2021.12.15
学びをはぐくむ 黒澤真紀

「城づくりは生き方だ!」 日本城郭検定2級に小5で合格・栗原響大さん

小4の時に訪れた世界遺産の姫路城。天守は国宝に指定されています。小4の時に訪れた世界遺産の姫路城。天守は国宝に指定されています。 

 お城を見たほとんどの人が「大きいなあ」「きれいだなあ」で終わってしまうのではないでしょうか。小5で日本城郭検定2級に合格した神奈川県在住の6年生、栗原響大(ひびき)さん(11)は、城から戦いを想像してワクワクし、そこで人々が暮らしていたことに感動するそう。「検定キッズ」第3回は武将の生き方にまで想像が膨らむお城に魅せられた少年に話を聞きました。夢中になる気持ちを持ち続けるには。

「好き」をとことん突き詰めるポイント

  1. 知りたいことは自分で調べること。
  2. 実際に足を運び、想像力をふくらませること。
  3. 感動したことを家族に話すこと。

天守のかっこよさから、お城好きに

小田原城は山中城と並んでよく行くお城。写真は5年生のとき、小田原城銅門の前で。小田原城は山中城と並んでよく行くお城。写真は5年生のとき、小田原城銅門の前で。

 響大さんがお城に興味を持ったのは、1年生の時に小田原北條五代祭りで小田原城の天守を見てからでした。「本物のお城のかっこよさに驚きました!」。

もともと、『超ビジュアル!!日本の歴史人物大事典』(矢部健太郎 監修/西東社)を小脇に抱えて持ち歩くほど歴史が好きだった響大さん。歴史とお城のつながりを考えるのも楽しかったそう。小田原城を見ているうちに、北条五代と呼ばれる五人の北条氏が城を守っていたことや、城で生活していた人々がどんどん頭に浮かんできます。「お城は僕にいろいろなことを考えさせてくれる」と不思議な気持ちになったそうです。

家族旅行はお城巡りに

 「響大がお城に興味を持った時に、姫路城を見せてあげたいと思った」と、もともと世界遺産が好きな母親の久美子さんの提案で1年生の夏休みに姫路城へ。響大さんは「母に聞いていた通り、姫路城はきれいで大きくて、インパクトがすごかった。そこからお城にハマった」と感動しました。

「全国の有名なお城をもっと見てみたい」という気持ちが止まらなくなりました。さっそく日本100名城などの本を購入し、GWや夏休みなどに、家族旅行を兼ねてガイドブックに載っているお城を巡るようになりました。北は青森から南は沖縄まで、これまでに見て歩いたお城は約200か所にのぼります。父親が運転する車の中でも、お城の話で盛り上がり、旅路も楽しんでいます。

「見れば見るほどお城を好きになっていった」。最初のうちは「天守ってかっこいい」と思って見ていただけでしたが、いくつか城を巡るうちに「石垣って素晴らしいなぁ。重機がない時代に一から人が積み上げているなんて」と細かな部分に感動するようになります。

親子で次々と旅に出かけて、「もっと知りたい」のタイミングを逃さず、興味が深まるような経験を重ねたことが今につながっています。

検定に挑戦 車の中で親子で問題を出し合う

小学5年生で日本城郭検定2級に合格。お城巡りをする中で、自然に知識が身についていきました。小学5年生で日本城郭検定2級に合格。お城巡りをする中で、自然に知識が身についていきました。

 響大さんが4年生のとき、日本城郭検定があることを知りました。初めて解いた3級の過去問は70点と、すでに合格圏内。「それなら2級にも挑戦してみよう」と3級と2級のダブル受検に挑戦しました。両親も一緒に受検することを決めて、お城巡りの車の中は過去問の出し合いで大盛り上がりです。全員3級に合格し、その時不合格だった2級は1年後に全員合格しました。親子でクイズのように楽しみながら、勉強を重ねました

2級は歴史とからめた雑学的な問題もあるので、難問もあります。両親は過去問を繰り返し解いて試験に臨みましたが、響大さんは特別な試験勉強はしませんでした。もとから歴史が大好きなので点数が取れたのかも知れません。

歴史とお城、響大さんにとっては「好きなものを興味の向くままに突き詰めていっただけ」。それがいつの間にか、2級に合格するほどの知識が身についていました。

城の守り方から土塁にも興味 戦いの様子が目に浮かぶ 

 5年生の時、山中城跡の障子堀の前で。障子堀は北条氏特有の堀です。 5年生の時、山中城跡の障子堀の前で。障子堀は北条氏特有の堀です。

 一番印象深かったのは、山中城跡。大好きな北条氏勝が守っていたお城で、北条氏ならではの障子堀というワッフル状の堀が現存しています。豊臣軍に敗れて落城してしまいますが、「山中城で東西の兵が助け合ったとか、障子堀に豊臣軍を落として撃ったなどの作戦を知ると、戦っているところが浮かんできてワクワクしてくる」と言います。

知識が身につくと、想像力はどんどん広がります。時には自分なりの作戦を立てて楽しむことも。北条氏は東を攻められたら西の味方が助けに行くと作戦を立てましたが、豊臣軍が急に東西同時に攻め込んできたので、敗れてしまいました。「僕が山中城を守るとしたら、兵士を増やして、東西どちらからも攻められないようにしたいです」。

城ごとに違う戦い方を想像するのが面白いそうです。頭の中は、まるで戦国時代にタイムスリップしているかのようです。

最近は、土のお城に注目しています。昔はここに土塁があって、堀があったと想像するのが楽しみです。最近訪れて良かったのは、愛知県にある古宮(ふるみや)城跡の真ん中にある、深さ5メートル以上の堀と土塁。「昔の人が相当の労力をかけて作ったものが今も残っているなんて素晴らしい」と、しばらく見とれてしまいました。

古い縄張り図と実際のお城と見比べると、昔の生活が目の前に見える気がします。いまは普通の家が建つ街並みを見ても、「昔はここにお城があって、たくさんの人がいたんだ」と想像の翼がどこまでも広がります。

城の歴史から、日本の大国化にまで関心が広がる

お城巡りにハマりはじめた1年生の時。写真は広島城二の丸前にて。お城巡りにハマりはじめた1年生の時。写真は広島城二の丸前にて。

 「お城には、かかわっていた人たちの生き方が映し出されている」と話します。

建てられた歴史も、守っていた武将も違う。歴史と城のつながりを知れば知るほど、様々なことを考えさせられます。いまは戦国時代だけではなく、日本の近代化はどのように進んだのか、どうやって大国になっていったのかにまで興味が膨らんでいます。

将来の夢は、研究者になること。「お城の魅力は限りない。みんなに親しまれるような研究者になって、お城の良さを知ってもらいたいです!」。

母親の久美子さんの話

お城の話をしたがると、必ず聞いてあげるようにしていました。聞いてあげることで、しゃべりたい気持ちが出てきて、ますます楽しくなったのではないでしょうか。話すことで、人に説明することの難しさもわかります。今では「その説明じゃわからないよ」とやり直すこともほとんどなくなりました。お城巡りは家族の楽しみになっています。子どもの好きなものを一緒に楽しむことが、好きな気持ちを継続する秘訣かも知れません。

★日本城郭検定について

日本城郭検定は、日本城郭検定協会が2012年から実施しています。どのような目的で始まり、どんな問題が出るのでしょうか。同協会の方にお話を聞きました。

Q.日本城郭検定を実施した目的は?

お城について学ぶためだけの検定ではなく、検定を通じて、数万もある日本の文化遺産である城郭(城跡)に関連する武将や伝統文化などの歴史を知り、あらためて郷土を愛するきっかけになればいいと考えました。

Q.合格率は?

合格率は3級と2級で約70~80%、準1級では約30%、1級になると約5%と、級が上がるごとに非常に難易度が高くなります。

Q.どのような問題が出題されますか?

3級・2級ではお城の基礎的な知識(分類や歴史、地域文化など)に加えて日本100名城・続日本100名城の個別知識について、準1級では毎回のテーマについて重点的に出題されます。1級では他の級すべての範囲に加えて、ウンチクや時事情報など、お城に関するあらゆることが問われます。

Q.勉強方法を教えてください。

合格を目指してテキストを読み込んで勉強することも大切ですが、日本の文化遺産である城を知ることで、郷土や日本についての知識や愛を深めることが上級を受けるコツ、また協会としての願いです。

『日本100名城と続日本100名城に行こう 公式スタンプ帳つき (歴史群像シリーズ)』(日本城郭検定 著・ワン・パブリッシング)などの問題集がオススメ。過去の検定で出題された問題に慣れておくことで、問題の傾向がつかめます。1100円(税込)と価格も手に取りやすく、200の城の基本的な情報が得られます。

Q.受検を考える親子にメッセージをお願いします。

親子で一緒に挑戦される方も多くいらっしゃり、共通の話で絆を深めたとよく聞きます。世代を問わず、日本の歴史や文化、郷土を愛するすべての方に受けていただき、家族や友人とのコミュニケーションや趣味、仕事に活かしていただきたいです。

オンラインで挑戦できる級もありますので、学びを深めるきっかけにしてください。

日本城郭検定公式サイト

https://www.kentei-uketsuke.com/shiro/

黒澤真紀
黒澤真紀

1977年生まれ。愛媛県出身。旧姓、井上。都内の学習塾に勤務した後、結婚、出産を経てフリーライターに。教育を専門に学びたいと、中学生と小学生の息子を育てながら都内女子大の修士課程を修了。大人になっても「学びは楽しい」と実感する。海と山に囲まれて育ち、虫が全然怖くない。子どもの頃は自然の中で遊ぶのに夢中で、得意だったのは押し花と走ること。

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