2021.09.15
習い事Q&A 橋元良明

1歳児の10%がスマホ依存!子どもがスマホ依存になる原因と対策4つを紹介

今や10代後半から20代の99%近くがスマホを利用する時代。我々の調査では0歳児の34.9%がすでにスマホに触れています(※)。スマホが手放せず、生活が乱れたり、学業や仕事に支障が出たりする「スマホ依存」が社会問題化していますが、スマホ依存の傾向は乳幼児にも広がりつつあります。子どもがスマホ依存にならないために親はどんなことができるのでしょうか。育児とスマホ問題に詳しい東京女子大の橋元良明教授が調査データをもとに解説します。

※ 調査は0~6歳までの子どもをもつ母親2272人を対象に、2018年10月に橋元良明氏・久保隅綾氏・大野志郎氏が実施。

<今日のポイント>

  1. スマホ依存とはスマホのことばかり考えて日常生活に支障が出る状態
  2. スマホ依存かどうかは8つの基準を参考に
  3. 1歳は10%、6歳は15%がスマホ依存の傾向がある
  4. スマホ依存の原因は家庭や学校での不満が関係しているかもしれない
  5. スマホ依存の対策は趣味を持つ、家庭内でスマホのルールを設けるなど

スマホ依存とはスマホのことばかり考えて日常生活に支障が出る状態

スマホ依存とは?

A. スマホのことが頭から離れず、日常生活に支障が出る状態をいいます。

橋元教授提供

我々の調査データによれば、0歳児でも1歳近くになると30%以上の子がスマホに引きつけられ、とくに動画から目を離さないという結果が示されています。スマホを取り上げると泣き叫んだり、食習慣が乱れたり、寝付きが悪くなったりするなどの症状が出たら要注意です。年齢が上がるにつれ、ゲームに夢中になる子が増えていき、依存が深刻化する場合もあります。

スマホ依存になるとどうなるの?

A. 生活が乱れたり、健康を損ねたり、親の言うことを聞かなくなったりすることがあります。

小さいときから長時間、スマホ画面を見続けると視力が低下し、早くから近視になる確率が増します。また、運動不足から体力低下の原因にもなります。ついついスマホの利用時間が延び、生活のリズムが乱れ、日中、ぼーっとすることもあります。幼稚園や小学校に通う子では遅刻につながることもあります。

こんな行動をしていたらスマホ依存かも!?チェックリストを紹介!

アメリカでネットの普及初期にキンバリー・ヤングという心理学者がネット依存を判断する8項目基準というのを提唱しました。そこから、乳幼児のスマホ依存用に少し作り替えたのが次の8つです。この8つのうち、5つ以上に該当すればスマホ依存が疑われます。

  1.  すぐにスマホを見たがる
  2.  やめようねと言っても、スマホを見るのをやめない
  3.  スマホを取り上げると機嫌が悪くなる 
  4.  スマホを見てもいい時間を決めても守らず離そうとしない
  5.  スマホに夢中で親や友達との約束をすっぽかしたり、ご飯を食べなかったりする
  6.  他にやることがないのでスマホをいじることが多い
  7.  スマホをいじっていたのに、していなかったフリをすることがある
  8.  必要もないのにいつまでもだらだらスマホをいじっている

①はスマホのことが頭から離れない「没入」状態、②は自分でコントールができない状態、③は、スマホから引き離されると精神的に不安定になる「禁断症状」、④は時間的な過剰、⑤は実生活上のトラブルが生じること、⑥は現実からの逃避的な利用、⑦は行動の隠蔽現象、⑧は利用について麻痺している状態をそれぞれ表しています。

1歳は10%、6歳は15%がスマホ依存の傾向がある!

子どもの間でもスマホ依存は広がっているの?

A. 筆者と総務省が毎年共同で実施している全国調査で10代のネット依存率は14.1%でした(2020年度)。それと比較しても10歳未満の子どもの依存率は高い数値を示しています。我々の調査では、依存傾向にある乳児は1歳で9.9%、6歳で14.9%がスマホ依存傾向にあります(※の調査)。 

※依存傾向はヤングの8項目基準をもとにした上記のスマホ依存診断基準を活用し、8項目中5つ以上該当で「依存傾向」と判断している

橋元教授提供

子どもが小学校に通うようになり、SNSを利用するようになると女子の依存度が高くなる傾向が調査の結果で判明しました。女子の場合、ファッションや買物サイトの利用も依存と関係することがあります。一方、男子は、一部の子でゲームを長時間利用し、依存状態になる子が増えてきます。

親の依存傾向が高いと子どもも依存しやすい!?

A. 調査データでは、母親のスマホ依存傾向が強いと、子どもも依存傾向が強いという結果が示されています。子どもが母親の行動をまねする結果だと考えられます。また、高収入、高学歴、専業主婦の家庭の子どもはスマホの依存率が低い傾向が見られました。子守り代わりに子どもにスマホを使わせることが少ないからだと考えられます。

スマホ依存は家庭や学校での不満が原因かも!?

スマホ依存の原因の一部には、以下の3つのことが考えられます。それぞれの原因を解説します。

①学校での不満

学校の学習についていけない、いじめにあっているといった場合、悩みを聞いてくれる友人が少なければ、男子はゲーム、女子はショッピングなどのネットサーフィンでスマホびたりになることがあります。また、男女を問わず、学年が増すにつれ、動画の視聴もスマホ依存の原因になります。

②家庭での不満

親がまったくかまってくれなかったり、逆に過度に干渉したりする場合も、子どもの依存度が高くなる傾向にあります。いずれも、家庭に対する不満が強くなり、そこでも居場所がなくなって、スマホの世界に逃げ込むわけです。

③生活目標の喪失

10代の子がスマホ依存になる場合、スマホで時間をつぶす以外、ほかの楽しみがなかったり、自分の居場所がなかったりして逃避先としてスマホ利用に走るケースが考えられます。

スマホ依存は、スマホをいじるのが楽しいからという理由だけで依存状態になることはあまりなく、必ず背後に複雑な要因が絡んでいます。スマホを取り上げたり、病院に行ったりしても、「学校や家庭に不満がある」「居場所がない」という根本的な原因を解決しないとスマホ依存は解決しません。

「eスポーツ」はやらせても大丈夫なの?

A. 大丈夫です。

サッカーなどのクラブ活動や文化活動、社会活動などはいくら長時間、それに費やしても「依存」とはいいません。なにか「目標」ある場合は、切磋琢磨することで本人のためにもなります。基本的に「依存」は、日常生活からの「逃げ」であり、何らかの実害を伴うものです。そうした意味で「競技に勝つ」などの目標を立てて「eスポーツ」に取り組むことは奨励されることです。

  スマホ依存になってしまったときの対策を4つ紹介!

もし、お子さんがスマホ依存になってしまったと思われる場合、次のような対策を考えてみてください。

①趣味をもつ

読書、楽器の演奏、スポーツ観戦、プラモデル作りなど、何でもいいので多くの趣味を持ち、スマホ利用以外に時間つぶしの手段を分散させること。

 ②外出の機会を多くする

運動や散歩、買物など、外出の機会を増やし、行動面でもほかのことに関心を向け、気分転換を図ること。

③生活目標をもつ

習い事、勉学や学校のクラブ活動など、何か生活の目標をもち、その達成に生きがいを見いだすこと。

 ④家庭内でルールを設ける

スマホを使う時間帯、利用時間、家族そろっての食事時など使うべきでない状況、料金の上限など、スマホを使うルールを設ける。ただし、調査では、「成績が落ちたらスマホを使わせない」などの脅しは逆効果であるとの結果があるので注意しましょう。

もし親の忠告にまったく耳を貸さなくなったり、引きこもりや家庭内での暴力にまで状況が悪化したりした場合は医師やカウンセラーなどの専門家に相談しましょう。お子さんも悩みを聞いてくれる第三者を求めているのかも知れません。親だけで相談に行っても解決の糸口が見いだせる場合もあります。乳幼児の場合は、たとえ子どもが泣いてせがんでも、スマホの動画は見せない時間をつくるなど、強い措置が必要です。

橋元良明教授からのメーセージ

お子さんが常にスマホをいじっている、というだけではスマホ依存ではありません。学校生活や周りとの関係がうまくいかず、スマホに逃げ込んでしまうことがスマホ依存のはじまりです。そのために、日ごろからお子さんと密なコミュニケーションをとり、子どもたちが発するSOSのサインを見逃さないことが重要です。その意味でいじめ対策とも共通のものがあります。

関連記事:子どものスマホは何歳から持たせるべき?注意点やスマホを使うためのルールを紹介

橋元良明
橋元良明

1955年京都市生まれ。東京大学情報学環教授を経て2020年から東京女子大学教授。専門はコミュニケーション論、情報社会心理学。ネット社会における諸問題、メディアが青少年に及ぼす影響などについて、調査をベースした研究を続けてきた。これまで社会情報学会会長、BPO青少年委員会委員、総務省情報通信白書編集委員などを歴任。主な著書に、『ネオ・デジタルネイティブの誕生』(ダイヤモンド社)『メディアと日本人』(岩波書店)など。

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