2021.09.08
学びをはぐくむ ちゃみママ

発達障がいの子どもと専門家をつなげて好きを深める「Branch」中里祐次社長に聞く

発達障がいの息子(小4)の子育てに奮闘中のちゃみママです。診断されたものの、まだまだ発達障がいについてはわからないことだらけ。そこで専門家などに、発達障がいの子の特性を生かして、個性を伸ばしていく方法について、話を聞きます。
今回は、発達障がい児の「好きなこと」を発見し、一緒に興味を深めてくれる「メンター」をマッチングする子育てサービス「Branch(ブランチ)」(東京都渋谷区)について、中里祐次社長に話を聞きました。

好きなことを専門家と一緒に深める

「Branch」は、発達障がいや不登校などの子どものために、主に3つのサービスを提供しています。

  1. 「Branchメンター」
  2. 「Branch room(ブランチルーム)」
  3. 「Branchオンラインコミュニティ」

自分の好きなブロックづくりに熱中する子 写真提供:Branch

先生ではなくて、子どもにとって「興味ある分野が同じ友だち」という関係性

特に注目したいのが「Branchメンター」です。

発達障がい児や不登校の子どもの好きなことを伸ばすために、子どもが好きな分野に詳しい大人のメンターを紹介します。
子ども主体で好きなことをとことん追究できるように、1対1で取り組みます。マンツーマンなので、学校で求められるような「協調性」もここでは問われません。
また、大人=教える、子ども=教わる人という関係性ではなく、「同じことに興味を持っている友だち」という間柄でコミュニケーションできるのもポイントです。そのため、同級生から「変わっている」と思われ、なかなか友人関係を築きにくい子でも、ここで友だちを作ることができます。

メンターはエンジニアから東大の折り紙の達人まで

メンターは、全員で約70人。エンジニアから東大に在籍する折り紙の達人まで幅広いジャンルにわたります。
対面かオンラインを選べ、メンターによって1時間ごとの利用料金が異なる仕組みです。メンターを見つける際に、得意分野と一緒に料金を確認することができます。

利用後にメンターから子どもについてのレビューが届くのも魅力

利用後にメンターから子どもの好きなこと、興味関心のある分野についてのレビューがつくのも魅力の1つ。レビューがきっかけで、さらに子どもの興味ある分野や好きなことに取り組む機会を作ったり、意外な得意分野が見つかったりすることもあるようです。

好きなことで、自信をつけていきいきと

東京・代官山にあるフリースクール「Branch room(ブランチルーム)」も、子どもとスタッフが1対1で子どもの興味ある分野を思い切り追求できる環境です。
「Branchオンラインコミュニティ」は、学校の「部活動」のようなものです。ジャンルはいろいろあり、ゲームなら、「フォートナイト」、「マインクラフト」など、好きなゲームごとに分かれて話し合えます。ほかに、アートクラフト部、生物部など。子どもたちが自分の考えやスキルなどについてやり取りできることで、他の人の意見を聞くトレーニングにもなります。

Branch roomでは、ブロックやプログラミングなど、子どもたちが自分のやりたいこと、好きなことをとことん追求する姿を見ることができます。  写真提供:Branch

クラウドファンディングを23時間で達成

Branchは2016年、立ち上げ時の資金集めのためにクラウドファンディングを活用しました。約2カ月で130万円集める目標でしたが、なんと23時間で達成。最終的にはサポーター216人で151万円が集まりました。このサービスへのニーズの高さがこの数字からわかります。

息子がレゴ好きで、いきいきしたことがきっかけ

今までにない子育て支援を提案するBranchの代表取締役社長を務める中里祐次さん。どんなことがきっかけでこの事業を始めたのかを聞いてみました。

――Branch立ち上げのきっかけはどんなことだったんですか。

今、中学2年生になる息子がいるのですが、その子が小1の時に発達障がいの診断を受けました。
当時、彼はレゴ®が好きだったので、東大の文化祭で東大レゴ®部のブースを訪れてみたんです。その時、本当にいきいきして、自分から部員の人に質問したりだとか、終わった後とかも学校の作文とかにその日のことを書いたりしていて……。そんな彼をみて、子どもが好きなことと、それをずっと続けてる大人(メンター)をマッチングするようなサービスっていうのがあったらいいなと思って作ったのが、Branchの始まりです。

子どもが主役。子どもの話を最後まで聞く

――うちにもADHDの息子がいて、電車がとっても好きなんですが、一緒に「電車愛」を語れる人がほしいと思っているみたいなので、ぜひメンターを利用してみたいのです。メンターになる方はどうやって選ばれているんですか。

子どもの興味ある分野に沿ってメンターを探したり、募集しています。最近だとAIの専門家や写真家、ダンサー、そして海外在住の方も入ってきています。

そして私が、メンター候補の方、全員と面接をしています。
やっぱり子どもと接する方なので、たとえば面談で顔を隠す方はNGですね。オンラインなのに顔が出ないと保護者も子どもも不安になるので……。履歴書よりも普段の活動の方が気になるので、SNSやご自身のホームページなどを拝見して、メンターになって頂くか判断しています。

――子どもと接する上で、気をつけてもらっていることは?

「子どもが話している時は絶対に止めない」ことですね。学校や塾の先生は、先に喋り出すと思うんですけれど、あくまでも「子どもが主役」。基本的にこれは守ってもらうようにしています。最後まで聞くことで子どもは「理解者かも」って感じてくれるんです。

保護者同士で交流し、子どもの「好き」を深く理解

――オンラインコミュニティは子どもだけでなく、保護者向けのものもあると聞きましたが……

Branchでは「子どもが好きなものをご家族も一緒にやりましょう」ということを推奨しています。保護者も「一緒に!」という気持ちはあっても、子どもの知識がはるかに多いと追いつけないこともあるので、それを補うためのコミュニティがあります。

――あっ、それ、とてもわかります!子どもが詳しくなりすぎて私にとって未知の世界に……。

例えば「マインクラフト」は子どもにとても人気が高いのですが、一緒にやりたくてもやり方がわからないという保護者が多くて……。だからうちでは保護者向けのオンラインコミュニティで「マインクラフト会」を開いて、どんなゲームなのか、どうやるかなどをみんなでやり取りしています。

ゲームだけでなく、子どもって自分が好きなことを親が一緒にやってくれることで、気持ちがとても落ち着きます。自分のことをわかってくれるって思うから心も開いてくれますし。

他の習い事が続かなくても、オンラインなら続けられる

――うちの息子は、英会話教室で、受講態度が良くないと他の保護者からクレームがあって辞めたことがありました。1対1だとそういうトラブルもないかなと思い、ブランチには興味があります。うちと同じように習い事を続けられなくってブランチに来た方もいらっしゃるんでしょうか。

フリースクールや別のところがダメで、1対1の「Branch room」にやってきたという方はいますね。
ちゃみママさんの息子さんの場合、一度集団レッスンでトラブルになったのなら、他の人の目が気にならないオンラインの学習ツールや、発達障がいの子ども向けのオンライン家庭教師を利用するのもいいかもしれません。うちの会員さんも利用されていますね。

――なるほど。みなさんやっぱり子どもに向いたスタイルを探しているんですね。

うちの会員さんは、習い事などでも基本的に1対1のものを利用してる方は多いかなと思います。費用は集団に比べて高くなりますが、トラブルは減りますよね。

――私の場合、この悩みを共有できる人もいなくて、それがつらかったです。

悩みを理解してもらえないことはつらいと思います。Branchには保護者同士がオンライン上で集える場、「保護者が息抜き」する場所も用意しています。お互いの悩みを打ち明けたり、困ったことについて情報を共有したりしてますよ。

「親は悩むのが普通 自分を追い詰めないで」

――最後に発達障がいや不登校だけでなく「うちの子、あれもこれもできない」と悩む親が多いですが、そんな親に中里さんからアドバイスをいただけますか。

まずは、「悩むのが普通のことなので、自分を追い詰めないでくださいね」って伝えたいですね。
あとは、子どもが本当に好きなことがなにかを見て、それに注目してあげて欲しいです。好きなものが分かりづらい子の場合は、よく子どもが質問してくること=興味あることが多いです。

親は学業や自立に直結すること以外は、子どもが興味を持っていても軽視しがちですが、子どもが本当に好きなものに、親も一緒に興味を持って、楽しんでみてくださいね。「好き」を広げることが、子どもの「自立の種」になると思います。

取材を終えて

「Branchメンター」は「マンツーマンの習い事」だと思っていましたが、取材をしてみて、居場所を失くしかけた子どもたちに「自分のことをわかってくれる人がいる」と感じてもらうこと、自信を取り戻してもらう場所だとわかりました。
他の子と同じようにできないから、「マンツーマン体制しか選べない」のではなく、「子どものことを最優先に思い、気持ちを前向きにするためにはマンツーマン体制が良い」というBranchの考えに、ハッとさせられました。
私は、周りに迷惑をかけて親子でつらい思いをするのはイヤだという気持ちが先に立つことが多かったんですが、中里さんの話を聞いて恥ずかしい気持ちに……。
好きなことをのびのびと、同じ目線の「友だち」と一緒に追究できる場所を息子にも見つけてあげたいと、心の底から感じました。

【プロフィール 中里祐次(なかざと・ゆうじ)】

早稲田大学卒業後、株式会社サイバーエージェント入社。子会社の役員など約7年勤めた後にサイバーエージェントから投資を受ける形で独立し、「Branch」を設立。好きなことは、漫画やアニメを見ること、音楽を聞くこと、サウナ、トレイルランニングなど多趣味。


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ちゃみママ
ちゃみママ

「乗り物オタクだなと思っていた小学4年生の息子が、ADHDと判明。確かに、小さな頃から算数と乗り物のこと以外は集中力がなく、シャツから下着が出ていてもおかまいなし。他の保護者からは、自分勝手な子、だらしのない子と見られることも……。学校などからかかってくるトラブル報告の電話におびえつつ、子育てに奮闘中。外では明るく振る舞っているものの、トラブルが続くと、「私の子育て、間違っているのかな」と自問自答を繰り返してしまう。相談ができて、背中を押してくれる人やサービスを常に探し中!

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