2022.01.06
学びをはぐくむ 白根理恵

みらのび1周年記念インスタライブ「子どもの習い事どうする?」 小川大介さんに聞く

「みらのび」では教育家の小川大介先生を招いて、サイト開設1周年記念インスタライブ「子どもの習いごと、どうする?」を行いました。 参加してくれた親から寄せられた習い事に関する悩みに、小川先生が丁寧に答えてくれました。「みらのび」では2020年11月25日にメディアサイトを開設以来、子どもの習い事のヒントになる記事や教育情報を数多く発信してきました。2021年8月にはSNSアプリ「インスタグラム」のアカウントもオープン。この記事は、11月25日に1周年記念インスタライブを開催したときの様子をまとめたものです。

やりたいことは応援したい!でも習い事は多すぎるとよくないの?

――みらのびのインスタストーリーズで集計したアンケートによると、子どもに3つ以上の習い事をさせている家庭は57%いることがわかりました(70アカウントが回答)。たくさんの親が習い事をさせる中で、習い事の適切な数についての質問が多く寄せられました。 

【親からの質問】スイミング、体操、ピアノ、知能教室と4つの習い事をしている小学1年生の男の子が、さらにプログラミングや絵画教室もやりたいと言い始めました。習い事が多すぎるのではないだろうか。もっと外遊びやぼーっとする時間があったほうが良いのではないかと悩んでいます。

子どもが飛び込んでいきたい方向の意味を分かっておこう

確かにぼーっとする時間は大事ですね。そこは親御さんの感覚に自信を持っていいと思います。いま4つの習い事をしているとのことですが、実はスイミングと体操、ピアノと体操にはそれぞれ「体を動かす」や「リズム感」というつながりがあります。このお子さんは自分自身の体を動かして、何かを変化させたり自分が変身したりして、自分の世界を広げてみたいという欲求や興味を持ち始めているのかもしれません。だからといって、あれもこれも全部やればいいということではなくて、子どもが今飛び込んでみたい方向の意味を考えていくことが大事です。

なぜ習い事をさせたいのかを考えることも大事

子どもが飛び込んで行きたい方向が分かったら、必ずしも習い事でなくてもいいんじゃないかと思います。たとえば、ワークショップなどに遊びに行くだけでもいいですよね。美術館に行って絵を見たり、図書館で絵画集を見比べてみるのも面白いです。公園の地面にお絵描きするのも、折り紙で遊ぶのも絵画の関連性という意味では選択肢です。

習い事というのは、どこまでいっても手段のひとつでしかないということを親が知っておくことが必要です。 

――ワークショップなどもあるし、親が一緒に絵を描くというやり方でやってもいいかもしれない。実はいろいろな方法があるんですね。

技術的なスキルを上げたいのか、子どもに体験の機会を与えたいのか。習い事に関してごちゃ混ぜになっている人が多いと思います。絵に興味を持ったら、一緒にお絵描きをしたり落書きしたりするだけでも十分体験的に満たされるし、ビジュアル的にも子どもの感性は刺激されています。

習い事としてやれば誰かに教えてもらえるから、満足度の高い絵を段階的に描けるようになって自信も育まれるでしょう。技術的にも上がっていくから安心できるという魅力はあります。でも、「どうせやるならちゃんと習わせて、やるからには結果を出さなければ」と、最初から習い事ありきで考えてしまう親御さんが増えているような気がします。

――ピアノで言えば、コンクールに出るくらいのレベルを目指していることと、楽しくやれればいいとの思いがごちゃごちゃになって、焦りが生まれてしまうのでしょうか。

コンクールに出させてあげたい理由は何なのかということです。質が高いものでないとかわいそうとか、意味がないんじゃないかという親の不安が理由なら、習い事選びのベクトルが子どもの方向に向いていません。

親の不安に基づく習い事選びは、肝心の子どもの豊かな育ちにはあまり届かないということは知っておきましょう。

習い事のやめ時はいつ?どのように習い事を絞ったらいいの?

――ここからは習い事のやめ時について考えていきます。

【親からの質問】現在オンラインも含めて、10個の習い事をしています。どれも本人が自発的に始めたもので、これからも続けたいと言っています。しかし親としては、1つ1つの習い事に集中できなくなることと、小学校に入学したら宿題が増えて両立が難しくなることから、習い事を絞ったほうがよいのではと悩んでいます。習い事の絞り方と、やめ時の判断方法を教えてください。

習い事をやめられない2つの理由

  1. 子どもがその場その場の刺激を味わうものとして参加している場合
  2. 親が子どもの望むことは応援してあげたいという一点だけで子育てしている場合

まず1つ目は、子どもがイベントかディズニーランドのアトラクションを順番に回っているよう感覚で習い事をしている場合です。その時間は楽しいけれど、家に帰って反芻したり、ふと思い出してもう一度やってみようと思ったりする楽しみ方を知らない。習い事に行ったときの「楽しい」という刺激の連続に慣れてしまっているので、子どものなかでやめるイメージがわかない例です。

2つ目は、子どもの希望を叶えるというアプローチだけで子育てをしているケース。本人がその瞬間にやりたいと言ったことに対して、親が一緒に考えようというコミュニケーションのとり方や、導き方の練習ができていないと考えられます。

何をやめるか考える前に「感じる」を共有しよう

――子どもが全部やりたいと言っても習い事の数は減らしたほうが良いのでしょうか。また、やめるタイミングやどれをやめるべきかという見極め方はありますか?

10個も習い事をしていると本人が1つ1つを味わう体感の時間が取れませんから、たしかに減らしたほうがいいでしょうね。でもいきなり減らすと本人は戸惑うと思います。何で急にやめるの?と不安になり、突然空白の時間ができてどう過ごしていいか分からず、イライラしたり元気がなくなったりすることも考えられます。

そうならないために、何かを与えられていない時間の過ごし方を親子で共有することから始めるのが良いでしょう。たとえば散歩やおやつの時間に習い事について子どもと一緒に話したり、お風呂や寝る前の時間にゆっくりおしゃべりしてみたりするのもいいですよね。

そのなかで、とくに本人がキラキラと話すものや広がりがありそうな習い事を残して、それ以外は本人と相談しながらやめていくという段階を踏んだらいいと思います。いきなり「小学校に入るからやめようね」としないことが大切。習い事をしているときの気持ちを思い出すような問いかけをして追体験させ、それから考える。考える前に「感じる」を子どもと共有することが大事です。

習い事はアプリではない

――どれをやめるの?というような単純な問いかけはよくないということですね。 

そうですね。「やりたいの?やりたくないの?」と聞いたら、瞬間の刺激への返事しかできないから、深く楽しんでいるものかどうか分かりません。1つ1つの習い事にじっくり時間をかけて、本人の話や体験を親も一緒に味わう。そのなかで選んでいかないと決めようがないと思います。

ゲームのソフトとは違いますから。アプリを入れたらすぐにスマホがパワーアップするようなことが、子どもの身に起きるわけありません。いろいろなことに関わりながら育つのだから、誰が何を教えるのかより、本人が何を感じ取っているかのほうが大切です。

子どもが練習しない!やる気を出すにはどうすればいいの?

【親からの質問】子どもがなかなかピアノや野球などの習い事の練習をしません。どうすればやる気が出るのでしょうか。

【子どもが練習しない3つの理由】

  1. 「やらない」
  2. 「やれない」
  3. 「気づいていない」

子どもが練習しない理由その1:「やらない」と決めているから

親は「練習しない」という言い方をしますが、子どもの「やらない」には3つの理由があります。まず1つ目は、意志を持って「やらない」と決めている場合。意志があるということは本人なりの根拠があるのだから、「いいからやりなさい」ではなく、理由を聞いてあげなければいけませんね。

子どもが練習しない理由その2:「やれない」から

子どもが練習しない理由で多いのは、「やれない」から。どうやったらうまくいくかイメージがわかない。ピアノの練習をしない子は、練習のイメージが湧いていない可能性が高いです。練習して楽しくなれる、手ごたえを感じて自分に満足できるというところの見通しが立っていないんじゃないかと思います。何から始めたらいいか、どのくらい時間をかけたらいいのかを、分かるように伝えることが必要です。

子どもが練習しない理由その3:「気づいていない」から

最後の理由は、何をしたらいいか分かっていて、やれるイメージも湧いているけれど、今それをやるタイミングだと気づいていないということ。野球の素振りをしない男の子は、バットぐらい振れると思ってはいるけれど、いつやればいいのかイメージできていないのでは。だから目の前にほかの楽しいことや、宿題のように今やらなきゃだめなことが並んでいたら、素振りは後回しになりますよね。やろうと思っていても、気づいたら時間だけがたっているということを毎日繰り返しているかもしれないですね。素振りをやる時間を決めて、時間がきたら「そろそろ素振りだね」と言ってあげることが必要です。

やる気は「やれたこと」を感じ取れないと生まれない

やる気というのは、意志の力で生まれると勘違いしている方が多いのですが、それは違います。やる気は「やれた」ことを感じ取れて気持ち良くなったあとにしか生まれないんです。特に子どもはそうです。すでにできている、だからもうちょっとやろうかな、というときの気持ちが「やる気」であって、朝起きた瞬間からやる気に満ちているっていうのは、ありえないんですよ。

それでもまだ大人のほうが意志の力でやる気を出せるのは、経験してきたから。頑張ったときに得られる体験をしてきたから、よしやるぞと思えます。でも子どもは、うまくいきそうという予感や、自分への信頼をためていく段階にあるので、「すでにやれていること」をいかに作らせてあげるかが大事なんですね。

小川大介さんからのメッセージ

親は、つい「出来ること」が目的化してしまうけれど、出来るようになるかどうかは結果論。出来ても、出来なくても楽しい!それが、習い事を豊かに生かしながら子どもが自立していくための親の知恵だと思います。悩むのは子どものことを大事にしている証拠だから、自信を持っていいんです。そこが分かれば、選ぶことの勇気は出しやすくなると思います。


【プロフィール:小川大介(おがわ・だいすけ)】

教育家、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。京大法卒業後、受験指導、幼児期からの才能発掘、親子関係カウンセリングなど幅広く活動。6000回以上の学習相談、子育て相談で培った洞察力と的確な助言が評判。『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』など著書は20冊以上。新刊「本当に伝わる言葉がけ」が好評発売中。LINE公式アカウントもオープン。YouTubeチャンネル「見守る子育て研究所」


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「夢中を「見守る」子育て 教育家・小川大介」の記事一覧

白根理恵
白根理恵

本業は会社員の副業ライター。ジャンルを問わず、知らない世界にも無謀にチャレンジするのが唯一の強み。身につけたスキルはスキマ時間の活用能力。映画をこよなく愛する2児の母でもあります。

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