2020.11.28
学びをはぐくむ 今井明子

「おやこ保育園」の2人が悩み相談 「子どもがネットづけ どうしたらいい?」 

子どものことを考えて一生懸命になっている親ほど、追い詰められた気持ちになることもあります。しかも今年はコロナが広がる中で、気をつけなければならないことや不安が増しています。「いい親よりも大切なこと」(新潮社)の著者で、「おやこ保育園」を主宰する保育士起業家の小笠原舞さん、小竹めぐみさんに伺いました。withコロナの時代に、消耗しない親になるためにはどうしたらよいでしょうか。

先の見えないコロナ禍の生活 悩める親が楽になるヒントとは

「子どもが家で過ごすことが増えて、ダラダラしているのを目にして親もついイライラ……」
「オンライン化された習い事でも、子どもには効果があるの?」

新型コロナウイルスの蔓延が収まる気配もなく、先の見えない状況の中で、今まで以上に子育てに迷い、悩む親が増えています。

保育士起業家として、「こどもみらい探求社」という会社を立ち上げて人材育成やコミュニティ育成事業、子どもや親向けのイベントの企画などを行う小笠原舞さんと小竹めぐみさん。特に、自主事業として行っている「おやこ保育園」は、主に0~2歳の子どもと親が一緒に参加する保育園で、2014年のスタート以来、口コミで親から絶大な支持を得ています。「おやこ保育園」のエッセンスを書籍化し、2016年には「いい親よりも大切なこと」を出版。親も子どももハッピーになれるアドバイスを届けてきました。

今回、このおふたりにコロナ禍の生活でよくある、未就学児~小学生の子どもを持つ親の悩みに回答していただきました。

お悩み1:外出もままならない生活だと、子どもがどうしてもインターネット漬けになるのが心配です

小笠原:このようなお悩みを訴える親御さんは、「みんなが見せているから、仕方なく……」「でも専門家はダメだというし、どうしよう」とまわりに流されていることに気づいていない人が多いなという印象があります。まずは、親の自分がどのようにしたいのかを考えて、それに従って方針を決めるのがいいのではないでしょうか。そのうえで「子どもには見せない」と決めたら、その方針を貫けばいいのです。

「自分が料理している間は子どもの相手ができないから動画を見せる」「自分の時間も大事なので、親も子どもも思い思いに過ごしたい」などと考えてパソコンやITなどに触れさせるのなら、それでもいいと思っています。

小竹:「インターネットに子守をさせるのはよくない」という専門家のアドバイスはあくまで一つの意見で、実は一人ひとりのケースには即したものではありません。

私自身の個人的な意見としては、自分の子どもにはむしろ積極的にインターネットには関わらせたいと思っています。これからはIT化はもっと進みますが、私自身が機械・ITが苦手という自覚があるので、子どもに教えられることは少ないです。だから、子どもには積極的にそれらに触れて、自分の感覚でメリットとデメリットのどちらも感じてほしいと思っています。親以外の人からも学べることもありますしね。

もちろん、インターネットの中毒性が気になる人も多いはず。しかし、私はITに限らず何でもそのような面はあると思います。

とはいえ、これは私の考えです。親子の数だけ正解がある。自分が納得したうえでどのようにするのかを選ぶことが大切だと思います。

お悩み2:外になかなか遊びに行けないので、体力を使わないのが心配です

小笠原:外に遊びに行けない事情があっても、子どもはお構いなしで遊びたがりますよね。子どもがどこかに登りたい、ジャンプしたいという欲求は、完全に外遊びとは同じとはいえませんが、家の中である程度満たしてあげることはできます。

たとえばひもの先に折り紙などをつけて天井から釣り、それをタッチするようにジャンプするなんていうのも盛り上がりますよ。もちろん、集合住宅だと下の階のことも気になりますから、床には布団やクッションを敷くなどの工夫が必要かもしれません。私たちが主宰している「おやこ保育園」では、子ども自身のやりたいことに寄り添って遊びを考える練習をするので、受講者からは「コロナ禍で家にこもっていてもあまりつらくなかった!」という声をいただきました。

お悩み3:新型コロナウイルスの感染拡大の影響で学校が休校になりました。親がつきっきりでサポートする前提の宿題で、量も多く、テレワークのかたわら子どもの学習のサポートをするのは大変すぎます。子どもはまったく予定通りにやってくれないので、イライラがつのります。

小竹:まずは学校からの指示には必ず従わなければいけない、宿題は全部やらなければいけないという前提から自由になってみてはいかがでしょうか。子どもと話してみて、宿題がこなせない理由を聞き、子どものできない気持ちに向き合ってみてください。

先生たちも、このような事態は今までになかったため、手探りなのだと思います。家庭でどこまで課題ができるのかわからずに、宿題を出してしているという現状もあるかもしれません。先生に「今は家庭ではこのような生活をしており、先生の言う通りの量の課題をこなす生活を送るのは難しいです。親としてはサポートしきれないのですがどうすればいいでしょうか」と相談してみるのも手。あくまでそこはクレームを入れるのではなく、相談するという姿勢が大切です。

「先生に意見を言うとクレームっぽい」「面倒な親だと思われるのでは?」と躊躇してしまうかもしれません。しかし、大切なのは事実を見つめて双方で調整することです。

ここでおすすめしたいのは、先生と相談するときに、子どももその場にいてもらうことです。なんなら子どもから先生に質問させてみてもいいんです。どうか大人だけで巻き取らず、「うまくいかないことについて、どうやって扉をあけていくのか」を、子どもに見せるチャンスとしてとらえてみてはどうでしょうか。

先生に相談することで、先生自身が、自分の課題の出し方についていま一度向きあってくれるかもしれません。子どもの気持ちや状況を改めて踏まえて、よりよく軌道修正ができる可能性も。しかし、その一方でたとえ相談しても先生が方針を変えないことも十分にありえます。その場合、腹をくくってやるしかない…という結果に至るかもしれません。でも、そういうやりきれなさを味わうという経験も子どもにとっては貴重な体験です。それでも、一度先生と対話するという機会を持つことそのものに意味があります。たとえ結果は変わらなくても先生の意図や考え方が見えてくるからです。

お悩み4:新型コロナウイルスの影響で、すでにある習い事がオンライン化したり、休校になったりしています。この状況でどのように習い事を選んでいくのがよいのでしょうか。

小竹:子どもがもし楽しんで習い事をやっていたのであれば、教室に通わせるだけが手段ではないと発想を転換してみてはいかがでしょうか。たとえ近くの教室が休校であっても、今はどこか遠くの教室がオンラインで開催しているかもしれません。同じ習い事でも、教室や先生によって全く違ってくるので、オンライン化されたことをチャンスととらえてさまざまな教室をのぞいてみるといいですよね。

ただ、習い事って意外と子どもよりも大人のほうが執着しているケースが多かったりもします。大人は「この習い事をやらせたい!」と思っていても、子どもは意外と楽しめていない…なんてこともあるので、この機会に向き合ってみても良いかもしれません。どういう習い事なら、どんな先生なら、子どもが自ら夢中になるかを探れるといいですね。

コロナのタイミングだからこそ、一回立ち止まれる時期なのではないでしょうか。この足踏み状態はいつまで続くのかわかりませんが、どういう習い事なら本当に子どもがワクワクするのかを探る時期だと考えてみるといいですよね。

日常生活を見渡してみると、意外と近くに子どもが目をキラキラさせて取り組むものが見つかったりするものです。たとえば、私の知り合いのお子さんは、コロナ禍で家にこもる日々が続いたときに、壊れた時計を分解してみて、解体することにどっぷりと夢中になったそうです。そんなふうに、大人の予想のつかないような子どもが夢中になれることを発見すれば、親と子どもは違う人間だということを親はあらためて思い出すことができます。そこから、わが子の個性を見つめ直し、改めて寄り添っていけると良いですね。

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以上、小笠原さん・小竹さんのふたりのお悩み回答はいかがでしたでしょうか。

withコロナの時代に入り、今まで描いていた青写真が通用しないのは親にとって戸惑うもの。このようなピンチを子どもと向き合うチャンスととらえられると、子育てもぐっと楽に楽しくなっていきそうですね。


プロフィール:小竹めぐみ(こたけ めぐみ)

保育士起業家 / 合同会社こどもみらい探求社共同代表。1982年、東京都出身。保育士として現場で勤務後、フリーランス、NPO 法人設立・運営の経験を経て2013年に会社を設立。多様な企業・自治体と、子どもや家族に関連したモノ・コト・ヒト・バショを生みだしている。現在は、京都の路地奥に佇む庭付き長屋に住む。価値観の違う住人たちと、笑いあり、葛藤ありの日々を送っている。

プロフィール:小笠原舞(おがさわら まい)

保育士起業家 / 合同会社こどもみらい探求社共同代表。1984年、愛知県出身。大学では福祉を学び、社会人経験を経て、保育士となる。子どもたちから得た学びを広げることがWell-being=誰もがよりよく生きる社会につながると思い、会社や任意団体を運営している。プライベートでは、神戸市長田区の下町情緒と多様性あふれる人々とのつながりの中で子どもとの暮らしを楽しんでいる。


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今井明子
今井明子

サイエンスライター。気象予報士。科学・教育・育児などの分野で執筆。おもな執筆媒体は「Newton」「暦生活」。著書に「天気と気象の特別授業」(共著、三笠書房知的生き方文庫)など。防災講師や気象科学館の解説員も務める。子どもの頃から生き物に夢中。舞台に立つのも好きで、中高は演劇部、大学はフィギュアスケート部。

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