2021.10.13
習い事Q&A 白根理恵

少年野球でピッチャーが制球力良く投げる方法とは?全国大会2連覇の監督に聞く

ストライクを取りたい!キレのある速い球を投げるにはどうすればいいのでしょうか。少年野球の投手の様々な悩みを解決するには、どんな練習がよいのでしょうか。2018年と2019年の高松宮賜杯全日本学童軟式野球大会で2連覇を果たした多賀少年野球クラブ(滋賀県)で30年以上指導を務めている辻正人監督に、投球の基本や制球力をあげる練習方法を聞きました。トータルテンボス・藤田憲右さんの著書「『卒スポ根』で連続日本一!多賀少年野球クラブに学びてぇ!これが『令和』の学童野球」のプレゼント企画もあります(詳細は記事末へ)。

<今日のポイント>

  1.  投げ方の基本は横向きに立って体を回転させること
  2. ストライクを投げるための制球力は、ボールの「左右の動き」を意識すること
  3. スピードはその子の「個性」と捉えること
  4.  毎日40~50球投げて筋力をつけよう
  5. 怪我防止のため、子どもが常に全力で投げていないかを確認しよう

おすすめ野球教室一覧

投げ方の基本は横向きに立って体を回転させること

多賀少年野球クラブの子どもたち多賀少年野球クラブの子どもたち

 狙ったところに投げたりキレのあるボールを投げたりするには、正しい投球フォームで投げることが大切です。動画を見ながら、投げ方の基本をおさらいしましょう。

 正しい投球フォームとは?

A. 投球フォームの基本は、投げる方向に対して90度横向きに立ち、体を回転させながら投げることです。


ピッチャープレートを踏んで横向きに立った状態から、軸足と反対の足を前に踏み出して投げます。肘を肩から上に上げて伸ばし、足、腰、肩の順に体を回しながら腕の振りに助走をつけて投げましょう。体を縦に回転させるために腕をしっかり上げ、体を傾けて投げることが大切です。子どもの肘が下がらないように支えたり、助走をつけて投げられるように腕を前に押し出したりしてあげるとよいでしょう。

※投球練習をするときは、試合で走者がいることを想定してセットアップポジションで投げましょう。

ボールはどのように握ったらいいの?

A. 人差し指と中指の2本の指で、指先がボールの縫い目にかかるように握ります。

低学年で手が小さく握りにくい場合は、薬指を使って3本の指で握っても問題ありません。縫い目を横向きにし、ボールが回転したときに4本の縫い目が見えるところを握ります。縫い目のカーブが高くなっているところに中指をおきましょう。 

投げるためには肩甲骨の動かし肩も大事!?

腕の振りに助走をつけて投げられるようにするには、肩甲骨の可動域を広げるのが効果的です。肩甲骨をしっかりストレッチしましょう。また、スポーツタオルの真ん中をつかみ、大きく体を使って投げる動作をしてみましょう(シャドーピッチング)。投げ切ったときにタオルの端が背中に当たっているかどうかを確認することで、肩甲の動きに意識を向けることができます。

ストライクを投げるための制球力は、ボールの「左右の動き」を意識して磨こう!

辻さんから指導を受ける城東ベースボールクラブ(東京都)の子どもたち辻さんから指導を受ける城東ベースボールクラブ(東京都)の子どもたち

 ボールの制球力を磨くにはどうしたらいいの?

A. ボールを投げるときは、上下より左右のコントロールがぶれないように意識して練習することが大切です。左右の制球力を上げるためには、体をなるべく縦に回転させて投げましょう。

肘が下がって体が横回りになると左右のコントロールがぶれるので、時計の10時くらいの角度まで腕を上げて投げましょう。体の動きが分からないときは、親が子どもの肘を支えたり、反対側の肩を下げたりして補助動作をするとよいでしょう。

 試合でストライクを投げるにはどうすればいいの?

辻さんから指導を受ける城東ベースボールクラブ(東京都)の子どもたち辻さんから指導を受ける城東ベースボールクラブ(東京都)の子どもたち

 A. 投球練習をするときに、マウンドから本塁までより2mほど短い距離で投げてみましょう。短い距離で投げるとストライクが入りやすくなり、子どもも自信がつきます。

試合でマウンドに立つといろいろなストレスがかかって、思うように投げられなくなることがあります。練習のときにストライクが入ったという成功体験をさせて自信を持たせること。短い距離で投げていると、試合になったときに遠く感じて投げにくいのではと思われるかもしれませんが、2mくらいの違いなら距離感はほとんど変わりません。

ストライクが入らないのは疲労が原因かも!?

試合中にだんだんストライクが入らなくなるのは、疲労も原因のひとつです。疲れてコントロールが乱れてくると、精神的にも追いこまれてますますストライクが入らなくなるという悪循環になってしまいます。試合での制球力には体力も必要な要素なので、日ごろから体力をつけて、たっぷり寝てバランス良い食事をしましょう。

目指せ名投手!「ジュニアピッチングアカデミー」全国30教室

球速を上げる方法は?毎日40~50球投げて筋力をつけよう!

多賀少年野球クラブの子どもたち多賀少年野球クラブの子どもたち

 球のスピードを上げる方法や、ボールにキレを出す方法などについても聞いてみました。

 球速を上げるにはどうすればいいの?

A. ボールのスピードはその子の個性です。残念ながら球速をあげるための特別な練習はありません。子どもの体力や体の大きさが備われば、スピードもそれに応じてついてくるものです。

体力や筋力をつけるためには毎日40~50球投げる練習が効果的です。50%ぐらいの力で投げると筋肉にちょうどよい負荷がかかり、筋肉をつけてじん帯の伸縮性を鍛えることができます。どのくらいのスピードが出ているかは、スピードガンで計ってみれば分かります。ただしあまり頻繁に計測すると、速い球を投げようとして肩などを故障してしまうこともあるので、計測は1~2週間に1度程度の間隔でしましょう。

 キレのあるボールってどんな球?投げるにはどうすればいいの?

多賀少年野球クラブの子どもたち多賀少年野球クラブの子どもたち

 A. キレのある球とは、回転数が多くてキャッチャーミットに到達するまでボールが沈まず、スピードも落ちないボールのことをいいます。

ボールを離す瞬間に人差し指と中指の指先に力を入れて弾くようにすると、ボールに回転をつけることができます。ボールに「回転をかけるとき」と「回転をかけないとき」の指先の使い方を覚えるには、床に寝転んでボールを天井に向かって投げてみるとよいでしょう。ボールに線を引いておくと、ボールがどのように回転しているかがわかりやすいです。

そもそも野手と投手では投げ方が違うの?

A. 違います。内野手は打球を捕ってからどれだけ素早く投げられるかが大切です。そのためには、腕の引き方をコンパクトにして助走をつけずに投げるようにします。外野手の場合は、遠くに投げるために反動をつけ、腕の助走を長くとって投げます。 

子どもが無理して投げていないかを確認し、怪我を防止しよう

辻さんから指導を受ける城東ベースボールクラブ(東京都)の子どもたち辻さんから指導を受ける城東ベースボールクラブ(東京都)の子どもたち

 子どもの練習をサポートするうえで大切なことを聞きました。

ピッチングの練習で注意することは?

A. 子ども自身が自分の調子に合わせて1日に何球か思い切り投げるのは構いませんが、常に全力で投げてしまうと故障や怪我につながります。日頃の練習で、子どもが常に全力で投げていないかを確認しましょう。

子どもの怪我で一番多いのは、肘の内側のはく離骨折です。故障や怪我を防ぐために、子どもが少しでも痛みを感じたときに「痛い」と言えるような環境を親が作っておいてあげましょう。

 怪我を予防するためにできることは?

A. 練習を始めるときは、ゆっくり投げてウォーミングアップしていきましょう。

特に寒い冬場は体が動きにくいので、時間をかけて体を温めていくことが大切です。練習のあとは、ストレッチをしてゆっくり筋肉を休ませましょう。

 辻正人さんからのメッセージ

投手の場合、どうしたら速い球を投げられるかと考えてしまいがちですが、球のスピードは体の大きさや筋力が備われば自然と上がってくるものです。また、打者を打ち取る方法は球の速さ以外にもいくらでも考えられます。保護者には、子どもの肩の故障を防ぐためにも無理に速い球を投げるようなことをさせず、毎日の練習をサポートしていただけたらと思います。

【プレゼントの案内】

トータルテンボス・藤田憲右さんの著書「『卒スポ根』で連続日本一!多賀少年野球クラブに学びてぇ!これが『令和』の学童野球」 を抽選で4人にプレゼントします。この機会にぜひご応募ください!

応募方法:みらのびのインスタグラム(アカウント名:miranobi_asahi)をフォローしていただき、著書のプレゼント企画の投稿に「いいね」をしていただいた方の中から抽選でプレゼントします。

応募期間:2022年4月22日(金)まで

※ご当選された方にのみ、インスタグラムのDMにて2022年4月下旬ごろにご連絡させていただきます。みらのびのアカウントからDMを受け取れる設定への変更をお願いします。

 【プロフィール:辻正人(つじ・まさと)】 

1968年滋賀県生まれ。近畿大学法学部卒。近江高校の硬式野球部出身。20歳のときに多賀少年野球クラブ(同県多賀町)を結成し、現在も監督として指導を続けている。クラブの卒団生には、楽天イーグルスの則本昂大投手も。「子どもファースト」を掲げた野球スタイルで、2018年と2019年の高松宮賜杯全日本学童軟式野球大会で優勝。クラブには約70人が所属し、中には多賀町の移住・子育て支援の制度を通して多賀町に引っ越して野球をしている子もいる。 著書『多賀少年野球クラブの「勝手にうまくなる」仕組みづくり』(ベースボール・マガジン社)。

写真・動画撮影:北川サイラ

関連記事:少年野球のバッティングおすすめ練習法3つ!全国大会2連覇を成し遂げたチームに聞く

関連記事:少年野球で強くなるには?やる気を引き出す練習メニューを全国大会2連覇の監督に聞く

関連記事:少年野球が上手くなる3つの力 息子2人を甲子園球児にした監督が語る子育て術

関連記事:少年野球は普通の野球とどう違うの?親も覚えるべきルールは?グラウンド規格を解説

関連記事:少年野球の審判、親もやるの?球審と塁審の役割やジャッジの注意点を解説

白根理恵
白根理恵

本業は会社員の副業ライター。ジャンルを問わず、知らない世界にも無謀にチャレンジするのが唯一の強み。身につけたスキルはスキマ時間の活用能力。映画をこよなく愛する2児の母でもあります。