2021.10.19
学びをはぐくむ 平岡妙子

公文とそろばん、どっちをやらせたらいいの? 子ども4人が東大の佐藤ママに聞く

公文の国語教材は、いまの時代に求められる記述式やアクティブラーニングの学び方に、役に立つのでしょうか。また、算数の計算を繰り返すプリント学習は、考える力を養うことができるのでしょうか。さらに、公文とそろばんでは、どっちをやらせたらいいの?公文にまつわる疑問について、子ども4人を東大理Ⅲに合格させた「佐藤ママ」こと佐藤亮子さんに聞いてみました。

※公文のプリントに楽しく取り組むための方法については、前編をお読みください(前編参照)。

【前編】「公文イヤだ!」は変えられる。子ども4人を東大に入れた佐藤ママの公文式学習法

ポイント

  1. 公文の国語で記述力が身につくの?
  2. 枚数を減らしても丁寧に
  3. 公文とそろばん、どっちをやらせたらいいの?
  4. 怒るのは大人が未熟

公文の国語で記述力が身につくのか?

――ところで、公文の国語教材は、何文字で抜き出して答えなさいという問題が多いです。これで本当に読解力が身につくのか。いまの時代の記述式やアクティブラーニングに役立つのか疑問だという意見もあります。

記述式やアクティブラーニングは、読解力の最後の段階。最近の子どものドリルは、ひねった問題が多いです。考えさせる問題というけれど、子どもには難しくて国語を嫌いにさせてしまう。公文の国語は、すぐに答えを抜き書きできるような問題が多いです。

――親としては「これで考える力が身につくのだろうか?」と思いますが…。

読解力の基礎の基礎は、いかにたくさん文章を読むかどうかです。質問が抜き書きなど簡単だから、なるほどって考え始めます。シンプルだから、すぐにプリントの裏の問題へと進めます。これがややこしい問題で記述式だったら、子どもは面倒くさくて取り組まない。立派な問題を100問やるより、易しい問題を1000問やって文章をたくさん読んだ方が、より賢くなります。

――算数もそうですか?

計算だけというシンプルさが良いのです。幼児はシンプルでなければ育たない。あれもこれもやらせたら、子どもは育ちません。

算数でも、前から何番目の動物とかを答えさせる問題がありますが、子どもにとってはわかりにくい。「リンゴ3個とミカン4個を足したらいくつ?」とか聞きますが、「どうして違う果物が足せるのか」とか、子どもはそちらに気が散ってしまう。

算数は土台が大事。計算が出来れば、大きくなったら瞬殺で解けます。小さいうちから難しい文章題をやらせなくても大丈夫です。

「『まえから3人め』を聞く問題だが、子どもはライオン先生も数に入れてしまい混乱する」と説明する佐藤ママ 

 枚数を減らしても丁寧に書く

――公文は時間を計るので、速く答えようとして字が雑になる、丁寧に字が書けなくなってしまったという親もいます。

それは親のやり方が間違っていたんでしょうね。「丁寧」っていうのは、時間をかけて心を込めてゆっくり書かなければならないので、子どもが一番嫌がること。だからこそ、丁寧は教えないとダメ。新しい漢字が出てきたら、筆順を確認しながらゆっくりと書かせました。枚数を減らしてでも、丁寧に書くことですね。

そろばんと公文、どっちをやらせたらいいの?

――そろばんと公文のどちらをやらせたらいいのか迷う親がいます。

そろばんは私も習わせたかったけれど、良い先生が見つかりませんでした。やれるのなら、両方やったらいいですよ。そろばんは、指の動きがあるので、体育系だと思いますよ。ピアノのように1日やらないと衰える。そろばんをやったら計算は速くなるし、暗算力がつく。

でも受験により近いのは公文ですね。計算は難しくなってくると「作業」になる。筆算でタテに数字をきれいに並べられるかとか、式をきちんと書くことは作業だから、公文は受験につながります。でも本当はうちの子には、日本文化としてそろばんと習字を習わせたかったですね。

怒るのは親が未熟なだけ

――プリントをやらない子どもに、イライラとして怒ってしまうのですが…

怒るのは、親が未熟。自分のやり方が下手なんですよ。怒っても、何も解決しないですから。

怒る人は、目の前のことが心配になるんですね。まぁ、今日はプリントが終わらなくたっていいじゃないですか。1カ月間でとか夏休みとか、どこかで帳尻が合えばいい。目線を遠くに置いた方がいいですよ。

基本的には、子育てはなるようになるんです。

――佐藤ママはイライラしないのですか?

私はイライラしません。他の子と比べるから、イライラする。子どものあるがままを受け入れるのが大事ですよ。

「やる気」は楽しさから生まれる

――公文で伸びたのはどんな力でしたか?

計算力と読解力はつきました。でも一番は、「勉強っていうのは楽しい」ってことかな。公文で大量に文章を読んだので、読むことも好きになりました。「コツコツと粘り強い力」とかよく言いますけれど、コツコツと粘ることは、楽しくなかったらやれません。

――でも、公文で勉強が嫌いになっちゃったっていうご家庭もあります。

もったいないですね。「時間を決めてやりなさい」と言うお母さんもいますよね。毎日8時からやる、とか。それ、刑務所に入ったみたいになるから(笑)。毎日、同じことをしない。プリントが同じなので、毎日同じパターンでさせるのは、親はラクですが子どもは嫌がります。

速く解けたかどうか、時間を書いたこともありません。私だって、「ママ、夕食30分で作って」って、毎日計られたらイヤですよ。自分がやられてイヤなことはしない。

楽しくできるための努力をする。消しゴムもいっぱい買いましたね。キムチのにおいの消しゴムを買って、子どもたちと盛り上がったのも楽しい思い出です。

たくさんのお母さんから、「うちの子はやる気がなくて」と相談を受けます。

「やる気」は言いかえれば、楽しさ。楽しければやるようになります。幼児期ほど、いろいろと楽しく工夫してあげてほしいですね。


【プロフィール・佐藤亮子(さとう・りょうこ】

大分県出身。津田塾大学卒業後、私立高校で英語教師として勤務。結婚後、夫の勤務先の奈良県で専業主婦に。三男一女の4人の子どもを東京大学理科三類に進学させた。現在は、子育てや勉強、受験をテーマに全国で講演活動を行っている。著書に「我が家はこうして読解力をつけました」(くもん出版)、「佐藤ママの子育てバイブル」(朝日新聞出版)など。浜学園アドバイザーをつとめる。

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平岡妙子
平岡妙子

朝日新聞社に記者として入社し、社会部、AERA編集部や武蔵野支局長など。教育担当が長く、主に小中学校の学力調査や受験業界などを取材。小学生の時には合唱団で歌っていました。学校の取材で子どもの歌声を聞くと、涙腺がすぐゆるむ。大学生の長男と小学生の長女がいます。

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