2021.07.14
学びをはぐくむ 曽田照子

「その言い方OK?NG?子育てのコトバ」第5回:独自性を発揮する 曽田照子さん

第5回:「独自性」をつぶす言葉 伸ばす言葉

これからの時代、オリジナリティを発揮できる人材はますます求められています。でもわが子の独自性を育てるって難しいですよね。今回は「独自性を発揮する力」ついて考えてみましょう。

①自分で決めたスゴイ服装で公園へ行こうとしている子どもに

NGワード:みっともない!     

子どもって独自のセンスでその日の服を選びたがることがありますよね。全身ピンク、真冬に夏物、柄on柄、無茶な重ね着、晴天の日に長靴……

うちの娘たちもいろいろ見せてくれました。

家の中でファッションショーをしているだけなら、かわいいし、まあいいかと言えるのですが、「これを着て出かける!」と主張されると困ってしまいます。

「そんな格好、恥ずかしい! こっちを着なさい!」なんて押さえつけたこともありましたし、「もうそれでいいよ」とそのまま出かけたこともありました。周りの人に聞こえるように「あなたが選んだだからね」と言ったりしながら(笑)。

変な服装だと恥ずかしい。というのは社会的生活を送る人間にとって当然の心得です。「恥ずかしくないように」「せめて人並みに」というのだって、ごくふつうの親心ですよね。

しかし一方で、人間にとって服装や髪型、メイクはオリジナリティを表現する手段です。ファッションでアートな感性を主張する! とまではいかなくても、服装で自分の個性を表現するのは、悪いことじゃない、むしろ独自性を発揮するという意味ではプラスです。

「みっともない」「そんな格好じゃ笑われる」「そんなの変」というのは、オリジナリティの全否定につながります。言わないでおきたいですね。

どんなことでも、子どもの選択を頭ごなしに否定しない

さて、オリジナリティはつぶしたくないけど、あまりひどい格好で出かけるわけにもいかない。板挟みになったとき、どう声をかけたらいいのか……

あっ、その前に、この記事では「服選び」を例に出していますが、子どもの選択を頭ごなしに否定しないというのは、あらゆることに通じます。

例えば、図書館で借りる本、一緒に遊ぶ友達、サンタさんにお願いするオモチャ、進学したい学校、青春時代に打ち込む部活、そして将来の伴侶……わざと親がギョッとするほうを選ぶのではないか、と疑ってしまうほどです。そんなときにも使ってください。

OKワード:ああ、それを選んだんだね

子どものセンスがとうてい受け入れられないとき、いったん、否定でも肯定でもないフラットな言葉で受け止めるのです。

まずは、ソフトに受け止める。

現実問題として「その服装はちょっと……」というときは「パパとおそろいにしてみない?」「今日は暑いから半袖がいいと思うよ?」「そのインナーにはこのパンツが合うんじゃないかな」などと、さまざまな言葉を駆使して交渉することになるでしょう。

フラットな言葉を挟むことで、どう交渉しようか考える時間ができるというメリットもあります。

選んだことに耳を傾けてもらったと思えるように

独自性は世の中に受け入れられることも、受け入れられないこともあります。だからといって親や周囲に受け入れられる主張ならしてよくて、受け入れられない主張はしちゃダメ、というのは独自性と真逆のベクトルの忖度文化です。

忖度の全てが悪いとは思いませんが、子どもの独自性を育てたいと思うならば、受け入れられるものでも、受け入れられないものでも、表現として表に出していい、というサインを出すことが大事です。

自分の選択には耳を傾けてもらえる価値がある、と思えることが、独自性を発揮する力の土台になるのですから。

②娘はサッカーを、息子はバレエを習いたいというけれど、逆をすすめたい……

NGワード:女の子らしくしなさいor男の子らしくしなさい

性別で決めつけるのはよくない、と分かっているけれど、「息子がピンクのスカートをはきたがった」「娘が戦いごっこをしていて気になる」なんて経験のある方は多いんじゃないでしょうか。

「女の子らしさ」「男の子らしさ」だけでなく「父親らしさ」「母親らしさ」「子どもらしさ」「小学生らしさ」……世の中にはさまざまな「らしさ」があふれています。

私たちは無意識に「母親らしさ」「大人らしさ」で求められる行動をしり、夫に「父親らしくしてほしい」と求めたりしていますが……改めて、「らしさ」ってなんでしょうか? 

らしさとは「枠組み」

いろんな答えがあると思いますが、私は「枠組み」だと思っています。

「女の子ってこういうもの」「男の子はこういうもの」「母親はこうするもの」、という大雑把な枠組みです。私たちの脳は「らしさ」というツールを使って、判断に手間をかけない省エネ運転をしています(心理学では社会的ヒューリスティックといいます)。

「らしさ」の枠内に相手がおさまっているとき、相手を理解した気がしますし、「らしさ」に自分がおさまっていれば、正々堂々と居場所ができたようで安心できます。

それはそれでいいのです。どんな「らしさ」も悪いモノではないのですから。

「らしさ」よりも、その子自身を優先

しかし「らしさ」は厄介です。

「らしさ」にどっぷりつかって「らしさ」のわかりやすさに慣れてしまうと、「らしさ」の対象でありながら「らしさ」からはみ出た人が理解できなくなります。

「その人」が先にあって「らしさ」があるはずなのに。逆になってしまうんですね。

「女の子だから女の子らしく」「男の子だから男の子らしく」という言葉は「その子」自身よりも「らしさ」という大きな枠組みが優先というメッセージを伝えてしまいます。

OKワード:いいんじゃない?

オリジナリティを育てたいなら「らしさ」は押しつけず、さらっと挑戦を後押ししてあげましょう。

「◎◎らしさ」にとらわれない姿こそオリジナリティなのですから。

「その言い方NG?OK?子育てのコトバ 曽田照子」の記事一覧

曽田照子
曽田照子

ライター。広告制作会社を経て20代前半でフリーに。「親から子への言葉かけ」をメインテーマに、書籍やWEBで書いています。小学5年生で手芸クラブに入部、フェルトをちくちく縫ってマスコット人形を作っては周囲にプレゼントをしていました。今は和裁を習っています。娘3人+猫の母親です。

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