2021.04.13
習い事Q&A 小川真吾

子どものバイオリン教室の習い事は何歳からがおすすめ?レッスンや通うメリットを解説

何歳から始めたほうがいいの?教室はどうやって選べばいいの?桐朋学園大学院大学修士課程ヴァイオリン専攻を修了後、アムステルダム国立音楽院大学院への留学を経て、国内外での演奏活動やコンクール審査員をし、バイオリン教室やオンラインレッスンなど音楽教育でも活躍するバイオリニスト、藤原望さん(32)にお話を聞きました。

今日のポイント

  1. バイオリンを始めるのは3歳以上からがおすすめ
  2. リズム遊びから始めて徐々に演奏に慣れていく
  3. 一生楽しめる趣味、一生続く人間関係が得られる
  4. 楽器はレンタルもあるので準備の心配はいらない
  5. 教室選びは先生の演奏を見ることが一番大切 

バイオリンを始めるのは3歳以上からがおすすめ

小さな頃から始めても良いのですが、姿勢が保てない時期は変な癖がついてしまう可能性もあります。

始める時期は早ければ早いほどいい?

A.2歳では早すぎることがあります。早くても3歳以上からがおすすめです。

習い事を始めるのは、子どもの体がしっかりしてきて、おしゃべりができるようになり、レッスンを受けられるまで成長してからでも遅くありません。バイオリンを弾く姿勢を保てない場合、変な癖がついてしまう場合もあります。個人差もありますが、立って弾けるようになるのは早くても3歳位からでしょう。

A.小さい頃はリトミックでリズム感を育むのが良いでしょう。

まだ楽器を弾けない小さな頃は、音楽を沢山聴くのがおすすめです。2歳でも、手をパチンパチンと叩きながら、体を使ったリズム遊びをすることもできます。小さい頃は先にリズムを学び、後で音程のことがわかってくるという流れが主流です。絶対音感のことを気にする人は多いですが、なくても困りません。リズム感のほうが大事です。

A.10代から始めてプロになる人もいます。

10代から始めてプロで活躍しているバイオリニストはいます。早く始めなければいけないということはありません。体にあった年齢から始めるのが良いでしょう。私自身、3歳の終わり頃はまだ弓が持てず、鉛筆を使った運弓練習法を先生に教えていただきました。バイオリンは姿勢が大切ですので焦って自己流で始めるのは一番よくありません。

(編集メモ)バイオリン教室は、3歳から始められるところもあれば、5歳からというところもあり、ホームページに対象年齢が明記されていない場合もあります。教室や先生の方針によって条件が違うため、近くにある教室に相談をするのがおすすめです。

男女で習い事の始め方やカリキュラムの内容は変わる?

A.男女で違いはありません。

現在、私が教えている方の中では男の子が多いのですが、女の子が多い時期もありました。半々という印象です。体格等による違いも特に感じませんので、教え方に差はありません。

カリキュラムは、リズム遊びから始めて、弓の扱い方、運指、正しい姿勢を徐々に身につける

楽器を持つことが難しい小さな子は、リズム遊びから始めて、だんだん音程の違いがわかるように音楽に慣れていきます。

どんなことを教わるの?

A.最初は、リズム遊びから始めます。

「トン、トン、トン、休み、トン、休み、トン、休み」というような簡単なところから始めます。例えば「や、き、そ、ば、パン」とか「アン、パン、マン」など、身近な言葉を使いながら、4分、8分、16分音符の違いを覚えていきます。知っている言葉を使うのが嬉しい時期はこうした練習をすると集中力が持ちます。

A.弓の使い方を覚えてから、少しずつ運指の感覚を掴んでいきます。

まずは運弓法を覚えて、しっかりと真っ直ぐに弓を動かせるように導いていきます。バイオリンは右手が8割と言われるくらい運弓が大切です。弓の先の方や、真ん中のあたり、弓元など、様々な場所で使えるように練習します。そのあとに左手の運指を覚えます。弾く前に、右手で弦を弾くピチカート技法を使って、左手の練習に集中してから、弓を使って弾きます。

A.姿勢や構えを整えながら楽曲の練習に入っていきます。

弓の練習を開放弦で始め、ひじの高さが適切に維持できているかに注意を払いながら『きらきら星』などの簡単な楽曲で運指を覚えていきます。短い曲や、童謡から入っていくことは多く、すぐに曲が弾けるようになります。

ちゃんと音を出せるまでに時間はかかる?

A.運弓法(ボウイング)の習得は、左手よりも時間がかかります。

腕の重みをしっかりと弓にかけて、弦に吸い付かせる感覚を覚える必要があります。レッスンではよく、右腕の下に大きな風船があってそれに膝掛けしているような感覚、と生徒さんに伝えます。

A.レッスンの回数や、個人差によって違います。

レッスンの頻度や練習量、得意分野によっても変わります。運弓が苦手な時は、ロングトーンの練習を長めにすることもあります。運指では、薬指と小指の動きの練習を1ヵ月延長する場合もあります。4歳位の小さな子は、弓を真っ直ぐ持ったり、楽器を顎に置いたりするだけでも時間がかかるため、最初はできなくて当たり前だと思ったほうが良いでしょう。

A.数回のレッスンで1曲弾けるようになることもあります。

ある日、突然できるようになることもあるので、何回でどこまでというのはなかなか言えませんが、『きらきら星』や『アマリリス』など、短くて簡単な楽曲は、比較的すぐに弾けるようになります。

A.順番通りに練習すれば必ずできるようになります。

右手や左手を同時に練習すると大変かもしれませんが、弾けるようになるまでの段階は定まっているので、練習を重ねれば必ず弾けるようになります。

上達してくるとどんなことをするの?

A.教本を使いながら、音階、エチュード、曲の練習をバランスよく行います。

『スズキ・メソッド・バイオリン教本』『新しいバイオリン教本』『篠崎バイオリン教本』など、長く使われている本を基本に、先生独自の教え方を加えることが多いです。小さな子向けには、小野アンナさんの音階教本がよく使われます。音大を目指す場合は、カール・フレッシュ、クロイツェル、パガニーニなど、難易度の高い教本を使いながら試験やコンクールの曲を練習します。

絶対音感は身につくの?

A.絶対音感は必須ではありません。

保護者の方々は、絶対音感の話をとても気にされますが、なくても困りません。心配しなくて大丈夫です。最初は、リズムや音の高低差を感じる相対音感のほうが大事です。

A.初めは音を覚えられなくて当たり前です。焦らなくて大丈夫です。

最初はドを弾いた時にそれがドであることを覚えるのが難しいです。ドレと弾いて、ドはどっち?と聞き、ドドレ、ドレド、ドミドと弾いて、レやミではない時に手を上げてもらい、ドを見つけるようにして覚えます。何度も間違えると自尊心が傷つきます。ドをわかりやすく大きく弾き、一緒にその音程を歌ってあげましょう。4~5歳からその練習を始めると後々楽です。

A.主音に寄せて、手前の音を高めに演奏することもあります。

例えばハ長調でドレミファソラシドを弾く時に、シは少し高めに音程を取ったほうがその調らしいハーモニーになるという考え方があります。導音という音楽理論ですが、小さい時からこっちのほうが良い感じがしない?と声をかけながら練習すると、自然と身についていきます。そういう意味でもレッスンは大事だと思います。

バイオリンを習う魅力は?一生楽しめる趣味、一生続く人間関係が得られる

音楽は、練習を通じてひとつのことに長く集中する力や、緊張を受け入れられるようになる経験値など、様々なことが身につきます。もっとも印象的なのは、演奏家になる瞬間の感動や、人と人との繋がりです。5つポイントを紹介します。

①バイオリンは、一生楽しめる趣味になります。

長く続けていると、楽器は最も近い友だちのような存在や、自分自身を表す鏡にもなります。教室にも通い続けることはよくあります。音楽は引退がありませんから、私自身今でも、時々これまでお世話になった先生方にアドバイスをいただくことがあります。自分の生徒を見てもらうこともあります。

②長時間継続する集中力が身につきます。

演奏は長時間集中することを必要とします。その影響か、私はバイオリンレッスン動画の制作や編集にもとことん凝る性格になりました。

③緊張にも慣れてステージの上でもあがらなくなります。

私自信、もともと緊張しやすいタイプでステージで手が震えることもありました。ステージは非日常な空間なので緊張するのは当たり前です。でも、その状態を緊張と捉えず「集中」している状態なのだと思えるようになると、あがらなくなりました。

④楽曲の魅力を伝える「演奏家」になれる。 

子どもが突然「バイオリニスティック」になる瞬間があります。ただ宿題を弾いてきて合格をもらうという技術的な答え合わせではなく、誰よりも楽曲を研究し、その曲の良さを観客に届けたいという強い気持ちが芽生えた時です。今まで漠然とかかっていたビブラートが、「この瞬間この音にはこのビブラートしかない」という職人的な表現になります。生徒が人の心を動かす演奏家になる瞬間を見るのは、一番嬉しいところかもしれません。

⑤一生続く人間関係が得られます。

音楽は人と人との関係性が濃いものです。進学も、特定の学校に行く他に、先生についていく文化があります。バイオリン教室や大学院で教わった先生や、同窓生達との関係は今も続いています。オランダ留学直後にオーケストラの第2バイオリン首席を任された時に、日本人が私だけで心細く感じたこともありましたが、仲間の温かいサポートがあったおかげで乗り切れました。音楽は人だと強く感じます。

ピアノとバイオリン、どちらを習うか迷った時にどんな違いや魅力があるの?

A.ピアノは一度に沢山の音を鳴らせます。バイオリンは一つの音で幅広い表現ができます。両方並行して習うのもおすすめです。

ピアノは一度に鳴らせる音の数が多く、和音を沢山使った曲を1人で演奏することができます。バイオリンはピアノに比べると一度に鳴らせる音の数は少ない一方、ビブラート奏法や微妙な音程の差を使い、曲を和声的、つまりハーモニーとして表現できる魅力があります。バイオリニストは大抵音大の副科でピアノを学びますので、ピアノも並行して習うとバイオリンの演奏もより和声的になるのでおすすめです。

バイオリンの習い事に必要な準備は?楽器はレンタルするほか、譲ってもらえる場合もある

最初から購入しても良いですが、レンタルなどで始めて、先生と一緒に購入する楽器を選ぶこともおすすめです。

何を準備すればいいの?

A.最初は手ぶらで大丈夫です。

教室によって楽器を貸し出しているところがあります。分数バイオリンの場合、先輩から小さい楽器を譲ってもらうことができる教室もあります。初めから買う方もいますが、レンタルや譲ってもらえた小さなサイズの楽器で始めて、大きくなってから先生と相談しながら買いに行くのがおすすめです。

小さい子はどんなサイズの楽器を使うの?

A.大人用の16分の1か、10分の1サイズの小さなバイオリンで始めることが多いです。

体が大きくなるにつれて楽器のサイズも大きくしていきます。身長を基準に、楽器の頭にある渦巻の部分を持った時にひじが伸びすぎたり曲がりすぎたりしていないかどうかや、肩への負担などを見ながらバランスを見て決めるのが良いでしょう。

(編集メモ)子どもがバイオリンを始める時には、「分数バイオリン」と呼ばれる小さなサイズの楽器を使用するのが一般的。大人が使うフルサイズの楽器の1/32サイズから、1/16、1/10、1/8、1/4、1/2、3/4まで、様々な大きさのものがあります。

習い始めたらどんなものが必要?

A.楽器の他に、チューナー、練習用の譜面台、肩当て、楽器を拭くためのクロスは必要です。

楽器や肩当て、メンテナンス用の道具が揃ったセットもありますが、バイオリン本体と弓は、別々に買う人も多いです。楽器のペグが固くなった時に塗る蝋は、買っておくと便利です。私は小さい頃、肩当てが合わなかったので、小さいクッションにゴムを付けたものを肩当て代わりにしていました。

バイオリンの価格はどれくらい?

A.通販で購入できるお手頃なセットから、工房でつくられた高価なものまで幅広くあります。

オンラインで販売されている初心者用セットや、楽器工房で買う本格的なものまで様々です。購入する場合は、先生と一緒に楽器を見て、子どもが自分で弾いてどう感じるかを確認しましょう。楽器によって音色が違い、音程の取りやすさも異なります。

(編集メモ)複数の大手楽器店で初心者用のバイオリンを調べると、4~10万円ほどの価格帯でセットが販売されています。

月謝の相場は?

A.レッスン時間や頻度によって月謝が異なるところが多いです。教室によっては学生料金があるところもあります。

料金は、教室や先生によってもバラバラです。大抵は、体験レッスンの前に先生と連絡を取り合うなかで教えてもらえます。小さなお子さんには短時間コースを設けている教室もあります。オンラインレッスンと対面レッスンで料金が異なる教室もあります。

(編集メモ)料金は、1回30分のレッスンが3000~5000円のところや、月3~4回のレッスンで月謝が5000~2万円のところもあり様々です。1回のレッスン時間が、20分のところや、1時間以上のところなど、選択肢によっても変わります。月謝のほかに、入会金や管理費が別途かかる場合もあるため確認が必要です。

教室選びは、先生の演奏を見ることが一番大切

ウィーンでのリサイタルで演奏する藤原さん

施設や先生との相性、レンタルの有無などもありますが、一番大切なのは憧れの先生に出会えるかどうかです。

どうやって教室を選んだら良いの?

A.場所や時間帯などの条件で探しても良いですが、先生の演奏に感動し、憧れるかどうかが一番大切です。門下生発表会を聴きに行くのも良いでしょう。

小さい頃は保護者が調べたところに通うことになりますが、先生の演奏会を聴いたり、門下生の演奏を発表会で聴いたりして決めても良いでしょう。音高・音大受験は「どの先生に習いたいか」で決めることが多いです。音大を目指す場合は特に、先生の音大での経験や音楽理論、聴音、ソルフェージュなど、実技以外の受験科目まで教えてもらえるかをチェックすると良いでしょう。

大手と個人の教室はどう違うの?

A.大手の教室は色々な先生が所属しているのが良いところだと思います。

大手は先生や楽器レンタルなどのサービスが充実していることも多いかもしれません。ただ、やはりどんな先生に習いたいかを見たほうが良いと思いますので、そういう意味では大手も個人も同じように、レッスンを体験することや、演奏を聴くことが大切です。

オンラインでも習える?

A.注意点はありますが、オンラインでも習えます。

対面レッスンとオンラインレッスンを別々に用意している教室はあります。私も8年前からビデオ通話でアドバイスをしていますが、音ややりとりは問題ありません。初めてだと緊張する方が多いので、先生に「もう一度アップにして見せて欲しい」「指の使い方が分からなかった」等と、積極的に要望を伝えることが大事です。体験レッスンの際に、バイオリンがきちんと見える映り方や、音量をチェックすることが大切でしょう。

自宅での練習環境はどう整えればいいの?

A.みなさん一般的には自宅で練習しています。

もし難しければ、公民館や貸しスタジオで練習することをおすすめします。ご自宅の状況によって弱音器を使わなければいけないところもあると思いますが、舞台での演奏を目指す場合には、自分のバイオリンで大きな音を出す経験が重要です。 

バイオリンを続けるとどんな道があるの?

A.音大では、技術の訓練だけではなく、音楽をより深く理解するための学びが得られます。

高校卒業後に音大へ進学する人もいれば、大学を出てから海外留学する人もいます。進学の行き先は様々ですが、師事したい先生についていくことが多いです。私は、一般の大学を卒業した後に音大の大学院へと進学し、その後オランダの大学院に留学しました。指を鍛えるだけの「訓練」は自分で出来ますが、曲の構成や和音の仕組みなどの「研究」は音楽大学に行って初めて詳しく学ぶことができました。

A.進路相談は、子どもがどうしたいかを尊重してあげてください。

その子が幸せにバイオリンを弾いているかどうかが大事です。親に言えない気持ちがあるかどうかを、先生が確認することもあります。今まで続けてきたから今後もやらなくてはいけないと思ってはいけません。他のことをやりながら音楽をやる道もあります。幸せにバイオリンを続けて欲しいと思います。

保護者が自宅でできるサポートは?

A.子ども自身が、自分の意思で頑張れる環境を作ってあげてください。

子どもは何かの拍子で突然頑張り始めます。褒めたあととか、コンクールの後だけではなく、自分でできたと思った瞬間に伸びるのではないかと思っています。例えばビブラートのかけ方にバリエーションが出るだけで、それまで弾いていた全ての楽曲の印象が変わりますが、伸びる瞬間やきっかけは予想できないものです。

A.コンクールでうまく演奏できなかったとしても、一番上手だったと言ってあげてください。

コンクールは毎年入賞者が出るお祭りのようなものだと思っていただきたいです。その時の調子によっても結果が変わってくるので、うまくいかなかったからといってそれまでの練習が全否定されることにはなりません。保護者が悲しんでいると子どもも申し訳なく感じてしまうでしょう。保護者しか肯定できる人はいません。

A.練習を投げ出した時に、ただ飽きちゃったのか、燃え尽き症候群なのか、それとも本当に苦痛なのかをよく見てあげてください。

私自身、練習が大変だと思った時はありましたが、やめなくてよかったと強く思います。辛かった時は、親が「どうする?」と聞いてくれていたことを覚えています。やりすぎて飽きてしまったとしても、1~2日待てばまたやりたくなります。燃え尽きていたら、一週間位距離を置いても良いと思います。長い目で見てあげてください。


【プロフィール・藤原望(ふじわら・のぞみ)】

ピアノ教師の母の影響で3歳からバイオリンを開始。桐朋学園大学院大学修士課程ヴァイオリン専攻を修了後、アムステルダム国立音楽院大学院へ留学、ヨハネス・レーアタワー教授のもとで学生の指導にもあたりました。帰国後、国内外での演奏活動に加え、東京、名古屋、金沢、福岡で、バイオリン教室の代表や講師、コンクール審査員などの指導活動も。海外の生徒も多く、オンラインレッスンのみの受講者から音大入学者を多数輩出しています。

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小川真吾
小川真吾

1985年生まれ。千葉県出身。ウェブメディア運営企業で、編集ディレクターやクリエイティブディレクターを経験した後、2019年に朝日新聞社へ入社。小学生のころは山遊びやサッカーに夢中でした。趣味は、音楽、映画、写真、料理などです。

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