2021.06.21
学びをはぐくむ 石田勝紀

第9回「子どもが自ら勉強に向かう3つの方法」 教育専門家・石田勝紀さん

子どもを勉強に主体的に向かわせたいと思うのであれば、主体的に向かわない「理由」を考えるといいでしょう。その本質的理由を知らずに、表面的な手を打ってしまうと、何も変化しません。例えば、「勉強しない→勉強させる・塾に入れる」という単純な対応をしても、勉強するとは限りません。なぜなら、「勉強しない根本的な理由」がわかっていないからです。そこで今回は、子どもが勉強しない3つの代表的な理由を明らかにして、その対応方法についてお話します。

今日のポイント

  1. 子どもが勉強を積極的にしない3つの理由
  2. 子どもが自ら勉強に向かう3つの方法

子どもが勉強を積極的にしない3つの理由

「うちの子勉強しないんです」という相談を受け始めてから33年。平成元年(1989年)に塾を開業して以来、同じ相談を毎年受けてきました。そして現在も最も多い相談の1つになっています。

勉強しない背景は、様々です。30年前の当時は中学生であれば「部活動ばかりで勉強しない」、小学生であれば「外で遊びに行って宿題やらない」などでしたが、最近は、「ゲームやスマホで勉強しない」というように勉強を阻害する要因が変わってきました。しかし、構図は同じで本質は同じことです。

なぜ、子どもは勉強をそこまで嫌うのでしょうか。その根本的な理由を知らずに対応すると、「勉強しない→勉強させる・塾入れる」という単純な表層的対応をしてしまい何の解決にもなりません。

根本的な理由を知り、それに対して対応する必要があります。そこで、今回は代表的な3つの理由とそれらに対する対応について紹介します。

①強制されている

「勉強はやりなさい」と命令形が使われるように、強制されてやることが少なくありません。「人は強制されたことは積極的にやらない」というのは原則の1つです。それにもかかわらず、さらに強制的にやらせようとしてしまうことがあります。しかし、やらせればやらせるほど子どもの気持ちは勉強から遠ざかっていくものです。

②つまらない

本来、勉強は楽しいものです。しかし、伝え方、教え方がつまらないため学びにつながらないことがあります。例えば、米村でんじろう先生が理科を教えてくれたら理科が好きになることでしょう。楽しく教えてくれる芸人さんが算数を教えてくれたら算数が楽しくなることでしょう。子どもたちに人気の教育系ユーチューバーがいることを鑑みると、子どもたちは勉強が嫌いなのではなく、つまらない教え方をする人が教える勉強が嫌いということになります。

③いつまで続くのか先が見えない

子どもたちには先(時間軸でいう未来)が見えないことが少なくありません。例えば、小学生では、勉強の目標や目的がないため、日々繰り返し出される単純な宿題(漢字や計算など)は「一体いつまで続くのだろう?」という気持ちになります。子どもたちが置かれた立場を比喩的に表現すると「太平洋の真ん中でボートを漕いでいる状態」でしょう。つまり、どこに向かい(目的地)、今自分がどこにいるか(現在地)もわからない状態です。

例えば小学校3年生で漢字をいくつ習うかおわかりでしょうか。200字です。しかし、子どもたちは知りません。毎週、漢字の練習とテストが続くことはあっても、子どもたちには終わりが見えないため、やる気は当然なくなります。それでも大人たちは、宿題をやることを強制し、子どもたちはそれに従わなければならない状況にあることを考えると、「かわいそう」という他、言葉が見つかりません。

このように、子どもの立場で勉強と世界を見てみると、実像がわかってきます。大切なことはここからです。理由がわかったら、次にどうすればいいのかということです。

対応策というのは実は極めて簡単です。上記の逆をやっていけばいいからです。

子どもが自ら勉強に向かう3つの方法

①強制しない

これは少し説明が必要になります。単純に「勉強を強制しなければいいんですね」というものではないからです。もちろん親が勉強には介入することはNG(小学校低学年までは除く)ではあるのですが、広い意味で学びの環境を作るということが大切だからです。

例えば、親が社会で起こる問題について意見を言っている家庭では、子どもは社会問題に関心が出てくることはよく知られています。また、家庭で使うボキャブラリーの質と量も影響することが知られています。つまり、机上で勉強しているか、していないかというミクロの視点にこだわるのではなく、家庭内を学びの場であるという環境設定をすることで、子どもは無意識のうちに学びの方向性と進んでいくということです。

②面白く、楽しくする

勉強は先ほど書いたとおり、見かけ上、つまらないものです。学校の教科書を見て、楽しいと思う子はほとんどいないでしょう。そこで、その一見面白くない勉強を「やりたくなるようにもっていく」ということが必要なのです。その方法はこれまで筆者は記事、書籍、音声配信を通じて発信してきていますので、具体的方法についてはそちらに譲るとして、今回は代表的なことをいくつか書いておきましょう。

例えば、国語ができない子、嫌いな子には、「読み聞かせ→言葉で質問」をしてあげると国語が楽しいという心理状態になります。これは筆者自身が行ってきた方法でもあり、この方法を知った親御さんが実践して効果が実際に出ている方法です。

また、勉強の中で出てくる人物は、知っている人物に置き換えるという方法があります。するとつまらなかったものが一瞬にして楽しくなることもよく知られています。このように実際に楽しくする、面白くする方法はたくさんあります。

勉強を進んでやる子というのは2パターンあります。1つは計画立ててそれをこなしていくことが好きな子。もう1つは、一見つまらない内容を「面白く加工できる」子です。ときにダジャレにしていたり、語呂合わせにしていたりします。このような子どもの“加工作業”は外からはわからず、勉強している姿しか認識できません。ですから勉強を進んでやる子の実態がどのようになっているか、これまで公にされてこなかったのです。ですから、この“加工作業”を教えてあげればいいのです。すると子どもは楽しんでやるようになります。

③全体を見せる

先ほどの例で言えば、小3の漢字は全部で200個であれば、それらをコピーして壁に貼り、習った漢字を赤ペンで消していく作業をします。そうすると、全体で200個、今自分は135個まで終わったという具合に、目的地と現在地が把握できます。このように全体を見せてあげることで、やる気もでます。

この全体像を把握するということは、大人も同様です。大人も全体像が見えない中で、目先のことだけを何年もやり続けることができるでしょうか。途中で「やりたくない」となるのではないでしょうか。仕事の目的地があり、現在地があればやりがいもありますし、やる気もでます。しかし、それがないとしたら、無目的で日々漂っているだけという感覚では、いつしか自分に虚無感を持つのではないでしょうか。

以上のように、子どもが勉強に向かうための3つの方法を知るためには、やりたくない3つの理由を知るとわかりやすくなります。

やりたくない状態を継続していても何のメリットもありません。では放置しておけばいいかというとそれもなかなかできないことでしょう。ということであれば、「やりたくない→やりたい」にひっくり返してしまう方法を考えた方が健全でしょう。そのような意味も込めて今回お伝えしました。よろしければご参考下さい。

「ぐんぐん伸びる子の育て方 教育専門家・石田勝紀」の記事一覧

石田勝紀
石田勝紀

(一社)教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。20歳で起業し塾を創業。現在はMama Café、講演、連載記事を通じて全国の保護者への教育活動を行っている。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』他多数。子どもの頃の習い事は「書道」。今でも筆で書いたり、活字への関心に繋がっています。

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