2021.01.04
学びをはぐくむ 曽田照子

「その言い方NG?OK?子育てのコトバ」第2回:やり抜く力をのばす 曽田照子さん

第2回 「やり抜く力」をつぶす言葉 のばす言葉

今回は「やり抜く力」をつぶす言葉、のばす言葉について考えてみましょう。やりたいことに向かって努力をし続ける力です。いわゆる成功者は、生まれつきの資質よりも「やり抜く力」が備わっている方が大事だといわれています。しかし、子どもの「やり抜く力」を、親の言葉が潰してしまうことがあるのです。

①計算問題をやっている子ども、あっ、また間違えてる……

NGワード:「違うでしょ」

子どもの勉強を見ていて、どうしてこんな簡単な問題で間違えるの?と思わずイライラしてしまうことがあります。

ついつい「違うでしょ」なんてダメ出しの言葉がぽろっと出てしまうシーンもありますよね。

でも、「違うでしょ」と言われると、子どものやる気はシュッとしぼんでしまいます。

やる気がしぼむと、放り出したくなります。「やり抜く」とは真逆の方向に行ってしまいます。とても残念ですね。

ここで改めて「やり抜く力」とはどういうことか考えてみましょう。

やり抜く力を分解すると、①やる、②続ける、③さらに続ける、という3つの段階に分けられます。そして、始めるのにも、続けるのにも、生まれつきの能力や才能は関係ありません。そう、やり抜くとは自分の意志で「やる」を「続ける」だけ。

まずは第一段階の「やる」をつぶさない、ということに焦点を当ててみましょう。

子どもは、本来は、生まれつき意欲に満ちています。赤ちゃんは誰にもやれと言われていないのに、寝返りを打ち、自分の足で立とうとします。少し成長すると、ティッシュペーパーを部屋中に散らかしたり、コンセントにフォークを突っ込もうとしたり……「やりたい」「知りたい」をエンジンに、興味のおもむくまま突進するのが、本来の姿です。

「違うでしょ」「やめなさい」なんて親が言っても、泣いてわめいて抗議をする子に手を焼いた、という経験は多くの親御さんにあることでしょう。

ところが、成長とともに聞き分けるようになります。親にとってはありがたいことです。

成長によって周囲が分かってきて、我慢を覚えたということもあるでしょうが、もしかしたら、あまりに否定の言葉を多く浴びたせいで、諦めてしまったのかも知れません。「やりたい」という気持ち(意欲)がつぶされて、表面上は従順になっているだけ、という可能性もあるのです。

そんなふうにパワーを失った状態の子どもに対して、否定の言葉をかけ続けていたら、どうなってしまうでしょうか。

小学生くらいになると、「面倒くさい」「だるい」「どうでもいい」「できなくていい」なんて言い始める子がいます。

やろうと思ったことを取り上げられたり、行動を否定されたり、といった経験が続いたせいで、自分から何かすることを諦めてしまうのです。

「面倒くさい」が口グセの子も、流行のアニメや動画には一応興味を持って楽しんだりします。ただ、これはラクに楽しませてくれるモノに囲まれて、自分を守っているという状態。精神的な引きこもりの始まりです。何らかのきっかけがあれば、物理的な引きこもりに発展してしまいかねません。

それほど極端な例は多くありませんが、子どもの意欲をつぶさない声かけは大切です。

まずは「違うでしょ」という「否定グセ」を改めることからはじめてみてはいかがでしょうか。

OKワード:「がんばってるね」

さらに言えば……今回のケースでは、子どもは計算問題をやっています。ここで考えてほしいのが、計算問題が子どもにとっていかに大変かということ。

計算方法が分かっていれば、根気のいる繰り返し作業、分かっていない場合は単なる苦行です。宿題だから仕方なくやっているかもしれません……。

でも、取り組んでいるだけで素晴らしい、と思えませんか。

楽しげにやっているなら「算数を楽しめるなんてすごい、天才かも!」と思えばいいし、もし算数が苦手でイヤイヤやっているなら「苦手に挑戦している姿は最高にカッコイイ!」と、ほめるべきシーンだと私は思います。

その後で間違いを指摘するとしても……子どものやっていることを認める言葉のあるなしで、「やり抜く」につながる意欲は大きく変わってきます。

②ピアノの練習、また同じところでつまずいた……

NGワード:「できるまでやり直し」

どんな習い事でも、子どもの習い事には親のフォローが必要不可欠です。

特に、毎日のように家庭で練習させないと上達しないピアノやバイオリンなど音楽系の習い事は、本人の意欲と親のフォローの両方が揃わなければ、せっかく習っても結果がついてこなくなってしまいます。

「やり切る力」のある子ならば

 練習する→上手くなる→楽しい→もっと練習したくなる……

という上達の好循環を回していけるでしょう。

しかし現実に多いのが

 練習しない→上手くならない→楽しくない→さらに練習をしたくなくなる……

という悪循環です。

それを断ち切るには、やはり、子どものできないところではなく、できたところを認めること、ではないでしょうか。

OKワード:「ここまではできたね」

ものごとを意欲を持って続けさせるには、失敗したという小さな失点ではなく、練習しているという事実を大きな視点で見てあげるべきなのだろうと思います。

そこに意思はあるのか?

ところで、先ほど私は「やり抜く」は自分の意志で「やる」を「続ける」だけ……と書きました。ここで大切なのは「自分の意志で」というところです。

私たち親は、なぜか子どもに完璧を求めてしまいがちです。

もちろん、完璧な人間なんていませんから、表面上は「うちの子は欠点ばかりで……」なんて謙遜しますが、心の中では密かに「うちの子、ここさえ直れば完璧なのに!」と思っていたりします。

俗に言う「親の欲目」なのでしょうね。親がこっそり心の中で温めているだけなら、愛情のひとつの形なのだろうと思います。

でも、それが行きすぎて「なんとか子どもの欠点を埋める方法はないか」と考えるようになってしまったら……?

穴を埋めようとすると穴を見つめてしまうのが人間です。親の目に映るのは、子どもの足りない部分です。

そんな状態の親から出る言葉は「あなたにはこれが足りない」「もっと努力しなきゃ」「できるまでやり直し」といったスパルタ&減点主義です。

ピアノに話を戻すと「叱られながら」「イヤだと思いながら」「親を喜ばせるために」練習しても、ある程度までは上達します。「やる」と「続ける」ができているから。

これって、子どもからすると楽しくはありませんよね。

子どもがプレッシャーに弱いタイプだったり、しっかり反抗して自己主張するタイプだったりする場合は、親も早い時期に「子どもは思い通りにならないものだな」と気づいて、軌道修正ができるかも知れません。

でも幸か不幸か、親の期待に応えられるほどに子どもが素直で優秀な場合、さらに状況はエスカレートし続けます。

完璧に近付けば近付くほど、小さなミスが気になるものだからです。

どんなに努力して成果を出しても、親からほめられもせず、認められもせず、欠点だけを指摘されて追い立てられ続けたら、子どもは自分で考えるのをあきらめてしまいます。

やがて、言われたことしかできない、無気力な指示待ち人間になってしまうかもしれません。

「やる」や「続ける」は周囲の強制力でできたとしても、「やり切る」は子ども自身の意志・意欲つまり「やる気」が必要です。

親としてのベストな対応は、子どもの気持ちに寄り添い、盛り上げて「やり切る」に向かわせることなのではないかと思うのです。そこで得られる達成感や自信が、三段階目となる「自分の意志でさらに続ける」ことにつながるのではないでしょうか。 

OKワード:「どんどん上手になるね。明日も聴かせてね」

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曽田照子
曽田照子

ライター。広告制作会社を経て20代前半でフリーに。「親から子への言葉かけ」をメインテーマに、書籍やWEBで書いています。小学5年生で手芸クラブに入部、フェルトをちくちく縫ってマスコット人形を作っては周囲にプレゼントをしていました。今は和裁を習っています。娘3人+猫の母親です。

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