2020.11.24
習い事Q&A 狩野さやか

積極的に使わせたいけどちょっと不安「子どもとパソコンのほどよい関係」

子どもがパソコンを使うことに対して、「ゲームや動画に熱中しすぎて長時間やめられなくなってしまうのでは?」と不安を感じる保護者は多いようです。一方、子どもにプログラミングを学ばせている家庭に話を聞くと、そんな心配はしておらず、むしろ積極的に使ってほしいと考えている保護者が多い印象でした。パソコンを積極的に使っている家庭はどんな様子なのでしょうか?

「ものづくり」する姿を見ている

プログラミングは、計算問題をこなしたり漢字を反復練習するのとは違い、ものづくりの手段として体験しながら学ぶもの。パソコンはそのために必要な道具です。

子どもが学ぶ様子を見ると、画面と孤独に向き合っているというよりも、ゲームや動く絵本、ロボットなどを作り、「動かしたい!」という気持ちでいっぱいなことがよくわかります。

ゲームを作る時は、キャラクターを操作する仕組みや、壁にぶつかった時の反応、点数の管理、タイマーの制御など、一つひとつプログラムを積み重ねて、ゲームの裏側を知ります。

ロボットを作る時は、ブロックなどでボディを組み上げ、ボタンを押すと動き出したり、人が通ればブザーが鳴るようなプログラムを作り、ものが動くカラクリを知ります。

どれも「なるほど!」という発見やワクワク感にあふれた体験です。子どもがパソコンを使うことに対して前向きな保護者は、生き生きとものづくりに取り組む姿を目の当たりにしているため、プラスの印象が強いのかもしれません。

「子どもの成長」を肌で感じた

保護者は、子どもがプログラミングならではの試行錯誤をする過程を見守りながら、さまざまな成長を実感しているようです。

「夢中になれることが見つかった」
「自己肯定感があがり、自信がついた」
「チャレンジ精神が出てきた」
「やってみなければわからないという感覚が身についた」
「正解がひとつではないという視点が養えた」

また、使う側でなく「作る側」の視点を持てたことが、特に大きな変化だったという声もよく耳にしました。ゲームや身のまわりにある道具の見え方が変わり、その後の進路や就職に大きな影響があったという話も。

このような経験がある保護者ほど、子どもとパソコンの関係性に好意的な印象を持っていました。

「娯楽」を禁止せず、多彩な使い方を

プログラミング教室に通っている子どもが、家庭でパソコンを使う目的には娯楽も含まれます。だからといって動画やゲームを楽しむことを、保護者が禁止していることはないようです。

遊びに使う一方で、プログラミングのやり方を調べるために動画を参考にしたり、ほかの人が作ったゲームの仕組みを理解するためにプレイしてチェックするような使い方も増えていきます。クリエイティブな使い方にも興味を持ち、動画編集や3Dモデリング、音楽制作などに挑戦する子どもも。

調べものをしたり、好きなことについて文章を書いたり、学校のまとめ資料を作ったりしながら、パソコンを文房具のように使う機会が増え、小学生のうちからタイピングが速くなったという話も聞きます。

もし、スマートフォンやタブレットなどの情報機器に遊びのイメージがあるとすれば、娯楽以外の用途で使う機会が少ないからかもしれません。目的を持って、何かを作るために使う頻度が高まると、バランスが自然と取れてきます。 

「対策」は子どもをよく見て判断

子どもにとって、ゲームや動画視聴といった娯楽を楽しむこと自体が悪いわけではありません。リラックスした時間を過ごすことも大切。頭を使ってクリエイティブな発想をすることもあれば、子ども同士のコミュニケーションツールになっていることもあります。

ただし心配なのは、ゲームなどをやりすぎる理由が、なにか別の問題によるもので、逃避やマイナスの気持ちが強く現れているときです。その場合、単純にゲームを禁止することが解決につながるとは限らず、別の問題へのケアが必要という可能性も。少し広い視点でお子さんの様子を見守ることも大切かもしれません。

また、低年齢の子どもは、安全な使い方の知識をつけたり自覚を促したりするには、時期が早すぎる可能性もあります。無意識に課金の操作や有害コンテンツの表示などをしてしまわないよう対策が必要です。

まずは保護者が正しい知識をつけ、機能の制限や情報のフィルタリングを設定するのがおすすめです。その知識は、お子さんが自分のスマートフォンを持つようになったときに、改めて使い方のルールや各種設定を確認しあう時にも役立ちます。 

親子で「セキュリティ」を学ぶ

今後、小・中学校では、パソコンを1人1台持ち、日々の学習の中で道具として使うような環境が整備される予定です。

「子どもが勉強以外のことに勝手に使ってしまうのでは?」など、リスクを心配する声もありますが、パソコンの活用に積極的な先生に話を聞くと、今の時代は子どもが当たり前に情報機器を使えるよう経験と知識を得ることが大切で、トラブルがあればその都度対応する、と前向きです。

パソコン、タブレット、スマートフォンなどを活用するには、情報化社会の一員として責任ある使い方をするために、インターネットで情報を検索して役立てる手順や、個人情報を扱うルールなどの知識が必要です。学校で教える機会も増えるでしょう。

プログラミング教室では、自分でゲームなどの作品を作る際に、インターネットで見つけたイラストや写真素材の著作権について学ぶチャンスがあります。作られた物の権利を意識することは、大切な姿勢です。先生やサポーターは専門家ですから、日々の会話から、やって良いことと悪いことのルールや、マナーやセキュリティの常識が自然と身につくでしょう。

情報機器を安心安全に使いこなすための知識を身につける必要性は、これからますます高まります。

「ルール」を話し合って決める

たとえ目的をもってパソコンを使っていたとしても、際限なく没頭せず、ほかのことにも興味を持ってほしいと思う保護者は多いでしょう。

さまざまな工夫をしてメリハリをつけているという家庭に話を聞くと、「ゲームと動画は1日1時間まで」「1日に30分を2セットまで」というように、遊び目的の利用は時間で区切ることが多いようです。家庭によって特例があり、「家族でゲームをやるときは時間を加算」「勉強をした時間だけ加算できる」「○○のゲームはクリエイティブなので時間外でやってOK」、など個性が出ます。「小学生は1時間、中学生は2時間」と差をつけたり、「無理があればときどき時間制限を見直す」と柔軟な対応も。

小さな子どもの場合、「お手伝いなどでポイントをためるとゲームができる」「動画はなるべく親子一緒に会話をしながら見る」など、時間制限とは違う工夫もありました。制限を細かくせずに「宿題が終わればゲームも動画も好きなだけOK」というシンプルなルールのご家庭も。

聞けば聞くほどさまざまで、ルールに正解はありません。大切なのは子ども自身が状況に応じて自制できるようになることです。過度な抑圧や放任を避け、家庭内でルールを話し合い、親子双方が納得していることが重要だと感じます。

狩野さやか
狩野さやか

株式会社Studio947のライター、デザイナー。技術書籍や記事の執筆、ウェブデザインに携わる。自社で「知りたい!プログラミングツール図鑑」「ICT toolbox」を運営し、プログラミング教育やICT活用について情報発信している。子どもの頃習っていたピアノやブラスバンドなどで続けたフルートで、技術の習得に近道はないと実感。ステージ上で演奏する緊張感を繰り返し味わったことはいい経験になっている。

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