2022.01.25
習い事Q&A 小内三奈

幼児教育の種類・メソッドまとめ8選!特徴やメリットを解説

幼児教育にはどのような種類やメソッドがあるのでしょうか。幼児教育と一口にいってもさまざまな種類があり、大切にしている考え方やアプローチの手法には違いがあります。子どもに合った幼児教育を検討するには、まず大まかな特徴の理解が必要です。世界的に有名なモンテッソーリ、シュタイナー、レッジョ・エミリア教育から日本で普及する幼児教育まで、計8つの種類を紹介します。

子どもの個性にあった幼児教育を選ぼう

幼児期は非認知能力を育む大事な時期

幼児期は脳が活発に成長し、日々の生活や遊びの中でたくさんのことを体験することで様々なことを吸収します。これらの体験は、就学後の学びの基盤となり、自分を信じる力や学習に向かう意欲、やり抜く力やコミュニケーション力などの土台を作っていきます。これらは、最近注目されている「非認知能力」を育むことにもつながります。

幼時期をどう過ごし、体験の場をいかに増やすかは子どもの成長に大きく影響します。豊かな人生を生き抜くお子さんの個性に合った教育メゾッドを研究してみることが大切です。

幼児教育と早期教育の違い

幼児教育と似て非なるものに、「早期教育」があります。幼児教育は、生活や遊びの中で、子ども自身の「自分でやってみたい」「試してみたい」という好奇心を大切に、さまざまな体験を通して将来の学びの基盤となる力を養うことを目指します。

一方の「早期教育」は、一般的には、読み・書き・計算に代表されるような小学校での学習の先取りや、小学校受験を視野に入れた知識の習得などが中心となっています。

世界に広がる幼児教育の種類5選

ここでは、世界的に有名な幼児教育を5つ紹介します。

①モンテッソーリ教育

イタリア人の医師で教育家であったマリア・モンテッソーリ氏が考案した教育法。「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という「自己教育力」に着目し、その力を発揮できるよう、環境を整えることを大切にした教育です。将棋の藤井聡太さんやビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ氏などが受けた教育として有名です。

乳幼児期の発達段階の特徴から、0~3歳までの「前期」と3~6歳までの「後期」に分け、それぞれの発達段階にあらわれる「敏感期」に即した環境と様々な「教具」を用意しながら、子どもの成長をサポートします。子ども自身が「やりたい」と思う教具を選び、1人で集中して取り組むことで必要な力を自ら習得していきます。縦割りクラス編成も特徴的です。

関連記事:モンテッソーリ教育とは?子どもはどう育つ?特徴・メリット・注意点を解説

②シュタイナー教育

オーストリア出身の思想家、ルドルフ・シュタイナー氏によって提唱された教育法。人は7年ごとに成長し、それぞれの発達課題があると考えます。シュタイナー幼児教育は0~7歳までの第1期を指します。その年齢にふさわしい環境や学びを通して「自分で考え、判断し、行動できる人間」を育てます。日本にも小中高のシュタイナー教育の一貫校があります。 

シュタイナー園では、羊毛や木の実など、「本物」の自然素材のおもちゃにこだわり、独自のリズム遊びや運動芸術に取り組みます。1日、1週間、1年のリズムをつくり、繰り返しを大切にするカリキュラムも特徴的です。体を動かし、感覚を働かせて(見たり、触ったり、嗅いだり、味わったり)本物の世界を感じることを重視し、自分自身の器となる「体」と生きていく力=「意志」を育みます。

関連記事:シュタイナー教育とは?子どもはどう育つ?特徴・メリット・注意点を解説

③レッジョ・エミリア教育

北イタリアのレッジョ・エミリア市発祥の教育法。ローリス・マラグッツィが残した「100の言葉」は「子どもが100人いれば100通りの表現方法がある」という意味で、子どもたちを主役とし、「知性があり有能で、創造的で、独創性に富み、一人ひとりが価値のある個性」だと捉えるレッジョ・エミリア教育の理念が象徴されています。

「グループによるプロジェクト活動」が特徴で、子ども同士、教師と子どもの対話を重視し、子どもが試行錯誤を繰り返す中で、表現力、コミュニケーション能力や自ら考える力などを養います。プロジェクト活動のテーマはそのときどきの子どもたちの興味・関心から生まれます。また、さまざまな手法を用いたアート活動を通じて表現力も磨きます。

関連記事:レッジョ・エミリア教育とは?子どもはどう育つ?特徴・メリット・注意点を解説

④イエナプラン教育

ドイツの教育学者、ペーター・ペーターゼンが創始者で、後にオランダで急速に発展を遂げました。一人ひとりを尊重しながら自律と共生を学ぶ教育法。長野県佐久穂町にある大日向小学校・中学校はイエナプランの認定校で、「対話・遊び・仕事(学習)・催し」の4つの基本活動を循環させながら学びを進めます。

⑤ドルトンプラン教育

アメリカの教育家、ヘレン・パーカースト氏が、詰め込み型の教育に対する問題意識から提唱した学習者中心の教育法です。自主性と創造性を育む「自由」、社会性と協調性を育む「協働」の2つの原理に基づき、一人ひとりの知的な興味や旺盛な探究心を育てながら、個人の能力を最大限に引き出す教育です。ドルトン東京学園中等部・高等部(東京都調布市)など、日本でもドルトンプランを実践する学校が様々あります。

日本発祥の幼児教育3選

モンテッソーリ、シュタイナー、レッジョ・エミリアの幼児教育は、幼児期の子どもにふさわしい環境を用意し、一人ひとりの個性を大切にしながら子どもの成長をサポートしていく点を重視しています。対して、日本発祥の幼児教育は、心の教育も大切にしているものの、読み・書き・計算に代表されるような学習の先取りや、小学校受験を視野に入れた知識の習得など「早期教育」の側面もあるのが特徴です。ここでは、日本の幼児教育と知られる3つの教育法を紹介します。

①石井式教育法

教育学博士である創始者・石井勲が提唱する、幼児期の言葉の学習法。好奇心旺盛な幼児期に「学ぶことの楽しさ」を教えることを通して、脳の体幹である「思考力・読解力・表現力」を身につけさせる教育です。オリジナルの漢字かな交じり絵本やカードを使って、言葉や文字を学びます。

参考:石井式国語教育研究会

②七田式教育法

七田眞が創始者で、誕生から60年を超えています。年齢別に教材が揃い、オリジナルのフラッシュカードを使った右脳トレーニングが有名です。右脳教育に力を入れると共に「心の教育」も重視し、褒めることや愛情を伝えることにも重きを置き、子どもの本来持つ能力を引き出す教育法です。

参考:七田式教育

③ヨコミネ式教育法

女子プロゴルファー横峯さくらの伯父、横峯吉文が提唱する教育法で、子どもたちが逆立ちで歩く、漢字の読み書きができることなどで有名です。「才能開花の法則」などによって子どものやる気を起こし、「読み・書き・計算・体操・音楽」を通して「学ぶ力」「体の力」「心の力」を育みます。

参考:ヨコミネ式教育法

取材後記:幼児期の環境を考え、親子の関係を深める大切さを実感

私自身、幼児期をモンテッソーリの環境で過ごしました。取材でモンテッソーリ園にお邪魔し、教具に囲まれた空間に足を踏み入れた瞬間、何十年も前に通っていた園の風景が思い出されました。本物のアイロンを使うなど、通常危ないと遠ざけるようなものも正しい方法で使ってみるというお話を聞いた際には、火を使ってお料理をしたり縫い物をした記憶もよみがえってきました。園に行く前から、「昨日の続きをしよう!」「今日は新しくあれをやってみよう!」とやりたいことを思い巡らせたこと、納得いくまでとことんやり切った幼児期でした。周りに左右されず「自分はこうしたい」と主体的に行動できる基盤を作ってもらったのは、モンテッソーリ環境での体験の積み重ねのおかげなのだと実感しました。

 モンテッソーリ、シュタイナー、レッジョ・エミリア教育はすべて、「本物」に触れることにこだわり、積極的に自然素材に触れ、危険と思われることも体験する場を与えます。

シュタイナー園では、ウール100%の毛糸の紐、羊毛などを遊ぶ子ども達の姿が印象的でした。取材時にはおやつのきびがゆも一緒にいただきましたが、その素朴な甘みは今でも忘れられないほどおいしく、素材そのもののおいしさを知ることは、食べること、生きることの楽しさを知ることなのだと強く感じました。

また、デジタル機器をできるだけ遠ざけ、今ではボタン一つでできる洗濯や掃除も、本来のプロセスを手作業ですべてやってみせ、体験してみるという点が印象的でした。「幼児期には、機械化される前の本来のプロセスをすべて見せて、物事の道筋、論理を体感することが大切です」という、シュタイナー園の担当者の言葉に思わずはっとしました。

 一方、レッジョ・エミリア教育の最大の特徴といえば、仲間と対話しながら一つのもの作り上げるプロジェクト活動です。3歳児が木を切り、釘を打って、試行錯誤しながら巨大な船を作り上げた様子を目の当たりにしました。そのスケールの大きさは圧巻でした。「やってみたい」という欲求があれば、子どもは子どもたち自身で難題をクリアできる力があることを思い知りました。

世界的に広く普及している幼児教育の現場を取材していくと、実践しているアプローチの方法に違いはあっても、「幼児期の子どもにふさわしい環境」という意味では多くの共通点があることに気づきます。心身共に健やかに成長し、就学後に意欲的に学習へ向かう姿勢を育むための本質は、世の中がどれだけ発展して便利になっても変わりないということです。

さまざまな幼児教育の種類やメゾッドを知ることは、子どもとのより良い関わり方を学んでいくことでもあります。子どもが伸び伸びと成長できるよう、その子の個性に合った教育メソッドと出合えることを願っています。

小内三奈
小内三奈

ライター・インタビューアー。ビジネス・教育分野を中心に、新聞、雑誌、Webメディア等で執筆中。経営者や教育現場への取材の他、教育書・児童書の書評を執筆。その他、旅行、グルメ等幅広いジャンルに取り組む。好奇心旺盛でキラキラした子ども時代を過ごしてほしいと願い、「今、この瞬間」を大切に育児に励む2児の母。子どもの頃熱中したのはピアノ。4歳から高校1年まで続け、最後の演奏曲はショパンのノクターン。

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