2021.08.16
習い事Q&A 小内三奈

モンテッソーリ教育とは?子どもはどう育つ?特徴やメリットを解説し、疑問を解消

将棋の藤井聡太さんが幼児期に学んでいたことでも有名になったモンテッソーリ教育とは、どんなものなのでしょうか?子どもが自由に学ぶと聞きますが、協調性は身につくのでしょうか。算数の学び方は?教育法の特徴や効果、メリットについて、日本モンテッソーリ教育綜合研究所付属『子どもの家』の櫻井美砂副園長に話を伺いました。モンテッソーリ教育についての疑問を解消します。

<今日のポイント>

  1. モンテッソーリ教育とは「自分を育てる力」を発揮させるためのメソッド
  2. 4つの特徴は「敏感期の環境整備」「多用な教具」「自由な個別活動」「縦割りクラス」
  3. 0~3歳の「前期」には7つの教育環境、3~6歳の「後期」には5つの教育環境を用意
  4. 園選びの際のポイントは、子どもがいきいきと活動できているか

モンテッソーリ教育とは「自分を育てる力」を発揮させるためのメソッド

国旗の文化教育の様子=子どもの家提供

まずはモンテッソーリ教育のメソッドや国内外での広がりについて解説します。

モンテッソーリ教育とはどういうものなの?

A. イタリア人の医師で教育家であったマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法。「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という「自己教育力」に着目し、その力を発揮できるよう、環境を整えることを大切にした教育です。

歩くことを教えなくても歩こうとしたり、さまざまなことを自ら吸収したりしていく姿は、子ども自身が自立に向かって、成長・発達していこうとする力のあらわれです。教師が一方的に教え込むのではなく、子どもが触ってみたい、やってみたいと思う環境を用意し、その環境と子どもを結びつけるサポートをしていきます。

日本国内ではどれだけ普及しているの?

A. 世界110国以上にモンテッソーリ教育実践園が存在しているといわれています。日本におけるモンテッソーリ教育の園の数は正確には把握されていませんが、少なくとも首都圏に40園以上はあると思われます。また、施設によって取り入れ方にも違いがあります。

モンテッソーリ教育を受けた著名人として、ビル・ゲイツ氏、マーク・ザッカーバーグ氏のほか、日本では藤井聡太さんが有名です。幼児教育のイメージが強いですが、欧米では小学校から大学まである学校も。日本モンテッソーリ教育綜合研究所付属「子どもの家」には、2歳半~6歳の約30人が通っています。小学部もあり、小学1~6年生の約25人が週1回放課後にモンテッソーリ教材を使って活動しています。

モンテッソーリ教育の特徴4つを紹介

子どもの家にある教具=小内三奈撮影

ここでは、手にとって遊ぶ魅力的な「教具」など、モンテッソーリの特徴を4つ紹介します。

①「敏感期」に即した環境の整備

子どもが「自己教育力」を存分に発揮できるように、敏感期に即した環境を整備します。敏感期とは、子どもが自らの成長に必要なものを環境の中から選び出し、一生懸命取り組みながら難なく体得していく0~6歳の時期のこと。モンテッソーリ教育では幼児期の「敏感期」に焦点を当て、子どもが環境に主体的に関わることができるよう、きめ細かい支援をしていきます。

②魅力的な教具

ろうそくに火をつける「点滅」の様子=子どもの家提供

四則演算を学ぶ金ビーズなど、100を超えるたくさんの教具が揃っています。コンセントをつないでアイロンを掛ける、ロウソクに火を灯すなど、一般的に「危険だから」と遠ざけてしまうような教具も。「本物」にこだわり、生活に必要な具体物を使うのがモンテッソーリ教育。教具に一生懸命取り組むことで、子どもは自分に必要な力を自ら習得していきます。

③自由な個別活動が中心

幼児期の子どもの仕事は、一人ひとりが活動を通して、自分を育てることです。園で何をどこでやるかは全くの自由。子どもが毎回自分で選択し、決定します。「自由」と「放任」は違います。友達の邪魔をする子どもには「いけない」ことだと教えます。友達の動きを見ているだけの時間も、その子にとって必要な場合と主体的に動けていない場合があります。教師はそこを見極め、適切な声がけをしています。

④縦割りクラス

およそ3歳ごろから就学前までの子どもで縦割りのクラスを編成します。年上の友達を見習ったり、年下の友達のお世話をしたりするなどの経験を通して、互いに認め合い、学び合いながら社会性を育みます。

前期の7つの教育環境と後期の5つの教育環境を解説

子どもの家の教室風景=小内三奈撮影

乳幼児期の発達段階の特徴から、0~3歳までの「前期」、 3~6歳までの「後期」に分け、それぞれの発達段階にあらわれる「敏感期」に即した環境を用意しています。前期と後期の教育環境をそれぞれ解説します。

前期の教育環境とは?

前期は「吸収する精神(無意識)」と呼ばれ、人生の中で最も吸収力が強く、人間社会に適応していく時期のこと。①歩く、階段ののぼり降りなど全身を使った動きをする「粗大運動の活動」②握る、落とすなど手や指を使った「微細運動の活動」③服を着るなどの「日常生活の練習」④母語を獲得するための「言語教育」⑤ザラザラしたものを触るなどの「感覚教育」⑥楽器を鳴らす、歌うなどの「音楽」⑦絵を描く、粘土をこねるなどの「美術」の7つの教育環境を用意しています。

ここからは「後期」に用意されている5つの教育環境をひとつずつ紹介します。

①日常生活の練習

洗濯の練習=子どもの家提供

自分の体を意志どおりにコントロールする能力を身につけていきます。洗濯板を使って洗濯する、適量の水を少しずつ花瓶に入れる、包丁で食べ物を切るなど、子ども自身の動きを洗練させていく日常生活の活動に取り組みます。

 ②感覚教育

さまざまな感覚刺激に対して敏感になる「感覚の敏感期」を利用して、最も小さな物を見つける、かすかな音を聞きつける、微妙な匂いや味を区別するなど、意識して感覚器官を使った練習をします。 

③言語教育

子どもの言葉の発達段階に合わせて、絵カードや文字カードなどを使いながらステップを踏んで語彙を豊かにすることから始まり、最終的には文字の読み書き、文法へと発展させます。「日常生活の練習」や「感覚教育」で養った手や腕をコントロールする力を利用することで、自然と文字を書く力も身につくよう工夫されています。

④算数教育

十進法を学ぶ教具=小内三奈撮影

ただ単に数を唱えるものではなく、数量が具体物で表され実際に手を使って体験できるようになっているのがモンテッソーリの算数教具。四則演算でいえば、1000個のビーズからなる重い立方体を用いて数の抽象世界を体験し、子ども自身が試行錯誤しながら法則性に気づき、暗算という完全な抽象の理解へと無理なく進んでいきます。

⑤文化教育

子どもの興味があることすべてが対象。地理、生物、歴史、動・植物など、幅広い分野に触れていきます。地理では「宇宙」からスタートします。宇宙の中の地球、その中にいくつかの大陸があり、アジア大陸があり、日本があるという風に、全体から入ることで自分の位置づけを気づかせていきます。

1日の過ごし方は?

A. 登園後支度ができた子どもから、好きな活動を選択して取り組み始めます。

子どもの家の1週間のタイムスケジュール(2021年度)

11時前から「朝の会」が始まります。線の上をバランス良く歩く「線上歩行」と、自分の動きを止めて静かに時間を過ごす「静粛練習」に毎日取り組み、自分で自分の動きをコントロールする力を養います。お弁当を食べた後は、教具を使った活動を続ける子もいれば、おままごと遊びをする、広いホールで体を動かすなど、各自が好きな活動を楽しみます。

進路先・小学校受験対策・学費の相場

花の水切りの練習=子どもの家提供

進路先や学費などについてまとめました。

進路先は?小学校受験対策はどうなっているの?

A. 遠方から通われている方も多く、進路先も毎年バラバラです。小学校受験の対策などはしていません。

「敏感期」に即した環境の中で、子どもたちは毎日活動を通して、さまざまな力を習得していきます。結果として、小学校で求められる学習の基礎がしっかりと身についている部分はあるかもしれません。

学費の相場はどのくらいするの?

A. 学費は施設によって様々ですが、当園の教育料は月額5万2800円、別途年間7万3700円の施設料が必要となります。※全て税込み

幼児教育・保育無償化により、認可外保育施設の届け出を出している施設は補助金が出るようになっています。当園も届け出をしています。

園選びの際のポイントは、子どもがいきいきと活動できているか

色板の感覚教育の様子=子どもの家提供

園選びのポイントは?

A. 園によってオリジナリティーがありカリキュラムも少しずつ異なります。子どもが活動している姿、先生がどのように関わっているかなど、実際に園の様子を見てみましょう。

一部の時間だけモンテッソーリ教育を実施している園などもあります。子どもが自分の好きな活動に取り組めているか、先生主導の活動になっていないかなどを見て、納得して入園することが大切です。

モンテッソーリ教育の疑問を解消!

みんなで一斉に活動する時間や行事は少ない?

A. 週1回、体育や造形など一斉指導型の活動も取り入れています。

昼食後は、モンテッソーリ教具を使った活動だけでなく、おままごとやブロック、運動遊びなども楽しみます。運動会やマラソン大会、お泊まり合宿などの行事もあります。

集団活動中心の小学校に進学した際に必要な協調性は育つもの?

A. みんなで同じ時間に同じことをやったからといって、協調性が育つわけではありません。むしろ、自分が主体的に動き「できた」という経験を重ねることで自信がつき、集団で活動するときにもその子らしさを発揮できるものです。

教具を使った個別活動が中心では、男の子は体力が有り余ってしまわない?

A. 昼食後には、トランポリンやボール遊びなど体を使った活動を楽しむこともできます。性別をとわず「子どもの家」の子どもたちも、降園後は、公園などでたっぷりと体を動かして遊んでいるようです。

実際に通っている親の声は?

モンテッソーリ教育の園に実際に通わせている保護者からは「自分のペースで満足がいくまで取り組む体験は幼児期にしかできないと思う」「自分で教具を選び、できるまで取り組んだことで、日常生活の中でもすぐに諦めることが減った」といった声が寄せられています。

櫻井美砂さんからのメッセージ

子どもには自らを成長させる「自己教育力」があるので、その力が引き出せるような環境を整えてあげることが大人の役目です。私たちは、子どもの「やりたい」という気持ちを大切にしているので無理強いはしません。じっと待つことも必要。子どもが自分のやりたいことをやり、自分のペースで自信をつけることが大事です。そんな環境をぜひ用意してほしいと思います。

【プロフィール:櫻井 美砂(さくらい みさ)】

日本モンテッソーリ教育綜合研究所付属『子どもの家』副園長/日本モンテッソーリ教育綜合研究所主任研究員。幼児と小学生を対象としたモンテッソーリ教育の実践と、講師として教師や保護者を対象としたモンテッソーリ教師養成を実施。

関連記事:シュタイナー教育とは?子どもはどう育つ?特徴やメリットを解説し、疑問を解消

小内三奈
小内三奈

ライター・インタビューアー。ビジネス・教育分野を中心に、新聞、雑誌、Webメディア等で執筆中。経営者や教育現場への取材の他、教育書・児童書の書評を執筆。その他、旅行、グルメ等幅広いジャンルに取り組む。好奇心旺盛でキラキラした子ども時代を過ごしてほしいと願い、「今、この瞬間」を大切に育児に励む2児の母。子どもの頃熱中したのはピアノ。4歳から高校1年まで続け、最後の演奏曲はショパンのノクターン。

関連記事 Related articles

新着 New!

お住まいのエリア・ジャンル・対象年齢から検索!
習い事教室を探す