2020.11.24
学びをはぐくむ 石田勝紀

ぐんぐん伸びる子の育て方 第1回:習い事に行きたくない 石田勝紀さん

第1回 子どもが「習い事に行きたくない」と言いだしたら

子どものやる気と自己肯定感を高めるために、親がどんなかかわり方をしたら良いのか。教育デザインラボ代表理事の石田勝紀さんは、母親が集まる「Mama Café」を主宰し、講演や記事で、悩める親にアドバイスをしています。子どもをぐんぐん伸ばすために必要なことを、石田さんに連載してもらいます。

子どもは嫌なことを嫌と言えない

今回、「みらのび」という新しいサイトが立ち上がるにあたって、第1回目は「習い事」についてコラムを書いてみます。これまで私は、「東洋経済オンライン」はじめ、多くのコラムを書いてきましたが、習い事の選択や効果、注意点についてまとめて書いたことはありませんでしたので、習い事を検討されている方の参考になればと思います。

はじめに、私自身の子どもの頃の習い事についてお話しましょう。

私は、小学校3年生まで大阪にいましたが、その時は書道と野球を習っていました。書道では毛筆と硬筆(鉛筆)をやっていましたが、なぜ書道をやっていたのかと思い出すと、親が字はきれいに書けた方がいいからと習わせたようです。当時、書道教室には多くの子どもたちが通っていました。その流れの中でやっていたのでしょう。

今思うと、あの時の経験が現在につながり、本のサインは毎回筆ペンを使いますし、字を書くことに抵抗感や面倒臭さを感じないことも、書道のおかげかもしれません。

もう1つの野球ですが、これも当時の子どもたちの多くが少年野球をやっていました。私が野球をやりたいと親に言ったのは友達と一緒にできるからなのですが、それを親に言い出せず、親は友達と一緒だと遊んでしまうというので、別の地区の少年野球チームに入れさせられました。でも、人見知りの私は、なじめず、親に次のようなことを言って野球をやりたくないと伝えたのです。

「夏は暑いし冬は寒いし、やりたくない」と。

小学校3年生なのでボキャブラリーもなく、親を説得できるだけの本音を語ることができず、これは一発却下で、そのまま続ける羽目になり、嫌々ながらやっていました。

しかし1年もたたない小学校4年生の時、横浜へ転校したため、野球とは、それで無事におさらばできました。

子どもは嫌なことをただ嫌としか言えなかったり、十分な説明が言えなかったりします。

また、子どもがやりたいという動機(私の例で言えば友だちと一緒がいい)についてはっきりと親に伝えられず、また親もその背景を理解していないことで、本当なら継続できていたかもしれない習い事が続かないということもあるでしょう。

以降、この私の経験は、同じような境遇にある子どもたちの気持ちを理解することに役立ちましたが、本当にやりたい習い事をやっていれば、今頃違った人生を歩んでいたかもしれません。

いまは習い事が多様化

以上が私の子どもの頃の体験ですが、現在では習い事は多様化し、通う子どもたちの数も多くなりました。習い事に関しては、様々な機関が調査していますが、習い事の種類を大きく分けると次のようになります。

体育系(水泳、体操、武道、球技など)

芸術系(絵画、音楽、書道、バレエなど)

勉強系(幼児教育、塾、英会話など)

その他(そろばん、囲碁・将棋、プログラミング教室など)

他にも習い事はたくさんあるでしょうが、子どもの習い事ランキングでは、大方上記の種類が上がっています。ちなみに最近になって急上昇している習い事が「プログラミング」です。学校教育の中にも入ってくるプログラミングということもあり、人気になっています。

子どもが楽しんで通っているかどうか

さて、そこで習い事についてどのように選択すればいいでしょうか。

基本的には、子どもに体験させて、やってみたいということであれば続けていきます。子どもが小さい時は、子ども自身、世の中にどのような習い事があるか知らないため、まずは親が選択します。親の意向で始めることが一般的です。その際、親は子どもの才能や能力を伸ばそうと思って選択しようとするかもしれません。もちろんそれでジャストミートすることもなくはないですが、通常は、そのような気持ちで行うよりも、「子どもに幅広い体験、経験をさせてあげよう」という気持ちでさせてみてください。そうしなければ、次のようなことが起こります。

「才能や能力を伸ばそうと思っても一向に伸びない!」

「できるようにならないのは習い事の教室のせい」

「(焦って)子どもにたくさんの課題をやらせなければならない」

親がこのような気持ちになっているときは、子どもはかなり辛い状態におかれているはずです。親が気負ってやるよりも、子どもが楽しんで通っているのかどうかを判断基準とするとよいでしょう。

習い事は今しかできない経験のため

習い事は、通常の学校で習うこととは異なる専門的なことが多く、子どもたちの興味関心をかき立てる習い事は少なくありません。ある意味、習うことで特別にその時間が設定されるわけですから、習っていない子に比べてアドバンテージがあることは当然です。

しかし、実際の効果は、その習い事が上手になるということ以外に、子どもにとって、非日常の経験ができることにあります。おそらく、多くの習い事をする子どもが、そのままその道でプロまで進む子はごくわずかなことでしょう。プロにならないのに、なぜ習い事をするのでしょうか。

それは、子どもに今しかできない「経験」「体験」をさせたいからなのではないでしょうか。

私は、幼児から大人までの成長過程をこれまでたくさん見てきました。そこでわかったことは、子どもの頃に多様な経験をする子はその後、自分のやりたい道を見つけやすく、また生きがい、やりがいを見つけやすいということなのです。

ですから、習い事はスキルを身につけること以外に、その能力が伸びようが、伸びまいが、子どもにとって1つの経験をしたことが非常に大切になるということを知っておかれるといいでしょう。

「今日は行きたくない」と言われたら…

習い事をしていて、子どもが「今日は行きたくない」ということがあるかもしれません。そのようなとき、原因が様々あることを知っておくといいでしょう。

1.宿題や課題をやっていないため教室で叱られるのではないかと思って「行きたくない」ケース

これが意外と多い理由の1つです。先生にたまたま怒られたとか、友だちと気まずい雰囲気になったということもこのケースに当てはまります。つまり、一過性の問題であるため、その教室自体が嫌であるわけではありません。その場合は、どう対処するかですが、基本的にほっておきます。「さっさと行っておいで」と勢いで持っていくのでもいいでしょう。

2.何となく、行きたくないと思っているケース

この場合は、子どもが親を試して、「行きたくない」と言っている場合が少なくありません。そのとき親は「わかった。じゃやめよう」と言ってみてください。子どもは親がやめないように説得してくることを“期待”しているので、その“期待”を裏切るのです。

すると、子どもは「行く」と言い出すことが往々にしてあります。そのようなときは、本当に行きたくない、やめたいのではなく、親を試しているだけなのです。このようなケースのときは決して子どもに行くように説得はしません。説得すればするほど「行かない」となります。

3.習い事が長く続かず、すぐに「行きたくない」「やめたい」というケース

このケースは私が主宰しているMama Caféや相談メールでもたくさん頂く相談内容です。

親の観念の中に、「続けることはよいことだ」という言葉が入っていることでしょう。確かに、「継続は力なり」は正しいです。継続していれば、伸び方に差はあれども、それなりに伸びていくことが事実であるということは何となく実感できることと思います。

しかし、重要なことは、「やりたいこと」「好きなこと」「ワクワクすること」を続けていくことなのです。特に子どもの頃は好き嫌いがはっきりしているので、嫌いな状態を継続しても、力になるどころか、ますます嫌いになるだけなのです。

我慢する力があるかどうかではない

このようなお話しをすると次のような質問が出てきます。

「嫌いだからと言って、すぐにやめてばかりだと、我慢強い子にならないのではないでしょうか?」

私はこの質問に対しては次のように答えます。

「習い事が好きで続く場合は、それはそれでいいでしょう。しかし、習い事はやってみないとわかりません。例えば、食べ物を買うときに、『試食』をしますね。試食をしないと、どれが一番自分が欲しい食べ物かわかりません。それと同じで、習い事も自分に合う習い事は、いくつかやってみなければわかりません。やってみて、続けられそうな習い事を続けていけばいいのです。

ですから、合わないと思う習い事をだらだらとやっている方が問題になります。我慢する力があるかどうかの問題ではないということを知っておくといいでしょう。」

以上、習い事に関係する、よくある質問を中心に書いてきました。今後、皆さんのお役に立てれば幸いです。

次回からは、子育てで直面する様々な問題について、わかりやすい対処法についてお話していきますね。どうぞ、よろしくお願いします。

撮影:伊ケ崎忍(石田さん写真)

「ぐんぐん伸びる子の育て方 教育専門家・石田勝紀」の記事一覧

石田勝紀
石田勝紀

(一社)教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。20歳で起業し塾を創業。現在はMama Café、講演、連載記事を通じて全国の保護者への教育活動を行っている。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』他多数。子どもの頃の習い事は「書道」。今でも筆で書いたり、活字への関心に繋がっています。

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