2021.01.06
学びをはぐくむ 石田勝紀

ぐんぐん伸びる子の育て方 第3回:考える力を家庭でつける3つの方法 石田勝紀さん

第3回 考える力を家庭でつける3つの方法

 

2020年4月から小学校のカリキュラムは大変革を遂げ、求められる教育の内容が変わってきました。親世代とは大きく異なり、より本質的なことが求められます。その代表格に、「考える力」があります。しかし、「考える」とは何かを教えてもらわないため、今後、困っていく子どもたちが増えていくことでしょう。そこで、「考える力」を家庭内で身につけるための方法についてご紹介します。しかも簡単な方法で可能です。ぜひ試してみてください。

「考える力」とはどういうことか?

2020年4月から小学校の教育が変わりました。新しい教育体制では、教育の柱として次の3つが重要視されています。新学習指導要領では、「個別の知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」 と表現されています。これを家庭で出来ることとしてわかりやすくまとめると、次の3つになります。

  1. 「考える力」
  2. 「表現する力」
  3. 「前向きな力」

親世代が受けてきたこれまでの教育は、考えるよりも「記憶」、表現よりも「選択できること」、前向きさよりも「言われたことが素直にできること」が大切であると感じてきたのではないでしょうか。しかし時代は、世の中で求められる要件を明らかに変えてしまいました。そこで、教育方針も大転換したのです。

このような新しい教育体系が実践されると当然のことながら、それに連動して、入学試験で問われる内容も変わってきます。これまで家庭では、単に計算や漢字などの基礎学習をはじめ、記憶を中心とした勉強をしていれば安心と思ってきました。しかし、これからは「考える力」や「表現力」などが重視されるようになります。家庭ではどのように対応したらいいでしょうか。

そこで、今回から3回にわたって、「考える力」「表現する力」「前向きな力」の3本柱をいかにして日常生活の中で培うかというお話をしていきます。3回連続の初回は「考える力」についてです。

 

そもそも「考える」とはどういうことを言うのでしょうか? この問いに答えられる人はどれくらい、いるのでしょうか。

「考えるってどういうことですか?」と大人に尋ねると「ん〜?」となってしまう方が少なくありません。大人がそういう状態だとしたら、子どもがわかるはずがありません。それでいて、学校や家庭で「考えなさい」と言われてしまいます。しかし、そう言われてやることは、考えることではなく、「悩む」ことになってしまいます。勉強でつまずいている子どもたちは、実は「考えているのではなく悩んでいる」のです。それでいて、考え方を教わらず、そのまま大人になっていきます。すると社会人になったとき、問題に直面すると、子どものときと同様に、考えずに悩んでしまう状況に陥ることがあります。考えることができれば解決へと向かうことができます。しかし悩んでしまうと、さらに問題が悪化してしまうことともあるのです。

私もかつてはそうでした。20歳まで「考える」とはどういうことかわからないまま進んでしまいました。ですから、大量の問題をこなし、繰り返し解くことで記憶してきました。しかし、それは間違ってはいないものの、考えることをしていないため、応用も利かず、質より量を重視するため、非常に苦労します。そして辛くもあります。このようなプロセスを経ると、受験勉強で得た知識の記憶はやがて薄れ、「受験勉強なんて入学試験のためだけで意味がない」とさえ口にすることもあります。これが「考える」ことをやってこなかった人の典型的なパターンです。

知識よりも考え方を身につける

実際、勉強や学びというのは、知識よりも考え方を身につけて、それを社会で応用していくことが目的です。しかし、これまでの教育は知識をいかに“仕入れる”かが重視されてきたため、残念な結果に終わってしまっていました。

そのような経緯があるため、親世代の多くの方が、勉強は「覚えなければならないもの」「つまらないけどやらねばならないこと」「受験にパスするための知識獲得」といまだに思ってしまう人もいます。

しかし、これからの時代は異なってきます。「考える力」が試されるようになってきたからです。知識の獲得もしばらくは学校教育で残りますが、いわゆる勉強ができる子たちは、「考える」ことを通じて知識を獲得していくことがわかっています。これまで4000人以上の子どもたちを直接指導してきた実体験からも、そのことがわかっています。そしてさらに、「考える」ことはとても楽しいことであるため、継続できるということも見逃せないポイントです。

このように子供時代の教育は、受験のためにあるよりは、大人になったときにやってくる問題解決のための思考法を学ぶためにあると私は考えています。その中で重要な核心的部分が「考える」ことなのです。

「考える」頭脳の作り方とは?

では、前置きはこれくらい にして、「考える」ことができる頭脳を作る方法についてお伝えします。方法はたくさんありますが、家庭で実践できる簡単な方法を紹介します。

2つのマジックワードを使う方法

次の2つのマジックワードを家庭で取り入れてみてください。

一つ目は「なぜだろうね?」です。子どもでなくても、なぜという問いをされると「考える」ようになります。一方で、「何?」「どこ?」「誰?」「どっち?(選択肢問題)」のような問いは、頭に情報が入っていれば答えることができ、そうではなければ答えられません。これを知識といいます。その知識をアウトプットする作業は「考える」とはいいません。考えるとは、知識のインプット、アウトプットではないのです。

例えば、「どこに住んでいますか?」と問われれば、答えることができます。住所という知識が入っているからです。しかし、「どうしてそこに住もうと思ったのですか?」と問われると、「え?どうしてだっけなぁ?」と思います。これを「考える」と言います。

もう一つは「どうすればいいと思う?」です。この言葉は、困ったことがあったときに使うのが有効です。子どもが親に「これ、どうすればいいの?」と聞いてきたとします。そのときは、通常、親は答えてしまいます。それではせっかくの学びの場がなくなり、もったいないです。そのようなときは「どうしたらいいと思う?」とオウム返しにします。すると子どもは大抵「ん〜、わかんない」と言います。それでいいのです。答えはどうでもよく、「ん〜?」としているときに、「考えている」からです。

つまり、人は問われる言葉によって、その対象に意識が向き、頭脳が動き出しているのです。どのような回答であったかは問題ではないのです。さらにいえば、解のない質問をするといいでしょう。これからはそのような解のない問われ方をする機会が増えてきます。それを家庭内で培っていくといいでしょう。

好きなことに没頭すると、自然に「考える」

没頭体験をする方法

3つ目の方法は、没頭体験です。子どもの特権のようなものに、没頭体験があります。のめり込んでいる状態です。そのような状況において、問題も起こることでしょう。しかし、子どもはそれを回避して、どうすれば“攻略”できるかを「考えます」。実は、ゲームをしているときは、まさにこれが行われていることがあるのです。パターンで攻略するゲームもありますが、高度なレベルになるとパターンでは処理できず、その場、その場で考えざるをえない状況に追い込まれます。しかし、没頭しているため、それを面倒とも思わず、逆に果敢に取り組むようになります。もちろん、ゲーム以外でも、恐竜が好きとか、絵を描くことにハマっているとか、読書好きとか、さまざまあることでしょう。そのような没頭体験をとことんさせてみてください。そうすることで、問題点にあたりますが、好きなこと、没頭していることであるため、いとわずに「考える」ようになります。そして、あるラインから、能力のステージが1つ上がることに気づくでしょう。

このように、「考える」ことを通じて、頭脳のスペックが上がっていきます。それが日常の中で行われていると、自動的に勉強の場でも起こるのです。ですから、日常生活こそが重要なのです。もちろん、これらの方法が家庭内だけの対応で難しい場合は、習い事によって強化することもできます。それは臨機応変に対応されるといいでしょう。

次回以降「表現する力」「前向きな力」についてお話します。


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石田勝紀
石田勝紀

(一社)教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。20歳で起業し塾を創業。現在はMama Café、講演、連載記事を通じて全国の保護者への教育活動を行っている。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』他多数。子どもの頃の習い事は「書道」。今でも筆で書いたり、活字への関心に繋がっています。

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