2021.03.30
習い事Q&A 小川真吾

子どもがテニスを習うなら何歳から始めるのが最適? スクールの選び方や魅力を解説

なるべく早く習い始めたほうが良いの?大手と個人のスクールはどっちがいいの?海外8カ国11都市を巡ってテニスのコーチングを研究し、直接指導や情報配信を行ってきた稲本昌之さん(44)に、テニスの始め方や身につく力などについて聞きました。

今日のポイント

  1. テニスは3歳から始められる
  2. 総合的な運動能力や孤独に闘い抜く力が身につく
  3. カリキュラムはミニサイズのテニスで慣れるところから
  4. 準備で大切なのはしっかりしたシューズ選び
  5. スクール選びはコースやコートの種類を確認
  6. 習う前に目的や練習量に軸を持つことが大切

テニスは3歳から始められる

焦ってスクールに入学する必要はありませんが、テニスは道具を使用するスポーツのため早く慣れるにこしたことはありません。

何歳から始められるの?

A.多くのテニススクールに3歳から始められるクラスがあります。

多くのスク―ルは、3歳から始められるクラスがあります。小さな子や初心者向けに、プレイアンドステイやショートテニスと呼ばれるミニサイズのテニスから学ぶことがあります。コートの4分の1程度の小さなスペースで、短めのラケットやスポンジボールを使い簡単なラリーを始められます。動きやルールなどを覚えながら、少しずつテニスに慣れていけます。

早めにスクールに通ったほうが良いの?

A.焦らなくて大丈夫です。色々なスポーツを経験したあとで始める考え方もあります。

小さいうちは色々なスポーツに触れて運動能力を高めてから、ある年齢で選択肢を絞るという考え方もあります。今は外で遊ぶ機会も減っているので、体を動かす環境を作るという意味では、テニスに限らず、早めにスポーツの習い事を始めることはおすすめです。 

強い選手を目指すなら何歳からがおすすめ?

A.試合にたくさん出て勝ちたい場合は、なるべく早く始めることをおすすめします。

テニスは道具を使う球技であるため、強い選手を目指すなら早く始めて道具に慣れておいて損はありません。ラケットの操作に慣れ、相手の力を利用して打つ感覚などを体得している小学生のほうが、筋骨隆々な大人よりも強い場合があります。小学5年生くらいになると、練習頻度の多いトップランクの選手と初心者の差は大きくなり、追いつくためには長い年月が必要になってきます。

男女で習う内容に違いはあるの?

A.一般的なスクールのカリキュラムに差はありません。選手育成が目的になる場合は練習方針が分かれます。

楽しむことが目的であれば習う内容に大きな差はありません。選手育成の経験が長いコーチであれば、男子は力があるのでスピンをかけるとか、女子はフラット系の相手の力を応用するテニスをするというように、練習方針は分かれます。

A.人気は男女半々くらいですが、流行の影響はあるでしょう。

人気がどちらかに偏っているような印象はありませんが、錦織圭選手の影響で男子が増えたり、大坂なおみ選手の影響では女子が増えたりすることはあります。

いつまでレッスンを続ける子どもが多いの?

A.中学や高校の入学時が転機になりやすいです。

中学校や高校への入学時に、スクールをやめて部活に専念し始める子は多いです。

何歳までレッスンを続けられるの?

A.一生楽しめるスポーツです。90代の方もレッスンに通っています。 

テニスは相手との接触がありませんから比較的怪我の心配も少なく、年配の方も多いです。テニススクールはインドアの施設も多く、今はエアコン完備のところもあります。日差しや雨を避けて利用できるため、幅広い年齢層の人が通っています。

テニスを習うことの魅力は?総合的な運動能力や孤独に闘い抜く力が身につく

(提供:稲本昌之)

テニスはバウンドするボールを捉えてラケットで打ち返す複雑な判断能力を必要とするスポーツのため、幅広い身体能力が磨かれます。試合中にコーチがアドバイスすることは禁止されているため、孤独に戦い抜く精神力も身につきます。どんな魅力があるのかを5つ紹介します。

①総合的な運動能力が身につきます。

テニスは、走る、跳躍する、ボールを打つなど、総合的な運動能力が育まれるスポーツです。バウンドするボールを捉えてラケットで打ち返すため、動体視力や複雑な判断能力、瞬発力、反射神経が鍛えられます。

②リズムに合わせて身体を操作する力が身につきます。

ボールに合わせて動く必要があるためタイミングを読む力やリズム感が鍛えられます。また、フォームに注意を払うスポーツですので、左手を前に出したときに右手をどう動かすかや、ボールが来たタイミングでラケットをどこに振り出すかを体得します。球技をしたことがないと、どこに立てばいいのかや、ボールが来たときにどうすればいいのか判断できないことも多いです。

③孤独に闘い抜く精神力が身につきます。

テニスは、試合中にコーチからアドバイスをすることが禁止されています。シングルスではとくに、ひとりで最後までやり抜く力が身につくでしょう。

④試合や日常の練習で協調性が身につきます。

テニスはそもそも相手ありきのスポーツですから、他者へのリスペクトがないと成立しません。ラリーの練習には相手の協力が必要です。ダブルスではパートナーとの信頼関係を築くことも重要です。スクールに通うと1面のコートをみんなで使うため、ボール拾いや片付けでコミュニケーションを取ることが日常的にもたくさんあります。

⑤テニスは誰もが主役になれます。

テニスはエントリーすれば誰でも試合に出れます。部活に入ると団体戦というくくりもありますが、基本的には補欠になるということがありません。誰でも主役になれるところが魅力です。

子どもや初心者向けのカリキュラムは、ミニサイズのテニスで慣れるところから

小さなコートで、大きくて柔らかい低年齢用のレッドボールを使い試合をする様子。(提供:稲本昌之)

テニスに必要な運動能力を身につけるところからはじまり、初心者用の道具を使って試合の形式に慣れていきます。年齢などでは明確にわけられず、身体能力や経験によってクラスは様々です。

どんなカリキュラムがあるの?

A.3〜5歳くらいの子どもや初心者は、実際の試合よりスケールの小さいショートテニスなどで慣れるところから始められます。

初心者向けに、コートの4分の1程度の小さなスペースを使って、短めのラケットや大きさや硬さの違うボールを使いながら、ラリーや試合の形式に慣れていく練習方法があります。これは、プレイアンドステイやショートテニスと呼ばれる方法で、小さな子でもラリーの感覚を体験できます。

A.年長〜小学4年生の初心者まではキッズクラスでフォームチェックや闘い方を学びます。

最初は、フラフープをジャンプして運動能力を高めたり、コーチがボールを投げて打ち方のフォームを作り、テニスの型に少しずつ慣れていきます。スクールによって順序などに違いはありますが、フォアハンドやバックハンドのストローク、ボレー、サーブなどの練習を重ねながら、徐々に闘い方を学んでいきます。

A.小学4年生以上の子はジュニアクラス、試合に出て勝ちたい子は選手コースなど、徐々により高度な練習へ取り組んでいきます。

小学校3年生くらいになってテニスに慣れてくると、試合の数が増えてきます。年齢では明確に分けられませんが、強い選手を目指す場合は、本格的な練習をする選手コースを目指しましょう。一般的には、小学4年生以上のジュニアクラスが練習している横で、16-17時はショートクラス、17-18時がキッズクラスと時間帯でクラスを分けて練習をしているところなどがあります。

準備で大切なのは足に合うシューズ選び

(提供:稲本昌之)

最初は、ラケットをレンタルして始めても大丈夫です。練習量が多く、週に何度も試合をするようであれば、シューズにお金をかけるのがおすすめです。

何を準備すればいいの?

A.運動しやすい服装と靴があれば、ラケットはレンタルでも大丈夫です。自宅で練習するなら購入を。

ウェアなどに規定はありませんので、Tシャツと短パン、運動靴があれば、道具はレンタルして始められます。強い選手になることを目標にして自宅でも練習する場合は、ラケットは必要になるでしょう。

A.練習頻度が多くなる場合は良いシューズを選ぶことをおすすめします。

低年齢の子は足に疲労がたまって怪我をしやすいです。小学校3~6年生くらいまでは足をくじくのではなく、シンスプリントやオスグットなど、すねやひざの怪我に繋がることが多いです。衝撃を吸収できないことが原因のため、練習頻度が多くなるようであればシューズは良いものを選びましょう。ラケットのメーカーより靴のメーカーを選ぶのがおすすめです。日本人の足に合うものにはアシックスなどがあります。

初期費用はどれくらいかかるの?

A.子ども向けのコースで始めるときは、5000~1万円程度で始められます

月4回のキッズクラスや初心者向けクラスなら月謝は5000〜1万円程度が相場です。最初は道具をレンタルして始め、慣れてきたらラケットやシューズの購入を検討すると良いと思います。

A.ラケットはジュニア用が1万円前後から、大人用が2〜3万円程度で購入できます。シューズは1万5000円程度を目安にしておくと良いでしょう。

子どもがテニスを好きになってラケットの購入を検討する場合、ジュニア用なら1万円を切るものもあります。小学校5〜6年生になって大人用を買う場合は、2〜3万円程度になります。練習頻度が増え、足に合う良いシューズを選ぼうと思った時は、1万5000円程度を目安にしておくと良いでしょう。

保護者の負担はどれくらい大きい?

A.基本的には保護者の送迎が必要です。スクールによっては駅までバスの送迎があるところもあります。

練習は、体育館などの公共の施設を利用する場合や、スクール専用のコートで行う場合があります。テニススクールによっては、バスが駅まで迎えに来てくれることもありますが、多くは保護者が送迎するか、自分で通えるところを選ぶ必要があります。

オンラインで学べるの?

A.オンラインサロンに参加することや動画を見ることはできます。

プロが開いているオンラインサロンなどでプレイヤー同士で交流を深めることはできますし、技術を教える動画もネットでたくさん閲覧できます。しかし、オンラインで直接指導することはなかなか難しいと感じます。私自身、ライブ配信で質問を募ったこともありますが、手取り足取り指導できない難しさは感じました。テニスはどんな世界なのかを伝えていくことには向いていると思います。

スクール選びはコースやコートの種類を確認

スクールを選ぶ前に確認したいのは、通う目的を定めることです。趣味として楽しみたいのか、それとも強い選手になりたいのかによって、選びかたが違います。ポイントを6つ紹介します。

①大手スクールはコーチやコースの選択肢が豊富です。

大手の良さは、コーチがたくさんいるため子どもと相性の良い先生を探しやすいところです。また、行きたい曜日にクラスが用意されていることも多いでしょう。一方で、初心者だと選手コースに入れない場合もあります。そのため、初めからコーチに意思を明確に伝えておかないと選手コースに加わるのが遅れることがあります。選手育成は1年の遅れが大きく影響するため、注意が必要でしょう。

②個人のコーチは密なコミュニケーションが取れます。

コートを契約してひとりで教えているコーチは、コミュニケーションが取りやすく、予定や育成方針の変更は融通が利きやすいでしょう。選手育成をしているコーチなら、初心者からでも熱心に勝つためのコーチングに取り組んでくれます。一方で、スケジュールの選択肢は少なく、人間関係が大きく影響します。

③選手育成経験の有無や家からの距離を確認しましょう。

強い選手を目指すなら選手コースや選手育成の経験があるところに最初から行ったほうが良いでしょう。また、家からの距離も重要です。東京のスクールに1時間半くらいかけて通っている子もたくさんいます。近いほうが負担は少ないでしょう。

④コートがインドアなら雨の日や暑い日にも練習できます。

練習量が結果に現れるため、天候に左右されずに利用できるコートがあるといいでしょう。競技を目的にするなら世界基準のハードコートやクレイコートで練習するのがおすすめです。日本は雨が多く、雨天時の利用しにくさや整備コストが目立つため、どちらも少ないです。多いのは、人工芝に砂を入れたオムニコートです。楽しむことが目的であれば、ひざにも優しいのでおすすめです。高齢者にも人気です。

⑤コート1面を何人で使うか確認しておくと良いでしょう。

多いところでは、1面を10人以上で使うところもあります。コーチ2人がついたとしても、小さな子に細かく教えられる内容には限界がありますので、コートはできるだけゆったりと使えるほうが良いでしょう。

⑥体験レッスンに参加しましょう。

みなさん検索して近くのスクールの体験を受けることが多いと思います。1回だけ練習に混ざって参加できる場合や、体験レッスンの申込者だけが参加する枠を用意していることもあります。ここで紹介したポイントを意識しながら、先生との相性や設備などを確認しましょう。

テニスを習う前に目的や練習量に軸を持つことが大切

(提供:稲本昌之)

楽しむテニスと勝つテニスでは、必要なことがまったく違います。何を心得ておくべきなのか、習い事を始める前に知っておいたほうが良いことを紹介します。

保護者はどんなことを心得ておいたほうが良いの?

A.楽しむためのテニスと勝つためのテニスの中間を取ることは、とても難しいです。勝つ選手に育成したい場合は、なるべく早くから練習を重ねる必要があります。 

これまで教えてきた選手は、週に6〜7日練習して、お金も月に10万円以上かけて、全日本を目指す人が多くいました。勝つことが目的である場合、そうでない場合と比べると負担が10倍にも20倍にも増えて中間がありません。最初にそこを意識しておくことは大切でしょう。

A.各家庭でテニスの習い事の目標に軸を持ちましょう。

選手のコーチングをしてきた経験では、各都道府県で50〜20番目くらいにいる子が一番苦しみます。上の20人は、父母がコーチだったり、毎日練習していたりすることも多く、そうでない選手が大学生になるまで実力で追いつけないこともあります。ジュニアは18歳で終わってしまいますから、テニスの習い事を検討する場合は、どこまでやるのかという軸を決めておくと良いでしょう。

A.練習のしすぎにも要注意です。

小6~中1くらいになると力がついてき肘・手首・肩の怪我が増える場合があります。スイングが早くなって、手首、ひじをこねるように使ってスピンをかけるようになると注意が必要です。単純にやりすぎもあります。頑張ることと休むことはセットです。

保護者はどんなサポートをすればいいの?

A.楽しむことが目的ならストレッチの声掛け程度で大丈夫です。

習慣化するところまで子どもはできないこともあるため、ちゃんとストレッチしているのか、トレーニングしているのかを声掛けすると良いでしょう。選手を目指すなら、コーチのように球出しなどを手伝ってもいいと思います。

A.良いところを伸ばしましょう。ダメなところを直そうとするのはやめましょう。

テニスは相手と比べられるので失敗は誰が見ても明らかです。ダメなところばかり見て直そうと思うと、ダメなところを直すことが練習の目的だと勘違いしてしまいます。良い試合をするための練習ですから、選手を目指すなら良いところを伸ばしましょう。「あそこさえ良くなったら……」と考えるのはやめましょう。フォームや打ち方が個性的でも、その個性を生かした闘い方を学ぶことが必要です。

A.失敗したときは、まずどうしようと思ったのかを聞きましょう。

スペインのあるコーチから学んだ教え方で印象に残っているのは、子どもが失敗したときに「今どうしようとしたんですか?」という必ず質問していたことです。その内容が合っていれば、ミスをしても良いのです。相手から言葉が出ればこちらも肯定しやすいです。「良いアイデアだけど、ちなみにテニスのセオリーだとこういうこともあるよ」と提案することもできます。

A.子どもが自分の意見を言っても良いと思える環境を作りましょう。大人の頭の中にある正解を言わせようとする聞き方はNGです。

どんなことでも自分の意見を言っていいという意識を持ってもらえるようにしましょう。なぜそうしたのかを聞いたときの答えは「何も考えずに思いっきり打った!」でもいいんです。大人の顔色を伺わずに自由に意見を言える雰囲気をつくりましょう。

【プロフィール:稲本昌之(いなもと・まさゆき)】

中学時代にテニスを始め、大学卒業後は江坂テニスセンターのコーチに。26歳でバルセロナへテニス留学。アンディ・マレーやスベトラーナ・クズネツォワなど、後に世界トップランカーとなる選手と練習を共にした。帰国後、留学経験を生かし江坂TCのキッズ・ジュニア育成を担当。2016年に独立。計8カ国11都市でコーチングを研究した。「テニスコーチ.jp」で情報を発信しながらコーチングや留学サポートを行っている。

小川真吾
小川真吾

1985年生まれ。千葉県出身。ウェブメディア運営企業で、編集ディレクターやクリエイティブディレクターを経験した後、2019年に朝日新聞社へ入社。小学生のころは山遊びやサッカーに夢中でした。趣味は、音楽、映画、写真、料理などです。

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