2021.12.24
習い事Q&A 小内三奈

レッジョ・エミリア教育とは?子どもはどう育つ?特徴・メリット・注意点を解説

Kodomo Edu International School提供Kodomo Edu International School提供

幼児期の教育として知られる「レッジョ・エミリア教育」。表現力が身につくアート教育に力を入れているイメージがありますが、実際はどのようなものなのでしょうか。具体的な教育法や特徴、園での活動などについて、「Kodomo Edu International School」(東京都目黒区)の上田佳美代表に話を伺いました。レッジョ・エミリア教育についての疑問を解消します。

<今日のポイント>

  1. レッジョ・エミリア教育とは、イタリア発祥の幼児教育
  2. 「グループによるプロジェクト学習」「本物の素材を使った表現活動」などの特徴がある
  3. モンテッソーリ教育のような年齢に合わせた固有のカリキュラムはない

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レッジョ・エミリア教育はイタリア発祥の幼児教育

木の素材とカラフルな粘土を組合せて作品を作る子どもたち=Kodomo Edu International School提供木の素材とカラフルな粘土を組合せて作品を作る子どもたち=Kodomo Edu International School提供

まずは、レッジョ・エミリア教育の始まりや国内外での広がりなどについて説明します。

レッジョ・エミリア教育とはどういうものなの?

A. 北イタリアのレッジョ・エミリア市発祥の幼児教育です。

第2次世界大戦後、公正な民主主義が求められる風潮の中、親らが集まって「子どもにあるべき教育を」と団結し、学校づくりを始めました。地元の教員だったローリス・マラグッツィの指導と市の協働によって幼児教育施設が誕生し、そこで実践された教育がレッジョ・エミリア教育の基礎となっています。

ローリス・マラグッツィが残した「100の言葉」とは?

A. 「子どもが100人いれば100通りの表現方法がある」という意味で、子どもが持つ無限の可能性を鮮烈に伝えるメッセージが詰まっています。こちらがその言葉の一部です。

子どもには百とおりある。子どもには百のことば 百の手 百の考え 百の考え方 遊び方や話し方百いつでも百の 聞き方 驚き方 愛し方 歌ったり 理解するのに 百の喜び発見するのに 百の世界 発明するのに 百の世界 夢見るのに 百の世界がある。

「100の言葉」にレッジョ・エミリア教育の理念が象徴されています。子どもたちを「主役」とし、「知性があり有能で、創造的で、独創性に富み、一人ひとりが価値のある個性」だと捉えます。

レッジョ・エミリア教育は国内でどれだけ普及しているの?

A. レッジョ・エミリア教育を実施する園の数は正確に把握されていませんが、東京都内では10園程度です。

レッジョ・エミリア教育は、ヨーロッパから始まり、世界中の幼児教育の現場で取り入れられています。アメリカでは、1991年にアメリカ版ニューズウィーク誌に「世界で最も先進的な乳幼児教育」として取り上げられました。Google社やディズニー社の社内保育園でも採用されるなど、起業家、研究者、俳優らを含める多くの著名人が子どもにレッジョ教育を受けさせていることが知られています。

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グループ活動で表現力、思考力、協調性が身につく 4つの特徴を紹介

ここでは、レッジョ・エミリア教育ならではの特徴を4つ紹介します。

①グループによるプロジェクト学習

レッジョ・エミリア教育では、子ども同士、教師と子どもの対話を重視し、子どもが持つ表現力、コミュニケーション能力や自ら考える力などを養います。最も大きな特徴が、「グループによるプロジェクト活動」。長ければ半年以上かけて1つのテーマを掘り下げていきます。教師がテーマを提示するのではなく、子ども自身の興味を引き出すことによってプロジェクトは生まれ、進行していきます。

テーマは、当園の実践例をあげると、「ボートプロジェクト」「スイングプロジェクト」などさまざま。教師は一切手を出さず、「こうしたらどうなる?」など、子どもが考えるための問いかけをするファシリテーター役に徹します。子どもらの間で対話を重ね、試行錯誤を繰り返しながら一つの協同作品を作り上げます。

<プロジェクト例>

【ボートプロジェクト】

ボートを完成した後に魚釣りの遊びをする子どもたち=Kodomo Edu International School提供ボートを完成した後に魚釣りの遊びをする子どもたち=Kodomo Edu International School提供

「みんなが乗れるボートを作りたい」という子どもたちの声からスタートしたプロジェクト。本物さながらの迫力ある大型ボートを段ボールと木材などで作りました。その後も、紙で切り取った海の生き物を作り、釣りをイメージした遊びに発展しています。

【スイングプロジェクト】

スイングプロジェクトに取り組む子ども=Kodomo Edu International School提供 スイングプロジェクトに取り組む子ども=Kodomo Edu International School提供 

 「大好きな人形をブランコに乗せてあげたい!」からスタート。試行錯誤を繰り返しながら3度の失敗を経て、最後は人形がブランコの椅子から落ちないよう人形に補助ベルトを取り付けた結果、7ヶ月目に見事完成しました。

②多種多様、本物の素材を使った表現活動

Kodomo Edu International School提供Kodomo Edu International School提供

レッジョ・エミリア教育では、「アトリエリスタ」という美術専門教師も加わり、表現活動に取り組みます。プロのアーティストが使用する同じクオリティの美術材料、木の枝や貝殻などの自然素材を使うことも。本物の素材は、子どもの好奇心や探究心を高めます。コラージュ、彫刻、建築、木工、粘土、ワイヤー、縫製、光と影など、さまざまな手法を用いて表現力を磨きます。

 

当園では、発想力や創造力、自発力を伸ばすため、12色の絵の具を一度に使うことはありません。赤・黄・青の3原色からトライ&エラーを繰り返しながら自分が表現したい色を根気よく作り出し、1色だけを使って水加減や筆の力の強弱だけで表現することもあります。

③学びの過程を記録する「ドキュメンテーション」

レッジョ・エミリア教育の特徴の一つとして、学びのプロセスを記録する「ドキュメンテーション」があります。プロジェクトなどに取り組む際に、子どもの活動と発言を写真や文章で綴った記録を残します。最終成果物だけでなく失敗例も含めたプロセスを教室に貼る、飾るなどして、子どもも教師も自分たちの活動を振り返りその経験を次に生かしていきます。

④教師の役割はあくまでもファシリテーター

「教育は、子ども・保育者・保護者が上下なく一体となって成り立つ」と考えるレッジョ・エミリア教育では、教師と子どもの関係はフラットで、共に学び合う関係にあるのが特徴。教師は知識を教える人ではなく、考えさせる「ファシリテーター」としての役割を担います。子どもが生まれながらに備えている豊かな能力を信じ、子どもをよく観察し、的確な質問をすることで子ども自身に考えさせます。

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レッジョ・エミリア園での過ごし方を紹介

Kodomo Edu International School提供Kodomo Edu International School提供

レッジョ・エミリア園での1日の過ごし方について紹介します。

1日の過ごし方は?

A. 当園では、午前と午後2回に「プロジェクト活動」をする「Focus time(フォーカス・タイム)」があります。子どもの興味関心に合わせてプロジェクトの内容が決まるので、年間を通じて曜日ごとに固定の活動は設定していません。

Kodomo Edu International School提供 Kodomo Edu International School提供 

登園後の「サークルタイム」では、みんなで輪になって歌を歌ったり絵本を楽しんだりします。お弁当前の時間には、毎日近隣の公園にお散歩へ。降園前のサークルタイムでは、その日に行った活動の振り返りを全員で行っています。

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モンテッソーリとの違いは?レッジョ・エミリア教育の疑問を解消!

宇宙プロジェクトに取り組む子どもたち=Kodomo Edu International School提供宇宙プロジェクトに取り組む子どもたち=Kodomo Edu International School提供

モンテッソーリ教育とはどこが違うの?

A. レッジョ・エミリア教育には、モンテッソーリ教育のような年齢に合わせた固有のカリキュラムはなく、発達段階に合わせてその子の特性にあったカリキュラムをつくることが中心になります。

また、個別活動中心のモンテッソーリに対して、グループ活動が中心のため、まわりの子どもたちと関わりながら一緒に取り組む力、思考力やコミュニケーション能力などを養います。子どもと教師、保護者が上下なく一体として成り立つと考える点なども大きく異なります。

季節ごとの行事などはないの? 

A. 運動会、お遊戯会などのイベントはありません。あくまでもプロジェクト活動の一環として「スポーツ・デイ」「ハロウィーンパーティー」などを開催します。

与えられたイベントとしてではなく、「どんな競技をやりたいか?」からスタート。子どもたちで企画、主催するのが特徴です。

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進路先・学費の相場は?よくある質問まとめ

進路先や学費の相場などについて解説します。

進路先は?小学校受験対策には向いていない?

A. 私たちの園には、レッジョ・エミリア教育の理念に強く共感してくださった近隣にお住まいの方が通っています。卒園後は赴任で海外に行かれる方、地元の小学校へ進む方、インターナショナルスクールに進む方などさまざまです。

プロジェクト活動を通して仲間と対話しながら一つのものを作り上げる経験を十分積んでいるので、小学校受験のいわゆる「行動観察」で大切となる力は自然と習得していきます。

学費の相場はどのくらいするの?

A. 学費は施設によってさまざまですが、だいたい相場は月額13万円〜20万円からでしょうか。

幼児教育無償化により、認可外保育施設でも証明書を自治体から交付されている施設は補助金が出るようになっています。当園も補助金の対象です。

実際に通っている親の声は?

私立幼稚園から転園してきた5歳の女の子の保護者は「前の園ではお友達の前で言葉を発したことがなかった娘が、今では積極的に話すよく笑う子に。ここに通ってから180度変わったのは、一人ひとりの個性を大切にして成長を待ってくれる環境があるからです」と話してくれました。
3歳の女の子を通わせる保護者は「2歳児でも釘を使ったり縫い物をしたりします。危ないから!と制限せずまずやってみる環境の中で、娘はできることが格段に増えました。うちも人前では言葉が出ない子だったのによく話すようになったのは、プロジェクト活動のおかげだと思います」との感想を聞くことができました。

上田佳美代表からのメッセージ

すべての子どもは可能性に溢れています。子どもを信じ、子どもの可能性を広げてあげてほしいと思っています。そのためには、子どもと大人が本気で向き合うことが大切です。でも忙しい毎日の中、ご家庭だけで子どもを見守り続けることは大変。ぜひ、ご家庭と一緒になって子どもを信じ、子どもの可能性を広げてくれる園選びをしていただきたいと思います。

【プロフィール:上田佳美(うえだ・よしみ)】

慶應義塾大学卒業。20代でウォルト・ディズニー・ジャパンに入社。モバイルコンテンツのプロデューサーとして従事し、ディズニーの 「最高のモノづくり」「最高のチームを作る」 文化に多くを学ぶ。その後映画業界で、世界で認められる日本人のクリエイターたちと出会い、日本人の創造性に興味を持つ。2016年にレッジョ・エミリアと出合い、2019年に本格的なレッジョ・アプローチを目指すKodomo Edu International Schoolを創設。

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小内三奈
小内三奈

ライター・インタビューアー。ビジネス・教育分野を中心に、新聞、雑誌、Webメディア等で執筆中。経営者や教育現場への取材の他、教育書・児童書の書評を執筆。その他、旅行、グルメ等幅広いジャンルに取り組む。好奇心旺盛でキラキラした子ども時代を過ごしてほしいと願い、「今、この瞬間」を大切に育児に励む2児の母。子どもの頃熱中したのはピアノ。4歳から高校1年まで続け、最後の演奏曲はショパンのノクターン。

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