2020.11.24
習い事Q&A 清水万里子

子どもの英語、何歳から始めるのがいいの?

早いうちから英語を習うとネイティブのような発音で話せたり、英語耳が完璧に育ったりするというのは本当でしょうか?英語学習も、技能系の習い事の一つととらえるならば、英語と子どもの出会いは早いほうがよいでしょう。英語は言葉なので「習うより慣れよ」のことわざ通り、使い慣れていくことが上達のコツです。では、具体的に何歳から習うのがよいのでしょうか?

習い事の英語は4歳から始めよう

習い事の英語は、子どもが自立できる4歳ごろから始めるのがよいでしょう。理由としては下記のような3点があります。

  • 母子分離がうまくいきやすく、英語教室で自立して学んでいける時期である。
  • 母語(日本語)がすでに確立しており、自立したコミュニケーションが取れる。
  • 子どもにとって英語教室は小さな社会デビューになり、社会性を学べる場所になる。

今の日本では、遅かれ早かれいずれは英語に出あう子どもたちです。早くから日本語とは違う音の英語を聞き慣れる機会を多くもつようにするとよいですね。子どもは英語を聞いて慣れる、まねして発音する、を繰り返しながら、英語のセンスを自分で育てていきますから、親は子どもの学ぶ力を信じてほしいと思います。

また、習い事の英語教室は小さな社会です。この小さな社会の中で、子どもは他の子どもの学習態度からも多くを学びますので、マンツーマンより刺激の多い5~6人ほどのグループ学習のほうがよいですね。

学んだ英語を正確にアウトプットできるのは4歳から

外国語教育の指導法のひとつに、ナチュラル・アプローチと呼ばれる指導法があります。子どもたちがまるで母語(日本語)を習得するように自然なアプローチで外国語(英語)も習得するように考えられた指導法です。

基本は、英語オンリーの授業です。英語はコミュニケーションの道具として、英語でお互いにやりとりをしながら習得を促していきます。そのために、英語教室の先生は、子どもが理解できるレベルのインプットを繰り返したり、子どもがリラックスして過ごせる楽しい教室環境をつくったりしています。

早いうちから英語を始めると、ネイティブに近い発音ができるようになります。4歳は実際に意味のあるコミュニケーションをしながらアウトプットできますから、英語の学びの質を考えた場合、3歳からよりも4歳からのほうがよいのです。

また、英語を学ぶとき、アウトプットがないと学びの定着が期待できません。第二言語習得の研究に「アウトプット仮説」があります。これは、子どもが自分で理解できることを口に出して言うことで、いろいろな英語表現を、間違えながらも自分で気づいたり、先生から教えてもらったりして身につけるという仮説です。

4歳からは非常に多くのアウトプットの機会をもつことができます。全身の筋肉も育ち体幹もしっかりしてきて姿勢もよいので正しく発音できますし、まねっこなどの発話もスムーズです。

子どもの英語教育では、5歳や6歳から始めても決して遅くはありません。習得は英語に触れている時間の長さがポイントになります。英語教室で週に1度習って、家庭でも英語に触れる時間を増やすとよいですね。

3歳までは英語が聞こえる環境をつくれば大丈夫

私が「英語教室は4歳からでいい」と話すと、お母さんから「3歳までは何をしたらいいのでしょう?」と聞かれます。そういう時はいつも「やるべき英語教育は特にありませんよ」と答えます。

というのは、3歳まではインプットが大半だからです。そう考えると、生活環境を耳から英語が聞こえる環境にしてあげればいいだけです。これは英語教育ではなく「英語環境」です。家庭で英語環境をつくったり、地域の育児サークルで英語に親しむ場に参加したりするとよいですね。

英会話教室の2~3歳の英語クラスに、周りのお友達が通っていると聞くと焦ってしまうかもしれません。特にネイティブ講師が教えるクラスは人気です。しかし、わざわざ高い月謝を払って学ぶまでの教育内容ではありません。3歳までは家庭で英語に触れるだけで十分です。

家庭でワンランク上の「英語環境」をつくる

家庭で「英語環境」をつくる方法を3つ紹介しておきましょう。すべての幼児を対象にして英語環境をつくることができます。

英語環境を整える方法は「テレビ番組」「インターネットの利用」「スマートフォンのアプリ利用」です。

子どもの英語関係のテレビ番組といえば、よく知られているのがNHKのEテレ「えいごであそぼ with Orton」があります。歌やチャンツが多く、リズムに乗って英語を話すシーンもたくさんあるので、2~3歳の子どもたちが見て十分内容を理解して楽しめます。フォニックスと呼ばれる文字学習も意識されていて、特に「音」を聞き取る耳を育てるように組まれています。

インターネットの利用では、子どもが画像を見て意味がわかって楽しめて、英会話の声が聞こえてくるイギリスのアニメ番組「ペッパピッグ」がおすすめです。1話3分ほどの短いストーリーに教育的な内容も含まれていて英会話のフレーズも幼児が日常生活で聞く英語表現ばかりなので自然に英語耳が育ちます。

スマートフォンのアプリ利用では、「VOOKS」(課金)という世界の名作英語絵本を読むサイトがあります。VOOKSの特徴は動きのあるイラストと読んでいく文字がハイライトされる点で、2つのインプット(ネイティブ音声を聞くこと、少し意識して文字を読むこと)が同時にできます。蔵書数が多いので子どもの英語レベルに合わせて選べます。

まとめ

  • 早いうちから始めると、ネイティブに近い発音ができます。
  • 習い事の英語は、豊富なアウトプットができる4歳ごろから始めましょう。
  • 3歳までは家庭やサークルで英語に触れて、「英語耳」を育てましょう。
  • 子どもが毎日楽しく英語に触れられる英語環境を、生活にうまく取り入れましょう。

<関連リンク>

All About記事 良い子ども英語教室を見抜くコツ

<参考文献>

Krashen,S., & Terrell,T. (1983). The Natural Approach: Language Acquisition in the Classroom. London: Pergamon.
Swain, M. (1985). Communicative competence: Some roles of comprehensible input and comprehensible output in its development. In S. Gass, & C. Madden (Eds.), Input in second language acquisition (pp. 235-253). Rowley, MA: Newbury House.

清水万里子
清水万里子

児童英語講師。幼児・小学生の英語教育の実践研究家。現在、こども園、小学校、大学で、幅広く教えている。All About「子供の英語教育」オフィシャルガイドとして子どもの英語教育について幅広く発信中。英語に興味を持ったきっかけは、中学生の時に米国人の文通友だちができたこと。子どもの頃から本が好き。小学生の時は図書委員になり、図書室の本を隅から隅まで読んだ。英語の教材を手作りするのが得意。

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