2020.12.03
学びをはぐくむ 高柳涼子

コロナで在宅勤務から地方移住へ パパの育児と仕事がこんなに変わった

パソコンと息子を抱える奥村さん

まだまだ世界中で続いている「新型コロナウイルス感染症」の流行。パパの働き方や子育てへの関わり方も大きく変わってきています。家族のよりよい未来を目指すパパのコミュニティ「Papa to Children(以下PtoC)」のメンバーで、コロナを機にライフスタイルを大きく変えたという奥村祥成さん(31)にお話をお聞きしました。

在宅ワークと0歳児育児で夫婦の仲に暗雲

2020年の幕開けとともに耳にするようになった「新型コロナウィルス感染症」。またたく間に世界中に広がり、日本でも休校や休園、緊急事態宣言に伴う休業や外出自粛など、さまざまな影響を受けました。押し流されるように本格的な在宅ワークに突入したパパママも多かったのではないでしょうか。

「PtoC」には、おもに未就学から小学校低学年までの子どもを持つ、30代を中心としたパパが所属(ママメンバーも在籍)。コロナ以前は年に6回の「パパ未来会議」を中心に活動していました(現在はオンラインで定例開催中)。

現在、パパ未来会議はオンラインで開催中(写真提供:Papa to Children)

パパ未来会議とは、「夫婦のお財布事情」や「防災ピクニック」「バーベキュー」など、毎回テーマを決めて参加者同士がざっくばらんにディスカッションやワークショップなどを行う会です。パパ同士が気楽に話せるだけでなく、子連れで参加することでママの自由時間ができ、子ども同士も仲良くなれるなど、「パパ・ママ・子ども」の“三方良し”の活動だそうです。

2019年の「パパ未来会議」の様子

今回お話を聞いた奥村さんは、2019年9月の第1子誕生時からの育休を経て2020年の年明けから段階的に仕事を再開し、妻もフリーランスとして仕事をスタートした矢先に新型コロナの影響を受けることになりました。

2020年の春、生後6か月くらいから保育園に預けるつもりでしたが、タイミングが悪くて保活ができませんでした。また、コロナの感染リスクを考えて妻とも相談し、1歳くらいまでは自宅で見ることに決めました」(奥村さん)

子どもの年齢や人数にもよりますが、子どもを家で見ながら仕事をすること自体、とても大変なこと。ましてや0歳児となるとその大変さは想像を絶するものだったでしょう。

最初は仕事とも両立できていましたが、0歳児は日々成長していきます。それは喜ばしいことではあるのですが、最初は寝ているだけだった我が子が、8か月ころから動いたり声を出したりするようになると、仕事をしながら子どもを見るのがどんどん難しくなりました」(同)

奥村家は当時、1LDK住まいだったそう。仕事をしているわずか2メートル先で、子どもがベビーサークルにつかまり立ちしてこちらを見ながら泣いている…という状況に。

その都度、子どもを優先して対応していました。当時、仕事量は通常の半分程度でしたが、思うようにはかどらない日々が続きました。また、育児も家事も気になったほう・気がついたほうがやるというスタンスでしたが、たとえば『子どもが泣いている』という状況は同じでも、妻はすぐ対応したいタイプで、私は少し泣かせたままにしておける感覚の持ち主。その違いから、妻に『自分ばっかりやっている』と思わせてしまったこともありました。お世話に関して『どっちがやるの?』と議論になったりして、険悪なムードも漂い始めました」(同)

奥村家の場合、夫婦揃って育休を取ったこともあり、家事も育児もすでに分担していたそうですが、さらに、子どものお世話をする時間を夫婦できっちり分けたのだそう。

当日のお互いの予定に応じて『午前は夫/午後は妻が担当』などと決め、相手が静かに集中できる時間を作るように。自分の担当時間中は子どもの世話をすべて1人でやり、ぐずったら外に連れ出したりして、相手が気にしなくてすむようにしようという計画でした」(同)

静かでまとまった時間が取れることは、仕事をする上では本当に大切ですね。奥村家は、さらにその後、思い切った選択をしました。

狭い家でケンカに 思い切って移住を決断

家が狭いと、時間を決めて分担する方法で乗り切るにも限界があって……。家にいる限り気配は感じますし、私のほうもお世話担当の時間に結局仕事をしてしまったり、妻目線で見ると対応が遅かったりして、妻側の不満が溜まっていきました。その結果『夫のオンラインミーティング中に、音を立てて子どもを遊ばせていいのか?』といった話からケンカになり、妻が子どもを連れて出て行ってしまったことも。この時はすぐ戻ってもらえましたが、もう無理だ!と感じるようになりましたね」(同)

そんな時に、たまたま奥村さんの地元・和歌山で、数年ほど住める広い部屋を使うことができるようになり、思い切って移住を決断したそう。

9月に思い切って東京都内から和歌山に転居。新しい住まいは2DLKで独立した仕事部屋も確保できました。妻と子どものリズムに合わせて朝の家事を済ませたあと、日中は家にこもって仕事を進め、夕食を作るのが私の毎日のスケジュールになりました。転居と同じタイミングで、東京の企業に籍を置きながら、リモートワークのみでフルタイムに復帰しましたが(現在は週に1度だけ日帰り上京で出社)、集中できています」(同)

どこでも働けるのは在宅ワークの大きなメリットのひとつ。奥村家ほど大がかりでなくても、可能な範囲で環境を変えるのは手かもしれません。

大きく広がる空を眺めながら仕事をする。芝生の向こうの保育園で息子は走り回っている

在宅ワークが終わるとすぐに夕食づくり

快適な在宅ワークに必要なのは、独立した仕事スペースと子どもを預ける場所。やってみて、本当にこの2つに尽きると思います。周囲を見ても、両方がそろっている家庭はだいたいうまくいっていますね。実は今、子どもは保育園の待機児童なのですが、住まいの広さと、実家、保育園の一時預かりに助けられながら乗り切っています」(同)

また、在宅ワークが基本になったことで、フルタイム復帰後も家族との時間が多く取れているのもメリットだそうです。

ふだんの仕事は19時までで、終わったらすぐ夕食づくり。30分後くらいには家族みんなで食卓を囲めるのは、在宅勤務ならではですね。第1子誕生時から育休、在宅勤務と続いてきたので比較はできませんが、通勤していたらきっと無理だったと思います。家族の時間を大切にしている妻にも喜ばれていますし、これからも、育休前のようなオフィスに毎日通うようなスタイルには戻らないと思います」(同)

「家族会議」で小さな不満をためずに話し合う

では、地方に移住するという大きな決断を経て、奥村家では夫婦関係や夫である奥村さん自身の意識に変化はあったのでしょうか?

家事・育児の負担が妻に偏らないよう、また、いかに妻の時間を作り出すか、ということは常に気にするようになりました。毎日一緒に家事・育児をしたことで、例えば朝晩の授乳など、子どもが妻だけを求める時間も多くあることに気がつきました。妻がそれに対応する時間は、自分のことでなく家事を進めておくなど、不公平にならないことを心がけています」(同)

また、「家族会議」が重要性を増しているといいます。

コロナ以前からの習慣なのですが、2週間に1度、夫婦で家族会議をしています。大きな議題がなくても必ず開催。小さな不満や心配ごとも話し合って対応しています。最近の例では、私のフルタイム復帰に合わせて家事育児のバランスを変えたことで、妻の負担感が大きくなってしまったことがありましたが、私の育児時間を増やすことですぐに解決できました」(同)

夫婦で話し合うことの重要性を改めて感じたという奥村さん。

不満やズレは、小さいうちほど軌道修正もしやすいもの。私の場合は『不満』に至る前の段階で気づけるように心がけています。たまってから話すと感情的になったり険悪なムードになったりしがちですが、“定例会議”であれば相手に伝えるハードルもぐっと下がるのではないでしょうか。

また、妻側から不満や意見を言いにくいこともあると思います。その場合は、『いま何か大変なことない?』などと夫から聞いてみることも大事ではないかと思いました。こまめに夫婦で話し合い、気づいたら柔軟に変更することが、夫婦関係を悪化させないために大切なポイントといえそうです」(同)

パパ同士が集まって話をすることで、子育てが楽しくなる

子どもが家にいることを職場に理解してもらう

一方、在宅ワーク中に子どもが家にいるという状況を、仕事相手に理解してもらうことの大切さに気づいたというのは「PtoC」の理事を務める高橋俊晃さん。

1歳と5歳の子どもを預けていた保育園が4〜5月に休園になり、夫婦で在宅ワークをしながら家事育児を分担しました。コロナ以前も在宅ワークは経験済みでしたが、そのときは保育園に預けながらだったり、子どもの体調不良のケアで数日間だけだったりという状況。元気いっぱいの子どもがずっと家にいて、いつまで続くかわからないというのは初めてでした」(高橋さん)

元気なのにずっと家にいなければならないのは、子どももストレスが溜まるもの。そうならないために子ども優先の生活にシフトしたそう。

子どもたちに『家にいるのになんで遊んでくれないの』という不満やストレスを感じさせたくなかったので、たとえば『今はパパと公園で遊びたい』という要望があれば、仕事を中断してでも出かけました。もちろん重要なミーティングや集中したい時間もあるので、妻とその都度コミュニケーションを取って対応を決めましたが、子どもの望みはなるべくそのままの形で叶えてあげようと……。

その結果、子どもは楽しそうでしたが、やり残した仕事は睡眠時間を削って進めるしかなく、体力的にも精神的にもきつかったですね」(同)

そんな中で高橋さんは、自分の状況をまず周りに理解してもらうことが大切だと気づいたそう。

子どもが家にいる状況といない状況では、同じリモートワークでも別物と考えるべきだと思います。とくに仕事先には、状況や考えをしっかり伝えて理解してもらうことが大切ですね。例えば、Webミーティング冒頭で、あえて子どもに挨拶させてみると、雰囲気が和み、置かれた状況が少しは伝わるかもしれません」(同)

仕事中であっても育児に積極的に関わるとともに、家族以外の人にも子育て中の現在の状況をきちんと理解してもらうことは、負担を減らす第一歩につながりそうですね。

新しい働き方や生活を見つけるチャンス

奥村さんは、和歌山に移住したことで、家族との時間を中心とした新しいライフスタイルを始めることができたとともに、今後の新たな展開も見えてきたそう。

現在の私の仕事では地方自治体相手に商談をする場面が多いのですが、和歌山に住んでいることで県庁の方などに地元の課題を共有してもらえることも多く、そのことが仕事に役立っています。移住と仕事がいい形でつながり、充実しています」(奥村さん)

今後は夫婦で、ローカルビジネスを起業することも考え始めているのだそうです。

コロナ収束までの道のりはまだ遠く、冬に向けて感染再拡大やインフルエンザなどの流行も気がかり。しかし、こういう時にこそ、普段より密に気持ちや状況を伝え合い、この状況を円満に乗り切れるようにしたいものですね。


プロフィール:奥村祥成(おくむら よしなり)

1989年生まれ。パパ団体「Papa to Children」メンバーで、妻と1歳の子どもとの3人暮らし。IT企業にて事業開発を担当する30代。2019年9月の第1子誕生と同時に育休を取得。9月からは東京から地元・和歌山に転居して、現在週1回出社のほぼリモートでフルタイム勤務中。

写真提供:Papa to Children

編集:相馬由子(ディライトフル)

高柳涼子
高柳涼子

雑誌編集部出身のフリーランスライター。ライティングを中心に校閲や編集も手がける3児の母です。これまでに関わった分野は、求人、進学、ウェディング、アート、手芸、田舎暮らし、食育、仏教、旅行、料理など。小さいころは折り紙に夢中で、買いものに連れて行ってもらってもお菓子より折り紙や千代紙をねだる子どもでした。

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