールに向けて精力的に練習を行う強豪校では、自然に聴力が鍛えられるようです。演奏や楽曲を聴いたときに「これはあの楽器の音だな」「このメロディーはあの音階でできているな」とわかるようになった子もいました。

強豪校の生徒は、どんな学校生活を送っているの?

A.同じパートの生徒と協力して、演奏の腕を磨きます。

強豪校では、部活動に励むうちに仲間意識が強くなります。特に、パート内での絆が強くなるようです。学校によっては熾烈なレギュラー争いが起こることもありますが、切磋琢磨しながらお互いに高め合い、演奏技術を磨いています。

個人レッスン、地域の吹奏楽団、学校の吹奏楽部、それぞれの練習内容

「楽器の奏法を身につける」と一口に言っても、講師による個人レッスンを受ける、学校の吹奏楽部に入るなど、さまざまな方法があります。それぞれの練習内容について、詳しく紹介します。

個人レッスンでは、どんな練習をするの?

A.基礎練習を行なったあと、曲の練習をします。小学生の場合、時間は30分程度です。

楽器の個人レッスンでは、音階やロングトーン(一定の音を長く出し続ける練習)などの基礎練習を行ったあと、曲の練習に入るのが一般的です。楽器ごとに有名な練習曲集があるため、それに準じて基礎練習を行います。子ども向けのクラスは30分程度、音楽大学を目指す場合は1時間程度のレッスンを行うことが多いようです。

地域の吹奏楽団や学校の吹奏楽部では、どんな練習をするの?

A.地域の吹奏楽団は合奏練習が中心、吹奏楽部は基礎練習やパート練習、個人練習も行います。

地域の吹奏楽団にはさまざまなケースがありますが、私が指導している一般向けの吹奏楽団では、週に一度、2時間半〜3時間程度の合奏練習をしています。合奏形態で基礎練習を15〜20分程度行なったあと、休憩をはさみながら曲の練習をします。個人練習の時間はないため、合奏練習がない日に各自で曲を演奏できるようにしておきます。夜間に練習を行なっている楽団が多く、大学生や社会人が中心になっていることがほとんどです。

A.学校の吹奏楽部は、日ごとに練習内容が変わります。

コンクールや演奏会などの日程から逆算し、個人練習やパート練習、合奏の時間を作っています。私が指揮者をしている地域の吹奏楽団も、コンクールの直前にはさらなるレベルアップのため、合奏練習だけでなくパート練習も行いました。

演奏する曲はどうやって選んでいるの?

A.学校の吹奏楽部の場合、顧問の先生と生徒が決めています。

学校の吹奏楽部では、顧問の先生が選ぶ、もしくは生徒が選ぶ場合があります。私が過去に赴任していた学校の吹奏楽部は、コンクール曲は顧問である私が選び、演奏会の曲の一部は生徒が選んでいました。演奏会にはさまざまな世代のお客様が来場されるため、ジャズ、ロック、ポップス(アニソン、ドラマ音楽、映画・ミュージカル音楽など)などを取り入れ、どなたでも楽しめるよう工夫しています。

自分に合う楽器の見つけ方と注意点は?

自分の口や体格、性格に合った楽器は、どうやって探せば良いのでしょうか。唇の厚さや肺活量など、楽器を決める際のポイントを聞きました。

自分に合う楽器は、どうやって探す?

A.金管楽器は唇の厚さによって向き不向きがあります。 

生まれつき唇が分厚い人は、チューバやトロンボーンなど、マウスピースが大きい楽器のほうが比較的向いているでしょう。トランペットやホルンなどマウスピースが小さい楽器は吹きにくい場合が多いと言われていますが、ときどき、唇が分厚くても上手く吹ける子もいます。

A. 一部の楽器では、ある程度の体格と指の長さが必要です 。

例えばトランペットは、両手で楽器を構えているように見えますが、実は左手だけで楽器を支え、右手はピストンの操作をしているため、楽器の重さに耐えられる腕の力が必要です。フルートなどの木管楽器は、リコーダーのように穴をふさいで音を出すため、ある程度指が長くなければ演奏できません。コントラバスやファゴットも、指の長さが必要な楽器です。

A.体格がしっかりしてきた段階で、やりたい楽器にトライすることをおすすめします。

吹奏楽の強豪校のなかには、高校生から楽器を始めた生徒がレギュラーメンバーとして活躍している高校もあります。まだ体格ができてないうちから無理に楽器を始めるのではなく、リトミックやピアノなど、できることから始めると良いでしょう。

性格によって、合う楽器と合わない楽器があるって本当? 

A.個人的には、金管楽器は感覚派、木管楽器はコツコツ派の人に向いていると感じます。 

これは、あくまで私の印象ですが、金管楽器奏者は感覚を大事にしている人が多いように感じます。メロディを演奏することが多いトランペットは、目立つことを楽しめる人。伴奏が多いチューバは、人を支えたいと思っている大黒柱系の人。キーが多い木管楽器は指を細かく動かす必要があるため、努力家でコツコツ練習するのが好きな人に向いていると思います。

A.フルートは上品なイメージがあるかもしれませんが、実は他の楽器よりも肺活量が必要です。

チューバのような大きい楽器ほど息が多く必要、というわけではありません。フルートのように細い楽器でも、まとまった量の息を均等に出し続ける必要があります。プロの演奏家のなかには、熱心に呼吸法を研究している人もいます。また楽器を続けていると、自然に肺活量が増えるだけでなく、口の周りの筋肉や表情筋も発達していきます。

楽器を始める際の注意点は?

A.矯正治療中の人は注意が必要です。

歯に矯正器具をつけていると、トランペットやホルンなど、小さいマウスピースを使う楽器を吹いたときに痛みが出てきてしまうことがあります。個人で始める場合は、楽器店の体験レッスンに参加し、実際に楽器を吹いてみることをおすすめします。

(編集メモ)
サックスやクラリネット、オーボエなどのリードを使用する木管楽器は、矯正治療にやや影響が出てしまうケースがあるそうです。心配な場合は、事前に歯科医師に相談しましょう。

自分の楽器を買わないとダメ?

A.個人レッスンを受けたり、地域の吹奏楽団に所属したりする場合は、楽器が必要です。 

学校の吹奏楽部が楽器を所持していれば、自分で購入しなくても演奏できます。しかし、個人レッスンを受けたり、地域の吹奏楽団で演奏をしたりする場合は、楽器を購入しなければなりません。打楽器はサイズが大きく高価なため、私が所属している地域の吹奏楽団では、市民会館など練習場の楽器を借りています。

(編集メモ)
例えばフルートの場合、インターネット通販で比較的安価に購入できますが、質が担保されていないため音が出づらく、楽器店に依頼しても調整できない可能性が。全国大会やプロを目指すのであれば、多少値段が高くても、自分を導き育ててくれる良質な楽器を選ぶと良いでしょう。

楽器に興味を持つきっかけを作るなら「生演奏」を聴きに行くのがおすすめ

音楽を聴く機会は多々ありますが、楽器に触れる機会はなかなかありません。吹奏楽を始めた人は、どのようにして楽器に興味を持ったのでしょうか。きっかけづくりから、楽器を習い始めた後のレベルアップの方法まで、詳しく紹介します。

楽器に興味を持つきっかけを作るには、どうすればいい?

A.映像やCDではなく、生演奏を聴きに行くのがおすすめです。 

吹奏楽の演奏は、生で聞くならプロが一番ですが、敷居が高いと感じる人は地域のイベントなどでも聞くことができます。実際に人が演奏している姿を見せて「自分もあんなふうに楽器を演奏してみたいな」という気持ちを抱かせるのがおすすめです。生演奏を聴くのが難しい場合は、吹奏楽のCDを聴かせたり、映像を見せたりするのも良いでしょう。

保護者はどんなサポートをすればいいの?

A.楽器のメンテナンスに関するフォローをお願いします。

クラリネットやサックス、オーボエ、ファゴットなど一部の木管楽器は、「リード」と呼ばれるパーツを1〜2週間ごとに取り替えて演奏します。そのため、たとえ学校の楽器を使っていたとしても、リードを定期的に購入する必要があります。上記以外の楽器も、年に1〜2回はメンテナンスが必要です。楽器店への修理依頼や、修理費用などの面で、フォローをお願いします。

A.練習場所の確保など、演奏に適した環境づくりをお願いします。

集合住宅などに住んでいて自宅で楽器の練習ができない場合は、「サイレンサー」と呼ばれる消音機能がついた機械を購入したり、スタジオを借りたりしなければなりません。先述した通り、管楽器は練習すればするほど上達するものです。「練習したい!」と思ったときに練習できるよう、練習場所を確保してください。

親は練習に毎回付き添うべき?

A.性格にもよりますが、小学校低学年までは付き添ったほうが良いでしょう。褒めることが大切です。

私は基本的に、親が付き添うのは小学校低学年までと考えています。ただし親に付き添われるのが苦手な子もいるので、お子さんの性格に合わせてください。仕事などで練習に付き添えない場合は、発表会などで演奏を聞いたあとに褒めてあげると良いでしょう。親が上達を喜んでくれることが、何よりの励みになるはずです。

レベルアップのための個人レッスンを受ける場合、講師はどうやって探す?

A.最寄りの楽器店へ行き、講師を紹介してもらいましょう。 

例えばサックスの場合、ジャズやクラシックなど、講師によって得意なジャンルが異なります。また、プロになりたいのか、趣味で楽器を演奏したいのか、目指すゴールによってレッスンの内容は大きく変わります。インターネットでも情報を収集することはできますが、楽器店で紹介してもらったほうが、理想に近い講師に出会えるでしょう。 


【プロフィール・清野雅子(きよの・まさこ)さん】

愛知県吹奏楽連盟セミナー委員長。日進市内の学校に勤務する傍ら、「Nisshin Wind Orchestra」の指揮者として週に一度、吹奏楽活動を行っています。愛知県立芸術大学を卒業後中学校に赴任し、全く経験の無い吹奏楽部の顧問になったため、指導方法を多くの先生方から学びました。日進・日進西中学校の吹奏楽部や一般バンドを指揮して、東海吹奏楽コンクールに14回、全日本吹奏楽コンクールに9回出場経験があります。

写真提供:清野雅子

華井由利奈
華井由利奈

1989年生まれ。愛知県出身。印刷会社でコピーライターを経験した後、2016年に独立。小学生のころはミュージカルに夢中でした。趣味は、音楽、ダンス、旅行、サブカルチャーなどです。

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