2021.04.22
習い事Q&A 小川真吾

子どもがピアノを始めるなら何歳から?教室の選び方や通うメリットをプロに聞きました

なるべく早く習い始めたほうが良いの?先生や教室の選び方は?絶対音感はつくの?今回は、4歳からピアノ教室に通い、洗足学園音楽大学音楽学部ピアノ科を卒業後、同大学院の音楽専攻科を修了し、現在はピアニストとして活動しながらレッスンを行っている大平桂子先生(34)に、ピアノの習い事の始め方や身につく力などについて聞きました。

今日のポイント

  1. ピアノを習い始めるのは5歳からがおすすめ
  2. 挨拶や礼儀から始まり、読譜や演奏に慣れていく
  3. 集中力、忍耐力、自信、先読み力などが身につく
  4. 購入する場合は88鍵あるピアノを選ぶことが大事
  5. 先生は好きになれる人柄かどうかが重要
  6. 個人の教室は先生と子どもと保護者の距離が近い
  7. 保護者は2人目の先生にならないよう要注意

ピアノを習うのは5歳からがおすすめ

個人差はありますが、まだ物事を理解する能力が発達していない頃は、柔軟に音楽を学べる反面、レッスンの進みに時間がかかってしまう場合もあります。4、5歳は耳の発達が著しい時期ですので音感が育ちます。

ピアノは早く始めたほうが良い?

A.早く始めたほうが音感と柔軟な音楽性が身につきます。

頭が柔らかいうちから始めれば、それだけ柔軟な音楽性が身につくと思います。ただ、あまり早く始めると、子どもの理解に合わせてゆっくり進むため、保護者から見てこれで力がつくのだろうか?と不安になる場面は多いかもしれません。先生と会話ができて、レッスンで座っていられるようになるまで、子どもの成長を待ってからでも遅くありません。

A.おすすめは5歳からです。

ピアノの習い事は、左右がわかるか、文字や数字がわかるか、指番号がわかるか、といったことが必要になります。それらを同時に読み取る必要があるので、5歳くらいからの方がスムーズに感じると思います。ピアノの個人レッスンは宿題もあるため、それができる年齢になってからが良いと思います。

A.早い時期から楽しく始められるのはリトミックだと思います。

リトミックは0歳からできます。赤ちゃんを抱っこして、「いち・に・さーん」と言いながら高い高いしたり、象さんの音楽がなったら象さんの真似をしたりして、遊びのような時間の中で音の高低差や大小を覚え、音感・リズム感を育みます。小学生向けのリトミックもありますので、ピアノの個人レッスンにこだわる必要もありません。

何歳までレッスンを続けるもの?

A.年齢に制限はありません。高校生くらいまで続ける事が理想的です。

卒業や受験などの節目ごとにピアノを続けるか相談を受けます。小学校高学年くらいになると、手や体が大きくなって基礎が整い、ここから色んな曲が弾ける時期になります。そこで辞めるのはもったいないです。部活や学業に無理のないようレッスンを続けてショパンやベートーベンの名曲を演奏できるようになれば、その音楽は一生の宝物になります。

絶対音感は身につくの?

A.絶対音感に固執する必要はありません。

音程差を認識する相対音感はレッスンを通して身につきます。絶対音感よりも、リズムや、音程を感じる相対音感の方が大切です。

ピアノの習い事は男女で内容が変わる?

A.教え方に男女差はありません。

人気は女の子が少し多めです。男女で向き不向きはありません。レッスン内容も変わりません。男の子は体が大きくなって骨格がしっかりしてきた時にはとても大きな音が出せるようになりますので、音楽にメリハリがつけられる点は魅力的です。伸びるタイミングに個人差はありますが、性別の差はありません。

ピアノ教室では、挨拶や体の使い方から始まり、読譜や演奏に慣れていく

提供:ピアノ教室ハーモニー 

小さな子は挨拶などに慣れてから、音楽を聞くことに慣れ、ピアノの練習を始めていきます。ピアノ教室では楽器を弾くことだけでなく、弾くために必要な準備が沢山あります。

どんなことを教わるの?

A.挨拶や靴を揃えるなど、礼儀やマナーから始めます。

習い始めの小さい子は、靴を揃えて部屋に入り、挨拶などを教えるところから始まります。「こんにちは」「よろしくお願いします」「ありがとうございました」「さようなら」はみなさん自然と出てくるようになります。それから音楽のことを学び始めます。

A.リズムを真似ることから始めて、楽譜の読み方や演奏の仕方を覚えていきます。

音楽を聞き、リズムを手や口で真似したり、音の高低差を感じながら歌を真似したりすることから始めます。教室によって違いますが、早い段階から楽譜を読み、歌い、演奏します。私の教室では早くから両手を使った演奏もします。読譜と同時に曲を歌い弾くことで、歌心も養われます。

A.全身を使ったピアノの弾き方を手取り足取り教えていきます。

片手で単音を弾くところから始めて、半年から1年くらいかけて両手で曲を弾くようになっていきます。先生の手の上に子どもの手をのせて、動きを感じてもらいながら教えていきます。すると、出る音が変わります。肩、手首、腕などの使い方も意識しながら弾いていきます。

A.力を抜いた演奏など、体の使い方を教えていきます。

スポーツと同じように体の使い方を手取り足取り教えます。脱力する感覚や、ホームランを打つときのように必要な瞬間にだけ力を入れる感覚を体得していきます。導入期から、正しい弾き方をした際に出る音の違いを体感することは大切です。

ピアノの習い事で身につく力は?集中力や度胸、先を読んで動く力が身につき、一生楽しめる趣味になる

提供:ピアノ教室ハーモニー

小さな子どもは、レッスンによって集中力が身につき、音楽的な演奏能力が徐々に培われていくと、自信が生まれ、一生の趣味として楽しめるようになっていきます。ポイントを5つ紹介します。

①レッスンでは集中力や忍耐力がつきます。

じっと座っていられない子も、数ヶ月後には30分座っていられるようになります。次第に30分では時間が足りなくなるほど、耳、目、指先など、全身集中した状態でレッスンができるようになります。

②練習や発表の積み重ねで度胸がつくでしょう。

発表会で緊張して固まってしまう子もいます。手を繋いで舞台に上がる事もあります。そんな子も舞台経験を重ねて数年後にはひとりで舞台に立ち、緊張に負けず立派に演奏する度胸がつきます。緊張をなくす事はできませんが、緊張感とうまく付き合えるようになります。

③先を読みながら手を動かせるようになります。

演奏するときは、頭と体を同時に使います。楽曲の流れの中で、楽譜を読みながら、次に何の音を弾くのかを先読みし、一音一音に気をつけながら指を動かし続けるのは、とても複雑で高度な能力を必要とします。コツコツ練習すれば、低学年でもできるようになります。できるようになった瞬間の感動は大きなものです。

④長く続けるほど自信がつき、一生楽しめる趣味になります。

練習を積み重ねて苦手な部分が克服すると、演奏は上達し、自信がつきます。音楽の授業も簡単に感じられ、楽譜が読めると学校で頼りにされるようにもなり、憧れの曲が弾けるようになった時にはさらに自信がつくでしょう。1年前の演奏を見返せばどれだけレベルアップしたかがわかり感動します。一生楽しめる趣味になります。

⑤演奏の喜びを知り、誰かのためにも、自分のためにも音楽を届けられます。

楽譜を見て、耳で音楽を聴き、気持ちや情景をピアノで表現できるようになると、演奏自体の喜びを感じられるようになります。演奏する姿や生の音楽は周囲の人を温かい気持ちにすることができますし、一方で自分を解放し、励まし、癒してもくれます。私がピアノを続けてきて思う最も素晴らしいところです。

習い事に必要な準備は?88鍵あるピアノを購入するのがおすすめ

提供:ピアノ教室ハーモニー

教室に行けばピアノは始められます。自宅で練習をする時に電子ピアノは手軽な選択肢ですが、楽器の感度や上達を考えるなら、アップライトピアノ、グランドピアノ等のアコースティックピアノをおすすめします。

ピアノ教室に通うときに必要な準備はある?

A.最初は、筆記用具があれば良いかなと言う程度です。

手ぶらで問題ありません。

自宅用に楽器を買う必要はある?

A.初めは必要ありませんが、練習量に差が出ますので、早い段階で練習環境を整えることをおすすめします。

鍵盤の位置がなかなか覚えられない子は多いため、88鍵あるピアノを自宅に用意しておくと練習量は確保できます。レンタルピアノを利用する生徒さんも多く、ローンや残価設定形クレジット等の購入システムもあります。楽器選びは、機種や購入方法も含めて教室の先生にご相談することをおすすめします。

どんな機種がおすすめ?

A.おすすめは、アップライトピアノです。アコースティックピアノと電子ピアノの音は、低学年の子どもでもわかるほど音が違い、前者でできることが後者ではできない、と気がつく子どもも多いです。

良い楽器で練習すると良い耳が育ちますので、おすすめはアコースティックピアノです。電子ピアノは、指先のタッチで音色をコントロールすることが難しく、細かな表現に対応しきれない部分があります。高性能な2〜30万円の電子ピアノを検討するのであれば、同じ価格帯で購入できる中古のアップライトピアノも検討しましょう。

購入の検討はいつ頃すればいいの?

A.ピアノが得意だとわかったら、早めに購入を検討してあげてください。

可能性を感じる上手な子に楽器の購入をすすめた時に、「子どもが本気でやりたいならその時に考える」と仰る保護者は多く、勿体無いと思うことがあります。伸び盛りのタイミングを逃さないであげて欲しいと思います。

A.自宅に楽器を置く場合は、時期によって置き場を変えることをおすすめします。

幼少期は目が届くリビングに、大きくなったら個室に置くのが理想的です。小さい子は練習が習慣化しにくいため声掛けが必要です。小学校高学年くらいからは個室に置くことをおすすめします。心の成長と共にひとりで集中して弾きたくなるものです。家族の目が気になり恥ずかしさを感じる子もいます。

A.騒音が気になるようであれば、防音用の道具の購入を検討しましょう。

本格的な防音室でなくとも、防音カーテン、防音マット、吸音材や、ピアノ本体に後から取り付けられる消音用の器具もあります。

教室選びは、先生を好きになれるかどうかを見ることが大切

体験レッスンでは、ピアノの上手さだけでなく、長い目で子どもや保護者と先生の相性が良いかを見るのがおすすめです。

どうやって教室を選んだら良いの?

A.10年付き合えるかどうか、先生の人柄を見て検討しましょう。

ピアノは長く継続する習い事です。先生との相性も大切なので、尊敬できる人や、好きと思える先生に習うのがおすすめです。子どもにとっては、親以外の大人と接する貴重な時間にもなります。親に話しにくいことを先生に相談することもあり、そうすることで段々と信頼関係が築かれていくものです。

A.兄弟がいる場合は近い教室がおすすめです。

最初の子は自由に送迎できても、兄弟が増えて状況が変わることもあります。教室が近く通いやすいだけで負担が大きく減る場合があります。

A.先生の教育方針は最初に確認しておきましょう。

目的は子どもによって一人ひとり違います。楽しく習いたいのか、上達したいのか、どんな目的で通うのかを先生に相談しましょう。同じコンクールを受けるお子様でも、目標はそれぞれ違います。ご家庭の方針も様々です。予め先生に詳しく話しておくと、教室と家族の足並みが揃います。

大手と個人の教室はどう違うの?

A.大手は先生が変わっても引き継ぎや代行などがスムーズです。

大手も個人も、先生が結婚や出産、引っ越しで変わる可能性は常にありますが、大手の良さは、先生の引き継ぎや代行がしやすいことです。逆に言えば、先生が変わりやすいということでもあります。

A.個人は心理的な距離感が近く、積み重ねが大きく影響しやすいでしょう。

個人教室の良さは、先生と親子の距離が近いことです。指導も、先生ならではの音楽的な学びを一貫して受けられます。音をタンタンと表現する人もいれば、ターターと言う人もいます。小さい頃から長く教えてもらっていると、先生の言葉やその意図を理解しやすくなり、意思疎通の積み重ねで学べることが増えます。

月謝や入会費はどれくらいかかるの?

A.月5000円の教室もあれば、1時間2万円の先生もいます。

一般の音楽教室は月7000円前後です。レッスン回数やレッスン時間、レベルによって様々です。月謝のみの場合が多いですが月謝プラス設備費のかかる教室もあります。安いところでは月謝は5000円くらいのところもありますし、本格的に音大の先生から習う場合は、1時間1~2万円の場合もあります。

保護者が注意しておくべきことは? 2人目の先生にならないこと

ピアノは自宅練習が必要な習い事です。家庭では音楽やピアノの話題を出したり聴いたりして、意識をピアノに向けることは重要です。小さな子には、練習習慣をつけてあげること、大きくなったら遠くから見守ること、その両方が大切です。長い目で寄り添うことを意識しましょう。

保護者が自宅でできるサポートは?

A.小さな子には、ピアノを弾く生活習慣を作ってあげてください。

練習習慣は上達に直結します。その環境作りを意識しましょう。「上手だね」「◯◯ちゃんのピアノが聴きたいな」「今どんな曲弾いてるの?」「あの曲好きだなー」など、会話で弾くきっかけを作り、子どもの演奏が好きだと伝えてあげてください。自分の演奏で家族が喜ぶのは子どもにとってとても嬉しいことです。

A.子どもが大きくなったら、あまり見すぎずに遠くから見守るほうが良いでしょう。

家族が2人目の先生にならないことも大切です。教室にも家にも先生がいる状況は子どもにとって窮屈です。遠くから応援しましょう。ひとりで弾ける空間があれば、演奏に没頭でき、リフレッシュにもなるため、ピアノが自分自身により近い存在になります。喧嘩した時は猛烈に弾くという子もいます。

A.耳だけ良ければ良いということではありません。

年少で習い事に来たときにすでに絶対音感がある子もいます。ドミソシレを同時に押したときに何の音かわかる子や、歌が音程にバッチリ当たるうまい子もいます。ただ、耳の良い子は耳に頼りがちで読譜に慣れにくい場合もあります。譜面から楽曲を読み取る必要もありますので、耳だけ良ければいいということでもありません。

A.ピアノは継続することが大切です。私は高校生の時に挫折を経験し、大学生以降もオーディションに落ち続け、31歳でようやく演奏が評価されました。

私は4歳からピアノ教室に通っていました。高校は音楽コースのある学校に進学しましたが、周りの生徒の方が上手く、音楽の授業が辛かった記憶があります。師事した先生が長い時間向き合い続けてくれたおかげで今見えている世界があるため、自分も子どもに対して諦めたくないと言う気持ちが強いです。音楽は聴くだけでも素敵ですが、演奏で自分を癒し励ますこともできます。形はどうであれ音楽は人生に寄り添ってくれるものであり、人生を充実させてくれるものだと信じています。

【プロフィール 大平桂子(おおひらけいこ)】

群馬県出身。4歳からピアノ教室に通い始めた。高崎経済大学附属高校の芸術系音楽コースに入学し、洗足学園音楽大学音楽学部ピアノ科へ進学。卒業後、同大学の音楽専攻科を修了した。2010年から地元の音楽教室でピアノ教師としての経験を積み、2014年に独立。自宅で「ピアノ教室ハーモニー」を開校。現在は、ピアニストとして活躍しながら、60人以上の子どもにピアノを教えている。

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小川真吾
小川真吾

1985年生まれ。千葉県出身。ウェブメディア運営企業で、編集ディレクターやクリエイティブディレクターを経験した後、2019年に朝日新聞社へ入社。小学生のころは山遊びやサッカーに夢中でした。趣味は、音楽、映画、写真、料理などです。

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