2021.05.15
習い事Q&A 小元佳津江

子どもがそろばんを習うなら何歳から?5つのメリットやレッスン内容、費用を解説

2020年に創業100年を迎えた、そろばんトップメーカー「トモエ算盤」(東京都新宿区)。数に親しむ楽しさを教えている藤本トモエ社長に、そろばんは何歳から習い始めたら良いのか、学ぶことで身につくスキルや教室選びのポイントからかかる費用までをお聞きしました。

今日のポイント

  1. そろばんは数の概念を学ぶための「教具」
  2. そろばん教室でそろばんを習いはじめる時期は小学1年生前後がおすすめ
  3. そろばんの魅力は、自己肯定感が育ち、数字に強くなる
  4. そろばん教室を選ぶポイントは「級」「算数力」など教室の方向性を確認
  5. 親ができることは、数に親しむ経験をもたせること

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そろばんは数の概念を学ぶための「教具」

そろばんの歴史や、そもそもどんなふうに使うものなのかを紹介します。また、教室で学ぶ内容もお伝えします。

そろばんとはどういうもの?

A.そろばんはかつて計算の道具でしたが、現在では数の概念や計算の仕方を学ぶための「教具」に役目が変わってきました。

そろばんは古くからギリシャ、エジプト、ローマなどで使われ、日本には16世紀後半に中国から伝わりました。数というのは非常に抽象的な概念で、幼い子どもには理解しづらいものです。そろばんは数を「可視化」できるため、子どもが数を理解するのにとても適しています。 現在では、携帯やタブレットなどの端末でできるデジタルそろばんもあります。

そろばんの使い方は?

そろばんで「17」をあらわす方法。

A.指で玉を弾いて、数の基本である「十進位取記数法(じゅっ・しん・くらい・どり・き・すう・ほう)」 の数をあらわします。

十進位取記数法とは、一の位が9まで、10以上になると隣の位に移るという数のあらわし方です。そろばんでは、梁側に玉を寄せることで数をあらわします。「定位点」のある桁のどこかを「一の位」とし、左に行くごとに「十の位」「百の位」「千の位」…となります。梁の下に4個並んでいる玉は「一玉」と呼び、1個で「1」。梁の上にあるのは「五玉」で、1個で「5」をあらわします。上図は「17」です。

そろばん教室ではどんなことをするの?

百玉そろばんを紹介する藤本さん。「例えば31と13を百玉そろばんで表現すれば、幼い子どもでも一瞬にしてその数の違いが理解できます」。

A.十進位取記数法の基本を学び、そろばんの玉の置き方を覚えます。その後、四則計算(足し算・引き算・かけ算・割り算)を練習します。

そろばんで必要なのは十進法の基礎を学ぶこと。私たちの教室では、まずは「百玉そろばん」を使って10の補数(「9と1」「8と2」など10になる組み合わせ)を覚えます。それが理解できたら普通のそろばんに移り、玉の置き方を学習。その後、足し算から順に四則計算を学びます。足し算に慣れたら、3分間でひたすら同じ3桁の数を足す「指慣らし」にも挑戦。正確性やスピードから習熟性も見ています。

そろばんの級のしくみはどうなっているの?

A.大きなものとして「(公社)全国珠算教育連盟」と「(一社)日本珠算連盟」が設定するものがあります。

全国珠算教育連盟では15級~1級、準初段~十段、日本珠算連盟では10級~1級、準初段~十段が設けられ、「珠算」と「暗算」に分かれています。数カ月ごとに検定試験を受ける教室が多いですね。私たちの教室では「英語でそろばん」というコンセプトも掲げ、読み上げ算を英語で行っていることから、独自の級を設定しています。進級を目指すことは子どもにとってモチベーション維持につながっています。

そろばん教室でそろばんを習いはじめる時期は小学1年生前後がおすすめ

足し算の練習に励む森本実子さん。

そろばんを習いはじめるのに適切な時期を解説します。「数字に苦手意識があっても大丈夫。向き不向きはありますが、どんな子でも必ず上達します」と藤本さんは話します。

そろばんの習い事は何歳からはじめたらいいの?

A.数の概念を覚える時期にはじめるとよいので、小学1年生前後くらいまでがベストかもしれません。

ドリルなどの紙教材に慣れ、例えば「3」という数がそろばんの玉3つ分ではなく、数字の「3」として認識されていると、逆にそろばんの玉のイメージが頭の中で浮かびにくくなる可能性があります。そろばんでは、玉をイメージする力が暗算力などにもつながります。その意味でだいたい年長や小学1年生ごろ、紙教材に慣れる前、算数の授業で数への苦手意識をもつ前の時期 がベストではないかと思います。

どんな理由でそろばんを習いはじめるの?

A.「数字の概念をそろばんで学んでほしい」「算数や数に対する苦手意識をなくしたい」といった、親御さんの思いから習いはじめる理由がほとんどです。

「小学校入学後、数に苦手意識をもつことなく算数の授業にすんなり入ってほしいから」という未就学児の親御さんや、「算数が苦手みたいなので、苦手意識をなくすために」という小学生の親御さんが、お子さんに習わせるというケースが多いですね。もちろん、算数の点数をさらに上げたいから、といったケースもあります。 

そろばん教室は計算が苦手な子でも通うことができる?授業についていける?

A.筆算が苦手という子もそろばんで数の概念を学ぶことによってできるようになります。 

算数は積み重ねなので、その子がつまずいているところに立ち戻って指導をし、土台を固めながら理解を深めていきます。たくさん数に触れることによって感度が上がってくるので、安心してください。ほめながら自信をつけていきます。

そろばんの魅力は、自己肯定感が育ち、数字に強くなる

トモエ算盤内に併設されている「算盤博物館」には、昔の貴重なそろばんから最新型まで、たくさんのそろばんが並んでいました。

そろばんを通して身につく力とはどんなものでしょうか。藤本さんにそろばんを習う魅力を5つ挙げてもらいました。親の心構えについても聞きました。

①自己肯定感が育つ

そろばんは自己肯定感を育むのに最適です。そろばんは、時間と正答率で測るので、100%客観的な指標。手を動かすことで少しずつ上達するので、「他のことは苦手だったけど、そろばんはできた!」という子もたくさんいます。「できた!」という体験をすることで「できることってこんなに気持ちいいんだ」と気づく。そうすると「また頑張ろう」「他のことも頑張ろう」とやる気や自信につながっていくのです。

②暗算できるようになる

計算するときに玉の形が浮かぶようになると、脳内で玉をどんどん動かせるようになります。このイメージ力をどんどん磨いていくと、暗算もできるようになっていきます。イメージ力には個人差がありますが、この力を身につけるには、そろばんの練習を沢山して、玉のイメージが自然に浮かんでくるようにする事です。

③数の概算がつかめる

教室の指導方法にもよると思いますが、「367×542」のような計算をしたら、答えが十数万になると瞬時にわかるようになります。今の時代、一の位の数まで正確に出すような計算は、電卓も「Alexa」もあるし必要ありませんよね。答えの概数がつかめ、数の感覚を養うことができるのがそろばんの強みだと思います。

④記憶力や集中力がつく

そろばんでは指先を動かすため、脳の前頭前野を刺激するという特徴があります。単に、紙やデジタルの画面上を見つめるだけでなく、一緒に指先を動かして計算することで記憶が定着しやすいというメリットはあると思います。また、時間内にひたすら指を動かしながら計算していくことから集中力も身につきます。

⑤英語の数を覚えやすい

私たちの教室が英語でそろばんを教えていることから感じている点ですが、実はそろばんは英語の数と相性が良いのです。そろばんの梁にある「定位点」は3桁ごとについており、英語では「千:thousand」「百万:million」「十億:billion」と3桁ごとに呼び方が切り替わります。そのため、定位点と英語の数字は結びつきやすく、英数字を覚えやすいのです。英語で読み上げ算をするので、英語耳も育ちます。

トモエ算盤内にある博物館を案内してくれた河野剛館長。「そろばんは日常での計算や事務など、様々に生かせます。一生使える実用的なものというところがそろばんの魅力だと思います」。

そろばん教室に子どもを通わせる際の親の負担は?

週1~2回程度通う教室が多いと思います。しかし、それだけではやはり力が身につきにくいため、宿題が毎日課されていることがほとんどです。親の役目は、宿題の習慣を上手につけてあげることです。それには、いきなり長時間やらせるのでなく、5~10分で良いので毎日やらせていくことが大事だと思います。宿題ができたらシールを1枚ずつ貼る表をつくるなどして子どものやる気を引き出してあげてください。

そろばん教室を選ぶポイントは「級」「算数力」など教室の方向性を確認 

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そろばん教室を選ぶときのポイントは?

A.「珠算選手権大会に出る」「算数の理解を補強する」など、教室ごとの目的を確認し、お子さんを通わせる目的に合致した教室を選ぶことが大切です。

ひとくちにそろばん教室といっても、その教室が掲げている目標や方向性は様々です。私たちの教室の場合は「英語も習わせたかったから」という理由も多いです。お子さんを通わせる目的を明確にしたうえで、それに最も合う教室を選ぶことが大切だと思います。

そろばん教室の初期費用や月謝はどれくらいなの?

A.一般的には入会金が3000~4000円、月謝が5000~1万円程度のところが多いのではないでしょうか。

私たちの教室は英語を取り入れていることもあり少し高めに設定しています。また、そろばん自体は入会時にプレゼントされることも多くあります。一般的には、他の習い事と比べて比較的に低価格で始められる習い事だと言えるのではないでしょうか。

親がレッスンに用意するものは?

A.そろばんと筆記用具を持ってくるくらいですかね。

そろばんは入会時にもらえることもありますし、ご自宅にあるものを使うこともできます。そろばんは非常に長持ちしますので、保護者や祖父母のものを使ったりできる点も魅力だと思います。

親ができることは、数に親しむ経験をもたせること

親が子どものためにできることは?

A.日常のなかでごく自然に、数に触れる経験をたくさんさせてあげることだと思います。

いま、子どもたちの学びがバーチャルなものに移行しつつあります。そこにはメリットももちろんあります。しかしそれだけに頼るのではなく、お皿の数を数える、時計を見ながら時間をきく、道ばたの花の数を数えるなど、普段から数に触れるリアルな体験をできるだけ持たせることが算数を好きになるうえで大事だと思います。

そろばんを習う子どもや親の声は?体験談を聞いてみました!

そろばんを習って良かった点などについて、トモエ算盤が運営する「トモエMIアカデミー」に通う子どもと親に話を聞いてみました。

そろばんを習って良かった点は?習い始めて感じる変化は?

「百玉そろばん」で数の勉強をはじめた福島弾さん(小1)は、現在そろばんで勉強中。

4歳からそろばんを習い始めたという森本実子さん(小2)は「計算して答えが合っているとうれしい。数字が大きくなると、どんどん難しくなるから楽しい」。計算中、頭に玉の形が浮かび、手の動かし方がわかるのだそうです。

6歳の娘をアカデミーに通わせている母親は、数の概念を理解させるために通い始めたといいます。「数学はこれから絶対に必要になってくるもの。数に強くなってほしいです。そろばんを習い始めてから、家でも何かを数えるなど、数について興味を持つようになりました。計算することに対して苦手意識がなくなったように思います」と話しています。

トモエ算盤・藤本トモエ社長からのメッセージ

子どもたちには、そろばんを通して自己肯定感を育み、自信をもつことで、どんな困難にぶつかっても立ち向かっていけるような人に育ってほしいです。そろばんは、多くの人々の知恵や叡智が詰まった道具。計算機としての役目は終えていますが、数というものを学ぶには非常に優れた教具なので、ぜひ活用し、算数・数学の世界の理解に役立ててもらえたらと思います。

【プロフィール:藤本トモエ(ふじもと・ともえ)】

トモエ算盤社長。慶應義塾大学法学部卒。国際基督教大学にて英語科教員免許取得。ハーバード大学でマルチプル・インテリジェンス理論(MI理論)を学ぶ。高校教師、英会話学校講師を経て、2004年よりトモエMIアカデミー を主宰。海外でのそろばん普及活動も積極的に展開している。

写真撮影:篠田英美 

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小元佳津江
小元佳津江

出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。ジャンルは、健康・育児などの実用から文芸、人物インタビューまでさまざま。執筆本は『ストーリーで学び直す大人の日本史講義』(祥伝社)など。現在、女児2人の子育てに奮闘、尽きない悩みと愛おしさを満喫中。子どものころに夢中になったものは、小6でたまたま手にした『源氏物語』。その雅な世界に惚れ込み、一時は研究者を目指した。今も、悩んだら駆け込む座右の書。

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