2021.09.06
習い事Q&A 古田寛幸

日本サッカー界の天才選手はどう育った?サッカー選手の育て方・親が気をつけたいこと

天才と呼ばれる選手たちは、一体どんな幼少期を過ごしてきたの?この記事では、北海道コンサドーレ札幌で活躍した元Jリーガーであり、現在はオンラインサッカースクール「HFアカデミー」の代表を務めている古田寛幸さんが、久保建英選手、小野伸二選手、中村俊輔選手の3人について解説します。

今日のポイント

  1. 3人の日本人天才サッカー選手に注目
  2. 天才サッカー選手の幼少期は?
  3. 育成年代のサッカー少年・少女への接し方&保護者にできること
  4. まとめ

プロサッカー選手を目指すにあたり、子どもにとって最も身近な存在である保護者のサポートは必要不可欠です。たった1人の力で夢を叶えるのは難しいでしょう。接し方や声の掛け方で、子どもの成長スピードは変わります。そこで、「天才」と呼ばれるサッカー選手に注目してみましょう。

3人の日本人天才サッカー選手に注目

ここでは、日本の天才選手として、久保建英選手、小野伸二選手、中村俊輔選手を紹介します。それぞれどのような幼少期を過ごしたのかや、子どもを彼らのように育てたい場合に何を意識したら良いのかを、私なりに解説します。まずは彼らがどんな選手かを説明します。

久保建英選手

スペインリーグでプレーする久保選手。まだ20歳の若手選手ながら、天才とよく表現されています。東京オリンピック日本代表としてもプレーし、ベスト4入り大きく貢献しました。スペインリーグの名門レアルマドリードに籍を置く、日本の宝です。

小野伸二選手

観る者を魅了する足元のテクニックとパスセンスは世界屈指で、国内外問わずチームの中心選手となって活躍し、多くの功績を残しました。98年のフランスW杯では18歳で出場を果たし、それから三大会連続でW杯メンバーに選出されました。日本を代表する天才選手です。

中村俊輔選手

日本の天才レフティーと言えば中村俊輔選手です。フリーキックで世界中のゴールネットを何度も揺らしてきました。まさに日本サッカー界が生んだファンタジスタと言えるでしょう。

天才サッカー選手の幼少期は?

彼らは幼少期をどう過ごしていたのかを考えてみましょう。

久保建英選手の幼少期

2001年生まれの久保選手は、2009年に開催されたFCバルセロナキャンプでMVPに選ばれ、その後10歳でスペインの名門、FCバルセロナの下部組織の入団テストに合格し、世界トップレベルの環境で幼少期を過ごしました。

スペインへは母親と弟と渡航しましたが、10歳の時から疑問があれば積極的にコーチに聞きに行きコミュニケーションをとったり、公私共に小学生とは思えない振る舞いをしていたようです。

FCバルセロナがFIFAから18歳未満の外国人選手獲得・登録違反による制裁措置を受けたことにより、日本への帰国を余儀なくされたものの、2015年にFC東京の下部組織に入団し、中学生ながら高校生の試合に飛び級で出場、FC東京のトップチームに登録され、後にJリーグ史上最年少出場記録を塗り替えました。

小野伸二選手の幼少期

幼稚園の頃から1人でボールを蹴っていた小野選手は、小学校入学前からチームのコーチに声をかけられ、スカウトされたそうです。

つまり、彼の足元の技術やテクニックは、小さい時から見る人が見れば違いが歴然にわかるほど高度だったということです。コーチが子どもに直々にオファーを出すことは、通常ありません。それくらい天才的に上手かったということでしょう。

小野選手は、10人兄弟の貧しい家庭環境に生まれました。チームの申込書を自分で書いて送ったところ、入りたかったチームのコーチが申込書をみて「これは何かあるぞ」と思ったようです。わざわざ家まで訪問し、その後入団することに。

それからは、世代別の日本代表にも選出され、サッカー王国静岡での活躍にとどまらず、瞬く間に日本中に知られる存在となっていきました。

中村俊輔選手の幼少期

今でこそフリーキックの名手として認識されている中村選手ですが、本人はプロになるまでフリーキックに対して特別な意識は持っていませんでした。

ただし、幼少期から技術の向上には人一倍情熱を持って取り組み、雨の日も風の日も壁に描かれた「丸い的」に向かってインサイドキック、インステップキックと、距離を変えながら様々な蹴り方で練習を行なっていました。

また、公園にある地面から半分出ているタイヤを相手に見立ててドリブル練習を行い、技術を磨いていたなど、熱心に自主練に励んでいたことはよく知られています。

そんな中村選手でさえ、横浜マリノスジュニアユース(中学生)からユース(高校生)に上がれずに挫折を経験しています。しかし、その後も諦めることなく、桐光学園高等学校のサッカー部に所属しながら誰よりもトレーニングに励み、横浜マリノスからオファーを受けてプロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせました。

彼らのような天才の幼少期を知ると、練習環境、個人の意思や行動力、諦めずにトレーニングを重ねる日々の努力といった様々な要因が、いかに道を切り開いてきたかが伝わってきます。

育成年代のサッカー少年・少女への接し方&保護者にできること

では、これまでに紹介した天才たちのように、子どもにも素晴らしい選手になってもらうためには、保護者はどうしたら良いのでしょうか。ここでは、子どもとの接し方について考えてみましょう。

保護者からよく質問されることの一つに、「自分にサッカーの知識がないので何と声をかけたらいいか分からない」という悩みがあります。

親である以上、子どものことを応援するのはもちろん、頑張ってほしい、結果を出してほしいと力が入ってしまうのはよく分かります。しかし、注意も必要です。親からの期待をプレッシャーに感じてしまったり、プレーのことをとやかく言われたくないと思っている子どもはとても多いです。大切なのは「サポートしてあげること」でしょう。夢に向かう子どもの背中を押してあげるような、優しいサポートが必要でしょう。

具体的には、子どものプレーの評価をしないことが大切です。評価をするのはコーチの仕事です。親は、結果が出ても出なくても、優しく包み込んであげて肯定してあげましょう。天才選手の幼少期を意識するがゆえに、要求が高度になりすぎてしまうこともあるかもしれません。

もちろん、もし子どもが誰かを傷つけたり、暴言を吐いたり、1人の人間としてあるまじき行為をした際には、しっかり指摘してあげる必要があるでしょう。そうでない場合は、子どもとの適切な距離感を保ち、適度な声かけを行うことで、親子関係が良好に保たれ、子ども自身もグングンと成長していくことでしょう。

つぶれていく「元天才」とプロ選手の違い

幼少期は抜群に上手く、世代別代表で常連の天才選手だったとしても、プロになれるとは限りません。その後の努力や身体能力などももちろん関わってきますが、私の中では「適応力」と「目標設定」が要だと考えています。

・適応力について

まずは目まぐるしく変わる環境に順応できるかが大切です。サッカーをしていると所属チームが変わったり、コーチが変わったり、チームメイトが変わったり、戦術が変わったり、求められることが変わります。

その時にあたふたして思考が停止してしまう選手や、上手く馴染めなくてやる気を失ってしまう選手は少なくありません。より高いレベルでプレーするためには、「今ここで何をすべきか?」「ここでは何を求められているのか?」ということを瞬時に判断していく必要があります。

・目標設定について

目標設定とは、「自分はどこを目指しているのか?」「どういう人間になりたいのか?」という自分の理想像を明確にすることです。もちろん、全員がプロサッカー選手を目指してプレーしているわけではありません。が、プロサッカー選手を本気で目指すのであれば、その目標からブレてはいけません。

友だちが思い出作りをして遊んでいる間も誘惑と闘いながらトレーニングに励むのは簡単ではないでしょう。誘惑に打ち勝つためには目標設定が重要です。それも、確固たる意思を持った目標が必要なのです。

例えば「この大会で優勝する」や「卒業したらプロになる」という目標が決まったら、あとはゴールに向かってコミットするだけです。それができずにいると、様々な誘惑に負け、サッカーに対するモチベーションも下がりやすくなってしまいます。

私自身、学生時代には才能があって天才と呼ばれていたような選手がサッカー以外の道に逸れていってしまう光景を見てきました。それも人生の選択肢の一つですが、プロになれた選手となれなかった選手との違いは、適応力の低さと目標設定の甘さにあったのではないかと感じています。

コーチ・指導者の選び方

基本的に、コーチや指導者は自分で選べるものではありません。実際に所属してみなければ、相性が良いのか?どんな人なのか?を知ることもなかなかできません。

最近は、クチコミなど、インターネットで得られる情報が多いため、事前にある程度リサーチすることはできます。そこで自分の価値観や求めていることと合いそうな取り組みをしているチームやコーチを探し、まずはコンタクトを取ってみましょう。連絡さえ取れれば、練習参加への案内や、詳しい話をすることもできます。積極的に行動することをおすすめします。

本当に良い選手はコーチから連絡してくる場合もありますが、人間関係も自分から切り開いていかなければ、チャンスはなかなか掴めません。

今では、私のようにパーソナルコーチをしている方もいます。オンラインでコーチングを受けることもできます。サッカーの技術だけでなく、メンタルや栄養のサポートをしてくれるトレーナーやシェフをつけている選手もいます。まずは、今の自分に足りないところ、求めているものを親子で明確にし、それに合うコーチの情報を探して積極的にアプローチしましょう。

子どもが成長の壁に突き当たっているときの接し方

サッカーをしていると、様々な状況があります。プロでさえずっと上手くいくことなどなく、プレーや結果の波に苦しむものです。

プロなら自身で解決していくか、先輩やメンタルトレーナーなどからのアドバイスで解決する方法がありますが、子どもは自分の悩みや課題を他人に相談するのが難しい場合もあります。

そこで重要なのはやはり保護者の存在です。ポイントは「距離感」と「コミュニケーション」です。私が思う最もやってはいけないことは、子どものプレーの調子が悪かったり、壁にぶち当たっている時に、ガミガミ怒ったり、否定したりすることです。

例えば、「お前そんなんじゃいけないぞ」「お前の頑張りが足りないからだ」など、親がコーチになっている場合があります。人格やプレーそのものを否定するのは、子どもがやる気を失うキッカケとなり、結果的にサッカーが嫌いになることもあるでしょう。

私は見守るスタンスが重要だと感じます。伸び伸び成長している子どもを見ていると、親は無償の愛で子どもと接し、どのような結果を出そうと否定しない方が多い印象です。親はあくまで見守る、サポートするというポジショニングが大切です。

「押せば押すほど反発する作用がある」ということを忘れないようにしましょう。

学業との両立

子どもの学業とサッカーの両立に頭を悩ませる保護者は多いでしょう。サッカーの練習が夜まであったり、遠征で土日が潰れたり、疲労で勉強に集中できなかったり、サッカーに打ち込めば打ち込むほど、学業が疎かになる理由は増えます。保護者にも「学業と両立するためにはどうすれば良いですか?」とよく質問されます。私は「スケジュール管理が重要です」と答えます。

練習場所や練習時間が次々に変わると、次第に生活習慣が乱れ、スケジュールがぐちゃぐちゃになります。「隙間時間に勉強しよう」と思っても、結局疲れて寝てしまったり、朝寝坊してしまったりして、良い習慣を作ることが難しくなります。重要なのは、しっかりと1日のスケジュールを把握し、予定を立てておくことです。何時から何時までは練習、何時から何時までは勉強というように、自己管理能力がとても大切になります。

1日10分でも勉強するだけで、1週間で1時間10分、1カ月で5時間勉強できます。これを数カ月、数年と続ければ、スケジュール管理をしていない選手や、良い習慣を築けていない選手との差は歴然になります。

親がしっかりとサポートして、子どもがサッカーと勉強のスイッチをスムーズに切り替えられるような環境作りに励みましょう。

食生活の管理方法

サッカー選手を目指す以上、食事もトレーニングの1つとして捉えることが大切です。それくらい私たちは食べる物で体調やパフォーマンスが変わります。とはいえ、子どものうちから正しい食生活を過度に押し付けるのは危険もあります。「これを食べなさい」「全部食べ終わるまで許しません」など、本人の意志や状態を無視するような態度で接すればますます食べなくなりますし、トラウマになる可能性もあります。

そして、子どもは「自分が今何を欲しているか?」を本能的に感じ取っているため、甘いジュースやお菓子を求めるのは、身体が糖分を欲しているとも言えます。大切なのは、必要だからと無理に強いることなく、欲しがるからと言って与え過ぎることなく、バランスを取ることです。

例えば、糖分はジュースやお菓子ではなくフルーツで取るなど、栄養素をなるべく自然な食事から摂取するように心掛けることは大切でしょう。そもそも家にお菓子やジュースは置かないことも心がけるべきでしょう。いくら意識していても目の前にそれらが置いてあれば誘惑に負け、口にしてしまいます。

練習と同じように、「土日だけは何を食べても良い日にする」などとメリハリをつけると、ストレスなく良い習慣を継続することができるでしょう。

子どもが重傷を負った場合の対処法

サッカーに怪我はつきものです。全く怪我をしないでずっとプレーできる選手は一握りでしょう。しかし、最大限怪我を予防する方法はあります。日頃から練習前にストレッチをしたり、筋力トレーニングをしたりと、やれることはたくさんあります。

また、万が一怪我を負ってしまったとしても、しっかりとした対処方法を身につけておけば、早期復帰が期待できます。

具体的にはまず、怪我の原因、内容、復帰までのプロセスを的確に提示してくれるドクターを見つけることです。病院によって検査結果やリハビリの内容が違います。クチコミや知り合いからの紹介で最適なドクターを探しましょう。

メンタル面でのサポートも重要です。コーチや保護者が子どもに対して行うのが良いでしょう。サッカーをプレーしている選手は、大会の成績や結果からくる挫折も味わいますが、怪我を理由にした挫折も珍しくありません。怪我がきっかけでプロ選手を諦めた学生も多いでしょう。

怪我をした時は、感情がセンシティブになっているので、ネガティブな方向に行きすぎないよう、サッカー以外のアクティビティで気を紛らわすのも方法の1つです。今までできなかった趣味に没頭できるようにするなど、子どもがリフレッシュする環境を作ってあげましょう。

怪我をしている期間は心身ともに強くなれるチャンスです。怪我を前向きに捉え、これを乗り越えたら素晴らしい未来が待っているということを伝えてあげましょう。家族、チーム全員でサポートしてあげましょう。

子どもが海外のサッカーチームでプレイしたいと言い出したら?

私の個人的な意見を言えば、子どもには間違いなく日本とは違う外の世界を見せておいた方が良いでしょう。世界観が広がります。

日本を出ることで日本の良さに気がつくこともあるものです。文化やマインドが違う国では、求められることも違います。海外は怖い、危ない、心配、かもしれませんが、様々な国の様々な選手から影響を受ければ、その分自分自身の能力の幅も広がっていくでしょう。

もし子どもが海外に行きたいと本気で言っているのなら、何としてでも行ける方法を探った方が良いと考えます。もちろん費用のことや学業のことなど、難しい要素はたくさんあります。全員が全員達成できるわけではないでしょう。しかし、幼少期に海外に行った経験は、一生の財産になります。海外留学は、エージェントを使って行く方法や留学支援をしている会社がたくさんあります。しっかり親子でリサーチしましょう。

これは、日本が海外に劣っているということではありません。日本には優れたチーム、環境がたくさんあります。しかし、海外には、日本にいては理解することが難しい文化の違いや価値観、様々な人種の人々と直接交流する機会に恵まれ、多くの刺激を得ることができるでしょう。ぜひチャレンジすることをおすすめします。

まとめ

天才サッカー選手の幼少期と、子どもを天才選手に育てるためのヒントを紹介しました。

天才と聞くと、最初から才能があるように感じられ、つい「凡人の自分には無理だ」と卑下したくなることもあります。が、今回紹介した選手たちも、見えないところで並外れた努力を積み重ねてきています。決して、楽々と成功したわけではありません。

サッカー選手になるチャンスは誰にでもあり、努力次第で天才たちと肩を並べてプレーできる可能性はあります。

私は、自分の才能や能力を過信した結果、フィールドから去ることになった天才たちを何人も見てきました。結局最後に勝つのは、才能があってもなくても、継続した努力ができる人間です。

身を置く環境にこだわり、出会う人を大切にし、パフォーマンスをあげるための食生活を意識し、国内だけでなく、海外に目を向け自分の世界観を広げれば、サッカー選手として無限の可能性が広がっていくでしょう。

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古田寛幸
古田寛幸

オンラインサッカースクール「HFアカデミー」代表。8歳離れた兄の影響でボールを蹴り始め、地元のサッカー少年団に入った。中学、高校は北海道コンサドーレ札幌のアカデミーに所属し、世代別日本代表に選ばれ、海外遠征を何度も経験。当時チーム初の飛び級で高校3年生時にトップチームへ昇格。その後数々のチームを渡り歩き、J1、J2、J3全てのカテゴリーでプレーした。

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