2022.01.13
習い事最前線 橋本 新之介

サッカーとプログラミングを一緒に学ぶ「Scratch×Soccer 1日キャンプ」

サッカーのドリブルをテーマに、実技とプログラミングを一日で学ぶイベントが2021年11月22日、川崎市で開かれました。一見全く関係なさそうな二つの分野の〝化学反応〟。参加した子どもたちは、「プログラミング的思考」と呼ばれる、論理的な考え方によって効率よく課題を解決する力を育むことができたようです。

サッカーのドリブルを工夫してみよう

ドリブルの基礎練習後は、実戦形式での応用もドリブルの基礎練習後は、実戦形式での応用も

午前10時、グラウンドで、サッカーの実技指導が始まりました。小学3~6年生の計42人が参加。講師は、川崎フロンターレスクールの普及部コーチ陣が務めました。

「行きたい方向にドリブルするためには、ボールを足で押し出す強さをどのくらいにしたほうがいいのか考え、ワンタッチごとに強さを変えてみよう」

 直線上に置かれた五つのコーンの間を縫うようにドリブルする練習。コーチ陣のアドバイスを受けた子どもたちは「弱く、弱く、弱く」「弱く、弱く、強く」などと声を出しながら、ボールタッチの強さを変えながら何度もチャレンジしていました。

コーチ陣は、答えは示さず、ヒントを与えるだけです。高善一コーチは「子どもたち自らが1回ごとのドリブルで何がダメなのか課題を見つけ、それを解決し、もっとうまくドリブルするにはどう工夫すればいいのか考えさせるためです」と、その狙いを明かしてくれました。

サッカー初心者の子どもも楽しめるように、2時間の練習のほとんどは基礎的な実技指導でしたが、経験者でも学ぶことが多かったようです。小学3年の井原大貴くん(9)は「これまではあまり考えたことはなかったけど、ボールタッチの強さを考えて色々と強さや弱さを試したことで、ドリブルでの切り返しが上手になったと思う」と、満面の笑みでした。

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サッカーでの体験をプログラミングで表現する


スクラッチでドリブル迷路のゲームを作る子どもスクラッチでドリブル迷路のゲームを作る子ども

 午後は、富士通オープンカレッジ武蔵小杉校の教室に移動して、サッカーでの体験をプログラミングで表現する講習です。

川崎フロンターレのマスコットキャラクターがドリブルで迷路をクリアするゲームを作ります。ボールタッチの強弱や歩数などの数値を変動させることで、キャラクターがパソコンの画面上でどのように動くのかを考えます。

使うソフトは「スクラッチ」です。子どもでもゲームやアニメーションなどを自由自在に作ることができます。「10歩動かす」「90度に向ける」といった指示が書かれた複数のブロックをパソコン画面上で組み合わせると、キャラクターが作り手の創意に応じて動く仕組みです。

「思った通りにキャラクターが動かないよ」。子どもたちがパソコン操作につまずき、声を上げたり、挙手をしたりすると、講師たちがすかさず駆け寄りサポートしてくれます。午前中にサッカーで身体を動かしクタクタなはずなのに、子どもたちの集中力は途切れるどころか、ますます高まっている様子でした。

試行錯誤を繰り返し、2時間近くかけてゲームが完成すると、「思った通りに動いたよ!」「こんなゲームがあったら面白い!」と、あちこちから喜びの声が上がっていました。小学6年の黒津天希くん(12)は、学校の休み時間に友達とスクラッチで遊んでいるといい、「今回はプログラミングとサッカーがどう関係するか考えながら取り組みました。ボールを持って次のプレーを考えるときにプログラミングでの考え方が役に立つと思いました」。

関連記事:プログラミングとは何?初心者は何から勉強を始めたら良いの?学習の前知識まとめ

サッカーとプログラミングの両方を好きになって欲しい

分からないことがあれば、すかさず講師がサポート分からないことがあれば、すかさず講師がサポート

主催は、川崎フロンターレと、富士通オープンカレッジ武蔵小杉校などを運営するアルファメディア、朝日新聞社の3社です。一昨年12月の小学生10人によるテスト開催以来の実施となりました。

プログラミングの講義を担当した富士通オープンカレッジの齊藤真紀さんは「サッカーに苦手意識を持つ子どもにとってはプレーの仕方を論理的に考えることで上達につなげてもらい、サッカーが好きな子にはプログラミングの楽しさを知ってもらう機会になってほしいですね」

川崎フロンターレの高コーチは前回よりも手応えを感じたそうで、「プログラミングとの連係はサッカー普及のツールの一つにもなり得ると確信しました。今後はもっと高いレベルのプログラミングやサッカー指導にもチャレンジしていきたいですし、Jリーグの他クラブにはぜひ参考にしてほしいですね」と話していました。

「富士通オープンカレッジ F@IT Kids Club 武蔵小杉校」の教室ページ

これからの時代に必要なプログラミング的思考

 子どもたちが作成したドリブル迷路ゲームのパソコン画面子どもたちが作成したドリブル迷路ゲームのパソコン画面

 人気スポーツであるサッカーと、小学校で必修化となったプログラミングとの異色のコラボレーションに、保護者の関心は高いようです。井原くんの母、久美子さんは「サッカーとプログラミングは意外な組み合わせでしたが、驚くほど共通点があって新鮮でした。プログラミング的思考はこれからの時代でますます必要になると感じました」と話していました。

今回の取材については私自身、31年間のサッカー経験者から見た視点、そして、サッカーに打ち込む小学3年生と1年生をもつ2児の父親としての視点で臨みました。わずか1日だけの密着でしたが、「プログラミング的思考」を身につけることで、サッカーをやっている子どもにとっては、感覚でやっていたプレーを数値で認識することで論理的な思考につながり、さらなるプレーの向上が期待できると感じました。一方で、サッカーが得意ではない子どもにとっては、プログラミングを使って論理的に思考することで、少しでもプレーをうまくできる方法やきっかけを見つけることができ、苦手意識を変える可能性を秘めているとも思いました。

 「富士通オープンカレッジ F@IT Kids Club 武蔵小杉校」の教室ページ

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橋本 新之介

1980年生まれ。2004年に朝日新聞社に記者職で入社、地方での取材や紙面の編集を経て、 現在はスポーツ事業部に所属。趣味はスポーツ全般。 特にサッカーは小学4年から始め、現在も月5回ほど仕事終わりに自宅近くの練習場でボールを蹴っています。 親の影響もあってか、小学3年と小学1年の息子2人も世界で活躍する選手を夢見てサッカーに打ち込んでおり、 彼らの日々成長していく姿を間近で見守ることが一番の楽しみです。