2021.09.01
学びをはぐくむ 石田勝紀

第10回「自分から行動する子になる手帳術」教育専門家・石田勝紀さん

「自ら行動できる子になってもらいたい」という思いを持つ親御さんは多いことでしょう。しかし、多くの場合、声がけによってそれを実現させようとしますが、実際はかなり難しいことでしょう。そこで、手帳という仕組みを使います。仕組みのキーワードは「やるべきことの見える化」「進捗の見える化」です。手帳術の5つのポイントと2つの注意点をお伝えします。大人の世界にある、この当たり前のことが子どもの世界にはありません。ぜひ、試されてみてください。

やることを「見える化」すると、やりたくなる

これまで33年の間、たくさんの相談を保護者の方から頂きました。現在も年間2500件以上の相談にお答えしています。その中でも、最も多い相談が、「勉強しない子」というものです。子どもを取り巻く世界は勉強を元に作られています。つまり、小学校1年生から始まり、少なくとも高校3年生までは続きます。この12年間、子どもたちは勉強することを求められ、定期テストや入試と数多くの試験がされていきます。

学ぶことは本来とても楽しいことです。生涯学習という言葉があるほど、現代は一生学び続けることが大切と言われていますが、子どもの頃の「勉強」という言葉が持つイメージがあまりにも悪く、それは大人になっても続いていきます。

しかし、このやらねばならない勉強というものを、やりたくなるようにする方法があります。勉強のみならず、「やりたくないこと→やりたくなる」という構造転換を図ることは可能なのです。それは「見える化」という手段を取ることです。

 手帳というものがありますが、これはやるべきことを「見える化」させたものです。大人は特に仕事を通じてやるべきこと(TO DO)が多いため、備忘録として記録をしておかないと忘れてしまいます。

一方の子どもはどうでしょうか。最近では私立の中高生向けの手帳というものが出てきていますが、それをただの「やっつけ仕事」にしてしまうと手帳の意義は失われます。

例えば、先生から記入することを求められ、チェックされるという形にしてしまうと、その手帳は先生にとっての管理ツールになってしまいます。本来、手帳は自己管理のためにあるべきでしょう。

そのためには、手帳を使って嬉しい、楽しい、成長実感できるという構造にするべきと思っています。そのための方法について今回はお伝えします。

自ら行動できる子になる5つの手帳術

(1)手帳を用意する

手帳以外にカレンダー、ホワイトボードやノートでも構いません。しかし、子どもは大人がもっているモノを手にするととても喜びます。筆者は「子ども手帳」というものを出していますが、基本的に手帳は子どもが気にいる手帳を使われるといいでしょう。なぜなら手帳は個性の塊のようなもので、大人でも自分と同じ手帳を持っている人に出会ったことはないでしょう。

(2)やるべきことを書き出す

子どもはやるべきことが少ないため、一般的にスケジュール表が必要ないと思われがちです。しかし、よくよく見てみると、宿題でも科目によって複数出されていたり、塾に行っている場合は塾の宿題もあったりします。習い事をしている場合は、その課題や練習も必要になるでしょう。さらに自宅で勉強もするとなると、子ども視点でみればかなりのボリュームになります。1週間でやるべきことがどの程度あるのか子どもと一緒に書き出します。

(3)見開き1週間の手帳にやるべきことを割り振る

子どもは先のことをわかりません。先を見て今、準備するという発想がまだ未成熟だからです。それが子どもの問題ではなく、発達段階の問題です。先を見て準備するという視点をすでに持っている大人とは全く異なることを知っておくとよいでしょう。ですから、1週間見開きの手帳で全体を「見える化」するのです。すると、「先に宿題提出があるから、今やろう」とわかるようになります。

この段階で、子どもが頭の中でモヤッとしていた「やるべきこと」がクリアーになります。この段階をまずは作ってあげるといいでしょう。多くの子どもは、いつ何をやったらいいのかがわかっていないからです。

(4)やるべきことが終わったら消し込み作業をする

やるべきことが終わった項目から「赤ペン」で消すようにするといいでしょう。子どもがまだ未就学児の場合は、終わった項目にシールを貼っていくこともおすすめです。ちょうど、幼稚園に登園すると貼ってもらえるシールのような感覚です。大人もスタンプを押してもらえると嬉しいですよね。

つまり、「やったことを見える化」する作業が必要ということです。すると、やったことと、やっていないことがはっきりと区別できます。すると人間の心理として「まだ消し込んでいない項目を消し込みたい」という気持ちが出てきます。これが「自主性」というものです。こうした仕組みによって自主性を引き出すといいでしょう。

よく、「どう声掛けしたら子どもがやるようになりますか?」という相談がありますが、声掛けで自主性を引き出すことは難しいと思っていいでしょう。なぜなら、そういうとき親は「やらせたい!」という気持ちが強くなる傾向にあるため、余計な働きかけや言葉を子どもに投げかけてしまうことがあるからです。そうなると逆効果となるため、子どもの自主性は「仕組み」で引き出す方がうまくいきます。

(5)やれなかったことは、土日で調整する

やるべきことを書いても、やれないこともあります。それは1週間の期間内で調整します。それでもやれない場合は、翌月曜にやるということも考えられますが、子どもの場合は1週間でリセットしてしまうほうがいいでしょう。そして、その1週間では何%達成したのかということを数値化しておきます。

全部で20個のタスクがあり、16個できたら、80%の達成率です。とにかく 重要な事は「見える化」させておくことです。見える化させることによって意志が発動されます。

ポイント制で、優先度がわかるようにする

このようなプロセスだけでも行動するようになりますが、さらにポイント制を導入するとモチベーションは上がります。ちょうど大人が持っているポイントカードのようなものです。

その際、やるべきことの中で優先順位の高いものにはポイント数を上げるといいでしょう。例えば、ゲーム1時間は1ポイント(1日1ポイントまで)だけども、宿題が1つ終わったら5ポイントとするなどです。ゲームもタスクにいれるの?と思われるかもしれませんが、入れてしまうといいでしょう。

手帳に書いてあることが、「やりたくないこと」ばかりですと手帳を見る気にもなりませんから。ですから、書き込んだ内容それぞれにポイント表示することで、その内容の軽重感、優先度がわかるようにします。優先順位を学ぶ教育の一貫と考えてみてください。

注意点2つ ずっと継続しなくてもOK

最後に、この仕組を導入するにあたり注意点を2つ書いておきます。

(1)手帳の導入にあたり、その可否は子どもに判断させる

親主導ではじめは動きますが、「やらせる」のではなく、「こういうのがあるけどどうする?」と聞きます。その結果、子どもが「やる」と言えばされてみてください。「やりたくない」と言うのであれば、今はまだそのタイミングではありません。

(2)ずっと継続させようとしない

1回はじめたら、ずっとエンドレスでやってもらいたいという気持ちが出るかもしれません。しかし、子ども視点に立てば、はじめは目新しいということでやってみたけど、途中からマンネリ化し、やる気がなくなっていくことがあります。

そのため、この手帳制度は、1週間更新制にします。つまり、初回は1週間で終わりです。1週間だけの限定イベントです。そして、終わって集計したら、「次の1週間どうする?」と聞いてみてください。子どもが次の1週間もやるといえば、1週間だけ更新してみてください。これが3〜4回続くと、習慣化され、さらに「できる自分」を実感できるようになるため、内発的動機づけが発現してきます。

仮に1週間だけで終わったとしても1度経験をしているため、例えば夏休みや冬休み、検定試験までの期間だけという場合にまた実行することができます。そのように子どもには長期でやらせることを前提とせずに、短期プロジェクトという感じでされてみください。

以上、手帳の使った、子どもが自ら動くための仕組みについてお伝えしました。また詳しくは「勉強しない子には1冊の手帳を与えよう!(ディスカヴァー・トウェンティワン)」および「子ども手帳(同)」に記載していますので参照いただければと思います。

「ぐんぐん伸びる子の育て方 教育専門家・石田勝紀」の記事一覧


石田勝紀
石田勝紀

(一社)教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。20歳で起業し塾を創業。現在はMama Café、講演、連載記事を通じて全国の保護者への教育活動を行っている。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』他多数。子どもの頃の習い事は「書道」。今でも筆で書いたり、活字への関心に繋がっています。

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