2021.02.15
学びをはぐくむ 八田吏

コロナで変わった?第5回 「学校に行きたくない」と言われたら、どうする?

学校や保育園・幼稚園が急になくなった――。2020年3月に全国一斉休校を体験した子どもたち。あるはずのものがなくなったことで、子どもも親を含め、多くの人が「学校になぜ行くのか」という問いに改めて直面することとなりました。202人にご回答いただいた「みらのび」アンケート結果から、第5回は、子どもの登校(登園)しぶりについてお届けします。

もし、明日の朝「今日、学校行きたくない」と言われたら?

「学校に行きたくない」という子どもの登校(登園)しぶりを、35.1%の保護者が、コロナ休校以降から2020年10月(アンケート実施期間)の間に体験しています。

「久々の学校で行きたくない気持ちから、お腹が痛いと訴えてきました」

そう記入したのは、小2、3歳のお子さんがいるAさん。Aさんは学校をその日休ませました。その後も可能な限り休ませるようにしたところ、時間とともにそのような訴えはなくなったといいいます。

「学校へ行きたくない」という言葉の裏にはいろいろな背景があり、保護者の対応もさまざまです。コロナ禍の今、子どもたちは何を訴え、保護者たちはどのように対応しているのでしょうか。アンケートを見ていきましょう。

「ママとずっと一緒にいたい」を受け止める

低学年のお子さんの訴えで多かったのが、「ママと離れたくない」「家にいたい」という声です。

・ずっと家にいたがる。朝泣く子どもを抱きしめ、背中をさするなどして励ました(小2)
・休園中はずっと一緒にいたので、友達よりも親に慣れすぎてしまった。むりやり行かせるのではなく、「大好きだよ」「はやく迎えに来るね」と言ってなだめた(4歳)
・親から離れたがらないようになった。たまに休ませたり、早くお迎えに行ったりしていた(年長、2歳)
※( )内はお子さんの学年。以下同

家で過ごす時間が長引いたことで、通園通学への不安につながったケースがありました。それに対し、保護者は子どもを前向きに励ましたり、時には休ませたりと臨機応変に対応していたことがわかります。

また、コロナそのものに対する恐怖を感じていたお子さんもいます。

・コロナに対し怖さを感じていた。大丈夫と言葉をかけ、ときには抱きしめて安心させ、不安を解消させることで行くように促した(中1)
・電車通学ということもあり、感染リスクにおびえていた。親自身もわからない部分があったので、一緒にインターネットなどで調べた(小6)

特にコロナに関しては、親自身も知らなかったり、不安に感じていたりする場合があります。わからないことが出てきたら調べてみる。大人のそんな姿勢から子どもが学ぶこともあるのではないでしょうか。

窮屈な学校生活が続き、不満が増加

登校(登園)しぶりの背景として一番多く挙げられていたのが、学校や保育園・幼稚園への不満です。第4回でもお伝えしたように、再開後の学校はさまざまな制約でのスタートとなりました。友達と関わることの大好きな子どもたちが、マスクを着用し、互いに距離をとり、大きな声を出すことも歌うことも禁じられる・・・今も、そんな状況が続いています。

マスク着用義務が苦しい。「マスクしないと喋っちゃだめ」と先生に注意される。コロナへの対策で窮屈な学校生活になっていると感じる(中1、小2)

休校前後の生活の変化に関する不満もあります。

・もともと勉強が苦手で学校が嫌いだった。長期の休校で、それ以前に習ったことの大半を忘れたうえ、学習習慣も忘れた。自由な休校生活から窮屈な「規則正しい生活」に急に切り替わり、順応できない。宿題の声掛けをし、睡眠時間の確保などで朝スムーズに起きて出かけられるよう見守っている(小3、小6)
・もともと学校に行きたくなく休みがちだった。コロナ禍で自宅で学ぶリズムができ、休んではいけない理由がなくなっていると感じるようになり、週の半分くらいは休んでいる(年少、小3、小5)

行かせる?行かせない?判断の前に、多くの親がしていること

子どもが学校や保育園・幼稚園に「行きたくない」と急に言い出したら、どうしたらいいのでしょうか。励まして登校(登園)をうながしたり、逆に休ませてみたり。子どもの様子や家庭の状況によってさまざまな対応がなされていることは、すでに見てきた通りです。

中でも、まず子どもの気持ちを受け止めたり、共感したりするコメントが多く寄せられました。

・「そうなんだね」と受け止めて、どうしようかと一緒に考えた(小4、5歳)
・話し合って、精神的に疲れが大きそうなときは休ませた(小3、5歳)
・休校明け、面倒な気持ちからの発言。大人も休み明けは、辛いんだよねと共感したら登校した(小5、小3)

子どもがつらいと思っていることを共感したり、しんどい中で頑張っていることを認めてあげたりすることで元気が湧く場合もありそうです。

話をじっくり聞いてあげることで、子どもの状況や気持ちがわかってくることもあります。

たとえば、子どもの訴えとしてよくあがるのが「先生が怒ってばかり」「先生が怖い」という声です。しかし、話をよくよく聞いてみると、先生がなにもない状況からいきなり怒って怖い態度をとったわけではないかもしれません。

・夏休み明けの登校を少ししぶった。先生が怖いから嫌だとごねた。担任の先生と子どもたちとのコミュニケーション不足を感じた(小1)
・荒れ出したまわりの子に怒る先生を毎日見て、ダメージを受けてしまったようだった。保健室などで過ごしてから1、2時間目から教室に入っている。先生のサポートがあり助かっている(小2)

背景にあるものがつかめていれば、学校に相談する場合にもより適切なアプローチが可能になりそうです。

Bさんのお子さんは、コロナをきっかけにいくつものつらい体験をしました。

先生が怖い、授業が長くて疲れる。頭痛や気分不快の症状があり、ダメダメ言われるのがつらい。咳をしていたらバイ菌扱いされた(Bさん)

母親のBさんは、お子さんの訴えを聞いたり、学校までつきそったりするとともに、学校に対してもアプローチを試みました。

「校長・副校長へ相談しました。家庭の状況や、子どもたちの訴えを伝え、子どもに寄り添いながら安心して通えるように、一緒に協力して欲しいことをお願いしました」(Bさん)

大人も子どもも「無理しない」が大切

「体調が悪いから行きたくないと言われたら、無理強いはせず、話を聞き、本当に体調が悪いのか、そうではないのかを話しながらはっきりさせました」

と教えてくださったのは、小4のお子さんをもつCさんです。話を聞くことを心がけたのは、お子さんに過度の罪悪感を感じないように、との思いから。お子さん自身の選択を尊重したいという思いが見て取れます。

Cさんのように、子どもにとって無理のない方法を取りたいと思いつつも、なかなか難しい場合もあります。

たとえば、「できれば子どもを休ませてあげたいが、親も出勤しなくてはならない」という場合、どうしたらいいのでしょうか。可能な限り自分も休みをとって子どもにつきあうという人もいれば、なんとか励まして送り出すという人もいます。

年中のお子さんをもつDさんは

「可能な限り自分も休む。でもどうしても難しい場合は事情を話して登園してもらう」。

Dさんのように、大人側の事情もフラットに伝える方が、かえって子どもにとっては受け入れやすいのかもしれません。

また、子どもを取り巻く大人たちの価値観がぶつかる場合もあります。

朝食後に「お腹が痛い」と寝込むようになった。私としては身体症状に出ている以上は、休息するしかないという選択ですが、担任の先生はかなり焦っていた。夫も「学校に行けないと人生落ちぶれる!!!」と子どもを追い詰めるような発言をして、とても困った(小2)

子どもを思う気持ちからとはいえ、大人が焦りすぎてしまうと子どもはいっそう不安になります。そうならないためにも、周囲の大人同士が「その子にとって何が最適なのか」という観点で対話を重ねていく必要がありそうです。

「行きたくない」はメッセージ 子どもの思いも大事にして相談を

「学校(園)へ行きたくない」は、子どもたちが言葉にできる精いっぱいのメッセージです。それがわかるからこそ、どう対応するか悩ましいところです。アンケート結果からは、子どもの思いをくみとりながら、状況に応じて判断してきた親たちの姿が浮き彫りになりました。

誰とも話せない、勉強ばかりで楽しくない。理由を聞いて、親としては学校に行って欲しいことを伝えて相談した(小1、小2)

子どもの願いも受け止め、親としての願いも伝えた上で、対話を通じて「行く」「行かない」を選択する。全国一斉休校という、学校が「当たり前」でなくなった体験を経た今だからこそ、そんな選択のしかたも可能になってきているのかもしれません。

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八田吏
八田吏

ライター mugichocolate株式会社 元中学校国語教師。NPO法人にて冊子の執筆編集に携わったことをきっかけにライター、編集者として活動開始。幼い頃から無類の本好きで、小学2年で夏目漱石にはまる、やや渋好みの子どもでした。今でも、暇さえあれば本屋巡りをするのを楽しみにしています。

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