コロナで変わった? 202人に調査 第2回 オンライン学習はコロナ時代の救世主?
新型コロナウィルスにより、子どもたちの生活が大きく変わった2020年。これまでの「当たり前」が大きく揺らぐ中で、親である私たちはいま、子どもの教育に関してどう考え、どんな選択をしているのでしょうか。202人にご回答いただいたアンケート結果から、第2回は、コロナ禍をきっかけとした「オンライン学習」の実態についてお届けします。
47%がコロナ休校を機に「オンライン学習」をスタート
学力低下の不安から教科学習系のオンラインを開始
47%が新しく始めたという「オンライン学習」。ひとくちに「オンライン」と言ってもその内容はさまざまです。
回答中で目立ったのが、
- 学習塾の配信授業(公文、四谷大塚)
- タブレット型通信教育(スマイルゼミ、Benesse)
といった、国語・算数を中心とする教科学習的な内容のもの。
●「休校中の学力低下が不安。せめて国語と算数だけは家でやっておこうと思い、タブレットを申し込んだ」(小2)
●「小学校の学習内容を楽しく学べるプログラムを受講」(年長)
コロナ休校中には、本来ならば学校で勉強しているはずの時間をどう過ごさせたらいいのか、戸惑いの声があちこちで聞かれました。自主的な解決方法として、タブレット教材や学習塾の配信を活用した人も多かったようです。
次に多かったのが、
- STEAM教育プログラム
- プログラミング
- オンライン英会話
などの、ITや語学スキルの習得に関する習い事です。
●「世界と直接つながれる」(英会話を始めた家庭・小1)
●「スクールが遠くてあきらめていたが、オンラインなら受講可能なので」(STEAM教育プログラム・小3)
と、距離を問わないオンラインならではの利点を評価する声が寄せられました。
- ダンスレッスン
- アートプログラム(海外のコンテンツ)
- ピアノレッスン、リトミック
のように、アートや身体表現に関するオンラインプログラムを始めたという人もいました。
また、探究的な学習や、教科にとらわれないプログラムに挑戦した家庭も。
- 探究学習的なプログラム(探究学舎、a.school)
- zoomを活用した単発系ワークショップ(料理教室、システム思考)
コロナ休校中には、様々な塾や教室がオンラインプログラムを無料開放し、そうした期間限定のプログラムを受講した人も多かったようです。「時間がある時だからこそ、普段はできない学びをさせたい」。保護者の思いが浮かび上がってきます。
「タブレットネイティブ」な子どもたち
アンケートのフリー記述欄には、新しいツールをどんどん使いこなす子どもたちに対する驚きの声が多く寄せられました。
●「子どもの慣れは早い!そして、慣れてしまえば習慣化しやすい」
●「自粛期間中だったので、テレビでもリモート会議システムがいろいろ取りあげられていた。子どもも、大人と同じものを使えていることが楽しそうだった」
●「オフラインとオンラインを自由に行き来しており、いろいろな方法で学習が途切れずできることや、むしろアクセスできる範囲が増えたことを楽しんでいる」
●「子どもの日常にタブレットがある『タブレットネイティブ』な環境になっていると感じている」
小さいころからIT環境に親しむ現代の子どもたち。オンライン学習自体に「難しさ」を感じることはなく、むしろ「大人みたいにパソコンが使える」「いろいろなところにアクセスできる」ことを楽しみながら、学習している様子がわかります。
一方、親から見た「オンラインの良さ」とは、どこにあるのでしょうか。
●「移動時間短縮と感染リスク削減のために有益」
●「親もリモートワークで家にいるので、レッスンの内容を見ることができて良かった」
特に、動画視聴やタブレット教材など、好きな時間に視聴できる学習タイプの場合は、
●「動画を繰り返して見られるので、予習復習に便利」
●「たくさん時間のある時はがっつりと学習し、また忙しい日には隙間を見つけて好きな時に学習できるので、無理がない」
●「子どもは『板書を写す』という不毛な作業が減り、効率が良くなったとポジティブに捉えている。また、倍速で見たりもできるので、勉強スタイルが自分に合いやすくなった」
と、効率の良さを感じている人が多いようです。
YouTubeを見てしまう悩みも
一方で、親の側にはオンラインならではの悩みも。
●「裏でYouTubeを見たり、ほかのことができてしまう。集中できてないと感じる」
●「親がいない時に、子どもだけで端末を使わせるのは不安」
●「(低年齢の弟妹に)オンライン授業中、静かにさせておくのに骨を折った」
といった声からは、集中できる環境をつくるのに苦労している様子が見てとれます。特に、低学年児の場合は保護者のサポートが必要な場面も多いようです。
●「小学生低学年では親のサポートが必要なので、通塾より手間がかかる」
●「パソコンの立ち上げやサイトログインをつきっきりでやらないといけない」
●「集中力が途切れがちなので、親のつきそいは必須」
●「ついつい後回しになりがちで配信がたまっていき、スケジュール管理が面倒」
といった本音が多く聞かれました。
また、いったん始めてはみたものの、こんな意見も。
●「最初は物珍しさで食いつきもいいが、飽きると全く手をつけない」
●「視力が低下した。学習以外のコンテンツを見ている時間が増加した」
●「良いところもあるが、リアルの感動や温度感には負ける」
●「3ヶ月ぐらいで解約しました。オンラインは子どもの向き不向きがあると思う」
たとえ口コミで評価が高くても、友達がやっていても、我が子に合うかどうかは実際にやってみないと分かりません。「始めやすい」のはオンライン学習の魅力のひとつ。まずは体験してみて、その上で子どもの好みや適性を知ることもできそうです。
充実させるために必要なのは?
さて、オンライン学習を実りの多いものにするために、何が必要なのでしょうか。実際に体験した人たちが感じていることを集めてみました。
●「授業内容に魅力があると、子供は飽きずにオンラインで授業を受けることができる」
●「リアルタイム視聴と録画の両方体験したが、どちらにしても子どもを巻き込めるか、という先生の腕がかなり重要」
目新しさで子どもを引き付けられるのはいっときのこと。子どもの興味関心に沿った内容かどうか、また、プログラムの精度や講師の力量に左右されるのは、対面でもオンラインでも同じことのようです。
また、保護者のあり方についても、
●「1人でパソコンに向かわせるのでなく、口出しはしないが、大人がそばにいてあげることが必要」
●「月謝の中には多様なサービスが含まれているため、親としてはできればフル活用してほしいと思ってしまう。ただ、強制しては自律的な学びに相反するので、親が提供しているのは『機会』だ、という割り切りが必要」
といった、つかず離れずのスタンスを重視する声が寄せられました。オンラインだと受講している様子が見える分、やきもきすることも多いそうです。しかし、子ども主体で進めていけるよう、ぐっとこらえて見守りに徹することが必要なのかもしれません。
学びの選択肢が広がった
オンライン学習の広がりにより、多様なニーズを満たす、学びの選択肢が増えています。
●「(オンラインだと)関心の度合いがよく分かるので、その習いごとを継続するかどうかのバロメーターになる」
●「安心した空間で授業を受けられるのが、子どもの特性に合っている」
●「家から出なくとも指導が受けられるのは、様々な事情で学校などに行けない子どもたちにも良い手段だと感じる」
コロナ休校期間から約半年が経過し、現在は、多くの塾や教室で対面授業が再開しています。一方、コロナを機に完全オンラインに切り替えた習い事の教室もあれば、対面とオンラインのハイブリッド方式を取る教室もあります。
対面、オンライン双方の良さを吟味し、子どものニーズに合わせてカスタマイズする…
Withコロナ時代の習いごとは、新たな局面に入りつつあるようです。
第3回は「コロナ後に、子ども自身が好きで始めたことはありますか?」です。
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ライター mugichocolate株式会社 元中学校国語教師。NPO法人にて冊子の執筆編集に携わったことをきっかけにライター、編集者として活動開始。幼い頃から無類の本好きで、小学2年で夏目漱石にはまる、やや渋好みの子どもでした。今でも、暇さえあれば本屋巡りをするのを楽しみにしています。