2021.01.25
学びをはぐくむ 石田勝紀

ぐんぐん伸びる子の育て方 第4回:「表現力」を家庭でつける2つの方法 石田勝紀さん

第4回:「表現力」を家庭でつける2つの方法

新しい教育で求められる「表現力」。本来は学校で身につけることになりますが、これを家庭の会話を使って身につけてしまいましょう。すると、一生役立つツールを手に入れたことになります。さらに、ついでに国語力が上がっていくという副産物もあります。ここでは2つのテンプレートを紹介します。「ストーリー展開型」と「ロジカル展開型」の2つです。極めて簡単に使うことができ、会話することが楽しくなるでしょう。

プレゼンテーションできると、国語力もあがる

前回の連載記事では、2020年からの新しい教育体制では、教育の柱として次の3つが重要視されるということについて書きました。

「考える力」「表現する力」「前向きな力」

前回は、「考える力」を家庭でどのようにつけていくかというお話でしたが、今回は2つ目の「表現する力」についてお話します。

これまで表現力を学校で評価するとしたら、授業中の手を挙げての発表が中心でした。しかし、これは、積極的で外向的な子どもはできるでしょうが、内向的な子や、手を挙げることにバカバカしさを感じる子どもたちにとっては、不利な評価でした。現在もまだ、授業中に「分かる人?」と言って手を上げさせて、答えさせることが行われているようですが、今回お話するのは、そのような表現力ではありません。

簡単に言えば、プレゼンテーションができる状態、これを「表現力がある」ということとしてお話します。

プレゼンテーションとは、企業内で発表するときにスライドを使って説明していく形態を思い浮かべる方もいることでしょう。子どもたちの世界でも求められるようになってきました。欧米では小さい頃から学校でプレゼンテーション方法を教えられることが多いため、堂々と自分の意見を交えながらロジカルな発表ができる子が少なくありません。しかし日本では、表現方法を教えてもらっていないため、棒読みで終わるプレゼンテーションや、発表頻度も少ないため、慣れることもありませんでした。これが従来の学校教育でしたが、これからは変わってきます。

そこで、この表現方法を家庭でつけてしまうことをお勧めしています。しかもこれは一生使えるテンプレートですので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

さらに、このテンプレートが使えると“ついで”に国語力が上がりだします。

【表現形式】

表現形式として次の2つのテンプレートがあります。

1)ストーリー展開型テンプレート

こちらは、物語形式です。時間軸で語り、「いつ」「どこで」「だれが」「何を」「なぜ」「どうなったのか」と5W1Hを入れて説明する形式です

子どもの場合、5W1Hのどれかが抜けて説明することが少なくありません。そこで、「なぜそうなったの?」「どういう結果になったの?」など、詰問調ではなく、柔らかい感じで聞いていきます。それを繰り返していると、子ども側が、いちいち質問に答えるのが面倒になるため、始めから5W1Hを交えて説明していく可能性が高まります。その形ができるようになると、人前で説明することが上手になります。また、発表する恥ずかしさが減少するようにもなるでしょう。

恥ずかしさがなぜ出てくるかというと、上手に話ができないことに対する不安感からきていることが多いです。普段から5W1Hを交えながら、時系列で説明ができる経験をしていると不安感は減っていきます。

これを子どもとの会話で進めていくには、次のようなことを心がけるといいでしょう。するとストーリー展開のある話が出来るようになります。

時系列に沿って、なぜ?(why)、どのように思った?(how)を交えて話ができると良いですね。

(状況)「どういう状況?(3W)」

3W=いつ(when)、どこで(where)、誰が(who)

(出来事)「何が、どういう出来事があった?(2W)」

2W=何を(what)、どういう流れで起こったのか(when)

(心情)「どう思った? どうしたいの?(1H)」

1H=how

これは国語の物語、小説と同じ構成です。例えば物語の「桃太郎」は、このように構成されています。

「(状況)昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。・・・おばあさんは川へ洗濯にいきました。

(出来事)川上から大きな桃が流れてきました。

(心情)おばあさんはびっくりするとともに不思議に思い、それを拾い上げ、家に持っていきました」

このように時系列で5W1Hで話をしていくと聞き手はイメージ化できます。普段、大人でもここまで詳しく話をしなくても会話は成立します。なぜなら、足りない情報は聞き手が“勝手に”補ってくれるからです。しかし、補えないと誤解が生まれ、トラブルに発展することは少なくありません。ですから大人もこれを心がけると、意思疎通やコミュニケーションが円滑になるでしょう。

2)ロジカル展開型テンプレート

こちらは、論説・説明文型のテンプレートです。

この形式は3段階で構成されています。「序論」「本論」「結論」です。

「序論」で簡単に全体像について話し(場合によっては結論を序論で言うこともある)、次に「本論」で具体的な話をして、最後に「結論」でまとめていきます。

このテンプレートは、通常のプレゼンテーションで使われる形式です。これを教えてあげるだけで、子どもたちの頭の中はスッキリとして、聞き手もわかりやすくなります。日本独特の「起承転結」という4段階構成モデルがありますが、それよりも私は「序論、本論、結論」の3段階構成モデルを推奨しています。なぜなら、高校受験、大学受験では、この3段階構成で作られた文章が出ることと、世界の標準は3段階構成モデルだからです。

これを子どもとの会話で進めるには、次のようにします。すると論理展開のある話が出来るようになります。

  • 言いたいことをまとめて先に簡単に言ってしまう(例:今日、学校で嫌なことがあった)
  • もう少し説明してもらう(「どんなことがあったの?」→「嫌なこと言われた」とか「ノートに落書きされた」など)
  • 「今後どうしていきたいか(How)」または「結局何を言いたいことのまとめ(要するに)」を話してもらう (例:「どうしていきたいかな?」「どうすればいいかな?」→「やめるようにはっきり言う」とか「先生に助けてもらう」など)

これはネガティブな事例で展開していますが、形としては論理展開型になっています。このようにすると情報が整理され、具体的に何をすればいいのかもはっきりするメリットもあります。

以上の2つのテンプレートをあげました。親が子どもに説明するときにも、この2つのテンプレートを意識すると、とてもわかりやすく伝えることができます。普段から時折使っていると、子どもの頭の中にこの2つのフレームワークが作られてきます。

表現力は、型を知り、それを使うことが大事。知っているだけでは身につきません。会話を楽しむ感じで、どんどん使ってみてください。

「ぐんぐん伸びる子の育て方 教育専門家・石田勝紀」の記事一覧

石田勝紀
石田勝紀

(一社)教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。20歳で起業し塾を創業。現在はMama Café、講演、連載記事を通じて全国の保護者への教育活動を行っている。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』他多数。子どもの頃の習い事は「書道」。今でも筆で書いたり、活字への関心に繋がっています。

関連記事 Related articles

新着 New!

お住まいのエリア・ジャンル・対象年齢から検索!
習い事教室を探す