2021.03.03
学びをはぐくむ 石田勝紀

ぐんぐん伸びる子の育て方 第5回:家庭で「前向きな力」を身につける3つのポイント

親は子どもに「前向きさ」を身につけてほしいと願っています。2020年度からの新学習指導要領でも「前向きさ(主体性)」が重視されています。しかし家庭では、どのようにすれば前向きに行動する子になるのかという方法については、なかなかわからないものです。勉強に前向きになってほしいと思うかもしれませんが、実は、その前に必要なことがあるのです。ちょっとした心がけで、子どもは変わります。3つのポイントをご紹介します。

「前向きさ」はどんな子も持っている

3回に渡って2020年度からの新しい教育体制に合わせた家庭できる3つの柱の作り方についてお届けしています。今回は、3つ目の柱である「前向きさ」についてお話します。

「前向きさ」が重要であるものの、具体的にどうすれば前向きになるのか、なかなかわからないものです。
例えば、子どもがハキハキせず、内向きで外で遊ぼうとしないとなると、「うちの子は前向きではなくて…」とか「もっと主体性が出るといいんですが…」という悩みが出てきます。
しかし、そのような内向的な子でも、内面的には自分の興味があることには前向きであったり、主体性があったりするものです。つまり、人は表で見える姿と内面が異なる場合があり、親はどうしても他の子の見える状態と比較してしまい、自分の子は主体性がないと判断してしまうことがあります。

例えば、絵を書くことが好きで人と会話をすることを好まない子どもがいたとします。すると親は「もっと友達と会話してほしい」と願います。しかし、この子どもは絵を書くことで心が満たされており、それがこの子の良さなのです。そしてその子は、絵に対しては主体的なのです。

このように考えると、親の「うちの子は前向きでない」という言葉は、親の理想とする姿ではない、と思っているだけなのです。
子どもは実は「もともと前向きである」ということを知っておくといいでしょう。親の思う理想の対象とは異なるというだけで、絶対的には前向きであるということなのです。 

勉強や学校に前向きになるための3つのポイント

そうはいうものの、学校教育で主体性が評価されるとなると、勉強や学校生活で主体的であってほしいとは思うでしょう。そこで、学校教育における前向きさを家庭で育む3つのポイントについてお伝えしましょう。

①自己肯定感を高めていく

「子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば(集英社)」に詳しく書きましたが、子どもは自己肯定感が満たされると、それまでやりたいと思えなかったことにも積極的に動くようになることがあります。そのためには、子どもの良い点、長所、イケてる部分を上げてあげるとよいでしょう。それを言葉にして伝えるのです。それが「10の魔法の言葉」です。

10の魔法の言葉
いいね~さすがだね~
すごいね~なるほどね~
知らなかった〜ありがとう
嬉しい助かった
大丈夫(〇〇ちゃん)らしくないね〜

しかし、このような内容をお伝えすると必ず出てくる質問が2つあります

Q:「そんなに褒めることばかりするとうちの子は調子に乗ってしまいます」

このような質問に対しては、次のように答えるようにしています。「もっと、調子に乗らせるようにしてください」と。なぜ、調子に乗っているのに、わざわざ調子をくじく必要があるのでしょうか。それは、おそらく「調子に乗っていると、そのうち足元をすくわれることになる」という不安が漠然とあるからかもしれません。しかし、足元をすくわれる出来事については子ども自身の対処の問題であり、仮に痛い目にあったらそれを「学び」といいます。ですから、「褒めるとこの子はつけ上げる」とか「調子に乗らないようにセーブする」ということは、子どもの自己肯定感をいつしか凹ませてしまうこともあります。ですから、その点は、あまり気にしないでも大丈夫です。

Q:「短所は正さなくていいのですか?うちの子は片付けをやらない、時間を守れないなど問題が多いのですが…」

自己肯定感を上げるためには、短所是正の前に長所進展をする方が重要という意味なのです。つまり、短所是正から入っていくのではないということです。長所を上げずに、短所是正から入るとどうなるでしょうか。これは大人でも同じですが、一部の負けん気の強い性格の人以外は、まずやる気は起こりません。ですから順番が重要となのですね。

②子どもが好きなこと、夢中なことを“さらに”やらせる

子どもは、自分が好きなことには夢中になります。前向きさは、ある意味、習慣のようなもので、いつも嫌いなことばかりやらされていると、前向きさは出てこなくなり、いつしか楽しくやっていたことにも、前向きさが出てこなくなることがあります。日々の小さいことで習慣させることで、集中癖、前向き癖、主体癖をつけることを考えてみるといいでしょう。

しかし、ここでも次のような質問が必ず出てきます。

Q:「うちの子が好きなのはゲームや動画で、それならずっとやっているのですが、それでもいいのでしょうか?」

ゲームに関しては、一言で語るのが難しいぐらい複雑なのです。つまり、暇で他にやることがないからやっている子もいれば、本当にその世界にセンスがあり夢中になっている子もいます。さらに、放っておくと異常にやり続けるという場合はルール決めが必要であり、そのルール決めにもコツがあります。ですから、一言では難しいため、できればそれに関連する記事をご覧いただければと思います。これまでゲーム、スマホに関してたくさん記事を書いています。ぜひそちらを参照してみてください。(「石田勝紀 ゲーム」と検索数してみてください)

③子どもの意見を否定しない

子どもの意見を否定すると、もう二度と意見をしないでしょう。どうせ否定されるからと思い、子どもは「わからない」という言葉を使って、親の問いには答えなくなります。これは学校でも同じことが言えます。先生が子どもたちの意見を否定すると、子どもたちは「わかりません」と答え、二度と自分の意見を言うことはないでしょう。
「話す、聞く」の2つのうち、話すときは前向きになれます。一方の聞くときは、受動的になりがちです。これを主客逆転しながら進めていくとコミュニケーションが成立します。その前向きになって話をしているときに、それを遮ったり、否定されたりすると話をしたくなくなります。
少なくとも、意見に正解、不正解があるわけではないので、否定する必要がないのですね。「そういう考えもあるよね、でも私はこう思う」と親は自分の意見を言えばいいでしょう。
いずれにしても、子どもにはたくさん話をする機会を与えてあげるといいでしょう。仮に、話をしたくない子どもの場合は、無理に話をさせる必要はありません。子どもが話したい話題などを振ってみて、話をしたくなる場合には話をさせてあげてみてください。


以上、このように家庭での接し方によって、子どもを前向きにすることはできます。ただし、人間なので、時には前向きになれるときもあれば、時には後ろ向きになってしまうときもあります。後ろ向きな気持ちのときの子どもも受け入れてください。全体的に見れば、前向きな時が多いかな?という程度で十分でしょう。


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石田勝紀
石田勝紀

(一社)教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。20歳で起業し塾を創業。現在はMama Café、講演、連載記事を通じて全国の保護者への教育活動を行っている。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』他多数。子どもの頃の習い事は「書道」。今でも筆で書いたり、活字への関心に繋がっています。

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