2021.11.02
学びインタビュー 小内三奈

料理体験のある子どもは理科と社会が得意になる!家庭で取り組む3つのポイントとは?

料理体験が豊富な子どもが、理科や社会といった生活に密接に関わった科目で底力を発揮することがよくあります。一方で、自然科学と触れ合う体験の少ない子どもは、知識を詰め込んでも学びが深まっていかないケースも少なくありません。理科、社会分野の好奇心を育むきっかけは何なのか、こぐま会の久野泰可代表に話を聞きました。家庭で取り組むための3つのポイントを紹介します。 

「実験!」に目を輝かせる子どもたち

――子どもはなぜ、実験にわくわくするのでしょうか?

算数、国語の授業より、生活科や理科、社会の授業は多くの子どもたちにとって楽しい時間であることが多いです。その理由は、学びのテーマそのものが生活で、遊びに近いからです。また、これまでの自分の経験を踏まえて学びに向かえるのも理科や社会の特徴だといえます。

中でも、子どもたちがひときわ目を輝かせるのが「実験」です。五感をフルに働かせ、ものの様子、変化を捉えようと一気に集中力がアップするのです。

形はどう変化するのか、色はどう変わるのか。飛ぶの?音が出るの?爆発しない? さらに五感を働かせて、匂いはどうなる?口に入れることができるものなら、味はどう変化するのか?などなど。

誰もが真剣にワクワクしながら取り組みます。子どもは本来、実際にものに触れてみたい、ものがどう変化するか知りたいという好奇心を持っているものなのです。

最近話題となっている、文部科学省が開発する5歳児向けの「幼保小の架け橋プログラム」においても、幼児期の学びの特性から「五感を通じた体験や遊び」を重視する方向で議論が進められています。小学校へと上がる前の大切な幼児期に、「自分でやってみたい」「知りたい」という欲求を満たす体験の場を増やすこと。そして、五感を通じた体験や遊びを通して「学ぶって楽しい!」という気持ちを経験することが大切だと大きくクローズアップされています。

子どもの「もっと知りたい」「もっと学びたい」という気持ちこそが、「小学0年生の考える力」の土台へとつながり、小学校入学後に必要な学びに向かっていく姿勢へとつながっていきます。

理科が得意な子は、自然と触れ合う体験量が多い

子どもが一様に「実験」に目を輝かせることからわかるように、生活や遊びの延長にある理科的、社会的なテーマは、子どもの好奇心や意欲を育むのにとても役立ちます。

「実験」と難しく考える必要はないのです。プランターで野菜や花を育ててみる、昆虫やメダカなど生き物を飼育してみるなど、都会に住んでいても簡単にできることはたくさんあります。

野菜の種を蒔いてからどのように形を変えながら育っていくのか、捕まえてきた昆虫は何を食べるのか、どのように卵を産んで成長していくのかなど、実物を前に主体的に関わることで、子どもは様々なことを感じ取っていきます。

野菜の成長プロセス、生き物の動き、生態を見て、聴いて、触れて、匂って、味わってと五感をフルに働かせながら、特徴を見つける比較する違いを発見する系列化するなどの理科的な要素を、自然とやっていくものです。

そうやって、理科的な興味関心の基礎がつくられ、さらにものごとを洞察する力を身につけていきます。

普段食べている野菜の産地を調べてみる、食品ロスの問題を考えてみるなど、社会分野に興味が発展することもあります。また、あるときは命の尊さを学び、人間は自然の恩恵を受けて生きていることを実感します。

とりわけ小学校の理科の授業が進んでいくと、実体験のある子どもとない子どもでは理解に差が出てきます。

感受性が豊かな幼少期に自然と触れ合うことで、自然界そのものへの興味を持つきっかけにもなります。大人が思う以上に、自然から子どもが得るものは大きいものです。

要注意!図鑑、タブレットでインプットさせる前に大切なこととは?

――なぜ図鑑やタブレットを見せて教えることは危険なのでしょうか?

子どもは、自分の身体を通して学んでいきます。実体験が前提にある上で学びに移ると、本当に不思議なことに、いとも簡単に深い理解へと入っていけるのです。幼児期から小学校低学年の間にどれだけ体験の量を増やすことができるか?」が勝負です。

都会に住んでいるとなかなか自然と触れ合う機会がないため、図鑑やタブレットを使って理科的、社会的なことを学んでいるご家庭もあるかと思います。でも、そこには少し注意が必要です 。

知識が先行して、知識だけですべてを学んでいく姿勢がついてしまうと、自ら考えずにただ教えられたことを暗記するだけの学習となってしまうからです。これでは、「考える力」を育むことはできません。

幼児期には、外に出て子ども自身が体験することが一番大切です。お父さん、お母さんがやるべきことは、何とか工夫して自然と関わり、子どもが身体を通して体験する機会を増やしてあげることです。その上で、実際に体験したことを家に帰って図鑑で振り返ります。こうやって体験と知識が連動してはじめて、小学校の理科という教科の深い知識につながっていきます。 それは「考える力」を育むこととも連動していきます。

家庭ですぐに取り組めるポイントを3つ紹介

①親がたとえ虫嫌いでも、子どもの前では興味を持って接する

セミを見たら一歩下がってしまうお母さん、キャベツから青虫が出てきて「キャー」と叫ぶお母さん、子どもが虫を捕まえてきたら「おうちには持って帰ってこないで」と禁止するお母さんもいるかもしれません。

子どもが周りの自然とどう関わるかは、実はご両親(特にお母さん)が自然とどう関わっているかに大きく影響します。大人の感覚、感じ方は子どもにストレートに伝わるものです。 

本来好奇心旺盛な子どもが、「セミはこわい」「青虫は気持ち悪い」と思うのか、「セミを触ってみよう!」「何の幼虫だろう?」と興味を持つかは、まわりの大人の関わり次第です。

②親が、自然との触れ合いを楽しむ

自然の多い場所に行って季節を感じ、様々な植物、生き物と触れることは大人にとっても心地良い時間となるはずです。ぜひ、お子さんと一緒に山や川、海に行って自然と触れ合う時間を楽しみましょう。自然の中で親子ともに感性が研ぎ澄まされ、幼児にとっては豊かな表現力を養うチャンスにもなります。

③園の年間行事を把握し、季節ごとの体験を親子で共有し学びにつなげる

幼稚園、保育園の年間カリキュラムは、季節に合わせた行事保育になっていることがほとんどです。園での行事を通した体験を無駄にするのは大変もったいないことです。
年間行事予定表に目を通して、どのような活動、体験の場があるかの見通しを持ちましょう。そして、子どもが体験してきたことを必ず家庭で共有し、行事の中身を親子で振り返る時間を持つこと。そして改めて図鑑を見るなりして体験を学びにつなげていきます。

料理をするとなぜか理科が、さらに社会までも得意になる

昨年、コロナで幼稚園や保育園が休校となった時期に私が提案した活動の一つが「料理」です。親子で料理を楽しみ、レシピ本を作ってみてはどうかと提案したところ、たくさんのご家庭でチャレンジしてくれました。

子どもにとって、料理は「実験」と非常によく似ています。材料をカットする、手でこねる、混ぜ合わせる、調味料で味付けをする、焼いたり煮たりする。一連の流れの中で、形や味が変化したり 、匂いが出てきたり、食感が変わったりと様々な変化が起こります。よく観察することで沢山の発見があるはずなのです。

同時に、食材ごとに産地が違うことに気づいたり、食材の旬の季節を学んだり、産地の場所を調べてみたりと社会的な学びにも広がっていきます。途中で写真を撮っておくのもおすすめです。食材の変化やプロセスがわかりやすくなり、後で振り返るのに役立ちます。

料理には実にたくさんの学びのポイントが凝縮されていて、お子さんの理科、社会分野への好奇心、意欲を育てるのにぴったりです。段取り力も必要となるので、順序立てて考える力や見通す力も身につくと思います。

幼児期の遊び、生活の中で、ぜひお子さんの好奇心を刺激する工夫をしてみてください。「やってみたい!」「楽しい!」という気持ちこそが、自ら学びに向かう姿勢へとつながっていきます。

【プロフィール:久野 泰可(くの やすよし)】 

1948年、静岡県生まれ。横浜国立大学教育学科を卒業後、現代教育科学研究所に勤務し、1986年「こぐま会」代表に就任。常に幼児教育の現場に身を置き、その実践を通して幼児期に大切な「思考力」を育てるための独自のカリキュラム「KUNOメソッド」を確立。著書に『子どもが賢くなる75の方法』(幻冬舎)、『「考える力」を伸ばす AI時代に活きる幼児教育』(集英社)など。こぐま会HP :https://www.kogumakai.co.jp/

「小学0年生の考える力 こぐま会・久野泰可室長」の記事一覧

みらのび掲載中の「知育・幼児教育」の習い事一覧

小内三奈
小内三奈

ライター・インタビューアー。ビジネス・教育分野を中心に、新聞、雑誌、Webメディア等で執筆中。経営者や教育現場への取材の他、教育書・児童書の書評を執筆。その他、旅行、グルメ等幅広いジャンルに取り組む。好奇心旺盛でキラキラした子ども時代を過ごしてほしいと願い、「今、この瞬間」を大切に育児に励む2児の母。子どもの頃熱中したのはピアノ。4歳から高校1年まで続け、最後の演奏曲はショパンのノクターン。

関連記事 Related articles

新着 New!

お住まいのエリア・ジャンル・対象年齢から検索!
習い事教室を探す