2022.03.24
習い事Q&A 船津徹

子どものおすすめ英語学習法4つ バイリンガル5000人を指導の専門家に聞く

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子どもの言語処理能力は世界最先端の人工知能よりもはるかに優秀です。子どもの環境に日本語と英語があれば、2つの言語を流暢に操るバイリンガルに育ちます。では、子どもの英語学習はどのようにしたらよいのでしょうか?今回は乳幼児を対象に、おうちでできる学習法を4つ紹介します。英語教室「TLC for Kids」代表で5000人以上のバイリンガルの子どもたちと触れてきた船津徹さんが解説します。

<今日のポイント>

  1. 子どもの「環境適応能力」を使って英語力を伸ばす
  2. わらべ歌で英語の音とリズムに馴染ませよう
  3. 英語の絵本の音声を聞かせよう
  4. アルファベット表を貼って文字環境をつくろう
  5. 人気キャラクターの英語動画を見せよう
  6. 成功の秘訣は「環境任せ」

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子どもの「環境適応能力」を使って英語力を伸ばす

「オギャー!」とこの世に生まれてきた赤ちゃんの仕事は「環境に適応すること」です。子どもの環境に日本語が豊かにあれば、子どもの頭脳は「日本語は生きるために必要なもの」と判断します。すると頭脳のコンピューターが働き出し、日本語をせっせと蓄積し、自在に操れるようにしてくれるのです。

乳幼児期の英語学習のおすすめは、この「環境適応能力」を活用することです。すなわち、子どもの身の回りに豊かな「英語環境」をつくり、頭脳に「英語は生きるために必要なもの」と思わせるのです。あとは頭脳のコンピューターに任せておけば、英語を操るために必要な情報を(勝手に)取り込んでくれます。

では、具体的におうちでできる英語の学習法を4つ紹介します。 

英語の学習法① わらべ歌で英語の音とリズムに馴染ませよう

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ひと昔前は家庭で「英語環境」を実現することは簡単ではありませんでした。しかし今はインターネットを使えば、家から一歩も出ることなく、いくらでも生きた英語環境をつくることができます。

YouTubeで「Nursery Rhymes」「Mother Goose」「Toddler Songs」というキーワードで検索してみてください。親から子どもに歌い継がれてきた「わらべ歌」をたくさん見つけることができます。これらわらべ歌を、毎日数時間、小さな音量でかけ流しておけば「英語の音環境」をつくることができます。

なぜ「わらべ歌」なのか?

その理由は、わらべ歌には、言葉が持つ特徴的な「音とリズム」が凝縮されているからです。

生まれてきた赤ちゃんは、言葉の意味を理解するよりも先に「音とリズム」を習得することがわかっています。子どもに二か国語環境を与えても混乱することがないのは、言葉の「音とリズム」を聞き分けているからなのです。

「Hickory Dickory Dock」や「Hey, Diddle, Diddle」などのわらべ歌に見られるライム(終わりの音が同じ)や頭韻(最初の音が同じ)が英語独特の音とリズムをつくり出しています。これらを日常的に聞かせることで、子どもは英語を正しい発音で話すための機能を発達させることができます。

英語をかけ流すときの4つの注意点

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  •  BGMとして「小さい音量」でかけ流す

決して子どもに「英語を聞かせよう」「覚えさせよう」「歌わせよう」「リピートさせよう」としないでください。小さすぎて聞こえないだろうと音量を上げると、英語の音が耳につくようになり、英語を嫌がるようになる可能生があります。BGMとして小さい音量でかけ流すことがポイントです。

  •  同じ歌を「繰り返し」かけ流す

リピート再生機能などを使って同じ歌を繰り返しかけ流してください。親としては次々に新しい歌を聞かせたくなりますが、「繰り返し」が子どもにとっては最高の学習法です。10~20曲程度のプレイリストをつくってリピート再生することをお勧めします。

  •  1日1〜2時間が目安

かけ流しをする時間は、1日1時間〜2時間が目安です。CDならアルバム全体を2〜3回繰り返すイメージです。朝晩など何回かに分けて聞かせても構いません。子どもが遊んでいるときや食事の時間など、「ほかの何かに集中しているとき」にかけ流すと効率的に英語の音とリズムをインプットできます。

  • 会話をしていても大丈夫

かけ流しをしているときは、子どもと会話をしても、遊んでいても構いません。「うるさくてよく聞こえないだろう」と、静かにしている必要はありません。乳幼児の頭脳は身の回りの情報を無条件に吸収しますから、聞いていないようでも聞いていますので安心してください。

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英語の学習法② 英語の絵本の音声を聞かせよう

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英語の絵本や物語の「朗読音声」をかけ流すと効果大です。ネイティブの朗読音源は「Audible.com」で見つけることができます。絵本には子どもに身近な言葉や表現が満載です。さらに英語圏の文化や習慣も詰まっており、子どもの言語学習にとって最高の教科書です。

また「YouTube」には「Fairy Tales and Stories for Kids」「KiddoStories」「English Fairy Tales」など、英語の昔話や絵本の動画が無料で視聴できるチャンネルがたくさんありますので活用してください。

乳幼児にはモニター画面は見せずに「音声だけ」を聞かせてください。

おすすめの英語絵本の音声15選

以下に英語圏の親が子どもに読んであげる定番絵本をご紹介します。これらの朗読音源のほとんどは「Audible.com」で購入できます。興味ある方は検索してみましょう。

  • Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?
  •  The Very Hungry Caterpillar
  • Where the Wild Things Are
  • Goodnight Moon
  • The Runaway Bunny 
  • The Rainbow Fish
  • The Giving Tree
  • GO, Dog. Go!
  • Are You My Mother?
  • Pat the Bunny
  • I Wish You More
  • Where’s Spot?
  • If You Give a Mouse a Cookie
  • Guess How Much I Love You
  • Caps for Sale

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英語の学習法③ アルファベット表を貼って文字環境をつくろう

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英語の音とリズムに慣れてきたら「英語の文字環境」をつくってあげましょう。子どものころからアルファベットに慣れておくと、抵抗感なく英語の読書力を身につけていくことができます。

子どもの目に入る場所に「アルファベットチャート」「フォニックスチャート」など英語の文字が書かれたポスターを貼りましょう。ポイントは子どもの目に入る高さに貼ること。子どもが触ってやぶってしまうからと、手の届かない場所に貼っても目に入らないと情報を吸収してくれません。

子どもの本棚には簡単な英語の本を並べておきましょう。アルファベットの絵本、色や形の絵本、動物や魚の絵本、可愛いイラストが豊富な絵本などを並べておくと、子どもが自分で引っ張り出してページをめくるようになります。本を眺めているだけで英語の文字が子どもの頭脳に蓄積されていきます。

おもちゃ箱には、アルファベットブロック、アルファベットパズル、ボタンを押すと英語の音が出る英語玩具などを入れておきます。子どもはおもちゃで遊びながらごく自然に英語の文字に親しんでいくことができます。

さらにマグネットアルファベット(磁石がついたアルファベット)を並べて子どもの名前をつくり冷蔵庫に貼ったり、ホワイトボードに家族の名前をアルファベットで書いておくだけでも文字のインプット効果があります。

英語の学習法④ 人気キャラクターの英語動画を見せよう

「The Cat in the Hat」「Curious George」「Sesame Street」など、アメリカの子どもに大人気のキャラクターが登場する番組を提供しているチャンネルが「PBS Kids」です。PBS Kidsのウェブサイトは宝の山です。

このサイトでは、人気番組の視聴はもちろん、キャラクターが登場するゲーム、塗り絵、クラフトなどを「無料」で提供しています。ライブストリームで音声だけをかけ流せば、英語の音環境をつくることもできます。

PBS Kidsのウェブサイトを親子で探検して、お気に入りのキャラクターを見つけてあげましょう。子どもが気になるキャラクターが見つかれば、その番組の動画を見せてあげます。

「お気に入りのキャラクター」があると、その後の英語学習がスムーズに進みます。子ども向けの簡単な本や教育的なゲームなどにはPBSのキャラクターが登場するものがたくさんあります。

子どもが「好き!」「カッコいい!」「可愛い!」と思えるキャラクターを見つけてあげて、そのキャラクターを入り口に英語学習へ導いていくと、子どもが自分の意欲で英語に取り組めるようになります。

二言語とも十分に発達していない「ダブルリミテッド」の問題とは?

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「英語よりも思考の土台である日本語を育てることが先決」「日本語が発達途上の子どもに英語を教えると日本語も英語もあやしくなる」。英語教育の早期化が進む中で、乳幼児の英語学習に対する否定的な意見を多く耳にするようになりました。

私は海外で育つ子どもたちのバイリンガル教育をサポートしていますから、母国語である日本語をしっかり育てることの大切さについては100%同意します。

しかし、日常的に日本語しか使わない日本で、毎日数時間程度の英語教育をしているからといって、子どもの言語発達がおかしくなるという事態はまず起こりません。親や兄弟姉妹が普通に日本語で話しかけ、同年代の日本人の子どもと遊んで過ごせば、子どもは自然に日本語を身につけます。

日本語力が十分に身につかない可能性があるとすれば、「極端に英語が強い環境」に母語(日本語)が発展途上の子どもを浸す場合です。たとえば、親が日本人なのに英語だけで話しかけたり、英語ネイティブのベビーシッターに一日中面倒を見させたり、朝から晩まで英語メディアを視聴させて「英語漬け」にしたり、英語オンリーの学校に長時間預けたりするケースです。

ただこれらは非常に特殊なケースです。子どもに「毎日数時間」英語を聞かせても日本語が話せなくなる心配はありませんので安心して「英語環境」を整えてください。

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成功の秘訣は「環境任せ」

これまでにたくさんの子どもたちの英語教育に関わってきましたが、成功の秘訣は「環境任せ」に尽きます。親ががんばって教え込もうとせず、豊かな英語環境を作ることに徹すれば、子どもが勝手に英語を吸収してくれます。

親の負担が少なく、子どものストレスにもならない、最高の英語学習法です。ぜひおうちで楽しみながら英語環境作りを実践してください。将来、お子さんの「宝」になります。

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船津徹
船津徹

1966年福岡県生まれ。明治大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威である故七田眞氏に師事。その後独立し、米ハワイ州に移住。2001年ホノルルにTLC for Kidsを設立。20年間で述べ5000人以上のバイリンガルを育成。同校の卒業生の多くがハーバード、イエールなど世界トップ大学へ進学しグローバルに活躍している。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)など。