2021.10.22
学びをはぐくむ 石田勝紀

第12回「子どものスマホのルール決め 5つの作成手順」教育専門家・石田勝紀さん

スマホの所有率の低年齢化が進んできました。それに伴い、年々スマホをめぐる親子のトラブルが後をたちません。その多くの原因の1つに「ルール決めが甘い」ということがあります。そもそもルールを決めても、ペナルティを実行しないなど、決めたルールを親が守っていないというケースも少なくありません。「スマホ脳」も心配でになり、与えたことを後悔することになります。そこで今回はスマホ(ゲーム含)を持つにあたりどのようにルールを決めていくのか、そのガイドラインを書いてみました。

スマホは中学生の70%が所有、小学生も増加

スマートフォン(以下、スマホ)を持つ子どもたちの数は年々増えています。2020年度に東京都から発表されたデータによれば、小学校からスマホを持つ割合が増加しており、2019(令和元)年度で小学生は34.6%、中学生は75.4%、高校生は92.4%となっています。これは東京都在住の小中高校生の保護者2000人のデータですが、2018年の内閣府の統計データによると中学生で約70%が、高校ではほぼ100%がスマホを持っているとデータで出ています。小学生も増加している一方、日本中の大多数の中高生が持っていると考えていいでしょう。

(出典:東京都都民安全推進本部 家庭における青少年のスマートフォンに関する調査 2020年度)

 このように魅惑的なデバイスであるスマホを持つと便利さを享受できる一方で、リスクも当然あります。リスクを回避しつつ利用できるのであれば、それはそれで悪いことではありません。

しかし、筆者が開催するMama Caféや全国から頂く相談、質問の中には、スマホ(ゲーム含む)にまつわる相談内容が現在も増加傾向にあります。

その多くの内容は、「スマホ(ゲーム)ばかりで勉強しない」というものです。本質的原因は、スマホではないのですが、どうしてもスマホが勉強の障害になっていると思ってしまう傾向にあります。事実、スマホやゲームを制限しても、勉強には向かうわけではありません。

スマホを持つときのルール決めが甘い

しかし、スマホやゲームについて、少なくとも決めた枠の中で楽しめる環境ができれば、それに越したことはありません。そこで、今回の記事では、スマホを持たせる年齢、ルールについてまとめておきますので、参考にしてみてください。

(1)スマホを持たせる年齢

基本的に持たせるための決まった年齢はありませんが、筆者が取った100人の保護者アンケートでは、早い段階では、中学受験の塾に行くことをきっかけに与えたケース、一般的には、中学に入学すると同時にスマホを持たせたことがわかりました。小4で10%、小5で10%、小6で10%、中1で33%というデータです。中1までに63%の家庭で子どもにスマホを与えていました。中1が多いのは、各携帯キャリア会社は中学入学に備え、キャンペーンを行ていることからもわかります。以上から、一般的には中学入学以降ということになります。

(2)ルール決めについて

次に、ルールについてお話します。ゲームせよ、スマホにせよ、新しい機器を持つことによって、通常は使用に関するルールを家庭内で決めていきます。もちろん、ルールを決めなければならないという“ルール”はなく、それは家庭の方針によります。ただ、多くの家庭では使用のルールを決めています。

ところが問題は、このルール決めが甘いため、事実上ルールが破綻し、スマホがトラブルへと発展してしまうことが多いようです。

ルール決めのガイドライン、5つのステップ

そこで、ルール決めのガイドラインを次に掲げておきますので、これからスマホを与える際に参考にされてみてください。

【ステップ1】親子でルールを決める

通常は親が一方的にルールを決めます。しかし、その場合、問題が起こると子どもは親の責任にします。「親が作ったルールが悪い」と。ですから、ルールを決めるときは、次の手順を踏んでいきます。

① 子どもの意見→  ② 親の意見→  ③ 話し合いで着地点を作っていく

【ステップ2】親の考え方をしっかりと伝えておく

親が意見を言う場合、親の考え方をしっかりと子どもに伝えておく必要があります。「なぜ親は心配するのか」ということを含めて。多くの親が心配することは「長時間スマホによる生活の乱れ」「犯罪に巻き込まれるのではないか」「勉強しなくなるのではないか」であると聞いていますが、それらをしっかりと伝えておかなくてはいけません。
逆に言えば、これらの状況にならなければ、親は心配する必要は一切ないわけです。そこで、「これらの状況にならないようにするにはどうすればいいか」ということを親子で決めていきます。

  • 生活の乱れ → 時間制限をつけるかどうか
  • 犯罪に巻き込まれるのではないか → コミュニケーション手段としてスマホを使う場合、どのような危険があるかという点を含め、使用するにあたっての注意点を確認しておく
  • スマホに夢中になりすぎて勉強しなくなった場合どうするか → 子どもに先に意見を言わせ、それについて親がコメントを加えていき、修正していく。

【ステップ3】約束が守れなかった場合のペナルティを決める

ルールを決めても、そのルールはほぼ間違いなく守られません。

例えばゲームがいい例ですが、1日1時間と決めて、1時間が終わるはずがないのです。そんな切りよく1時間でゲームが完結するはずがないからです。そうなるとズルズルと延長していきます。スマホの場合、最近は親が使用時間をコントロールできるようになってきましたので、テクノロジーの力で制御できますが、「夜に勉強して調べものをするから延長して欲しい」とか、「音楽を聴きたいから解除して欲しい」とか、様々な“正当な理由”が出てきます。その際、どうするかはご家庭の判断になります。

いずれにせよ、はじめに決めたルールが守られないことが起こります。そのとき、何かしらのペナルティを作ります。よく設定されるペナルティとして、「24時間停止」「3日間停止」「テストまでは使用禁止」などです。ただし、コミュニケーションツールとして存在している機器が使用できないということはコミュニケーションを断たれたことと同じなので、「使用できる時間数を減らす」ということが実際は多いようです。

次にこれが非常に大切なのですが、「もしペナルティを実行された場合、子どもがキレたらどうするか?」という点まで決めておきます。ゲームの場合もそうですが、ペナルティを実行しようとすると子どもがキレることがあります。それがあるので許してしまう親がいるわけですが、そのようなケースになることを始めに想定して、そこまで決めておくのです。

ルールを決めて、ペナルティを決める作業は、始めが肝心で、「想定できるケース全て」を決めていきます。これが甘いため、子どもに抜け道を見つけられてスルーされるのです。

【ステップ4】一連の話し合いを動画で撮影する

ここまでの話し合いを紙に書いて契約書のようにする方法もありますが、それこそスマホで動画撮影するという方法もあります。それを親子で共有しておけば、「言った、言わないという問題」は起こらず、いつでも約束内容を確認できます。この動画撮影は通常やりません。紙にも残しません。だから問題が起こるのです。

また動画で撮影しておけば、ルールを守る可能性がかなり上がります。記録に残っていることを自覚しているからです。

【ステップ5】ルール、ペナルティの内容に不服があるときは再度親子で話し合う。

一度決めたルールやペナルティが適切であるとは限りません。そこで、問題がある、不服である場合は、再度話し合いをして決めていきます。

以上となります。

最近のスマホは親が子どものスマホにスクリーンタイムの設定ができるため、時間制限はできるようになっていますが、それをスルーして子どもが時間を超えて使っている事例もありました。ですから、上記のようなガイドラインに従って、ルールを決めることで、子どもの行動に自主的なブレーキがかかっていくことになります。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。

「ぐんぐん伸びる子の育て方 教育専門家・石田勝紀さん」の記事一覧


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石田勝紀
石田勝紀

(一社)教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。20歳で起業し塾を創業。現在はMama Café、講演、連載記事を通じて全国の保護者への教育活動を行っている。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』他多数。子どもの頃の習い事は「書道」。今でも筆で書いたり、活字への関心に繋がっています。

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