2021.08.27
習い事Q&A 田中茂範

子どもの「英語脳」を育てるには?英語脳が身につく3つの学習環境と遊びを紹介!

世界の15億人以上が使っている「英語」。そのうち、英語を母語としているのは4億人弱で、圧倒的多数が第二言語として英語を使っています。「誰でも英語脳が身につく」と慶応義塾大名誉教授で、PEN言語教育サービス代表の田中茂範さんは話しています。「英語脳を育てる」というキャッチコピーに魅力を感じる人も多いでしょう。「英語脳」とはどんなもの?田中さんに英語脳を育てる3つの学習環境について解説してもらいます。家でできる、英語脳が身につく親子の遊び方も紹介します。

<今日のポイント>

  1. 英語脳とは、英語を理解して表現できる「瞬発力」
  2. 英語脳を育てるための3条件は「インプット」「アウトプット」「必要性」
  3. 英語脳を育てるには慣用句遊びを取り入れること
  4. 英語脳を育てるには親も子どもと英語を学ぶことが大切

英語脳とは、英語を理解して表現できる「瞬発力」

英語脳とはどういうもの?

A. 「英語脳」とは、英語を理解し、英語で表現する際の瞬発力(すぐに、自然に使える力)のことです。

「英語脳」は流行りのコトバで、そういう脳が実在するわけでもありません。しかし、一般的には日本語のように、当たり前に英語が使えることが理想的な英語脳の状態です。つまり、英語を読んだり、聴いたりしてすぐに意味を理解し、英語で思いを自然に話せて、書くことができるということ。これが英語での「瞬発力」です。

誰でも英語脳を育てることはできるの?

A.  インターナショナルスクールなどに通わなくても、訓練次第で誰でも「英語脳」は育ちます。

私はJICA(国際協力機構)で海外派遣されるシニアボランティアの英語研修のアドバイザーを長年してきました。例えば、60歳ぐらいの人がスリランカなどでボランティア活動をするのです。そこで、生活言語としてシンハラ語を新たに学ぶことになるわけですが、多くのシニアが機能的なレベルのシンハラ語力を身につける様子を目の当たりにしてきました。子どもであればなおさらです。

英語脳を育てるには、何歳から英語を学びはじめた方がいいの?

A.  基本的には、何歳からでも大丈夫です。幼い子どもだと、英語を「学ぶ」というより、「英語」を知らず知らずのうちに「身につけた」ということが可能になると思います。

 小学校の高学年になると、英語を学ぶ動機づけなどがしっかりしてきます。だから、少し頑張って英語学習を継続することが可能になります。幼稚園児ぐらいだと、つまらなければ、すぐに飽きてしまします。しかし、同時に、英語の音にとても敏感な時期です。音を聞こえたまま、再生できるのも幼い時期です。結局、どの年齢でも大丈夫ですが、年齢によって、強みは異なるように思います。

 英語脳を育てるための3条件を解説!

英語力が育つ大事な3条件とは!?

A.  英語脳を育てるには、下記の3条件を満たすような学習環境を整える必要があります。

  1. language exposure(英語のインプット)
  2. language use(英語のアウトプット)
  3. urgent need(英語を使う必要性) 

英語のインプットとアウトプットにおいては質と量がともに大切です。良質のインプットをできるだけ多く経験し、自分の思いをできるだけ多くアウトプットするということです。そして、英語を使うことが必要と思える環境を整えなければなりません。この3条件は、英語圏で生活しているときに満たされるものですが、日本で英語を学ぶ際にも成功の条件として考えれば同じです。

インプットとアウトプットの質は、子どもにとってそれが意味のある①meaningful(有意義)であるかどうか②authentic(本物)であるかどうか③personal(自分ごととして受けとめられる)であるかどうかが、判断基準になります。ただ意味がわかるだけではなく、子どもにとって面白くて有意義な(meaningful)教材と活動が必要になります。生活に根差した英語学習は人工的や噓っぽくなく、リアルな「本物」(authentic)といえるでしょう。

 日本で「3条件」をそろえるためにはどうしたらいいの?

A.  日常的にふつうに使われる決まり文句の「慣用句」に注目することです。英語では、Good job(よくやったね)、Give me a break(いいかげんにしてよ)、No way(絶対ダメ)などが慣用句に含まれます。こういった表現を使って英語の瞬発力をつけることです。

 慣用句がなければ日常的なやりとりはやりにくいものになってしまいます。「よろしくお願いします」や「おはよう」といった表現がなければどうなるか想像してください。言語習得は慣用句からはじまるといってもいいでしょう。So what?(だから何なの?)やJust because.(ただなんとなく)などの慣用句を家の壁に貼って、「今日の一言」としてそのフレーズを1日30回は口ずさむようにしましょう。

親子で取り組む、2つの慣用句の遊びを紹介

①慣用句遊び「物語ゲーム」

箱の中に慣用句の書いた紙を50個ほど入れておきます。親子で紙を全部で5~6枚、箱から引きます。引いた慣用句を使って物語をつくります。どうしてもその慣用句が使えないときには再度引きます。物語をつくるときは日本語を混ぜても良いです。「That’s gross(きもい)」「Watch out!(気をつけて)」「Don’t worry(心配しないで)」 「I was so scared(怖かった)」「How could you?(なんてこと、するの?)」を引いた場合、次のような物語ができるでしょう。

【例】

子ども:Mom, watch out! (ママ、気をつけて) 何かいるよ。

親:Oh, that’s gross.(きもい!) I hate roaches. (ゴキブリ、大嫌い)

子ども:Don’t worry.(心配ないよ) ただのおもちゃだよ。

親:How could you!(なんてことするの?) You know I hate roaches(ゴキブリが嫌いなの、知っているでしょ). I was so scared.(ああ恐かった)

子ども:Sorry, Mom. (ママ、ごめん) 

②慣用句遊び「English Wall」

今日の覚えたい表現を5つほど日本語でまず決めます。例えば「寝起きが悪い(wake up feeling bad)」「寝起きがよい(wake up feeling good)」「起きても疲れがとれない(wake up feeling groggy)」「すっきり目が覚める(wake up feeling refreshed)」「まだ半分寝ている(I’m still half asleep)」の5つだとします。ネットで英語を調べて言葉にします。調べた慣用句は画用紙にリストアップし、壁に貼ります。何度か音読し、言えるように練習しましょう。

子どもの英語脳を鍛えるためにほかにできることは?

A.  壁をEnglish Wallにしようという提案をしましたが、壁だけではなく部屋(あるいは部屋を仕切った空間)をEnglish Roomにするのはどうでしょうか。

日本で英語が堪能になった学生がいました。彼女は、幼いころ「English Room」が楽しかったそうです。その部屋は、海外ドラマ、英語の絵本やゲームなど、英語に満ちた空間。こういう部屋を子どもと一緒につくるのはどうでしょうか。午後6~8時までは、English Roomがオープンする、という具合に時間を設定するのもいいでしょう。英語を聞く耳慣れ、たくさんの英語を口にする口慣れ、そしてできれば英語表現を手で書く手慣れを実践しましょう。

英語脳を育てるには親も子どもと英語を学ぶことが大切

英語を日本語で学ぶ弊害ってあるの? 

A.  5、6歳になると、日本語で英語を学ぶということはごく自然なことになります。むしろ、意味の理解においては、日本語は大いに役立ちます。

例えば townという英単語。日本語を使わないで、その意味を子どもに伝えようとすれば大変な苦労です。日本語を使えば「townって『まち』のことだよ」の一言ですみますよね。日本語を使わないでダイレクトにbrightとdarkの違いを状況内で示したとしても、子どもはすぐに「明るい」「暗い」と日本語で反応(理解)するはずです。多くの場合、利用できる日本語は利用するというのが自然な英語学習です。

学校の英語教育で「英語脳」を育てることはできるの? 

A.  英語にたくさん触れることは大切です。学校が、子どもにとってmeaningfulで、authenticで、personalな英語の活動をしてくれていれば、理想的な状況です。

学校で英語を勉強して英語が苦手、英語がきらいという子どもが出てくるでしょう。しかし、英語にできるだけ多くふれるということでは、学校英語も一定の英語脳作りに貢献することができます。子どもが学校の「つまらない授業」に、良いところを見つけ、自分に役立つ授業に変えるためにも、保護者は自宅で学習をサポートしましょう。

 英語が苦手な親はどのように子どもの学びをサポートしたらいいの? 

A.  結論をいえば、英語は誰でもできるようになるので、心配ないですよ。そして、それはいつからでも可能です。保護者のみなさんもお子さんと一緒に英語を学びましょう。

学校の英語が苦手だった親は、お子さんが英語を学ぶときに、自分も一緒に学ぶのが一番です。お子さんに抜かれてもかまいません。一緒に楽しむことが大事です。「へー、こんな言い方するんだ」「うまいね、もう一度、発音してみて」と互いを励ましながら、共に英語を学ぶ空間をつくりましょう。

田中茂範さんからのメッセージ

英語は世界中で当たり前に使われる言葉です。真に使える英語力を身につけるには、身体知として英語を学ぶことが重要です。そのためには、耳慣れ、口慣れ、手慣れといい、英語をたくさん聞いて、音読し、単語や文を手で書く学習を続けることが大切です。手慣れで、スラスラと英語が書けるようになればしめたものです。ぜひ、お子さんと一緒に、耳慣れ、口慣れ、手慣れを実践してください。

田中茂範
田中茂範

コロンビア大学大学院博士課程卒業(教育学博士)。35年の大学教員を経て、現在、慶應義塾大学名誉教授、PEN言語教育サービス代表。「当たり前に使える英語力の育成」を目指して、良質の教材作成や学校の英語教育のコンサルティングをしたり、英語教員の教師力アップワークショップで講師を務めたりしている。

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