2020.11.27
学びをはぐくむ 曽田照子

「その言い方NG?OK?子育てのコトバ」第1回:探究心をのばす言葉 曽田照子さん

第1回 探究心をつぶす言葉 のばす言葉

親から子どもへの言葉は、時としてその子の人生を左右するほどの影響を与えます。この連載では、親としてぜひ知っておきたい「子どもをつぶすNGワードと、のばすOKワード」についてお伝えします。

親がやってほしいことには夢中にならず……

まずは「探究心」をつぶす言葉、のばす言葉について。

「探究心」は知りたいという意欲をベースにワクワクしながらものごとに取り組む姿勢のこと。観察力や思考力のもとになる大切なスキルです。

ぜひとものばしたい「探究心」ですが、これを私たち親がつぶしてしまうことがあるんです。

①子どもがゲームや動画などで、だらだらと過ごしていたら……

NGワード:「好きなことばっかりやってちゃダメ」

もしも親が黙っていたら子どもはゲームとか動画とか、のんびりダラダラ過ごしてしまうかもしれません。「好きなことばっかりやってちゃダメ」と言ってしまうこともありますよね。

それにしても、どうしてゲームや動画など、ほどほどにしておいてほしいものにばかり、子どもはハマるのでしょうか。

数字の世界にはまって算数の先取り勉強をしてくれたら親としてはありがたいし、読書のおもしろさに目覚めて自分から本を読んでくれたらラッキーです。語学にはまってペラペラになったらカッコイイし、ほかにもプログラミング、音楽などなど……有意義な方向に子どもの探究心が発揮されればいいのに。

「好きなことばっかりやっちゃダメ」という言葉は、子どもの現状にダメ出し(否定)をして、子どもの行動を制限しようとしています。言わないほうがいいのですが、言ってしまうのは親としての願いがあるから。時間をムダにして欲しくないし苦手なことにも自発的かつ積極的に立ち向かう子になってほしい、そう願っているからこそ出てくる言葉ですよね。

でも、いくら言っても、子どもは好きなことばかりやりたがり、時間を有意義に使ってくれませんし、苦手なことから全力で逃げようとします。追い立てる親も疲れます。

ここで、好きなことに夢中になっている子どもの内面を想像してみましょう。

ただ遊んでいるように見えても、「これどうなってるんだろう?」と探索したり、「こうしたらどうなる?」と思考したり、「やってみよう」と挑戦したり、「だめか、でももう1回」と立ち直ったり……子どもの内面では、いろいろな思いが駆け巡っています。

好きだから探究したくなる、探究すればするほどもっと楽しくなって成果も出る、成果が出ればやりたくなる、さらにワクワクしながら探究して……という好循環がもたらす成功体験。これが好きなことをやりたくなる心理じゃないかなと思います。

成功体験、と考えるとわるくはないですよね。子どもたちが大人になる頃にはAIもますます本格化していきます。苦手分野で努力した結果、平均化した人間になるよりも、その子の得意なことをのばしてあげるほうが、より有利になるはずです。

さらにこんな考え方もあります。

「楽しいことをがんばれない人は、楽しくないことはさらにがんばれません」。

これは「ママの心が楽になる子育て心理戦」という書籍の取材で出会った、尾山台すくすくクリニック(子ども専門の精神科・心療内科)の新井慎一先生の言葉です。

好きなことで成功体験をじゅうぶん積んだ子は、苦手なことに対しても「やってみてもいいかも」と思えるようになります。成功体験の横展開です。テスト勉強の時など、まず得意科目を勉強してから苦手科目をやってみると、案外はずみが付いてスラスラできるのと似ています。

子どもが好きなことばかりしているように見えるとき、親は「探究心が育っているんだな」と思いながら見守りつつ……もしも日常生活や心身の成長に支障が出るレベルで熱中している場合には、外遊びに連れ出したり、一緒に散歩する時間を取るようにしましょう。

NGワードを言いそうになったら、次の言葉に言いかえてみてください。

OKワード:「気が済むまでやってみたら?」

好きなことを否定するのは、毒親への最初の一歩

②子どもがマニアックなことに夢中になっているとき……

NGワード:「そんなのどこがおもしろいの?」

探究心は親が教えようとしても、教えられません。子ども自身が自分の体験から身につけるしかないスキルです。

子どもは時としてマニアックになります。昆虫の触角の一部を見ただけで種類を言い当ててしまうとか、あるゲームのことならウラワザまで知り尽くしているとか、好きなアニメのセリフを全部言えるとか……これって、探究心のたまものですよね。

でも、子どもが何かに夢中になっているとき、親はつい「そんなのどこがおもしろいの」「くだらない」といった言葉で、子どもの興味関心を否定してしまいたくなることがあります。

どうしてなんでしょう。

何かに夢中になっている状態の子どもの行動や好みが偏っているように見えるから、中庸に戻したくなる、というバランス感覚もあるでしょう。

でも、それだけじゃなくて、子どもが親の手の届かない世界に行ってしまっているように思えて、不安になるからではないか、と私は思います。

子どもの好きな世界に入れてもらえない、仲間はずれになったような寂しい気持ち。

親子と言えども別の人間ですから、興味関心を覚える対象が同じではない、なんてことは頭では分かっていても、子どもの心の世界まで把握していたい……。

この気持ちは、親の支配欲なんだろうなと思います。

支配欲なんていうとわるいことのようですが、そんな気持ちが心のどこかにあるのは、親としては当然でしょう。だって生まれた頃から、いえ生まれる前から、大事に育ててきた命、それがわが子なのですから。

誰にでもある感情だとはいえ、親が自分の支配欲をコントロールできなければ、いわゆる「毒親」になってしまいます。「子どものため」として、子どもの好きなことを否定するのは、毒親への最初の一歩です。

興味関心を否定されれば自己肯定感はダダ下がりです。

「そんなのどこがおもしろいの」という言葉が出そうになったら、グッとこらえて、子どもが夢中になっているときの表情を観察してみましょう。

好きなことに夢中になっている姿は誰だって素敵です。わが子ならなおさら、「ああいい顔してるな」って思えるんじゃないでしょうか。

あえて、同じものを好きになる必要はありませんし、理解しなくてもいいんです。

「この子はこういうものが好きなんだな」と思って、その興味関心をふくめた子ども本人を、丸ごと認めてあげられたら、いいんじゃないかと思います。

そして、親自身の心と時間にゆとりがあるときに「それはどこがおもしろいのか教えて」と子どもに聞いてみましょう。上からではなく、知らない世界を子どもに教えてもらうつもりで、好奇心を持ってみてください。

親が興味を持ってくれたら子どもは嬉しくなります。「どんなところが」と深掘りされると子どもの頭は説明しようとフル回転をはじめます。

探究心を尊重されたことで、思考力、表現力、プレゼン力へと子どもの能力がぐんぐん伸びていく、素晴らしい瞬間です。ぜひ、次の言葉に言いかえてみましょう。

OKワード:「どんなところがおもしろいの?」

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曽田照子
曽田照子

ライター。広告制作会社を経て20代前半でフリーに。「親から子への言葉かけ」をメインテーマに、書籍やWEBで書いています。小学5年生で手芸クラブに入部、フェルトをちくちく縫ってマスコット人形を作っては周囲にプレゼントをしていました。今は和裁を習っています。娘3人+猫の母親です。

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