2022.07.25
学びをはぐくむ 白根理恵

習い事と中学受験、どう両立させる?~ケース別に解説 後悔しない方法とは:後編

朝日新聞オンラインフェス「学びと受験のヒント」で、プロ家庭教師の安浪京子先生をお招きしてお話を伺った「習い事と中学受験、どう両立させる?~ケース別に解説 後悔しない方法とは」のライブ配信。後編では習い事をやめるか続けるかを決める4つのポイントについてお聞きした内容をレポートします。安浪先生からは、親へのメッセージもいただきました。

【後編のテーマ】

4.続けるかやめるかを決める4つのポイント

5.安浪先生からのメッセージ

習い事を続けるかやめるかを決める4つのポイント

子どもの習い事をどうするか考えるために、4つのポイントに絞ってお伺いしました。

  • ポイント①意欲面 習い事を続けることで、勉強のやる気や集中力につながるか
  • ポイント②時間面 習い事の練習に使える時間はあるか
  • ポイント③経済面 塾代と習い事の両方を払えるのか
  • ポイント④体力面 睡眠時間を保てるのか 

ポイント①意欲面 習い事を続けることで、勉強のやる気や集中力につながるか

──1つ目のポイントは意欲面です。習い事を続けることで勉強のやる気や集中力も出ることはあるのでしょうか。

安浪:ありますね。気分転換にもなってメリハリもつきます。それに、子どもは続けたいのに親が一方的にやめさせてしまうと、勉強の意欲も落ちてしまうことがあります。入試が終わって思うような結果が出なかったときに、「パパやママがやめろと言ったからやめて頑張ったのに」という気持ちになってしまうこともあるので、習い事に対する意欲の見極めはとても大切です。

意欲といっても100%じゃなくてもいいんです。意欲にもグラデーションがあって変わりますから、子どもがどうしたいのかをうまくくみ取ってあげることが大切。学年が上がってくると、子どもの中でも「これだけやってきたし、何か今やめるのもったいないな」という気持ちが出てくるので、習い事を続けてもちゃんと勉強が回るのか、そこの見極めはご家庭でしっかりやる必要はあります。

ポイント②時間面 習い事の練習に使える時間はあるか

── 2つ目のポイントは時間面です。例えば週に1度ピアノに通ってもいいよと言っても、家で練習する時間も必要です。習い事をやめるかどうかを時間面から見極めるにはどうすればよいでしょうか。

安浪:習い事を整理するときに、時間面で考えると比較的分かりやすいですね。まず毎日の塾や習い事の時間を、一週間分全部書き出してスケジュール表を作ってみることです。そのあとで宿題をやる時間をどこかに入れようとしたときにうまく入らないのであれば、見直しする必要があります。目で見て分かるようにして子どもに「どうする?」と聞くと、子どもはそこで初めて時間がないことに気づけます。

スケジュール表を作ったときに、塾と習い事の予定だけで一週間ぴったり埋まっている状態は、ある意味危険です。スケジュールというのはある程度の余裕がなければなりません。4、5年生までは自由時間も必要です。一週間全部予定が埋まっていると息が詰まりますから。だから先に自由時間や勉強が回らなかったときの予備の時間まで取った上で、塾や習い事の時間を入れていくようにしてください。スケジュールに余裕がない生活をしていると、6年生の秋になって疲れてしまう子どもも出てきます。

ポイント③経済面 塾代と習い事の両方を払えるのか

── 3つ目は経済面です。お金の事情は一番シビアな問題かもしれません。親にとっても全部でいくらかかるのか計算するのが怖いところでもありますが、習い事をどうするか考えるときに、子どもに家の経済事情を説明してもよいのでしょうか。

安浪:学年が上がったり家庭教師や個別教師を入れたりしていくと、塾代がどんどん積みあがっていってしまいますよね。ごきょうだいがいるご家庭だと、上の子ばかりにお金をかけるわけにもいかないでしょう。このような場合は、子どもに事情をきちんと話すしかないです。たとえば5年生になって塾代が増えて、下の子も習い事をできる時期になってきたときに、家庭の事情があるからあなたばかりにお金を割けないのよ、としっかり話をすることも必要です。

④体力面 睡眠時間を保てるのか

── 最後のポイントは睡眠時間を保てるかどうか、という体力面についてです。安浪先生は体力面を考えるのが、中学受験をする子どもにとって一番大事とおっしゃっていました。理由を教えてください。

安浪中学受験する小学生の子どもにとって一番大事なのは体力です。お子さんが元気でいるためにはしっかり睡眠時間を確保することが大切なんです。5、6年生になると第二成長期に入って背が伸びてくる子もいます。子どもの成長期にはなおさら睡眠時間が重要になるので、まずはしっかり眠る時間を確保してから、塾と習い事をどこまでできるのか考えていけばいいと思います。

もう1つは、どのくらい習い事で体力を消耗しているかということです。水泳やサッカーのように体をたくさん動かすものはかなり体力を消耗します。例えば週に2回サッカーや水泳をしていると、練習して家に帰ってくると疲れ切っていて、勉強もできなくなってしまいます。子どもの体力をキープして勉強に集中できるためにはどうすればいいかと逆算して考えながら、習い事を整理することが必要でしょう。

安浪先生からのメッセージ

── 最後に、子どもの習い事と中学受験の両立を一生懸命考えている親に向けて、安浪先生からメッセージをお願いします。

安浪:中学受験は親子にとって本当に大変なイベントです。親が習い事をやめた方がいいかなと考えるのは、やはりテストの点数や偏差値を上げたいからだと思います。同じような勉強をしても、良い点数を取れる子がいれば取れない子もいるのが中学受験の世界です。

入試をもう一度やり直してみると合格者の半分が入れ替わるといわれているほどで、小学生にとって大変な舞台なんですね。ですから私も長年この仕事をしている中で、中学受験は必ずしも努力が報われるとは限らないと、親御さんにもお子さんにも伝えています。

しかし正しく努力すれば努力しただけ、子どもは成長します。「習い事の整理を間違えてしまった」とか「好きなことを犠牲にして勉強する意欲まで潰してしまった」と、受験が終わってから後悔することもあるかもしれません。でも入試の結果より、受験を経験してお子さんが成長したなと感じられたら、それはやってよかったと思える中学受験だと思います。親子で習い事の話し合いをするときもさまざまな問題が出てくるでしょうが、いろいろなことにぶつかりながらも親御さんにはお子さんをサポートしてほしいです。中学受験が少しでもお子さんの成長できる期間になるよう応援しています!


関連記事:習い事と中学受験、どう両立させる?~ケース別に解説 後悔しない方法とは:前編


7月9日に配信された朝日新聞オンラインフェス「学びと受験のヒント」は、8月8日まで見逃し配信で視聴できます。こちらからご応募ください。

https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11008046


プロフィール:安浪京子(やすなみきょうこ)

1976年生まれ。神戸大学卒業。中学受験の算数を教えるプロ家庭教師。関西と関東の大手進学塾で算数を指導した後、プロ家庭教師として20年以上にわたり現場で指導をしている。親のメンタルサポートを提供する「アートオブエデュケーション」を設立。著書に「親がやるべき受験サポート」(朝日新聞出版)など。

白根理恵
白根理恵

本業は会社員の副業ライター。ジャンルを問わず、知らない世界にも無謀にチャレンジするのが唯一の強み。身につけたスキルはスキマ時間の活用能力。映画をこよなく愛する2児の母でもあります。