2021.10.05
学びをはぐくむ 石田勝紀

第11回「未来で活躍できる子になる5つの家庭教育」教育専門家・石田勝紀さん

目の前の子どもの言動が気になることがあります。また、学力の高低も気になることでしょう。それらも大切なことですが、そのような現在の状態を変えていこうとする視点とは別の視点を紹介します。それは、「未来の子どもにとって必要なこと」と未来視点で考えてみるということです。未来の子どもに必要なことは現在も必要なことであり、基盤となる能力や資質になります。それを5つの点に絞ってまとめてみましたのでご参考いただければと思います。

視点を目の前の子どもから未来の子どもへ

「子どもへの教育視点を『今』に置いていますか?それとも『未来』に置いていますか?」
このように聞かれたらどうお答えになるでしょうか。

「本当は未来に置かなければならないかもしれないけど、目の前のことが気になる」というのが本音かもしれません。子育ては一大“事業”であり、日々息つくまもなく連続体でやってくるものですから、当然そう思われることも無理はありません。

私は、子育ては「子どもへの愛情」をもって育てていれば、多少ガミガミがあったり、イライラがあったり、子どもへの期待から自己肯定感を下げてしまう言葉を使ってしまっても、最終的には全く問題がないと思っています。ということは、ほとんど多くの子どもは大丈夫であるということです。

しかし、最終的には問題なくても、そこへ至るプロセスで「楽しみあふれる日々」と「イライラに基づく苦悩の日々」の2つのルートがあるため、できれば前者を選択したいものです。

未来から見たら、失敗も経験

そこで提案することが「子どもの些細な目の前の出来不出来に視点をおくのではなく、将来に向けての基盤となる教育に視点をおく」ということです。

人間は目の前の出来事に一喜一憂してしまいます。でも、そのときに、ふと「未来から見たら今のそれ、どうなの?」と考えてみるのです。例えば、今、失敗をしたとしましょう。それはそれでいい気持ちはしませんが、未来から今を見たら、「あのとき(今)の失敗が教訓になっていたから、今大きな失敗もせずに(未来)順調にやっていけている」という経験を1つや2つされたことがあることでしょう。

ですから、子どもの教育でも、同年齢の子と比べて、まだ漢字が書けない、数字の概念がまだないという目の前の悩みを持つよりも、「未来のこの子にとって大切な教育って何かな?」と考える方が、楽しいですし、子どもにも余計な負荷をかけずにすみます。

未来から見た5つの家庭教育

そこで、未来から見た、目の前の子どもにできる家庭教育として5つの点をご紹介します。

(1)自己肯定感を上げる(長所を伸ばす)

どのような子どもにも長所が必ずあります。しかし、その長所が「勉強が得意」「記憶力がいい」「読書好き」という勉強関係以外にあることが少なくありません。それにもかかわらず学校教育では基本的に学力で評価をされます。入学試験がその代表例です。友達との交流が得意という長所があっても、それだけでは入試は合格できません。しかし、世の中に出ると、その長所が自分の仕事や人生を豊かにしていくことはよく知られていることです。

このように子どもが持つ長所が今後の人生で役立つものであるにもかかわらず、学校教育では基本的に学力で評価をされることが少なくないため、子ども自身も「勉強ができない=自分はなんの取り柄もない人間」と定義し、自己肯定感を低下させることもあります。

ですから、未来のためにも、子どもの長所を見つけ、伸ばしてあげることをお勧めします。その結果、子どもの自己肯定感はぐんぐん上がっていくことでしょう。

(2)社会道徳・慣習・生活習慣を教える

子どもは大人に比べて社会経験が少ないため、まだ世の中のことがわかりません。したがって、大人が社会道徳、慣習、生活習慣について「教えて」あげるといいでしょう。このような当たり前のことをなぜ書いているかといいますと、「教える」のではなく、「叱る、怒るという感情を伴う命令口調」で伝えてしまうことがあるからなのです。それは、教えているとは言いません。その結果、子どもには「内容」は伝わらず、怒っているという「感情」だけが伝わってしまうため、本末転倒になってしまうのです。その結果、子どもはまた同じことを繰り返してしまい、叱りループが始まることになります。

ですから、まずは教えてあげましょう。そのときのコツは「自分の子どもではなく他人の子どもであったら、どう伝えるか?」と考えてみると冷静に対応できることがあります。

(3)考える力をつける

時代が急速に変化し、新しいものが生まれ、古いものがなくなるという状態の中で、時代が変わっても通用する能力、それが「考える力」です。この力さえ身に付けておけば、どのような時代になっても、どのような科目やどのような分野を学ぶ状況になっても対応できます。

考える力の具体的なつけ方については別のコラムで書いていますのでぜひそちらをご覧いただくとして、ここでは簡単に次の事だけ記しておきます。

考える力は「問われること」によって身につけることができるということです。「なぜだと思う?」と聞かれれば、「なぜ?」に焦点が合います。すると、考え出すのです。一人で「考える」ことができる子もいますが、極めて稀なケースです。一般的には、「誰かから問われたときに人は考える」ということを知っておくといいでしょう。

(4)自分の意見を持つ

子どもには、自分の意見が言える場を作るといいでしょう。

自分の意見を主張する現象の一つに「反抗期」があります。この自己主張はまさに、主体性の一部なのですが、親は反抗してきたことにショックを受けてしまい、それをネガティブなことと捉えることがあります。欧米では、子どもが小さいときから自分の意見が言えるようにしているといいます。もちろん、意見が言えるだけで協調性がなかったり、独善的でありすぎたりすることは良いことではありませんが、まずは意見が持てるという主体性の確保が第一に必要なことだと考えています。

ですから、「わがまま」に主張するということは、見方を変えると、「自分という核」を持っているとも言えます。しかし、できればポジティブで建設的な意見が言える方がいいでしょう。

そこで、子どもには、自分で判断させるという場を作ったり、親が意見を言う前に、子どもに先に意見を言わせるという場面を作ってみたりするのがよいでしょう。

(5)世の中には様々な意見や考え方があることを知る

世の中は自分の考えと同じ人ばかりとは限りません。違っているからこそ、学びが深まり、新しいアイデアやイノベーションが起こります。日本は特に、暗黙の内に人と同じであることを良しとする文化があり、付和雷同する人間も少なくありません。


しかし、今後、多様性が重視される世の中では、自分の意見を持つと同時に、様々な意見があることを知ることも大切になります。このようなことを子どもの頃から学べば、社会人になったときに、迎合ではなく、調和を生み出す人間になれるでしょう。
そのためには、家庭で、子どもの意見を尊重すると同時に、親の意見も伝えるという場を作るといいでしょう。


以上、5つの項目についてお伝えしましたが、この中には、漢字が書けるようになるとか、英語が話せるようになるといった具体的なことは一つも書いてありません。基礎学力は大切ですが、家庭が重視しておくことは、そのような具体的なことよりも、もっと根本的な「能力の基盤」ともいうべきものであると考えています。それが子どもの未来につながる確実な財産として残ることでしょう。

日々の忙しさの中では全てを実践することは難しいかもしれませんが、ふと、立ち止まってみるときがあれば、「未来で活躍する子ども」をイメージしてみて、そのために必要なことは何かなと考えてみるのもいいのではないでしょうか。

「ぐんぐん伸びる子の育て方 教育専門家・石田勝紀」の記事一覧

石田勝紀
石田勝紀

(一社)教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。20歳で起業し塾を創業。現在はMama Café、講演、連載記事を通じて全国の保護者への教育活動を行っている。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』他多数。子どもの頃の習い事は「書道」。今でも筆で書いたり、活字への関心に繋がっています。

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