2022.08.03
学びインタビュー 洪愛舜

子どものサッカー上達のために親ができることは?指導歴13年堀田浩平先生に聞く

サッカーに励む子どもに、親はどんなサポートをすればいいの?そんな疑問について、元日本代表や元Jリーガーなど、ハイレベルなコーチ陣が指導することで知られる「サッカースクールSKY」のコーチ統括・堀田浩平さんにお話を聞きました。

目次

  1. テクニックよりも「考えているかどうか」が大事
  2. 責めるのはNG!「問いかける」コミュニケーションを
  3. 今日から自宅で始められるトレーニングは?
  4. 必要なのはチャレンジ。失敗と成功を繰り返そう

テクニックよりも「考えているかどうか」が大事

サッカースクールSKYのコーチ統括・堀田浩平さん サッカースクールSKYのコーチ統括・堀田浩平さん 

──堀田コーチが考える「サッカーが上手い選手」とは、どのような選手でしょうか?

堀田:「プレーしながら考えている選手」です。ボールを持っていないときにも考え続けている選手は上手いです。

──テクニック以上に大事なことなのでしょうか。また、「考える」とは、どんなことを?

堀田:テクニックは、努力次第でいくらでも磨けます。例えば、自分がボールを持った時にどうするか、どこをサポートしたら次につながるかなど、少し先まで考えて見えているかどうかが大事なんですね。ボールを持つところまで考えられる子は多いのですが、ボールを持った後に、コートにいる自分以外の2人目、3人目の動きを考えられる選手は稀です。

――どうすれば、考えることができる選手になれるのでしょうか?

堀田:自分から考えるのは難しいので、最初は、「考えさせる」ことが必要です。そのために、私たちのスクールでは、練習をしている最中も選手たちに問いかけをしています。「どうしてそっちにボールを出したの?」などですね。

練習中の「問いかけ」が考えるきっかけにつながる練習中の「問いかけ」が考えるきっかけにつながる

――子どもは聞かれてすぐ答えられるものなのでしょうか……?

堀田:いえ、大半は無言になります(笑)。すぐ答えを言えないのは、何も考えずにプレーしていることが多いからです。最初はそれでもかまいません。たくさん問いかけることで、少しずつ一つひとつの動きを考えながらプレーするようになっていきます。次第に自分のプレーの意図も言えるようになっていきます。きっかけが大事なんです。

子どもが意図を話せるようになったら、その内容をしっかりと聞いて、さらに質問します。今言った意図も良いけれど、こういう選択肢もあるよね?とか、こっちと比べてどっちが広い?どっちのほうが相手がいない?と質問して考えさせていきます。そうすると考えが深くなっていきます。

大切なのは、意図を押し付けないこと。コーチの目線で良い選択があったとしても、選手の目には違うものが見えているかもしれません。サッカー観は人によって違いますから、子どもだからと言ってコーチのサッカー観を押し付けるのではなく、その子の価値観を尊重しながら選択肢を増やしていくよう心がけています。

「責める」のはNG!「問いかける」コミュニケーションを

サッカースクールSKYの選手たち サッカースクールSKYの選手たち 

――「考えることができる選手」になるために、ママやパパができることはありますか?

堀田:一番にお願いしたいのは「ミスを責めないこと」です。例えば、試合を観た後に、「なんであんなプレーをしたんだ!」とお子さんを責める方は多いです。自分の子どもだからつい否定から入ってしまいやすいのかもしれませんが、そこはグッとこらえてほしいです。

――具体的には、どうするのが良いでしょうか?

堀田:問いかけるコミュニケーションを心がけていただきたいです。同じ言葉でも、「なんであんなプレーをしたんだ!」ではなく、「あの時のあのプレーはどういう意図だったの?」とクエスチョンでコミュニケーションを取るように質問していくと、お子さんも考えながら自分の意見を言うようになってくるでしょう。

――親って、応援しているからこそ力が入ってしまって、つい強い言葉になってしまうんですよね……。

堀田:それは私もよくわかります。でも、そういうコミュニケーションが続いていると、子どもはだんだん親が試合を観にくることをイヤがるようになってしまうんです。実は私もそうでした。そうならないためにも、今から始めてみてください。

今日から自宅で始められるトレーニングは?

――冒頭で「テクニックは、努力次第でいくらでも磨ける」とお話がありました。テクニックは誰にでも伸ばせるものなのでしょうか?

堀田:はい。誰でも努力次第で上達します。「走る」「蹴る」「運ぶ」の基本技術は、ボールに触る回数で変わります。触る回数が多ければ多いほど伸びます。

――つまり、四六時中ボール触っていれば上手になるということですか?

堀田: はい。触る時間が減るとその分技術は落ちていきます。私達コーチ陣もプロサッカー選手時代よりボールを触る時間が減っていますので、技術自体は落ちているかもしれません。サッカーは足を使うスポーツです。ものを持ったり字を書いたりなど日常生活で使うことが多い手や指先と比べても、足の指先は使うことが少ないでしょう。だからこそ、意識して足の指先を使う必要があります。四六時中ボールに触っていれば、その分神経が発達します。ボールコントロールの感覚も鋭くなり、どんどん上達しますよ。

――なるほど。でも、親としては家の中でサッカーボールを使われるのはちょっと大変とも……。ボールを使わなくてもトレーニングはできますか?

堀田:ボールを使わなくてもトレーニングはできます。まず、タオルを広げてその上に足を乗せ、指先を動かしながらタオルを巻き取っていきます。これだけ。

足の指を動かしてタオルを巻き取っていくトレーニング 足の指を動かしてタオルを巻き取っていくトレーニング 

堀田: 足の指先のトレーニングになりますし、これならどこでもできます。テレビを見ながらとか、歯みがきをしながらもできるのでおすすめです。足の指を意識して動かしているだけで感覚が変わってきますから、ぜひ今日からやってみていただけたらと思います。

必要なのはチャレンジ。失敗と成功を繰り返そう

――ほかにも、上達するためのアドバイスがあれば教えてほしいです。

堀田:サッカースクールへ通っている子なら、教わったことを意識して実践で使うことを大切にしてほしいです。週に1回か2回のトレーニングでは、どうしてもすぐに上達はしません。人は、自分でチャレンジして、失敗と成功を繰り返しながら伸びていきます。だから、失敗を恐れずに、教わったことをどんどん試合の中で実践してほしいと思います。

――失敗が怖くて挑戦できないのはもったいないということですよね。

堀田: 失敗なんてそもそもないのかもしれません。私は小1からサッカーを始め、プロサッカー選手を目指した時期もありましたが、高校時代の監督との出会いがきっかけになって指導者を目指すようになりました。サッカーの楽しさを子どもたちに伝えていきたいと思うようになったんです。だから、プロサッカー選手になれなかったからといって、そもそも挫折でも失敗でもありません。自分の経験は必ず役に立ちます。

プロサッカー選手は花形ですが、それが全てではありません。サッカーに関わる仕事は、コーチやクラブチームのスタッフなど、たくさんあります。サッカーにはいろんな人が関わっています。だからこそ、サッカーを通して出会った仲間を大切にしながら、サッカーができる環境を大事にしてもらえたらと願っています。

 【プロフィール 堀田浩平さん】

「コーチ、選手、保護者含めて一つのチーム。一緒に子どもたちの成長を楽しんでいきたいです」(堀田コーチ)「コーチ、選手、保護者含めて一つのチーム。一緒に子どもたちの成長を楽しんでいきたいです」(堀田コーチ)

「サッカースクールSKY」スクールコーチ統括。1991年生まれ。小1からサッカーを始める。多摩大学目黒高校サッカー部時代に師事した奥大介監督からの影響でサッカー指導者を目指すようになり、多摩大学在学時から指導者としてのキャリアを始める。ラピッドスポーツクラブコーチ、横浜FCスクールコーチ、多摩大学フットサル部Bチーム監督、SC相模原アカデミーコーチを経て現職。

洪愛舜
洪愛舜

子育て・教育系ライター。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。編集プロダクションecon主宰。目黒駅前新聞編集長。著書に「もやもやガール卒業白書」(MMR)、絵本「すき!I like it!」(教育画劇)がある。立命館大学理工学部卒。2児(サッカーを愛する娘&本の虫な息子)の母。