2021.10.01
習い事Q&A 小内三奈

シュタイナー教育とは?子どもはどう育つ?特徴やメリットを解説し、疑問を解消

モンテッソーリ教育と並んで幼児期の教育として知られる「シュタイナー教育」とはどのようなものなのでしょうか。具体的な特徴、効果や園での活動内容について、「横浜シュタイナーこどもの園」(横浜市)に勤める高橋幸恵先生に話を伺いました。シュタイナー教育の疑問をわかりやすく解説します。

<今日のポイント>

  1. シュタイナー教育とは「自分で考え、判断し、行動できる人間」を育てるためのメソッド
  2. シュタイナー幼児教育は0~7歳までの第1期を指し、「本物」の感覚を体験できる遊びが満載
  3. 1日、1週間、1年のリズムを大切にしたカリキュラムで、独自の運動芸術やリズム遊びがある
  4. 幼児期は体と意志を育むことに重点を置いているので、デジタル機器の使用は控えている

「自分で考え、判断し、行動できる人間」を育てるためのメソッド

ひたすら紐を結び、美しいパターンをつくる「情景遊び」=横浜シュタイナーこどもの園提供

まずはシュタイナー教育が生まれた歴史的背景や概要などについて解説します。

シュタイナー教育とはどういうものなの?

A. オーストリア出身の思想家、ルドルフ・シュタイナーによって提唱された教育法です。シュタイナーの人間観では、人は7年ごとに成長し、それぞれの発達課題があると考えます。7年周期で設定したその年齢にふさわしい環境や学びを通して「自分で考え、判断し、行動できる人間」を育てる教育法です。

第1次世界大戦直後の1919年、ドイツのシュトゥットガルトに最初のシュタイナー学校が誕生したのがはじまりです。2021年5月現在、世界約90カ国以上に小中高の一貫校が約1250校、幼稚園が約1900園あるといわれています。シュタイナーの思想や人間観は、医学・農業・建築・芸術・社会論など多岐の分野に影響を与えています。

日本国内ではどれだけ普及しているの?

A.  「日本シュタイナー幼児教育協会」に加盟している幼児教育の園は、全国で約70園あります。

モンテッソーリ教育などと違い、小中高の一貫校があるのが特徴的で、日本では7校存在します。シュタイナー教育を受けた著名人として「モモ」「はてしない物語」の作家ミヒャエル・エンデさん、日本では俳優の齊藤工さんや村上虹郎さんらが有名で、いずれも学齢期にシュタイナー教育を経験しています。

シュタイナー幼児教育の特徴4つを紹介

板、すのこ、かごなどの素材を組み合わせ、車をイメージして遊ぶ子どもたち=横浜シュタイナーこどもの園提供

ここでは、シュタイナー幼児教育ならではの特徴を4つ紹介します。

 ①誕生から7歳までの第1期がシュタイナー幼児教育

0~7歳までの第1期が、シュタイナー幼児教育の期間となります。この時期にたくさん遊ぶことで、自分自身の器となる「体」をつくり、生きていく力=「意志」を育てます。ちなみに、第2期(7~14歳)では「心・感情」、第3期(14~21歳)では「頭・思考」を育み、体・心・頭がバランスよく働き合って自分の夢を自らの力で叶える力を身につけます。

 ②少人数・異年齢混合の「自由遊び」で体をつくる

どんぐり、紐や布などを組み合わせて遊ぶことで、次第に手先が器用になり、全身を使った遊びを通して全体のバランスを育ていきます。自然に触れながら四季を感じる遊びも大切にしています。少人数・異年齢混合のクラスで兄弟姉妹のように過ごすうちに、年下は年上の様子を見て憧れ、年上は年下への配慮など、他者を認め合い、ともに成長していく関係性が生まれます。

 ③本物の感覚を「体験」する

羊毛と木の実を触る子どもたち。幼児期は全身の感覚を養います=横浜シュタイナーこどもの園提供

教室には、温かみがある優しい感触の自然素材のおもちゃばかり。みかん、白樺、桜の木など多種多様な木で作られた積み木、ウール100%の毛糸の紐、羊毛など。肌触りや素材から伝わる温かさ、色、においなどを体験し、感覚を通して周囲の世界を自分の内側に吸収していきます。本物の自然素材のおもちゃにこだわっているのは、子どもがその後の人生で何が真実であるかを感じ取る力につながるためです。

必要以上に作り込まれていないおもちゃは、子どもの想像力や創造性を育みます。木片が電車になったり、木の実がごちそうになったり。子どもは元来ファンタジーを持っているのです。それを思う存分発揮できる環境が必要です。

 ④「模倣と手本」を通して「意志」を育てる

子どもは目の前の大人の言葉や動きを真似しながら、さまざまなことを身につけます。「こうしてね」「それはだめよ」の言葉は不要です。シュタイナー園では、教師がおやつをつくったりおもちゃの補修をしたりする傍らで子どもが自由に遊ぶのが日常です。すると子どもは、自分の「意志」で大人を真似したくなるものです。その子の意志を育てるため、大人はいつでも子どもの良い模範であることが大切です。

 シュタイナー園ならではのカリキュラムを紹介

シュタイナー園での1日の過ごし方やカリキュラムについて紹介します。

横浜シュタイナーこどもの園での1日の過ごし方は?

A. 1日、1週間、1年のリズムをつくり、繰り返しを大切にするカリキュラムになっています。

2020年度のスケジュール=横浜シュタイナーこどもの園提供 

2020年度のスケジュール=横浜シュタイナーこどもの園提供

登園から室内遊び、体遊び、おやつ、外遊び、降園と続く、1日の活動のリズムを大切にしています。曜日ごとに決まっている活動を通して1週間のリズムが生まれ、季節に合わせた手仕事や行事を通して1年のリズムが生まれます。毎日繰り返すことで、子どもは「やっぱりそうだった」と安心できるもの。子どもが周囲を信頼する力、自らやってみようという意志を育む力へとつながっていきます。

ここからはシュタイナー幼児教育ならではのカリキュラムを7つ紹介します。

①ライゲン

季節の歌、生活の出来事などをテーマに、みんなで輪になり、言葉や歌に合わせて体を動かすリズム遊びです。梅雨の時期には「雨が降る雨が降る・・・」、学期末には布を洗濯するので「洗濯おばさん」など、実体験をテーマに体全体を使って表現します。

②素話・人形劇

カーテンを閉めて集中できる環境を用意し、グリムや日本の昔話などを大人が語り聞かせます。絵本の読み聞かせではないので、子どもは内面でイメージを生み出さなくてはなりません。人形劇で使う人形には、あえて目鼻口をつけず表情を控えています。子ども自身の想像力でお話の世界を感じてもらいます。

③ 曜日ごとのおやつづくり

園庭で収穫した梅で毎年梅干しを作ります=横浜シュタイナーこどもの園提供

月曜日は「玄米給食の日」。玄米と具沢山のお味噌汁をいただきます。給食やおやつは素材の味わいを大切に穀物を中心とした素朴なメニュー。木曜日のおやつはライ麦パン。子どもたちと石臼で粉をひくところから始め、酵母も自家製です。室内ではカレンダーや時計を置かず、曜日ごとのおやつや活動を通して、時間感覚を体験から身につけていきます。

④にじみ絵

にじみ絵に取り組む子どもたち=横浜シュタイナーこどもの園提供

水で湿らせた大きめの画用紙に、赤・黄・青の水で薄めた透明水彩絵の具を絵筆で広げていきます。色の交わり、動きを味わう芸術体験です。作品を飾ることはせず、体験を味わいます。

⑤自然と触れあう体験

水曜日は「ピクニックの日」。広い公園で走り回り、みんなでおにぎりを食べます。雨の日もレインコートを着てお散歩します。室内には季節の花を花瓶に生けて飾り、季節の情景をあらわす手作りの人形などを置いています。

⑥オイリュトミー

シュタイナー教育独自の、全身を使った運動芸術です。幼児オイリュトミーでは、季節の詩やお話、風や波の音などをいきいきと表現します。子どもたちの意志の力を育みます。

⑦手仕事・お手入れ(掃除)

布のはぎれやフェルトを使って縫い物をします。いすや机にみつろうワックスを塗ったり、布などのおもちゃを手洗いしたりします。きれいにするだけでなくもうひとつの大きな目的は、洗濯の過程を体感すること。洗い、すすぎ、しぼり、干すという一連の流れが見渡せるようにタライを並べ、物事の道筋、順序、論理などを言葉でなく体感します。

テレビ、スマホNGって本当?シュタイナー教育の疑問を解消!

目や口が描かれていない、もしくは表情が控えめな人形で遊びます。表情を想像できる余地を残しています=横浜シュタイナーこどもの園提供

テレビやCD、スマホ・タブレットなどのデジタル機器は使うの?

A. 7歳までは、子どもの土台となる体、意志を育む重要な時期。入園前に、いずれもデジタル機器の使用は控えるように保護者にお願いし、納得いただいた上で入園いただいています。

どれだけデジタル化が進んでも幼児期に相応しい過ごし方に変わりはありません。体を動かし、感覚を働かせて(見たり、触ったり、嗅いだり、味わったり)本物の世界を感じること。子どもは見たもの聞いたものを全て信じてしまうもの。自分の基準や判断力がついてから使うことが望ましいのではないでしょうか。周りの大人は、ぜひ幼児期に適切な環境を用意してあげてほしいと思っています。

 文字や数字は教えないの?

A. 基本となる体をつくる活動に重きを置いているため、園の中では文字や数字は教えていません。

文字を書くにはまず手指を思い通りに動かせること、手首の柔軟さも必要となるので、まずは基本となる体づくりの活動を重視しています。何となく文字や数字の練習をはじめるのと、体の準備が整い興味が膨らんだところではじめるのとでは学びに対する喜びや意欲が大きく異なります。

  進路先・学費の相場・親の声

竹ぼっくりや竹馬で遊びながらバランス感覚を養います=横浜シュタイナーこどもの園提供

進路先は?

A. シュタイナー教育の理念に共感して通ってくださる方がほとんどなので、横浜シュタイナーこどもの園には、東京23区、鎌倉など遠方から通われている方もいます。卒園後は地元の小学校へ進む子どもが約75%、シュタイナー学校へ進む子どもが約15%、国立・私立小学校に進学する子どもが10%程度です。

 学費の相場はどのくらいするの?

A. 学費は施設によって様々ですが、当園の入園料は12万円、保育料は月額約4万円、別途年度更新料約5000円の施設料が必要となります。幼児教育・保育無償化により、認可外保育施設の届け出を出している施設は補助金が出るようになっています。当園も届け出をしています。※ 全て税込み

実際に通っている親の声は?

6歳、3歳の姉妹を通わせている保護者は「はじめて教室に入ったとき、外の世界と時間の流れが違って私自身も居心地がいいと感じた。3歳児でも待つ、集中することができるのがシュタイナー園。自分を信頼できる子どもに育っているので、小学校に行っても大丈夫!と安心していられます」と話してくれました。
5歳(女)、3歳(男)を通わせる保護者からは「入園前は手がかかって子どもに振り回されていたのに、園と同じように生活のリズムを大事に生活するとぐずぐず言わなくなり子育てに余裕を持てるようになった」との感想を聞くことができました。

髙橋幸恵さんからのメッセージ

幼児期には、ゆったりとした自由な時間が必要です。子どもは「ありのまま」で大丈夫です。大人が何かを教え込んだり、すぐに正解を教えるのではなく、子どもが自らの意志で試して自分で気づく、その過程を通して世界を知ってゆくのです。幼児期のこのような日常こそが、主体的に生きていく土台になります。

 【プロフィール:髙橋幸恵(たかはし・さちえ)】

小内三奈撮影

会社員を経て現職。子育て中にシュタイナー教育に出合い、2014年から横浜シュタイナーこどもの園に勤める。2016年に保育士資格を取得。現在シュタイナー幼児教育教員養成講座3期生で、3〜5歳児のさくらクラス担任。

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小内三奈
小内三奈

ライター・インタビューアー。ビジネス・教育分野を中心に、新聞、雑誌、Webメディア等で執筆中。経営者や教育現場への取材の他、教育書・児童書の書評を執筆。その他、旅行、グルメ等幅広いジャンルに取り組む。好奇心旺盛でキラキラした子ども時代を過ごしてほしいと願い、「今、この瞬間」を大切に育児に励む2児の母。子どもの頃熱中したのはピアノ。4歳から高校1年まで続け、最後の演奏曲はショパンのノクターン。

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