2021.02.08
学びをはぐくむ 曽田照子

夢中を「見守る」子育て 第3回:中学受験するかしないか、どうやって決めたらいい?

第3回:中学受験するかしないか、どうやって決めたらいい?

中学受験をするのが当たり前の学校・地域もあれば、ほとんどの子が公立中学に進学するという環境もあります。いずれにしても、受験をするかしないかは、子育ての一つの大きな関門です。どう考えたらいいのか、教育家の小川大介先生にうかがいました。

中学受験をするかどうか  検討する5つのポイント

①    行きたい学校、受けさせたい学びがあるのか

中学受験は、その学校に進学したい、その環境で学びたいという希望が先にあって、その学校に入るためのプロセスに過ぎません。

「学校の勉強だけだと物足りなさそうなので、もうちょっと色々やらせたい」という場合、子どもの興味関心に応じて追加学習で学びを広げてあげるというやり方もあります。

子どもの学びを正面からとらえたうえで、こんな学びを受けさせたいという気持ちがあるのかどうかをまず考えてみましょう。

②    努力ができそうか

中学受験をするとなると1週間の学習量が明らかに増えます。特に算数に関しては学校の授業とはレベルがまったく違うので、かなりの努力が必要になります。問題を解き進めることを楽しめない子にとっては苦痛を伴う可能性があります。

③    親はフォローできるのか

中学受験の勉強は、塾で習うだけではなかなか理解が追いつきません。本人が自分で調べたり検索したりして理解できればいいのですが、大半の子はそうではありません。テキストを一緒に読んだり、問題の分からないところを解説してあげたり、といった親のフォローがどうしても必要です。

④    テストに耐えられるか

塾では頻繁にテストを行います。順位をつけられることを本人がどう感じるか、また親が家庭の方針としてどう考えるのかという点も検討しておきたい点です。

⑤    金銭面ではどうか

中学受験ではある程度まとまった金額の教育予算が必要になります。月いくらまでとか、6年生までトータルでいくらかけられるのかなど、家庭の環境は当然あるでしょう。

さらに本人の気持ちや意欲がかみ合うかも大切です。親がどんなに受験させたいと思っても、他にやりたいことがある子を無理矢理受験のレールに乗せるのはミスマッチです。

「受験に向いていない子」は大人が作る

よく「どんな子が中学受験に向いていますか?」という質問を受けますが、「こういう子は向いていますよ」「こういう子は向いていません」と単純に決めることはできません。

中学受験に向いていないと言われる子は、大人の都合でその子に向いていない塾に入れられたり、適切な学習の仕方を教えてもらえなかったせいで成果が出ていないのに、「この子は向いていなかった」と本人の資質の問題にすり替えられていることが多いのです。

子どもに合った勉強方法を見つけられているのか

これは親や塾講師など周囲の大人の責任です。子どもの責任ではありません。子ども本人をよく見ずに、合っていない道に乗せてしまっていること、合っていない方法を取らせていることに原因があるのです。

一般的に中学受験の学習がスタートする4年生の段階で、どのくらいの学習量に耐えられるかはもちろん個人差があります。また、学習スタイルの向き不向きもあります。ひとつひとつ丁寧に教えてもらった方が身につく子に、テンポよく次から次へと知識を与える塾は向いていません。単元の全体像を掴んでから説明に入るほうがいい子もいれば、順を追って学ぶ子もいます。

そういった個人差を無視して「受けるんだったら○○中学校以外はダメ」「このカリキュラムをこなしなさい」というような、結論ありきのスタンスを押し付ける受験はくれぐれも避けてください。

親が勉強の支え方を分かっていないのでは

大人が言う「この子は中学受験に向いていない」を正しく言い換えるなら、「この子が中学受験の勉強を楽しめるような支え方が分からない」となるでしょう。

なかには自分の教えやすい解き方だけを教えて、それで理解できない子に対して「この子は理解力が悪い」と決めつける塾講師もいます。それは講師の引き出しの少なさや理解の浅さを物語っているんですが、彼らは子どものせいにするんですね。自分のやり方に子どもを合わせようとする。

子育ての正解をどこかから引っ張ってくる発想と同じです。

多くの親御さんが、受験に成功した人の体験談を読んでマネをしようとしがちです。すると、「◎◎ママのやり方をやってみたのに、うちの子は全然反応しない、勉強に向いていないのかな」というとらえ方に陥りやすくなります。

大事な我が子ですから、失敗したくない。だから、正解らしきものを求める気持ちは痛いほど分かります。ですが、もともと選んできたものが、子どもに合っていなかっただけではないかという視点を忘れてはなりません。

子育ての正解は、自分の子どもの中にある

「なによりもまず、子どもを見ましょう」と私は常にお伝えしています。正解は子どもの中にしかありません。親と子は別の人間ですから、分からないことだらけですよ。そこで不安を感じながらも向き合えるかどうか。「わからないな」と思いながらも自分の子にとっての正解を探し続け、その都度アップデートしていき、親子関係を作りあげていくのではないでしょうか。

勉強というのは本来は興味深く面白いものです。

子どもをよく見て「この子が受験するなら、こういう勉強の仕方が向いてそうだ」ということを考えてあげるのが、成果を生み出す最善のアプローチです。勉強の面白さを子どもが感じられる入り口となるような、子どもにとって学びやすい環境はどの塾だろう?という意識で塾選びを進めると良いでしょう。

大切なのは「自分で学ぶスキル」を身につけること

中学受験を選ばない場合は小学校時代に追い立てられない安心感が生まれます。

しかし「受験しない=勉強しない」にならないよう注意が必要です。

受験するにしろしないにしろ、大前提として、すべての子どもにとって自分で学ぶ力を身につけることは必要不可欠です。

「中学生になって、自分で学べるようになったら、自分の力で勉強をして高校受験すれば良いのでは……」という言い方をする親御さんがいます。しかし、土台を創らずに「中学生になれば自分で出来るようになるだろう」という幻想を抱くのはまずいですね。

学び方を教えないと、学べる子には育ちません。

年齢が後になればなるほど、自分で学ぶ力をつけるのは難しいのです。3歳から少しずつ学習を取り入れている家の子と、10歳までろくに勉強をしない家の子とでは、やはり将来的な学力の成長に大きな違いがあります。まずベースとして「自分で学ぶ力」を身につけさせることが必要です。

自分で学ぶ力は学校や塾では教えてくれません。家庭の中で育むか、地域の習い事を通して身につける力です。

「自分で学べる子」に育つ3つの原則

  1. 「自信」を持つ
  2. 「学びの技術」を得る
  3. 「習慣」を身につける

①の「自信」は、子どもが「ありのままの自分でいい」という安心感を持っている状態です。自信のある子は、自分軸をどんどん伸ばしていくことができます。

②の「学びの技術」は文字通り、学ぶためのテクニックです。学びの成果は学び方を知っているかどうかで大きく差がつくので、早い段階から教えておいてあげるということです。

③の「習慣」は、学ぶことを「当たり前」にし、頑張らなくても学び続けられるようにしてあげることです。

私の最新の著書「自分で学べる子の親がやっている『見守る』子育て」に、それぞれの解説を詳しく書いてありますが、受験をするかしないかの前に、まずは3つの原則をふまえて、学ぶ力を育てることが大切です。

その上で予算などの環境因子がそろっていれば受験を選んでもいいし、違うなと思う場合は、やらなければいいだけのことではないでしょうか。


プロフィール:小川大介(おがわ だいすけ)

教育家、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。京大法卒業後、受験指導、幼児期からの才能発掘、親子関係カウンセリングなど幅広く活動。6000回以上の学習相談、子育て相談で培った洞察力と的確な助言が評判。『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』など著書は20冊以上。新刊「自分で学べる子の親がやっている『見守る』子育て」が好評発売中。見守る子育て研究所 中学受験情報局「かしこい塾の使い方」

「夢中を「見守る」子育て 教育家・小川大介」の記事一覧

曽田照子
曽田照子

ライター。広告制作会社を経て20代前半でフリーに。「親から子への言葉かけ」をメインテーマに、書籍やWEBで書いています。小学5年生で手芸クラブに入部、フェルトをちくちく縫ってマスコット人形を作っては周囲にプレゼントをしていました。今は和裁を習っています。娘3人+猫の母親です。

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