2022.03.04
学びインタビュー 平岡妙子

夢中を「広げる」と「深める」で身につく力 「探究学舎」宝槻泰伸代表

子どもの夢中を深めていくには、レベルが上がってくると、専門家の力を借りることが必要だと「探究学舎」の宝槻泰伸代表は話します。好きなことに夢中になって身につけた力は、必ず他の分野でも役に立ちます。毎月3000人の子どもたちに驚きと感動の種をまく授業をする探究学舎は2022年3月、大きなリニューアルをしました。オンラインコースに「広げる」と「深める」の2つのコースを作りました。なぜ、2つのコースが必要なのか、お話を伺いました。

前編:子どもの探究心を持続させる方法とは? 「探究学舎」宝槻泰伸代表

後編:夢中を「広げる」と「深める」ことで身につく力

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夢中になった力は「能力転移」する

――子どもが夢中になる力を継続するには、専門家の力を借りることが必要だというお話を伺いました。

その考えに至ったのは、僕自身の原体験もあります。僕は小学生のころにロボコンにハマって、小3から中3までロボット作りに夢中になっていました。どうやったらすごいロボットを作れるのか、6年間以上あれこれずっと試していました。

中3では鉄を加工してパーツを自分で作ることまでやっていました。オリジナルロボットを設計して、材料を買ってきて組み立てていた。さらにもっと進化させたかったのですが、それにはプログラミングで動くロボットを作るしかありませんでした。

――自分一人の力では、限界が来たのですね。

当時は宮崎県に住んでいて、そんな専門家はまわりに一人もいなかったんです。インターネットもない時代だから、見つけられなかった。それで僕のロボット作りは、中3で終了。それ以後、ロボットに夢中になることは一度もないという体験をしたんです。

――もっと知りたい、うまくなりたいというタイミングのときに、その先に導いてくれる人に出会えなかったのですね。

そうですね。誰も先生がいなかったので、そこで終わってしまいました。

――もしそのままプログラミングの専門家に出合っていたら、ロボット製作者になったかも。まったく違う人生だったかもしれないですね(笑)。

でも僕は、誰も先生がいない中、もっとすごいロボットをどうしたら作れるのか、6年間も創意工夫とか試行錯誤を繰り返したんですよ。それがクリエイティビティの原体験です。そこでゼロから自分で作り上げていく体験をしました。だから大人になって、クリエイティブな仕事をしているんです。

そういうのを「能力転移」と言います。ロボット製作を極めていく力が転移して、事業を作る事ができるようになったのです。身につけた力というのは、なくならない。違うことを始めるときに役に立ちます。

――なるほど!子どもが昆虫や宇宙にのめり込んでいて、「昆虫学者や宇宙飛行士にでもならなかったら、無駄になるのでは。この熱心さを勉強に向けてくれたらいいのに…」とか、親は先回りして心配する必要はありませんね。

そもそも好きなことがないと、「もっと知りたい」「うまくなりたい」と試行錯誤することを知らないままです。親が教えてあげられることは、自分が経験したことや知っていることだけ。それでは子どもの世界は狭いままです。親が知っている中からだけでは、子どもの興味があることを見つけてあげられないのではないでしょうか。

興味を「広げる」「深める」ためのリニューアル

――子どもの興味を広げていくために、新しい授業を開発したのですか。

探究学舎は2022年3月、オンラインのコースを大きくリニューアルして2つのコースを作りました。まず「広げる」コースは、1年間かけて12の分野を学びます。子どもたちに、いままで知らなかった世界のことにも興味を持ってほしいのです。知らないことは、「よくわからないし…」と触れようとしませんよね。せっかく面白い分野がたくさんあるけれど興味が持てないのは、夢中になる「入門編」を受け取っていないからです。

――親が興味を持っていなくて知らない分野については、面白さを教えてあげられないですよね。

親が興味を与えようとしても、何種類の分野のことを教えられますか?難しいですよね。子どもがゲームとYouTubeばっかり見ていて、好きなことがよくわからないという人は、まずは「広げるコース」に取り組んでみてください。1年間かけて12の分野の入門編に出会えます。1月の数学から、医療や生物、政治から音楽まで幅広い分野を用意しています。月ごとに変わる12のテーマがあり、どこからでも始められます。

興味のある分野を半年間じっくりと「深める」

例えば子どもが宇宙や科学に興味を持っていて、図鑑は10冊ぐらい読んだ。もっと宇宙や科学の興味を深めたい。そうなったとしても、その先の専門的なことは親はもう教えられないですよね。そこで探究学舎は「深める」コースを作りました。オンラインで半年間かけて、じっくりと一つの分野を学びます。具体的には、数学から歴史、宇宙、科学やお金という分野を用意してあります。

3月から始まる「算数」コースでは「算数発明編」「算数図形編」「算数ロマン編」の3つのテーマを2カ月ずつ合計6カ月かけて、算数の魅力を学びます。中学受験の算数対策にはならないですよ。でも数学の魅力や面白さを存分に味わえます。図形を学ぶと、天文学や建築学などもわかるようになります。数学のロマンを感じて、将来は数学者になりたいと思うようにさえなります。

専門家というプロと、一緒に取り組む仲間と半年間を過ごすことで、好きなものへの興味を深めることができます。子どもの自発的な夢中を、じっくりと育てていきます。一つの分野の面白さを極めてみたいと思う子は、ぜひ「深める」コースの門をたたいてみてください。

オンラインスクールのリニューアル

「広げる」コース

子どもの可能性を広げるために、まず出会って欲しい12のテーマを選びました。「アート」「生物」「発明」「政治」「宇宙」などを月ごとに、週1回ずつ学びます。例えば「クリエイティブ」では、チャップリンとココ・シャネルという主人公が登場します。主人公の人生に没入し、心ふるえる出会いをする中で、その分野について興味を持つようになっています。いつからでも始められる1年間コース。毎月初めの週は無料で体験授業が受けられます。

「深める」コース

「算数シリーズ」からスタート。「算数発明編」「算数図形編」「算数ロマン編」の3つのテーマを2カ月ずつ合計6カ月かけて、算数の魅力を学びます。計算技術、記号や単位などはどのように発明されたのか、図形を学ぶとどんなことがわかるのか。学校では出合うことのない算数の魅力と、数学者たちが感じるロマンを子どもたちに伝えます。今後「宇宙シリーズ」「歴史シリーズ」などが半年ごとにリリースされます。

●どちらのコースも、週1回60分のオンライン授業。さらに週1回のクエストという自由課題で、子どもたちの自発的な興味を深めていきます。授業料は月8000円。Zoomを使用し、ライブ参加します。欠席時には録画授業もあります。対象は小・中学生。

詳しくは探究学舎へ  https://tanqgakusha.jp/online/

【プロフィール:宝槻泰伸(ほうつき・やすのぶ)】

1981年生まれ。京都大学経済学部卒。著書に『強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話』『今日から塾をやめてみた』など。子どもたちに驚きと感動の種をまく、興味開発の授業を提供する「探究学舎」を2011年東京都三鷹市で開校。

写真提供:探究学舎

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平岡妙子
平岡妙子

朝日新聞社に記者として入社し、社会部、AERA編集部や武蔵野支局長など。教育担当が長く、主に小中学校の学力調査や受験業界などを取材。小学生の時には合唱団で歌っていました。学校の取材で子どもの歌声を聞くと、涙腺がすぐゆるむ。大学生の長男と小学生の長女がいます。

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