2021.07.20
学びインタビュー 真貝友香

簡単!夏休みの自由研究のコツを「多摩六都科学館」に聞きました。宇宙編

夏休みの自由研究を簡単にしたい。でも子どもの探究心は育てたい。親の願いは、みんな一緒です。今年の夏休み、自由研究は何をやったら良いのでしょうか。科学館や博物館の学芸員に、取り組みやすいネタや、まとめ方のコツなどを聞きました。今回は、世界最大級ドームでのプラネタリウムや展示が楽しめる「多摩六都科学館」(東京都西東京市)のプラネタリウム解説員の成瀬裕子さんに聞きました。親子で一緒に楽しみながら自由研究に取り組むための参考になります。

一番大事なことは、問いの立て方

「自由研究を進める上で大事なのは問いの立て方」です。

以下の手順を踏まえながら、宇宙に関する自由研究の進め方について見てみましょう。

  • その1 キーワードを探す …  宇宙といえば ? 思いつく言葉を探そう
  • その2 テーマを探す…深く考えるための方法を探ろう
  • その3 問いを立てる…実際に、何を研究しよう?
  • その4 研究する…まとめ方にコツあり!

まず、ノートを作ろう

その1 キーワードを探す

「最初に考えたいのがキーワードですね。宇宙に関係する言葉を思いつく限り、お子さんと一緒に挙げてみましょう。天体なのか、宇宙開発なのか、天文現象なのか…。どこに興味があるのか、意識してみるだけでも方向性が見えてきます」

思いつくままに、キーワードを書き出してみましょう。

宇宙といっても色々な分野があることに気がつくでしょう。では、その中のどれをどのように研究したらいいでしょうか?

その2 研究テーマを探す

次は研究テーマを探してみましょう。

例えば、「宇宙飛行士」に興味があることがわかったとします。でも、「宇宙飛行士」というキーワードしか決めていないと、たくさん調べた結果、図鑑の丸写しになってしまうかもしれません。

そのときに役に立つのが成瀬さんが考えた、その名も「ソクラテスシート」。
なんと、3ステップでテーマが定まる優れものです!

「ソクラテスシート」

  1. 知っていること
  2. 知らないこと(謎)
  3. 謎の予想

この3ステップを書き出すだけで、調べてみたいテーマがはっきりします。

例えば、「宇宙飛行士」というキーワードと「人数や出身国」という謎を掛け合わせてみると、調べてみたいテーマ、面白そうなテーマが見えてきますね。

そのほか、「火星」に興味があるのなら

  1. 知っていること → 惑星、水が流れていたらしい
  2. 知らないこと → 生き物が生息しているのか?地球からどれくらい距離があるのか?
  3. 謎の予想 → 何か生き物がいると思う、探査機が半年で到着したらしい。探査機の時速が分かればそこから距離が調べられるかも?

など展開できます。

その3 問いを立てる

キーワードとテーマを決めたら、問いを1つ立ててみましょう。

自分が気になった謎をはっきりと書いてみます。例えば「宇宙飛行士は、どの国の人が多いだろうか?」というように、調べたいことをはっきりさせます。

「いつ」「だれが」「どうやって」「どうして」「本当に~なのか?」と組み合わせるのもいいでしょう。

問いを立てる上で重要なことがいくつかあります。

①大きすぎる問いを立てない!
②発見しなくても、OK!
③成功しなくても、OK!


自分どころか科学者でさえも答えが出せないような問いは立てないようにしましょう。
大きすぎる問いを立てない!

例えば「宇宙人を探す」とか、「ブラックホールを観測する」などは、自由研究にはスケールが大きすぎて難しいですね。

「宇宙飛行士って宇宙で何をしているの?」というテーマはどうでしょうか?
目のつけどころはとても良いのですが、範囲が広すぎるので、もう少し具体的にすると良いですね。自分に調べられそうなテーマにまで細かく分けて研究するとよいでしょう。

例.「いままで宇宙に行った宇宙飛行士の人数を国別で分けてみよう」
ここまで細かくすると調べやすくなります。

また、問いを立てるときは自分の得意なものを活用するのも一つの手です。

映画が好きだったら「宇宙飛行士が出てくる映画」について調べる、料理が好きなら「宇宙をイメージしたお菓子を作る」なんて自由研究も面白いですね。

発見しなくても、OK!

「これまで宇宙に行った人が一番多い国はアメリカ」というのは事実ですが、実際に「自分で確かめてみました」。これでも十分な調査になります。
例えば、「宇宙に行ったアメリカ人のリストを年表にする」。とても良い研究になりますね。

成功しなくても、OK!

「中国人の宇宙飛行士も多そうと思ったけど、予想と違っていた」でも大丈夫。
考えた経験をまとめれば、立派な自由研究です。

ここで気を付けておきたいのが、期待した結果が出なかったからといって、内容をすり替えないこと!「こうなるはずでした」という予想と現実との違いがわかったことも十分な成果です。自分の経験を堂々と書きましょう。

うまく行かなかった=ダメではないことを保護者の皆さんも覚えておくと良いですね。

その4.研究する

今回、成瀬さんが提案してくれたのは、「観察」系の自由研究2種。

① 夏の大三角は本当に動いて見えるのだろうか?

「こと座」のベガ、「わし座」のアルタイル、「はくちょう座」のデネブ。この3つの星を結んだものが「夏の大三角」です。7月の晩に東の空の高いところを見上げると、ベガが一番明るく輝いています。
星の位置が変わることは小学4年生で学習しますが、本当に「夏の大三角」は位置が変化するのでしょうか。実際に定点観測して、記録してみましょう。数日間、同じ時間帯に観測するのも、1日の中で時間ごとの移り変わりを観測するのも良いでしょう。
スマートフォンのカメラや、一眼レフカメラで撮影するのはもちろん、スケッチをするのもオリジナリティある自由研究になりそうです。

観測時のポイント

  • 定点観測の際に、木や建物、窓枠などを一緒に撮影しておくと、移り変わりが分かりやすくなります。
  • 事前に夏の大三角の探し方を確かめておきましょう。確認のために準備日を設けておくとベター。また、観測する前には20分ほど夜空を眺めて目をならしておくと良いですね。

こちらは計算ソフトでシミュレーションした2021年8月1日の夏の大三角の様子です。

株式会社アストロアーツ ステラナビゲータを使用して作成

②ペルセウス座流星群は自宅からでも観測できるのか?

今年2021年は、8月13日の朝4時頃がペルセウス座流星群のピークと予想されています。8月12日の夜半から13日の明け方にかけて、ペルセウス座流星群の流れ星が見られそうです。8月8日が新月のため、13日の明け方は月明かりの影響も少なく、好条件で観察できます。

1日で自由研究の観測ができる、楽しみなチャンスですね!

ペルセウス座流星群はしぶんぎ座流星群、ふたご座流星群と並ぶ三大流星群。夏の代表的な天文現象で、ペルセウス座の方向から放射状に流星が出現することからその名前がつけられています。

昨年2020年8月13日午前4時頃観測できたペルセウス座流星群。中央に金星、左下に今回捉えた流れ星が写っています。

本当に一瞬の出来事ですが、撮影しているとチャンスを逃さずに済みますね。前後数日に観測して流れ星の数を比較してみるのも良いですね。

調べたことを書き留めよう!

最初から模造紙やスケッチブックに調べたことを全て書こうとしても、うまくまとめられずつまづいてしまうかもしれません。
タイトル案や調べたい事、きっかけなどを書きとめておき、調べたことだけでなく、考え、感想、悩んだこと、日時、道具、とにかく全部メモしておきましょう。
まとめるときにブレなくて済みます!

工作などは完成したものだけではなく、途中経過も写真を撮っておくと役立ちます。

まとめ方は以下を目安にするとよいですよ。

まとめ方

⓪ タイトル 自分の名前
① キーワードやテーマ、調べたいことについて
② なぜ調べようと思ったか、そのきっかけ
③ 調べる方法、調べた結果
④ わかったこと
⑤ 考えたこと 感想
⑥    調べるために使った資料

結果と考えたことを分けた方がベター

考察や感想がない自由研究は、とってももったいない!
「これまで宇宙に行ったのはどの国の人が何人くらいいるのか」というテーマで研究した場合、「中国人の人数は分からなかった」だけで終わらせるのではなく、「今後、大規模なプロジェクトが進行すれば、〇人くらいになるかも」など、自分なりの考察があるとより深くなります。
終わった後に、結果を見て考えたことを必ず書きましょう。個性があふれる自由研究になります。

学芸員の成瀬裕子さんの自由研究の思い出

子どもの頃に、近所にある神奈川県伊勢原市の科学館によく行っていました。夏休みも、自由研究のためにその科学館に通っていたのですが、中学3年生で、ニンジンの根元の細胞を培養する実験に取り組みました。でも、なかなかうまくいかなくて…。そんなとき、指導員をしていた理科の先生が「答えをうつすのではなく、どんな結果が出たのかをそのまま書けばいいんだよ」と教えてくれたんです。失敗を書いていいんだ!っていう大きな発見でしたね。

プロフィール 成瀬裕子(なるせ・ゆうこ)さん

1979年生まれ。多摩六都科学館プラネタリウム解説員。2008年より各地の科学館や学校でプラネタリウムの番組制作・生解説を行うほか、都内私立中学校で星や宇宙をテーマにした研究やプラネタリウム解説の指導に携わった。アイヌ民族の星座・星名を勉強中。理系ではなく文系出身。

多摩六都科学館

イラスト:カワチハルナ

星図作成:成瀬裕子

写真撮影:平岡妙子(プロフィール写真)

夏休みの自由研究と読書感想文の記事一覧


真貝友香
真貝友香

ライター。携帯向け音楽配信事業にて社内SE、マーケティングに従事した後、妊娠・出産を機にフリーライターに転向。子育て、教育、テクノロジー、映画など好奇心の赴くままに取材・執筆中。ほぼ毎日習い事に通っていた幼少期に唯一好きだったのは公文式(英語)でした。オンライン英会話のレッスン中、喋りたいことが多すぎて口が追いつかないことが目下の悩みです。

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