2022.02.17
学びをはぐくむ 石田勝紀

「ほめ方・叱り方のガイドライン」Part.1〜ほめるよりも認める子育てを 石田勝紀さん

「ほめて伸ばす」は確かに間違っていない原則です。しかし、ほめる場面はそうそう日常で起こるものではないことでしょう。ではどうすればいいでしょうか。ほめるよりも「認める」ことを日常で意識してみてください。ほめるは一種の刺激です。ほめる場面でもないのに、ほめていると肝心のときに刺激として伝わりません。ですから、実際の日常の場面では、認めること、つまり承認欲求を満たしていくことに焦点を当てていきます。

子育てのガイドラインを学んで、イライラやガミガミを解消する

ほめ方、叱り方というテーマは親御さんにとっては、子育ての中でも大きな関心の一つになっています。どういうときにほめればいいのか、叱ればいいのか、そのタイミングや内容について聞かれることあります。

子育ては子どもを「育てる」という意味ですが、よくよく考えてみると、大半の方が「育て方」を教えてもらったことがないのではないでしょうか。育て方を教えてもらわずに、育てるのですから、それは迷いの連続になることも無理はありません。

人類誕生以来、脈々と親の「感覚と感性」によって行われてきた子育ても、近年では解明されつつありますが、実際のところ、「子育てには絶対的な正解(ベストな子育て)はない」と考えています。人はそれぞれ個性を持っており、その子にあった適切な子育て(ベターな子育て)があるだけだと思っています。そのため、筆者は多くの子育ての“選択肢”を提示しています。どれが適切な方法となるかわからないため、いくつかを試していただき、子どもにフィットする方法を採用してもらうためです。

しかし、一方で「子育ての原則」というものがあることは確かです。原則というよりもガイドラインと言った方が適切かもしれません。例えば、「長所を伸ばすことが第一であり、短所の是正は第二である」というのはその代表例です。こういうガイドラインは極めて重要なのですが、なぜか一般に流布しないため、その場の感情、感覚で子育てをやってしまうことが頻発し、いつまでもイライラやガミガミが絶えない状況が生まれます。

感情に一番つながる「ほめる」のガイドラインとは?

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そこで、今回から2回にわたってガイドラインの中でも、感情面に一番直結する「ほめる、叱る」についてお伝えしていきます。この原則がわかってくると、どのように子どもに対応すればいいか、具体的方法は自ずとわかってくるかと思います。今回は、「ほめる」のガイドラインです。

ほめるのではなく、「承認」をする

【ほめる】

「ほめて育てる」は確かに正しいと思っています。人間は誰しも、ほめられれば嬉しいものです。しかし、筆者はあえて、「ほめるようにしてくださいね」とは言わないことにしているのです。
なぜなら、そのような伝え方をすると、親は「ほめ“なければならない”」と思い、ほめる場面でもないのに、褒めようとしてしまうからです。そのようにしてほめたことは、子どもはすべてお見通しです。親は“わざと”褒めているなと。

まだ物心のつかない年齢を除き、未就学児の子でも親の「わざとらしいほめ」を感じていることもあります。もちろん、子どもが何かを成し遂げたとき、心から喜ばしいことが起こったときには両手を挙げて大絶賛しほめるということはしますが、そうでもないのにほめると子ども側に違和感が残るだけになります。

ほめるという行為は「心への刺激」であるため、そんなに頻繁に日常で起こるものではありません。仮に日常からほめることばかりしていれば、肝心のほめる場面では刺激として子どもに伝わらないため、いつもの単なる“音声”としてしか伝わりません。

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では、どうすれば、いいでしょうか。

筆者は、ほめるのではなく、「承認」してくださいとお伝えしています。承認とは「認める」ということです。具体的な言葉としては、「いいね~」「よかったね~」「さすがだね~」「すごいね~」という言葉を使っていきます。これらの言葉を聞いて、「ほめる言葉と同じでは?」と思う人もいるかもしれません。確かに広い意味では、これらの言葉はほめる言葉に分類されます。しかし、使い方が違うのです。

これらの言葉をFacebookやInstagramの「いいね」と同じように使っていきます。つまり、ライトに短く頻繁に使っていくのです。皆さんは、FacebookやInstagramの「いいね」をもらったとき、ほめられたと感じるでしょうか。「この投稿、たくさんほめられちゃった!」とは言いませんよね。ほめられたというよりも「認められた」という感覚ではないでしょうか。

これを「承認欲求が満たされた」と言います。現代のテクノロジー社会では、多くの人が「承認されること」を求めています。SNSが流行る理由の一つであると言う専門家もいます。ですから、今の子どもたちに必要なことも、ほめることではなく、「認めること」にあると考えているのです。(実は、子どもよりも大人の方が承認欲求が強い可能性もあり、その点についてはまた別でお話します)

以上、まとめるとこうなります。

【通常モード】

日常においては、「認める」ことを中心に進める。

具体的には「いいね~」「よかったね~」「さすがだね~」「すごいね~」といった言葉であり、使い方は以下の通りです。

●<使い方>

  • 言葉が短い(その先に余計なことを言わない)
  • 頻繁に使用(感じたらすぐに口にする)
  • 軽いテンションで使用(日常の会話の一つとして使用)
  • 主にプロセス(例:よくやっている)に対しても使用

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【非常モード】

子どもが何かを達成したり、子どもや親にとって、とても喜ばしいことがあったときは「ほめる」

● <使い方>

  • 心の底から大絶賛する(赤飯炊いて喜ぶほどのイメージ)
  • 結果を評価するよりは、そこに至る「心の側面(粘り強くやったなど)」に対して絶賛する。

以上が「ほめるに関するガイドライン」です。この中で、承認にせよ、ほめるにせよ、「プロセスや心の内面を対象にする」ことを書き加えておきました。

もちろん結果が良いからほめたり承認したりすることもあるでしょうが、子育ては、子どもの成長が目的ですから、結果よりも内面を認めていく方が、最終的に成長率が高くなります。

次回は、「叱る・怒る」についてお話します。今後皆さんの子育てにおいて、何か一つでも参考にしていただければ幸いです。

「ぐんぐん伸びる子の育て方 教育専門家・石田勝紀」の記事一覧

石田勝紀
石田勝紀

(一社)教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。20歳で起業し塾を創業。現在はMama Café、講演、連載記事を通じて全国の保護者への教育活動を行っている。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』他多数。子どもの頃の習い事は「書道」。今でも筆で書いたり、活字への関心に繋がっています。

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