2021.11.18
学びインタビュー ちゃみママ

発達障害を強みに変えるには 書道家・武田双雲さん

ちゃみママが聞く 発達障がいの子の伸ばし方

発達障がいの息子(小4)の子育てに奮闘しているちゃみママです。世界で活躍する書道家、アーティストの武田双雲さんに、ご自身の体験をまじえてADHD(注意欠如・多動症)について聞いたインタビュー。後編は、子どもの自信を失わない親の接し方や、発達障がいの子どもの特性の活かし方について教えてもらいました。

前編:発達障害の僕を「すごか~」と全肯定した親に感謝

後編:発達障害を強みに変えるには

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親が自分自身をありのまま受け入れることが大切

――常に武田さんのことをほめて受け入れていたというご両親、本当にすばらしいと思いました。

そうですね。さきほど「ほめる」という表現をしましたが、「感動する」「受け入れる」という表現の方が近いかもしれません。

「ほめる」っていうと「良い成績を取ったからほめる」というように、何か条件をクリアしたら……という前提がつくことが多いですよね。でもうちの場合はそうではなく、僕がいいことをしても、ダラーっと怠惰な姿を見せても、感動したり受け入れてくれたりしてたんですよね。

――私も武田さんのご両親のようになりたいと思っていますが、つい想定外のことをされるとイライラして、感情的になってしまうんです……。

確かにいつも子どもを受け入れるって難しいと思います。う~ん。もしかすると、自分をゆるしてあげることで、子どもが何をやっても受け入れられるようになるかもしれません。

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親が自分自身をゆるす ダメな自分も受け入れる

――「自分をゆるす」とは?

今の親にはタブーというか我慢していることってたくさんあると思うんです。たとえば実は休日はダラダラ過ごしたいのに、「そんな怠惰な性格じゃダメ!」と自分を否定していると思うんです。

だから一度、自分がダメと思ってグッと押さえつけてきた部分を解放して、自分自身のダメな部分をゆるしてあげる、認めてあげることが大切なんだと思います。

――確かに自分のダメな部分って、特に親になってから見せないようしてきたかもしれません。

自分自身に厳しい人は、自分のダメだと思う部分は抑え込むのが正しいこと、良い方法だと考えることが多いと思います。そして同じ価値観で子どもを見るので、子どものダメな部分は抑え込もうとする。そこで子どもに反発されればイライラしますよね。

――どうすれば親も子どももラクになるんでしょうか。

難しいとは思いますが、親が今までの価値観をパンっと取り外すことが必要かなと。そして新しい価値観でまずは自分を見るんです。ダメな部分を抑え込むんじゃなくてすべて受け入れる。

それができたらその価値観で子どもを見れば、自然と素のままの子どもを受け入れられるんじゃないかなと思うんです。もしかしたら新しい価値観で見ると、いままでダメだと思っていた面が、良い面に見えることもあるかもしれません。

――なるほど。まずは親自身の価値観を変えることが大切なんですね。

そうだと思います。長年の価値観を変えるのはとても思い切りが必要だと思います。でも親御さんが子どもをありのまま受け入れることができると、子どもは少々学校で怒られたとしても、僕のようにずっと明るくポジティブな性格でいられると思います。

――頭ではとてもよく理解できたんですが、自分に余裕が無い時にいろいろとやられると、つい小言が出ちゃいそうで…

確かにそういう時ってありますよね。でも焦ったままだとありのままを受け入れるのは難しいですし、親の気持ちが乱れたまま何かをしてもうまくいかないことが多いので、心を整えてから子どもと向き合うことが大切です。

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笑顔を作って、心を整えてから話しかける

――心を整えるって具体的にどうしたらいいんでしょうか。

「心を整える」ことは書道から学んだのですが、難しいことは1つもありません。

たとえば子どもに話しかける前に一旦深呼吸をするだけでいいんです。

また接する前に、親が笑顔になってから話しかける方法でもいいです。「和顔愛語」(わげんあいご)という言葉もあります。

――それはどういうことですか?

穏やかな顔と優しい言葉で接するという意味です。まずは顔をやわらかくするということです。笑顔を作って、呼吸をする。

心をととのえること=子どもと向き合う所作をすることで、親の気持ちに余裕ができて、いま目の前にいる子どもに落ち着いて向き合うことができると思います。

――それなら私にもできそう。心を整えてから子どもと接するようにしたいです。

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これからはクリエイティブの時代 特性が武器に

――武田さんのおっしゃる通り、「今が良ければよし!」ではあるんですが、やっぱり親としては将来、自立できるかが心配で……

これからはクリエイティブであることが良いとされる時代になっていきます。0から1を生み出す人、クリエイターが活躍する世の中になりつつあります。クリエイターってちょっと前までは「要らんことをする奴」と思われてきました。学校でもみんなと同じことができる子がよくて、変わったことをするのは好ましくないと。

でもこれからは、AI(人工知能)では出来ないことが求められるので、人と違うことが出来る特性を持っている人が活躍する時代が来ます。

――自慢できるような特性は何もないんですが……

ADHDは発達障がいと言われていますが、言い換えれば特性がわかりやすいということ。息子さんを取り巻く環境を整え、ていねいに向き合うようにすることで、障がいと言われている部分が、光る個性や武器に変わることもあるんです。実際に僕がそうなんです。

――武田さんの「困った」部分が、特性になっているんですか。

小中学校の時、国語と図工の成績は良くなかったんです。国語は回答が支離滅裂と言われていました。図工の時間にザリガニの絵を描いたんですが、僕は自分が興味を持ったハサミの部分をクローズアップして描いたんです。でも全体が描かれていないからダメと言われ、成績も2とかでした。

――そうだったんですね。意外だわ!

面白いことに学校ではダメと言われた国語と美術ですが、いまやその2教科と関連の深い書道と書と絵を融合したアート作品で注目され、世の中の人に僕を知ってもらうきっかけになりました。その分野の著書も何冊も出しているから、人生ってわからないですよね。

――本当ですね。学校でダメと言われた部分が、武田さんの武器になってますね。

そうなんですよ。今の評価が大きく変わることだってある。何が強みになるかわからない。だからこそ今、その子のありのままを受け入れて、好きなことや興味のあることをのびのびできる環境を整えてあげることが大切だと思います。

――ダメと言われた分野が武器になっている武田さんの実体験を聞いて、自信がわいてきました。本当に今日はどうもありがとうございました。

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取材を終えて

取材の最後に「息子さん、トマトの一件から想像するに、人とは違った物の見方ができる子、天才だと思います。より自信をつけて、その特性を活かせば、改革者になりうるかもしれません」と言ってくれました。いつも息子は怒られることばかり多かったので、親として本当にうれしかったです。世の中的にNGだと思っていた部分を「いいところ」と認めてくれる人がいるのは、とても心強いなあと感じました。

【プロフィール 武田双雲(たけだ・そううん)さん】

1975年熊本県生まれ。書家である母、武田双葉に3歳から師事。東京理科大学理工学部を卒業後、NTT東日本に入社。約3年間勤務した後、書道家として独立。NHK大河ドラマ「天地人」、映画「北の零年」など多数の題字やロゴを創作。また、音楽家、彫刻家などとも積極的にコラボレーション。国内外で個展やワークショップを多数開催している。著書に「ポジティブの教科書」(主婦の友社)、「『子どもといること』がもっと楽しくなる 怒らない子育て」(主婦と生活社)などがある。

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写真撮影:篠田英美

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ちゃみママ
ちゃみママ

「乗り物オタクだなと思っていた小学4年生の息子が、ADHDと判明。確かに、小さな頃から算数と乗り物のこと以外は集中力がなく、シャツから下着が出ていてもおかまいなし。他の保護者からは、自分勝手な子、だらしのない子と見られることも……。学校などからかかってくるトラブル報告の電話におびえつつ、子育てに奮闘中。外では明るく振る舞っているものの、トラブルが続くと、「私の子育て、間違っているのかな」と自問自答を繰り返してしまう。相談ができて、背中を押してくれる人やサービスを常に探し中!

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