2020.11.27
習い事最前線 小内三奈

本物を使った理科実験で、やり抜く力を育てる「サイエンス倶楽部」

習い事の教室や学びの先進的な取り組みを紹介するシリーズ「習い事最前線」。首都圏で展開している「サイエンス倶楽部」が目指すのは、「自ら望んで考える学習」。理科や科学に限らずどんな学問にも生かせる、これからの時代に求められる学習スタイルです。 身近にある不思議に着目し、「なぜ?どうして?」という疑問を見つけて実験します。本物を使う実験は面白く、「もっと知りたい」という気持ちが自然に生まれます。

ワクワクしながら身の回りにある不思議を解明

年中から高校生までが通うサイエンス倶楽部。実験テーマは、各年齢に応じた身の回りにある不思議を追求するものばかりです。「今月のテーマ」を聞いただけで子ども達は目を輝かせ、実験が始まると「なぜ?」「どうして?」という疑問が膨らむしかけが満載です。

今回、東京都・国立教室の4年生クラスの実習に参加しました。テーマは「鉛筆ファイヤー 電気」。白衣を着た14人の子ども達は、次々と進む実験にさまざまな問いを見つけては考え、難題にも楽しみながら挑戦する姿が印象的でした。

実習の最初、先生が「鉛筆ファイヤー 電気」とテーマを伝えた瞬間から、「鉛筆燃やすんですか!?」「えー、燃えるの?」と子どもたちは興味津々です。

「電気抵抗ってわかる?」と問いかけると、「わからない」「知らない」との返答が。すると先生は「知らないのはラッキーだね。今日新しいことを学べるということだからね」と笑顔で話します。「電気抵抗とは、電気を流れにくくすること。それはどういうことか?今日わかるようにします!」と実習がスタートしました。

まず最初に、身近にある蛍光灯がどのように光るか、その仕組みの理解から始まります。先生の実験台には、蛍光灯内部が再現された装置や部品がつながれています。スイッチを入れると、どの装置から放電が起こり、どの部品の働きで発熱し、蛍光灯の放電が始まるのか、目で見て確かめます。

仕組みがわかったら、蛍光灯内部の部品を触りスケッチを行います。

本物を使ったインパクトのある実体験の連続

次に、実際の蛍光灯内部の実験に進むのですが、ここからが驚きの連続。先生が出してきたのは水色に色付いた水と水槽、それから驚きのハンマー。

子どもたちは「えっ、割るの!?」と興奮状態、何が始まるのか予想しながら実験を待ちます。

いざ実験スタート。水槽の中に蛍光灯を入れると、先生は容赦なくハンマーでガツン!蛍光灯が真っ二つに割れました!その瞬間、水色の水が白い蛍光灯の中にどんどん入っていきます。

「水が入ったということは、中は?」という問いに、「真空?」「見せて!」と目を輝かせる子ども達。中をのぞき「空っぽだ~」という子ども達に「よく見ると中に何かあるのわかる?何だろう?」と投げかけると、今度は「知ってる、フィラメント」という子がいます。

「ガラスの中のフィラメントが光っているということだね」と先生から説明を受けた後は、フィラメントを観察し、またスケッチしてみます。よく見ると、細いギザギザの線状の部品であることがわかりました。

続いての実験は、電球です。光を放つフィラメントの正体に迫ります。またまた、本物の電球をハンマーで割って内部を確認します。すると、電球内部にもフィラメントを発見!フィラメントがむき出しになった割れた電球に少しずつ電気を流していくと、わずかに光った直後にフィラメントが燃え始めます。

「危ない」「燃えてるー」「もうやめてー」と大声で叫ぶ子どもたち。一方、割れていない電球に電気を流すと、光を放ち続けます。

「周りにガラスがないとなぜ光り続けられないかな?」と問いかけると「酸素があるから」と即答する子がいます。「そうだね、酸素に触れると燃えてフィラメントが切れてしまったんだね」と説明する先生。

この実験から子どもたちが発見したことは、電球で覆われ酸素がない状態フィラメントに電気を流すと光を放つこと。また、細いギザギザ線のフィラメントは、別の言葉で言うと電気抵抗。電気抵抗に電気を流すと、光や熱を放つことがわかりました。

そしていよいよ子どもたちのお待ちかね、「鉛筆ファイヤー」の実験です。

「どうなるのかな?」「燃やして大丈夫?」などと話しながら、鉛筆に本当に電気が流れるのか?を考えます。鉛筆の両はしを削り、芯の両はしにクリップをつけ、電気を流していきます。安全のために少し離れた場所から観察。少しずつ電気を流すと煙が出始め、次第に燃えて明るく光っていきます。

「うわー、燃えてる」「本当に燃えるんだー」「すごい!」とみんな大興奮。鉛筆が割れ、煙が充満してきた時点で実験終了、教室の外に急いで避難しました。この日一番のインパクトある実験に、教室中大盛り上がりとなりました。

一人ひとりが考え、チームワークで実験を成功に導く

 後半は、仲間と協力して行う実験です。3~4名で1チームとなり、手回し発電機を使って豆電球をできるだけたくさん光らせます。始めてみると、先生の説明通りに豆電球をつなぐだけでも一苦労。

「もう少しまっすぐつないでみようよ」「もう一度はじめからやった方がよくない?」

意見を交わしながら進めていきます。その後は、発電機を高速に回し続ける子、よく観察し記録をとる子など、自然と役割分担もできていきます。

先生は子どもの主体性を見守りながらも、必要に応じて「こうやったらどう?」と助けの言葉をかけていきます。

チームで実験を成功させるにはコミュニケーションが必要。おとなしい子も積極的な子も、自分がどう振る舞えば成功につながるか学ぶよい機会です。

実習のすべてのプロセスに、好奇心を刺激するさまざまなしかけが散りばめられています。子どもたちの笑顔には、達成感、充実感があふれていました。

目標に向かってやり抜く力のある子どもに

問いを立て思考するプロセスを繰り返し、「自ら望んで考える学習」スタイルを身につける子どもたち。広報担当の鈴木里美さんにお話をお聞きしました。

ーーサイエンス倶楽部が大切にしていることは?

こちらから教える、知識を蓄えることを目的とした学びではなく、子ども自身が課題を見つけ、やってみて、またそれを自分で考えて、という学びのサイクルを大切にしています。

ーー子どもが自ら問いを立て、思考するためにどのような工夫をしていますか?

「なぜこうなるのか?」との予想からスタートしますが、子どもの心は「楽しい」テーマでなければ動きません。いかに魅力的なテーマを設定し、興味を引きつける問いかけをするか。

例えば今回の「鉛筆ファイヤー」の実習。普段何気なくスイッチを押せば電気がつく蛍光灯を題材にし、「中身はどうなっているかな?」「どういうしくみで光るのかな?」とはじめに投げかけることで、一気に学びのスイッチが入るようしかけをしています。興味を持てば、子どもは自然と自発的に考えて学んでいくものだと思います。

ーーサイエンス倶楽部がこだわる「本物」について、興味深いテーマを教えてください

染物の実習では、本物の紅花を取り寄せています。本物の蚕を使ったり、高学年になるとアジやニワトリの解剖、生きたカエルの心臓に迫る実習があります。どれも実際に子どもが解剖ばさみを使い、体のつくりなどを観察していきます。

ーー幼児でも仮説を立てる、論理的に考えることはできるものでしょうか?

幼児クラスでは、空気や風、植物など、身近な不思議に迫ります。

例えば、気球の実験では、部品をどう組み合わせたらうまく飛ぶか。まずは一人で考え、全員で結果を考察し、再び仮説を立てて実証していくことを繰り返します。遊びのように楽しい実験の中でも、子どもはたくさん思考しています。

ーーサイエンス倶楽部卒業生の強みとは?

目的意識がしっかりあり、目標に向かってやり遂げる力が優れている、と感じています。

生きていくには本来知らないことの方が多いです。でも、わからないこともすぐにGoogle検索できる今の子どもたちは、知らないとできないという子もたくさんいます。しかし、「知らないこと」こそが本当は大事。疑問を持って、自分で考えて、仲間と考えて、どう課題解決していくかが最も大切なことです。

それを優しく見守り、サポートしていくのが私たちの役目だと考えています。 

取材を終えて 

今回取材でお話を伺った鈴木里美先生とは、長男が2年生のときに教えていただいたご縁がありました。生き物や自然が大好きなので、自然科学を深く知るきっかけになればと思い、年中から通わせていました。

3年生からは週末野球の練習や試合で忙しくなり、スケジュールの調整が難しいこともありました。学年が上がる前には必ず「まだ続ける?辞める?」と確認してきましたが、長男は「続けたい」と即答。自分の意思で通い続けて8年目となります。

長男の生き物への興味、好奇心は今も健在です。家では、川や池で捕まえてきたメダカやドジョウ、タナゴなどを育てていますが、どうすれば卵が無事孵化するか、本やインターネットで調べ、餌やりから水槽の管理まですべて自分の責任でやっています。おかげで、我が家は赤ちゃんメダカが何匹も誕生。もう3代目というものも。

興味があることは自ら調べて考え、とことん熱中する姿勢には驚かされます。学校の先生からも「学びに意欲的ですね」とほめられます。

 気づけば、歳の離れた次男がもう年中児。これを機に体験に参加させ、次男もまたワクワク、ドキドキする感動を存分に味わってほしいと思っています。

教室情報

「サイエンス倶楽部国立教室」

住所:東京都国立市東1-16-17 国立中央ポポロビル南館B1F
交通:JR線国立駅下車

 <コース>
「基礎研究コース」4年生、月1回(土・日曜)180分
入会金2万円、受講料9000円/月

撮影:伊ケ崎忍

小内三奈
小内三奈

ライター・インタビューアー。ビジネス・教育分野を中心に、新聞、雑誌、Webメディア等で執筆中。経営者や教育現場への取材の他、教育書・児童書の書評を執筆。その他、旅行、グルメ等幅広いジャンルに取り組む。好奇心旺盛でキラキラした子ども時代を過ごしてほしいと願い、「今、この瞬間」を大切に育児に励む2児の母。子どもの頃熱中したのはピアノ。4歳から高校1年まで続け、最後の演奏曲はショパンのノクターン。

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